あらすじ
結婚10年目、小夜子は初めて恋を知った。それから15年。夫の友人との秘密の恋が、結ばれることもないまま終ろうとしている。行き着く果ての見えない愛を描く「たんぽぽ」。真夜中に父と睦み合う叔母の姿を目撃して30年。秘めたる思いを胸に抱いたまま、今、その叔母の命が尽きようとしている。表題作「夜の寝覚め」。人生の残り時間を数えはじめる季節を迎えた6人の女たち。寄る辺なき恋の短編集。
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Posted by ブクログ
渡部淳一『野わけ』より、同じ不倫小説でも『夜の寝覚め』6つの短編すべてが圧巻であった。女性が描く不倫は凄い、主人公共通の人生折り返し終盤へ向かう45歳前後のリアリティを感じる。年齢が高くなるほど情熱と勢いは薄れ、恋愛風味な関係になる。つまらなそうでいて実は奥深いのだ、『野わけ』の様に破滅へ一直線とはならない。
Posted by ブクログ
漫然と朝を迎え、夜を迎える
永遠に持続する関係などないのである。愛も情熱も友情も、変容がそれに取って代わる。私たちは一刻も同じ形をしていないのだ。
私たちは変わっていく
Posted by ブクログ
アラフィフの不倫がテーマの短編集。
好き嫌いが分かれるテーマではあるが、
小池作品は文章がキレイなのでサラリと読める。
『共感出来ない』人が多いであろう話ばかりなのだけど、
文字が視覚に訴えると言うか、容易く映像化出来る文章にイヤミを感じさせない。
サラリと読める割には、ネットリした内容だ。
ザ・小池真理子!と言う感じ。(笑)
Posted by ブクログ
主人公が中年の女性からなる6編の短編集。
人生の残り時間、女性としての賞味期限切れというものがテーマになっている。
どの作品も驚くような展開が隠されている訳ではなく、しっとりとした筆致を愉しむ本なのだと思います。
小池さんの作品はどの作品も情景が思い浮かぶかのような美しい文章で、この短編集でもたんぽぽの綿毛がふわふわと漂っている風景や、しんしんと雪が降り積もる風景、後悔を抱えながら残り時間の少なくなった叔母さんと見る桜の風景を想像しながら物語の世界に浸れた。