角幡唯介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ<目次>
第1章 僕たちが探検家になるまで
第2章 早稲田大学探検部
第3章 作家として生きること
第4章 作品を語る
第5章 探検の現場
第6章 探検のフィクションとは何か
<内容>
名前を知っている「探検家」二人の対談集。そのレベルで借りたのだが、意外と奥が深かった。二人とも早稲田大学探検部の出身。そして、このサークルは一癖も二癖もある連中の巣窟。そこの企画書などを書くことで文章力が磨かれるようだ。この本は、探検の話よりもノンフィクションの書き方、題材の選び方、文章の書き方、売り込み方まで書かれた、文筆業(作家を除く)の指南書となっている。「へえ」の連続だった。 -
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Posted by ブクログ
鬱屈としたstay home期間、どこにも行けず、行き場を失ったエネルギーをどうにか発散出来ないものか...と手に取ったのがこの冒険記だった。
ツァンポー峡谷と聞いても、チベットの方に存在する程度の知識しか僕は持ち合わせていなかったが、筆者の精緻な表現で、力強く雄大な自然を鮮明に頭の中で思い浮かべながら、読み進める事が出来た。
気になり、ネットでツァンポー峡谷とはどのような場所か調べてみる。そこに出てくる急峻な山々、水量の多い川の激流など、改めて作者の冒険の過酷さに思いを馳せた。
エピローグに印象的な言葉があった。「冒険という行為の中には、生きている意味を感じさせてくれる瞬間が存在している -
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冒険作家界で現在最も信頼しています。
極夜行で2018年のノンフィクション大賞受賞してから快進撃続行中ですが、そんなに毎年毎年大冒険に出ていける訳ではないし、最終的には冒険といえる旅を出来ない年になるかもしれない。
そんな時に一番必要なものは文章力だし、それ以上に文章から立ち上がってくる魅力だと思います。その魅力というかオーラのようなものが彼には備わっていると思います。
冒険に関するものなのですが、限りなく雑談や日常の話で構成されているこの本も、冒険譚と同じレベルで素晴らしいです。誤解されそうな言い切りも恐れずガンガン語っていく所がとても小気味いいです。年上な感じがしてしまいますが実は僕より -
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勇壮な探検の模様を綴ったルポかと思ったらわりと気楽に読めるエッセイ。しかも何だか長いものに巻かれたがらず理屈っぽいこじらせ屋な感じがプンプンした。角幡さんって自分みたいだけどちょっと煙たい人物かも。
それはそれとして、探検家って現代にあっては不思議な職業だよね。いや、そもそも「家」だから職業というにはちょっと危うい感じかしらん。研究や開発として企業とかがチームをつくってやるようになって「発明家」という肩書がそぐわなくなったように、探検家というのもいまや希少種だろう。そんなことを角幡さんも言っていて、だからか衛星電話を持たずに探検にいけるだろうかとか、原始的なかたちでこそ探検なのだといった持論を -
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著者が7ヶ月間の北極圏の滞在を終えて帰国した際、妻から「くさいね」と指摘されるも、全身から発散している異様な体臭は、1ヶ月経っても抜けないツワモノ。そのニオイを指して「原始人のニオイ」と妻が表現。とはいえ本人にはその自覚がないから困ったもの。
確かに北極圏では、イヌイットの村人らと同じ食事を摂る。アザラシやセイウチやシロクマの生肉や内臓を焼き、醤油をかけて食べる。海洋動物独特の臭みはあるものの、その臭いにもいつしか慣れ、気がつけば、食べ比べをするほどワシワシと食べている。食えない部位は橇(そり)を牽引する犬たちがガツガツとむしゃぶりつく。また狩を行えば、血や脂が衣服に付着もする。
著者の北 -
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冒険型ノンフィクションライターである著者の雪男探索記です。
雪男、と聴くと、オカルトな分野のUMA(未確認生物)
を思い起こすひとは多と思います。
巨漢で白い毛で黒い顔で牙が生えて、
ウワーっと両手を振り上げて
こっちに襲いかからんとするイメージはないですか。
ヒマラヤなど多くの山を制覇したなだたる登山家たちが、
実は雪男を見ていたり遭遇したり、
足跡を発見していたりしていたことが、
本書で明らかになります。
体験談が、その登山家の格を落としたり、
登山話を聞く者、読む者を興ざめに追いこんだりしないためのように、
ほんのちょっとだけだとか、そっとだとか語られたことがあるような雪男話が、
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チベットの奥地、ツアンポー渓谷で死と隣り合わせの遡行を経験した筆者は、自然とは死であると思い至った。
しかし、ある本を読んだことで、母親にとっては子を自らに宿すことは、自然それすなわち生ではないかと思い至る。
男にとっては、自らの命を代償にして自然へと分け入っていかなくては生死を感じることができないという結論を得る。
そして身重の妻に「だから山に行ってきます」と言って妻を置いて山に行くことに顰蹙を買うのだ。
探検家の三大北壁とは就職、結婚、出産である。
その度、真っ当な社会生活を送るか、探検に身を投じるかの選択を迫られる。
結婚もした。子供もでいた。
それでもなお探検をし続 -
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ネタバレ「探検は土地の物語、冒険は人の物語」
早稲田探検部OBにしてノンフィクション作家の探検家二人の対談集。
この時代に、なぜ探検家を目指したのか、
早稲田大学探検部とは、どういう連中なのか、
その上で作家として生きていくとは、
特に探検部とは、というところが面白かった。
他の大学には負けられない。
そういう空気が、東京バカ大学サイクリング同好会(神楽坂)にもあったことを思い出す。
今時、薪を積んで夜通し走る合宿するのは、都内だと俺たちだけだ。
軟弱者だなぁ。
京大サイクリングの連中は冬しか北海道を走ったことがないらしい。あちぃな!
このルートを行くには、担ぎだな。