【感想・ネタバレ】空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑むのレビュー

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すべての事はもう一度行われている
すべての土地はもう人が辿り着いている
――――― 『マニアの受難』 ムーンライダーズ

今どき探検家ほど活躍が難しい職業もないだろう。マロリー、アムンセン、植村のような英雄の活躍はすでに前世紀の神話。今でも世界は驚きに満ちているが、前人未到の峰や秘境はほとんど残っていない。文中の著者のセリフは、世界中で共通する悩みに違いない。
「いったいどこを探検すればいいのかよくわからない」

そしてようやく見つけたわずか五マイルの、しかしながら人跡未踏の地、チベット・ツアンポー。
Google Earthで下調べして出かける、21世紀の探検の顛末は?
高野秀行さながらのエンタメ冒険譚を予想していたが、いやはや、これほど凄まじい展開になるとは。
名声を伴わない命懸けの行為。現代に生きる探検家の勇気と業に満ちたドキュメンタリーです。

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Posted by ブクログ 2021年03月17日

空白の五マイル
チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む

角幡唯介(かくはたゆうすけ)著
集英社
2010年11月22日発行

面白い本だった。まだ2月半ばだけど、今年読んだ中では一番。ただし、2010年の本(2010年、開高健ノンフィクション賞受賞作)。
チベットの首都、ラサから東へ500キロほ...続きを読むどのところにある(ヒマラヤ山脈)ツアンポー渓谷は、“世界一大きな”渓谷と言われ、謎とされてきた。数々の探検家をはねつけ、その命を奪ってきた。1924年、英国のウォードがついに1000メートルの岸壁を越え、探検家としては初めて渓谷の無人地帯を突破。それでも最後に入れなかった区間がある。そこは「空白の五マイル」と呼ばれ、ツアンポー川の圧倒的な水量と険しい地形が、ナイアガラなみの大滝があるとの伝説を生み、1990年代以降、世界の探検家たちの目標となった。

実際は五マイル、約8キロではなく、22キロの未踏地区に、ウォード以降入り込んだのはアメリカ人。1993年に幻の滝(ただし大滝ではなかった)を発見した人、さらに、そこに行った人。しかし、それは「空白の五マイル」のほんの一部。そして、ほぼ全容を解明したのが、日本の若者、著者の角幡唯介だった。外国人として世界初、しかも、単独探検だった。

早稲田大学探検部OB、4年のときにツアンポー渓谷に行き、次はその奥地に行くことを心に決めたものの、1998年に中国政府の規制で入れなくなった。6年かけて卒業したが、就職せず、土木作業員などのアルバイト生活。しかし、26才の時に朝日新聞の新卒採用に合格、入社までの半年が最後のチャンスだと思い、2002年暮~2003年にかけて許可もなしに現地へと向かった。

役人に賄賂を渡しながら取り締まりを逃れ、現地ガイドと別れて単独探検に入った途端、滑落して死を覚悟。目に映る映像がスローモーションになっていたそうだが、偶然にも途中で松の木に引っかかり九死に一生を得る。そこに松の木があることが不思議な場所だったらしい。
結局、ガイドの家に世話になりながら、3回の探検を行い、空白の五マイルのほぼ全容を解明。やはり大滝ではなかったが、新たな滝も発見、さらに、圧迫されたチベット人の宗教上の約束の地とされている「ペマコゥ」を彷彿とする巨大洞穴も発見した。

2009年、朝日新聞を辞めて、再び単独探検。しかし、これは失敗。失敗どころか、死の寸前まで行く。それも、餓死。食糧が尽き、地図でたどり着いた村が廃村になっていた。そこには、中国による統制に翻弄される山岳民族たちの運命も垣間見える。
著者は、この後にこの本を書いたことになる。

自身のチャレンジの記録の間に、それまでのツアンポー渓谷における探検の歴史が語られているが、これがなかなか読みごたえあり。こういうのは、単なる枚数稼ぎが多いが、著者は元新聞記者だけあって、簡潔に要点を伝えている。もっと詳しく説明してくれてもいいのに、と思えるほどだった。

とくに、1993年、NHKの番組制作を兼ねた日中合同の大規模遠征隊において、世界で初めてツアンポー川をカヌーで下るという企画が立てられた。そこに参加したのが、早大カヌー部OBの二人だったが、一人が行方不明になった。それは、NHKの映像を見ると、技術的に彼より未熟なもう一人が流されるのを助けようとして自分がツアンポー川の怒気の犠牲になったことが分かるが、そういう美談よりも、彼は出発する前に友達など親しかった人に会っていて、この本の著者がそういう人に取材した中で、彼は本当は行きたくなかったが行かざるを得ない状況だったことが分かり、なぜ彼は就職もせずカヌーをやり続けたか、という分析を自分に照らし合わせながら語っているところに、とても感じ入るものがあった。

そして、本のエピローグは、人はなぜ探検をするかという再考になるのだが、最後に「探検は終わらない」などという安っぽい言葉ではなく、「長い旅は終わったのだ」で締めくくっているのがなかなかニクい。

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Posted by ブクログ 2020年12月07日

辺境作家高野秀行氏との対談集『地図のない場所で眠りたい』にて、本著者がこの作品の裏話を語っており興味を持った。
自己の挑戦に過去の冒険家との記録を交互に重ねる構成が効いていて、それがどれだけすごいことかをただ説明されるより深く理解できた気がする。
ツアンポー峡谷の最狭部にある巨大な岸壁「門」こそ越え...続きを読むられなかったけれど、ほとんど踏破できていたのでは?
少なくとも過去の探索者が複数人でも中途で挫折していたのを、著者は単独で全体像の把握までこなすという偉業は達成している。
それでも納得できず、二度目に挑戦した際、不運に見舞われ峡谷踏破より生きることに舵を切った場面からはもう一気に読まざるを得ず。
死ぬ一歩手前で辿り着いた村が、中共の政策により廃村にされていたという箇所では、読むこちらまで絶望的な気持ちになった。
そこから生還方法を見付けた箇所は、あの伏線をここで使うのか、とまるでよくできた小説を読む感覚。
それが現実だというのだから、本当に奇跡のよう。
高野秀行氏と違って、真顔で冗談を言っているような一文、二文があり、笑っていいのかどうかと迷うところも。それでもやはり、記録文学として最高峰に位置すると思う。名作。

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Posted by ブクログ 2020年01月28日

筆者が述べるとおり、完全な自己満足の世界。通常人には理解されないことに命懸けでトライした男の話。
なぜ仕事も捨ててまで、チベットの奥地に、捕まる危険性、死ぬ危険性まで背負って行くのか?
それについて筆者はエピローグで「リスクがあるからこそ、冒険という行為の中には、生きている意味を感じさせてくれる瞬間...続きを読むが存在している。あらゆる人間にとっての関心ごとは、『自分は何のために生きているのか、いい人生とは何か』という点に収斂される。(中略)冒険は生きることの意味をささやきかける。だがささやくだけだ。答えまでは教えてくれない。」と述べている。
本当に心を打たれた。
普通の人からすれば、登山家や冒険家、探検家、エクストリームスポーツのレーサーなどは理解できない生き方だろう。だが、なぜ彼らの人生は、行動は、言葉は、私たちの胸を熱くするのだろうか?
地位も金も求めず、威張らず、自分が普通ではないことを自覚し、それでも媚びず、諦めず、自分の夢をやりたいことを貫く生き様は美しい。
非常に影響を受けた本。

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Posted by ブクログ 2019年06月20日

面白かったー!自分では1ミリもいってみたいと思わない冒険を(多少なりとも)追体験できる読書って最高だなー、と思う一冊。

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Posted by ブクログ 2018年06月16日

角幡氏がした冒険も凄いがツアンポー峡谷に挑んだ歴史上の冒険家の話がとても面白かった

冒険家であり元新聞記者である著者の文章力のなせる技だろう
ネム・シンの従者キントゥプの話は特にビックリするような冒険譚で同行者のラマ僧に裏切られて奴隷に売られるという波瀾万丈の物語は興奮した

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Posted by ブクログ 2018年05月06日

世界中で誰も到達したことのない、人類未踏の地を目指す。理解できない世界だが、何度も死にそうになった自分の体験を、ここまで他人事のように書けるとは。一方、淡々と事実を記すだけでは暗く辛い話になるけれど、意識的に笑えるネタを仕込んでいるのも面白い。

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Posted by ブクログ 2018年05月03日

 冒険家、角幡唯介が学生時代に訪れたのは、チベットの奥地に残された未踏のツァンポー渓谷の五マイルだった。

 英領インド時代の150年ほど前から現代に至るまで、ツァンポー渓谷は様々な冒険家探検家により調査が進んでいた。
 しかし、一番切り立った峡谷部の五マイルだけは未踏の地として残されていた。

 ...続きを読むそして学生時代、若さの勢いで筆者はツァンポー渓谷に入渓するが空白の五マイルに触れたのち撤退する。
 そして就職するも五年で仕事を辞めてツァンポー渓谷に戻った。

 ツァンポー渓谷に関わる歴史を紐解き、なぜ人跡未踏の地があるのか、そこに何があるのか、知りたいという一念に命を懸ける。

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Posted by ブクログ 2018年02月23日

なぜ人は冒険に駆り立てられるのか。冒険がテーマのルポルタージュは、つまるところ、この問いに、筆者が挑むものだとおもう。
本著はまさにそれに漏れない作品。

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Posted by ブクログ 2017年08月19日

高野秀行氏の著書で本書に興味を持ち積読。同氏との対談本が文庫化されなかったら、未だ積読だったかも知れない。ツアンポー峡谷の探検を、過去の探検家の伝記や早大カヌークラブOBの遭難という外伝を前半に配することで、著者の冒険行に深みを与える考えられた構成だし、その意図は対談で窺い知れる。常にじめじめした密...続きを読む林を藪漕ぎし、急峻な岩壁を昇り降りし、深雪の尾根をラッセルする単独行の情景に過酷さが伝わってくる。

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Posted by ブクログ 2017年06月06日

今の時代に、冒険なんて、、、と失笑されるのを十分本人も知って、
他人にとってまるで、意味のないことをする。自分はわりかし好きです。

効果があること、意味があること、原因と結果が予めわかっていること、
今は、そういうことが、「行動する動機」になります。

しかし、それでは、真の感動なんて、ないかもし...続きを読むれません。

著者は、文章もうまいし、読ませます。今は、冒険できる場所を探すのが大変だと思いますが、
著者には、今後、是非、続編を書いてほしいです。

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Posted by ブクログ 2017年03月17日

チベットの奥地、世界最大と言われるツアンポー峡谷で未踏の区間を単独探検した日本人の 探検記。やはりノンフィクションは面白いし、著者は元新聞記者であり文章も秀逸。なぜ生きるのか、どうやって生きていることを実感するのかという問いは、普段考えることはないが、本当は大切なことを考えさせてくれる。

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Posted by ブクログ 2017年08月15日

 なぜ本を読むのか。と問われたらどう答えるか。

 人生の指針とするためとか、教養を身につけるためとか、ボケ防止とか。
 いちいち読書の効用なるものを期待する風潮があるが、自分ならこう答える。
 そんなもん、読みたいからに決まってるじゃないか。
 あなたはなぜご飯を食べるのですか?と聞くぐらいおかし...続きを読むな質問だ。 


 なぜ山に登るのですか。そこに山があるからだ。
 有名なこの言葉も、つまらないこと聞くな、山(エヴェレスト)に登りたいからに決まってんじゃないか、という意味じゃないのかと思ったりもする。


 なぜツアンポー峡谷なんてに行くのですか、命をかけてまで。なにか社会に対して伝えたいメッセージがあったのですか?
 この本を出版するとき、雑誌のインタビューを受けた著者は返答に窮してしまう。
 ・・・ツアンポー峡谷なんて日本人はまず知らないだろうし、知ったところで興味が湧くでもないだろうし、つまりは社会的な意味なんて全く無い秘境だ。


 煎じ詰めればひとりよがりの理由だと気づく。私は命をかけてでも、そこを冒険したかったんだ!


 おぉ、なんと清々しい態度だ!


 前置きが長くなった。


 チベットの奥地に世界最大の峡谷、ツアンポー峡谷がある。人跡未踏のその峡谷には、数多の冒険家たちの挑戦を退けた空白の5マイルと呼ばれる秘境がある。
 落差が50メートル以上もある幻の大滝があるとか、チベット密教のシャングリラがあるなど、噂されていた。
 真偽を確かめようにも激流に阻まれ、巨大な岩棚に阻まれ、日がほとんど差し込まない峡谷特有のぬかるみに足を取られ先に進めない。現地の人でもあまりに危険で近づこうとはしない。チベットを弾圧している中国政府からの邪魔も入り、案内を頼もうにも現地でガイドを雇えない。中国の法を犯して踏み入るので、見つかれば逮捕確実。頼みの綱は我が身のみ。


 様々な困難を乗り越え到達した峡谷の奥深くに広がる光景とは…
 それを初めて目撃した時に押し寄せる感動とは・・・


 ツアンポー峡谷に挑んだ数々の猛者どもの探検の歴史を追体験しながら読み進むので、非常に面白い冒険譚になっている。
 
 ほんと、男って馬鹿だよねえ。なんでそんなことに命をかけるかねえ。
 
 だから面白いんだけどね。

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Posted by ブクログ 2016年08月05日

峠恵子「冒険歌手」のニューギニア探検に参加したユースケこと角畑唯介の著作。

未踏の地を目指すいわば古いスタイルの探検を、一人で実行するという筆者の自分を追い込む姿に大学時代の友人の姿が重なった。

『リスクがあるからこそ、冒険という行為の中には、生きている意味を感じさせる瞬間が存在している。』
...続きを読むピローグに記されたこの一文は、いまや陳腐に聞こえてしまうが、再認識させられる一冊である。

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Posted by ブクログ 2017年05月17日

2016/1/21 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2017/5/1〜5/16

開高健ノンフィクション賞などを受賞した、角幡さんのいわゆる出世作。21世紀を迎えようとする時期に未だ未踏の地であったツァンポー渓谷に挑んだ記録である。何と言う血湧き肉躍る冒険か!Google EARTHで探してみた...続きを読むが、特定出来なかったが、まさに男のロマンだなぁ。古臭いけど。

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購入済み

非常に良質なノンフィクション

たたら 2013年03月19日

非常に楽しく読めました。

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Posted by ブクログ 2021年04月30日

チベットのツアンポー峡谷にある地図にない空間に挑む若き青年のノンフィクション・ルポ。

新聞記者の経験もある著者なので、読ませるし、読みやすい。

冒険・探検物が好きなら是非オススメの本です。

ヤル・ついにはシャングリラが…。著者はたどり着けるのか⁉︎

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Posted by ブクログ 2021年01月30日

探検家の著者にとって最初の本格的な探検であるツアンポー峡谷の探査に関するノンフィクションだが、それだけでなく、ツアンポー峡谷に関する探検や発見の歴史と、著者の少し年長の日本人のカヌーイストがこの激流で遭難した事件が織り交ぜられていて、飽きさせない。そこには、単なる探検家ではなく、新聞記者の経験もあっ...続きを読むて人に読ませる文章を書くという作家としての力も発揮されている。
著者のツアンポー峡谷の探検は、2002年と2010年の2回にわたっており、2002年は空白の五マイルと呼ばれた地位を探索し、新たな発見を成し遂げている。これに対し、2010年は、空白の五マイルを目指しつつも、この峡谷を取り巻く手つかずの自然のままの山や谷を積雪や霧などの悪天候に悩まされつつ単独で移動するものの、予想外に行動を阻まれ、最後は食料の欠乏によって遭難死する手前まで追い込まれたことが冒険のハイライトとなった。探検としては失敗なのかもしれないが、この生死の境の瀬戸際まで行ったことが著者の感覚や思考を深め、その後の数々の探検や著作に活かされていると思うと、まさに著者の探検の原点なのだろう。
著者は2011年の東日本大震災のときには極北の地に探検に行っていたと別の本で読んだ。ツアンポー峡谷での限界ぎりぎりの踏査行の翌年には北極探検をしていたということだから、著者の探検に対するエネルギーの強さを思い知る。
ところで、肝心のツアンポー峡谷での生々しい活動については、岩場の登攀の経験もなく、登山や山岳そのものに対する知識が不足していて、残念ながらその詳細な叙述をうまくイメージに転換できなかった。それでも、人を寄せ付けないような急峻な岩壁がそこにあり、道具と技術でそこを上り下りする肉体の躍動は伝わってくる。

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Posted by ブクログ 2020年01月25日

当時大学生の筆者が、チベット奥地にある人類未踏の「空白の五マイル」を2度にわたって探検するノンフィクション探検記。
これまでの探検家が経てきたルート、探険史と自身の探検記が交互に出てくる構成で、それぞれの探検家がツアンポー発掘に対してもつ目的やモチベーションが違っていたのが面白かった。
角幡さん自身...続きを読むの探検記はもちろん読み応えがあったけど、あとがきの「死ぬかもしれないと思わない冒険に意味はない。」という言葉が印象的で、断じてそんなことをする勇気はない自分にとって、こういった本の存在価値は高いなとひしひしと感じた。

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Posted by ブクログ 2019年12月08日

探検部の元学生(と言いたいくらいなんか若い…)が、チベットの空白地帯に飛び込んでいく話。
著者の本は4冊目ですが、順番としては本著が探検家として世に出した最初の著作のようですね。経験を重ねた「アグルーカの行方」なんかと比べると本著は圧倒的に若くて粗削り。
時系列にならずにエピソードを挟んでくる書き方...続きを読むも本著の時点から始まっているのですね。嫌いじゃないけど、ちょっとあざといような。

内容はチベットのツアンポー渓谷を旅する話な訳ですが、渓谷自体のスペックはどうやらグランドキャニオンも比ではないレベルの凄いもののようなのに、「大変さ」が先に立ちすぎて、その場所に魅力を感じるような記述にはなっていないという印象。
とにかく自然というものの厳しさ、辛さが前面に出ています。

前に、角幡さんのことを「日常と冒険の間を取り持ってくれる表現者」と書いたのですが、本著の中で最もそことリンクしているな、と感じたのは「あとがき」でした。ひょっとするとあの質問は、著者の心の中に通奏低音のように残り続けているのかも。。

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Posted by ブクログ 2019年10月02日

何がテーマがあるわけでも世間に問いかける何かがあるわけでもない。行きたいから行く、見てみたいから行く、ただそれだけの旅でも読む方は魅せられる。
ツァンポー渓谷は知らなかったが、探検史も挟み込まれているので入り込みやすかった。

最初の探検や発見はやはり欧米が主流だが、イギリスのプラント・ハンターが出...続きを読むてきて「ふしぎの国のバード」という漫画を思い出した。
馴染みのない地域の植物を収集して本国へ売るという仕事は、そのまま未知の国の探検になるのだろう。
発見といっても現地の人には知られた存在で名前までついているものはたくさんある。マチュピチュとか。なので世界に紹介したいちばん初めの人というほうが正しいのかもしれない。でも外からみないと価値がわからなかったりすることもある。その位置付けが「発見する」ということなのだろう。

どうしても土地勘がないので距離や険しさなどはわからない。
何度も巻頭に載っている地図を見るがやはり実感はできないし、藪の登り方なども知らないので想像するのにも限界がある。それでも引き込まれるように読み進めた。
写真が少ないので想像しづらいが、現代ならグーグルマップを開きながら読むというのもいいだろう。

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