角幡唯介のレビュー一覧

  • アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極

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    ネタバレ

    四方八方雪と氷しかないなんて、想像はできても感覚は全くつかめない。それなのにこの一冊はものすごい現実感が迫ってくる。
    だからなのか、読み進めるのはとても疲れた。消耗していくのがはっきりとわかった。300Pぐらいで休みをいれて、普通の小説を読んだらなんだか体から力が抜けるようだった。

     すごいな、なんでそんなにまでなって、などと読んでいる間に何度思ったかわからない。特にヘルペス。写真を見なくても痛々しさがわかりすぎて、どこでもドアで薬を手渡しに行きたくなった(もう旅は終わっているのに)。あと生肉でおなかをこわした日。休めないからとよれよれと前へ身体を進ませようとする姿が痛々しい。荻田さんが見か

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    2013年01月16日
  • アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極

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    19世紀に北極で遭難したフランクリン隊の軌跡を追いその謎を解明しようと言うもの.探検家の角幡の面目躍如.

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    2013年01月06日
  • アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極

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    新聞の書評で本書を見つけ、開高健ノンフィクション賞を受賞した時から気になっていた著者でもあり、読んでみた。

    19世紀半ばに、ジョン・フランクリン率いる北西航路探検隊129名全員が亡くなった航路を辿ることで、彼らの見たものを自分の目で確かめようと、著者と極地探検家の荻田泰永の二人で挑んだ北極冒険譚。

    彼らの旅の行程をなぞりつつ、途中途中にフランクリン探検隊の謎にまつわるエピソードが差し挟まれていくという構成で、語りもうまく、そのあたりなかなかニクイ。
    かなり厳しい旅であったことは想像に難くないのだが、思いのほか淡々とした印象を持ったのは私だけだろうか?
    ただその中でも、麝香牛を殺して食べるシ

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    2012年12月30日
  • アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極

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    角幡作品は過去3作読んでいるが、本作も期待を裏切らず面白いノンフィクション作品だった。
    角幡氏と同行者の荻田氏が歩く現代の北極圏と、かつてフランクリン隊が目指した北西航路が、まるでパラレルワールドのように展開して行く。絶望の淵を彷徨ったアグルーカと、自ら決断し途中から衛星通信を拒絶した著者たちが見たものは、きっと同じ景色であったに違いない。少し気が早いが次回作も楽しみだ。

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    2012年12月01日
  • アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極

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    極北の地で103日間、約1600キロを歩き続けた記録である。氷点下40度の環境では、毎日5000キロカロリーを摂取しても体内の脂肪が失せていく。作者は疲労から口唇ヘルペスを発症し、腫れあがった唇から膿や血が流れそれはそのままつららになった。強烈な飢餓感から麝香牛を撃ち殺し、その肉を解体し貪り食うシーンは迫力に満ちている。巻中にあるカラー写真も美しい。もっと激しい描写があっても良かったのではないかと想う。それ程の凄い冒険だもの。

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    2012年11月21日
  • 極夜行

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    グリーンランドの高緯度の地域を極夜中に数ヶ月かけて探検した著者の体験を綴った本。

    思うに、文明とは自然環境と生身の人間の間にある膜のようなもので、これを極力剥ぎ取って、どれだけ自然と直線接点を持つかが、この方がやったことなのだと思う。著者に対しては寡黙でストイックなイメージがあったが、こんなにユーモアを持った人だとは思わなかった。元々こういう人なのだろうか、それとも過酷な環境を乗り越えるため、ユーモアを必要としたのだろうか。。どちらにせよ面白かった。

    探検というと、未知の風景を求めて未踏の地を進んでいくイメージだが、著者は、未知の環境に身を置き、自身の心がどう変わるかを試したのだと思う。

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    2025年12月01日
  • 43歳頂点論(新潮新書)

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    全力で生きているか、死んでないのは余白があるからだ、そして余白を埋めようとして冒険家は死へ向かう。
    私は冒険家ではないが、日々の仕事、生活で、どこか本気を出していないように思え、自分に後ろめたさを感じているのは読んでいて共感した。
    そのような思考も40をこえて薄まっているとも思う。
    到達ではなく漂泊へ、という思考の変化もよくわかる。何かを成し遂げることよりも、世界を理解し繋がり、自分を更新したい。狭まりつつある可能性に抗って自己を拡大していきたい。

    どうせ死ぬのだから。

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    2025年11月27日
  • 極夜行

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    長かった…とても長かった。
    極寒の氷に覆われた極地での、極夜の冒険。私の貧相な想像力では、想像するに限界のあることばかりで。楽園と呼ばれた場所での、月明かりだけの幻想的な世界、いったいどんな景色なんだろう。
    とにかく過酷で、思い通りにいかなくて、常に命懸けで。なぜ、そんな思いをしてまでこの人は、こんな冒険をしてるんだろう?と思ってしまうんだけど、そんな感想しか抱けない私が野暮なんだろうな。

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    2025年10月10日
  • 雪男は向こうからやって来た

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    雪男の存在を確かめるための調査に行ったという単純な話ではなく、その過程で生まれた疑問や過去の出来事を調査していくうちに、雪男に魅せられた人々の道程を追体験していくことになったというノンフィクション。
    何かに魅せられ、そちらへ吸い寄せられていくことの一般化とはこういうことだったのだ、と唸ってしまう見事な展開。
    そして見事なタイトルセレクト。

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    2025年10月07日
  • 地図なき山―日高山脈49日漂泊行―

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    著者が2017年から2022年に4回に分け、日高山脈に地図なしで登山するルポ。

    地図を持たないだけではなく、著者は日高山脈に関する知識がなく、昔の探検を追体験する目的。

    知床に次ぐ、秘境と言われる日高山脈だが、山深いところまで人の気配がすることに驚く。

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    2025年09月18日
  • 地図なき山―日高山脈49日漂泊行―

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    山登りでは分かれ道に来たらまず地図を確認する。登山では常識レベルの作法だが、この男はその常識を捨ておいて地図を持たずに日高山脈に突撃する。地図=システムの象徴だのとのたまい、システム外部を求めて、システム(地図)を捨てて日高へ向き合う。

    「頼りになるのはGPSのような私の経験とは何も関係ない空疎なテクノロジーではない。(中略)旅という行為が土地とつながること、それがここで生きていけるという濃密な実感を生み出すのである。」(273p)

    現代で指折りの、十分に頭のおかしな登山家の一人だ。(※褒め言葉)
    2017年の初回の旅では悪場のゴルジュに疲弊し嫌気が差している。よくぞ正直に脚色せず書いてく

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    2025年09月09日
  • 地図なき山―日高山脈49日漂泊行―

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    ネタバレ

    感想を素直に書くと、「こじらせてるなぁ……」という感じになる。

    確か、高野秀行さんも、「誰も行ったことがない場所に行きたいと思って色々やってきたのに、気づいたら地球上に誰も言ったことがない場所がなくなっていた」というようなことを書いていた気がする。

    この本だと、同じように悩んだ筆者が、じゃあ自分は次に何を目指せばよいのかを、内面を向き合いながら、迷走している過程がずっと書かれている。

    特に前半は、その悩みっぷりがすごいというか、自分の闇にハマってたんだろうな、という印象で、「地図を持たないで山を登ることが自分にとっての新しい目的だ」ということを正当化するためのエクスキューズが続く、ように

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    2025年08月29日
  • 地図なき山―日高山脈49日漂泊行―

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    探検的登山のノンフィクション。隅々まで開拓され情報化された今の世界で、冒険の意味を見出したい筆者の山行。内省的、修辞的な記述が多く、どこか「本多勝一」っぽい感じもある。著者の意図とは異なるかもしれないが、Google Mapsを開いて、ルートやそこからみた景色を想像しながら読むのも楽しい。

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    2025年06月16日
  • 空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む

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    探検家の本は何冊か読んでいるが、この本は何というか、、、エグい。
    研究者が学会で発表し、有名になる、権威を得たい、と思うのと似ていて、探検の目的がほかの誰もなし得ていないことを成し遂げたいという思いが強く出ている作品だ。
    命をかけて、挑戦する、その行為は凄いなあ、と思うけれど、星野道夫さんのように、自然への畏怖、自然への愛のようなものが感じられず、なんか後味悪く感じた。

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    2025年06月10日
  • 地図なき山―日高山脈49日漂泊行―

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    前作『極夜行』があまりにも衝撃的で、命を懸けた旅の記録として圧倒されたぶん、今作『地図なき山』はどうしても物足りなさを感じてしまいました。

    タイトルから、長期間山中を彷徨い、生還を果たすような壮絶な物語を想像していたのですが、実際には4度の登山を通して、著者自身の「地図」を描いていくという旅。
    もちろん自然の厳しさや、孤独と向き合う真摯な姿勢には敬意を抱きます。ただ、釣りの話が多く、大きなトラブルもなく旅が進んでいくので、正直なところ後半は少し飽きてしまいました…。

    どうしても『極夜行』の強烈な印象が頭から離れず…申し訳ない。

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    2025年05月26日
  • 地図なき山―日高山脈49日漂泊行―

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    著者はノンフィクション作家、著名家。
    人間の智慧を借りない、いわば個人と自然との一体化を目指し、事前情報皆無および地図を持たないままで北海道日高山脈への登山を敢行する。
    文体は好き嫌い別れるところだが、広大な自然のなかて生を謳歌する人間の臨場感は十分。
    人間界と距離を置き、自然に身を任せたい人には楽しめる書籍だろう。

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    2025年05月25日
  • 探検家とペネロペちゃん

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    ネタバレ

    「極夜行」という著書にて、第一子が誕生直後なのに、北極へ命懸けの旅に出かけた著者に驚く。作中にあまり妻子の話が登場しなかったので、その心中いかにと思い、手に取った。
    この本には、「極夜行」前後での、家庭の話がたくさん書かれていて、意外と「普通のお父さん」であり、冒険に際してはちゃんと逡巡があったことに勝手に安心したし、親バカな様子を微笑ましく思った。

    また父親の視点から子育ての話として興味深かった。自分のライフワークとの間の葛藤とか、育児場面での所在のなさとか、男親としての立場を獲得する過程とか、異性としての娘の見方とか…良し悪しは別として新鮮だった。夫が読んだら共感するのかな。気になる。

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    2025年05月04日
  • 地図なき山―日高山脈49日漂泊行―

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    ネタバレ

    地図なき山
    ~日高山脈49日漂泊行

    著者:角幡唯介
    発行:2024年11月20日
    新潮社

    久々に冒険家(探検家)・角幡唯介のルポ。今回は北海道にある日高山脈の登山だけれど、普通の登山ではなく、地図を持たず、事前に調べることも全くせず、登山計画もなし。そして食料も一定量しかもたずに後は現地調達。具体的には魚釣りが中心。衛星電話は非常のとき以外は使わない。それって、たんなる冒険好き、危険を乗り越えるのが好きなだけのリスクジャンキー?と思ってしまうけれど、実はそうではない。著者は以下のように言う。

    「脱システム」という思想に取り憑かれた。海外を旅するときもスマホ片手で知人とつながり、スターバッ

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    2025年04月08日
  • 書くことの不純

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    冒険家角幡による評論
    第二部の三島論がなかなか面白い
    生の余白について考察

    そう言えば金閣寺、読んだ事あったかなぁ?
    いずれにしても三島由紀夫は殆ど読んでいないので今度読んでみよう

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    2025年04月09日
  • 地図なき山―日高山脈49日漂泊行―

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    同じ道でも既知なのか未知なのか、地図があるのか無いのかで全く違うという考え方。特にヒグマがいるような山深いところでは余計に未知への恐怖感が高まるのが伝わってきた。

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    2025年03月16日