角幡唯介のレビュー一覧
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夏に読めば良かった。
長野の秋は寒い。北アルプスも白くなりました。
ストーブの前から離れたくありません。すでに。
角幡唯介氏と荻田泰永氏がタッグを組み、今から約180年前にジョン・フランクリンという男が率いた探検隊の足跡を辿る為、2011年に103日間かけて約1600キロを徒歩で北極圏を旅したお話。
いやいや、探検家とか冒険家って何?
人?
同じ人間とは思えない…。
でもね、とっても面白かった。途中何度か吹き出した笑
口唇ヘルペスにボラギノールって笑
もうね、ありえない事の連続。
そりゃそうだよね、イヌイットでさえ行かないところを歩いて旅するのだから。
こんなすごい冒険話 -
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はじめの方はなかなかページをめくる手がすすまなくて、少しずつしか読めないでいたけど、しばらくすすめると話にどんどん惹き込まれて、かわいそうと思ったら、次は笑い、その次は手に汗握るような緊張、同情、読んでる方の感情もいそがしく展開するような作品だった。あとがきでは、泣いちゃいました。そして極夜行に引き続き、私の人生では絶対に見ることのない景色を伝えてくれてありがとうございます、これが読書の醍醐味です!って思うのです。
そしてこんな生活をしてる角幡さんは、日本に帰ってきたときにどのような生活、感情になるんだろう。家族がいて、お風呂に入って、ご飯をたべて、冷暖房のある部屋で暮らすときに何を思うんだ -
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先日「バリ山行」と言う面白くない小説を読んだが、同じ感じだと嫌だなーと思いながら手に取ると「チベット・ツアンポー」の人と言うことに気付く、これは間違いないなと期待が高まる。
出会えて、良かった。著者が山行を行い、本書を書いてくれたことに感謝と思うほど良かった。
GPS等機器の発達により未開の地が無くなった今、地図を見ないことで、自分で未開の地を作りそこを冒険したドキュメンタリー。
私も山が好きなので同じ事をやってみようとは思わないが、ワクワクさせられた。冒険に対する意思の表現も素晴らしく、彼の世界に引き込まれる。
計4回の山行が行われているが、準備期間、実際の山行期間。1回終わったあと -
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こんなに明瞭に語って大丈夫だろか?と思ったら、後書きで、「こんな本を書いてしまったら、読者は、この人はもう書くことをやめるのだろうか、と受け止めるかもしれない。」と。まんまとそう思ってしまった。
しかもそれがめちゃくちゃわかりやすい。こんな私でも結論へと至る道筋で迷子にならなかった。
自身の冒険と、読書の経験とを混ぜながら、ある種の書評のような部分もあり。
三島由紀夫論は本当に素晴らしかった。めちゃくちゃ腑に落ちた。
内在と関係の話は、先日読んだ最首悟のなぜ障がいのある娘を愛するのか、という話とリンクしており、その解答を披露してくれたかのようで、めちゃくちゃスッキリしたし興奮した。
自と他の境 -
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感想
私は山に行く。
その時は必ず地図を見れるようにするし、行動中も要所で確認する。
ただ、なるべく見ないようにするし、ラジオも聞かないし、人とも話さない(一人で行くことがほとんど)。
私が山へ行くのは、自然の中に身を置いて、日々の細々したことから自分を切り離すためだ。
ただ山を登って、鳥の鳴き声や風に揺れる枝葉の音を聞いて、土や木の根を踏んで、そういう感覚を味わうために山へ行く。
そうしている間、いろいろなことを考えたり、考えなかったりする。
仕事のことも考えたりもするけど、意外とそういう時にはネガティブな感情ではなくて、思いもよらないことを考えついたりもする。
そんな風に -
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予定調和の現代社会から逃れ、目の前にある自然と対峙する。登山が趣味です。といった人とは違う、圧倒的なかっこよさ!(登山が趣味でもいいけど、それとは違ういっちゃってるかっこよさがある。)
人はなぜ冒険を求めるのか、原始の狩猟最終民への憧れに対する答えを探りながら、地図のない日高山を漂白する。スマホ時代の息苦しさを明確な言葉で解明してくれる。ある意味痛快。単なる山岳ドキュメントではなく、作者の心情というか思想の言語化が面白く、淡々とした語りが達観しててイヤミがなく読みやすかった。
私的には「バリ山行」「サピエンス全史」「クロニクル千古の闇」「三島由紀夫と東大全共闘」など、最近はまった本の答え合わせ -
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ネタバレ序盤は、こんな分厚さに見合う内容があるのかな?と少し甘く見ていたけど、中盤以降トラブル多発の急展開。デポが破壊されていると気付いたときの絶望感たるや。。手に汗を握りながら、途中息苦しくもなりながら、旅を見守った。
結果的になんとか生還して、この本を生み出してもらえてよかった。
命懸けのミッションから得た貴重な経験を文章という形でおすそ分けしてもらえてありがたい限りだ。
未踏の地ではなく、何度か来訪している土地であっても、極夜という特殊な状況になると全く別の顔を見せる。
極限の環境下で、古代の人々の追体験をしたり、犬と人間との原始的な依存関係に気づいたり、宇宙と繋がっている感覚を得たりなど、 -
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太陽が昇らない極夜を旅するノンフィクション。
十分に準備したにも関わらずトラブルに見舞われ、その度に落ち込んだり、絶望したり、自分や犬に当たったりする著者のストレートな文章に引っ張られて、あっという間に読んでしまった。
「冒険はシステムの外側に出る行為」という著者の言葉が印象的だった。
日々暮らしていると、様々な商品・サービスの恩恵を受けて生活を送れていることを忘れてしまう。
当たり前のように享受している。
しかし、昔はそうではなかったはずだ。
人間は自然とつながって、森や土を大切にし、敬い、畏怖を持って接していたはず。
それがいつからか、自然と切り離されてしまっている。
私は -
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著者は探検家です。
「極夜行」では太陽が昇らない北極をGPSも使わず、単独で横断している経歴を
持っています。
いわゆる文明の利器を使用せず、原始の状態で旅することをモットーとしていま
す。
そして今回は「地図」という文明というよりも、人類にとっては衣服のような必
需品を持たずに山に入る旅の記録です。
そんな旅に挑むからには人に知られていない、人の手が入っていない地が選択肢
に取り上げられ、それが日高山脈なのです。
確かに現代人は地図どころか、カーナビシステムで目的地に行くことが当たり前
になり、「行く」というよりも「運ばれている」だけの状態と言えます。
著者は、それが紙の地図を使 -
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地図なき山:日高山脈49日漂泊行 角幡 唯介
地図を持たずに山を2週間、魚を釣りながら歩き続ける。
いまやスマホの電波さえつながっていれば、紙の地図さえいらない世の中、
なぜ地図を捨てる?
その理由が素晴らしい。というかショックを受けた。
山に向き合うため。
地図を持ち、計画的に山に登る、ということは、
山と向き合うのではなく、計画と向き合うということになる、というのだ。
言われてみればそうだ。
私は最近は山に登るわけではなく、もっぱらラン旅ということになるが、
タイパコスパ効率性を重視して、とにかく計画的に予定を立て、
その予定通りに動けるとほっとしている自分がいるのを知っている -
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『極夜行』から続く、グリーンランドの旅。全然なじみのない土地なのに、イヌアフィシュアクとかアウンナットとか自分にとってもなじみの場所みたいになっている。
未来予測の無い漂泊行を目指して、角幡さんとウヤミリックの1人+1頭でグリーンランドを旅した記録。
この旅をきっかけに、「探検」「冒険」を求める探検家から、極地旅行家にかわってしまった、という最後の振り返りが印象的だった。
本筋とはちょっと違うけれど、「四十三歳の落とし穴」について自分に落とし込んで興味深く読んだ。経験が広がっていろいろ思いつくこと・目につくことが広がってくる一方で、それに対応する気力・体力がついてこなくなるっていうのは仕事