書くことの不純

書くことの不純

1,760円 (税込)

8pt

4.0

こうして私はワイヤーにぶらさがって村にたどり着くことができ、結果、生きのこったわけだが、ここで問題になるのは、私がワイヤーをわたりきり、いわば死の瀬戸際から脱出したときに何を思ったのかだ。
私はこんなことを考えた。
もしワイヤーではなく、川を泳いで生きのこったら、そっちのほうが話は面白くなったんじゃないか?
そしてこんなことを考えている自分にゾッとした。(本文より)

生死の瀬戸際で、もう一人の自分が囁く「もっと面白くしよう」という誘い。書くことは不純だと言いながら、それでも書き続ける冒険家・角幡唯介がたどり着いた、行為する表現者の真髄とは。

【目次】
序 論 探検って社会の役に立ちますか?

第一部 行為と表現
第一章 書くことの不純
第二章 羽生の純粋と栗城の不純
第三章 冒険芸術論

第二部 三島由紀夫の行為論
第四章 届かないものについて
第五章 世界を変えるのは認識か行為か
第六章 実在の精髄
第七章 年齢と永遠の美

あとがき あらためて書くことについて

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書くことの不純 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    こんなに明瞭に語って大丈夫だろか?と思ったら、後書きで、「こんな本を書いてしまったら、読者は、この人はもう書くことをやめるのだろうか、と受け止めるかもしれない。」と。まんまとそう思ってしまった。
    しかもそれがめちゃくちゃわかりやすい。こんな私でも結論へと至る道筋で迷子にならなかった。
    自身の冒険と、

    0
    2025年06月22日

    Posted by ブクログ

    加藤典洋、沢木耕太郎、栗城史多、クルティカ、開口健、三島由紀夫らの作品や生き様を引用しつつ、自己の内面と外界との関わりを改めて問い直す。
    栗城だけ反面教師になっているがw
    冒険や探検に向かう自己の内面から湧き上がる衝動や行動と、それを表現し文章化して他者の反応や収入を得ること。
    誰もが発信者なり得る

    0
    2025年01月30日

    Posted by ブクログ

    内在と関係を冒険の行為と表現にあてはめ、芸術性の議論につなげたり、三島の生き方との相似性を考えたりと、思索を広げてくれる良い読書だった

    0
    2025年01月01日

    Posted by ブクログ

    「独りよがりで不気味で得体がしれないからこそ、そこまでやるのか…と人の心胆を寒からしめる力をもつのである。逆にいえば、そもそもそこまで行かないと書く意味がない…。(本文より引用)」自分の行為に社会的な意味を持たせないといけないのか、自分の内なる衝動に身を任せてはいけないのか。そんな問いに答えた著書だ

    0
    2025年06月27日

    Posted by ブクログ

    冒険家角幡による評論
    第二部の三島論がなかなか面白い
    生の余白について考察

    そう言えば金閣寺、読んだ事あったかなぁ?
    いずれにしても三島由紀夫は殆ど読んでいないので今度読んでみよう

    0
    2025年04月09日

    Posted by ブクログ

    彼の脱システム論は凡庸で退屈だったが今回の本は良い。栗城の部分も良いし三島の部分も良い。脱システム論は言い訳じみていて嘘くさいところも嫌いだったのだと今回のあとがきを読んで得心した。これからはエッセイも面白くなりそうで嬉しい

    0
    2024年09月14日

    Posted by ブクログ

    表現は行為に対して不純ってのはなるほどなるほどで、これまで読んでいた冒険記についてちょっと感じてきたことが、その作者によって書かれてるってところが面白い。
    中盤以降はほぼほぼ三島由紀夫評で、彼に全く触れたことのない自分にはちょっと分かりづらくもあったけど、金閣寺を読んでみようというきっかけにはなった

    0
    2024年03月10日

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