角幡唯介のレビュー一覧
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大好きな著者さんどうしの対談なので、ゆっくり味わって読もうと思ったのに、面白いので、ついつい一気読みしてしまった。
クスッと笑えるところあり、名フレーズありで、またまたお二人の著作を読みたくなってしまう。
印象的だったのは、二人の共通点。
後先考えずに行動して、緻密に文章を組み立てるところ。
何をしたかより、どう文章化しているかで勝負したいところ。
既存のジャーナリズムに限界を感じているところ。
自分が読んで感じていたことは、あながち外れてもいないなぁとと思った。
あと、高野さんが子どもの頃に好きだった本が、私の好きだった本と同じで嬉しかった。『ドリトル先生』のシリーズは、冒険・探検好きの入り -
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空白の五マイルでは、地図上の空白を埋めた。
極夜行では、地図上に時間をかけあわせて空白を作り出し、埋めた。
本作では、自らの頭の中を空白にして、埋めていくという行為。本作は第一部で、自分だけの地図を創る旅に出ると筆者は言う。
本作を読んでの感想は、
筆者のいうように、現代人は計画がないと行動できない、という点は共感できた。そしてそれは、人類全体としてみると、個としての力を弱体化させているように思う。システム化されればされるほど、個としての力は必要とされなくなる。北極でも、大都会でも身一つで投げ出された時、生き抜く力を我々は持っているのか。人類の脆弱性はそういうところにあると思う。 -
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『極夜行』や『冒険家の日々本々』などでチラチラと触れられている、角幡さんの奥さんと子どもさんのこと。そっか、子どもさんいるんだ、一年の半分近くお家にいないのに子育てとか家庭生活とかどんな風になってんのかなぁ、という、半ば芸能人の私生活覗き的な興味で読んでみた。
『冒険家の…』で角幡さんは、就職、結婚、子育ては、登山家にとって人生の三大北壁であり、誰もがその前に登山家人生を諦める難事業だと言っている。じゃあ角幡さんはどうなのかというと、日本にいる半年の間、ペネロペちゃんを愛することに全力を傾けているらしい。ペネロペちゃんを連れてご近所を歩き回るときは、その愛らしさで近所の人の相合が崩れる様に悦に -
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角幡さんが読んだ本を通して、角幡さんの頭の中をちょっとだけ覗き見させてもらえるエッセイ集。
カバー裏にもある次の一節が、本読みさんを痺れさせる。
ーー人生をつつがなく平凡に暮らしたいなら本など読まないほうがいい。しかし、本を読んだほうが人生は格段に面白くなる。(p.11)
本当にその通りだ。
中島敦と宮沢賢治、そして杉浦日奈子先生に人生を狂わされた私としては、深く頷くところ。
さて、本書では小説・ノンフィクション併せて16冊を巡る角幡さんのエッセイと、読書日記が展開する。
私の既読本と重なる本で印象的だったのは『ハーモニー』と『告白』。なるほど、そう読むのかと面白かったし、物書きさんなら -
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彼の作品は既に読んで一定の評価をしていたつもりだったけど、栗城史多さんと勘違いしていたことが判明。改めて彼の作品を初めて読んだのがこの作品。結果として彼の作品を読み漁ることに繋がった。僕が好きなポイントは彼の表現と作品の構成。とてもしっくり来て、読んでいて分かりやすいし引き込まれる。この作品もツアンポー渓谷の悪路に呆れ、よく生還出来たと思った。出来過ぎた内容に創作が入っているのではと感じる部分もあったけど、彼がエッセー等で書いた内容を読んでそうではなさそうだと思い、改めて作品の構成力が良かったせいだと感じた。極夜行と合わせて素晴らしいノンフィクション作品だと思う。
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★時間軸で深みをつくる北極圏探検記★160年前の英国人隊が探り壊滅した北西航路を2人でたどり、追体験する探検記。未踏の地がほぼなくなった現在、ただの探検記は成立しない。あえて苦境の中に身を置くことで、歴史書だけでは分からない当時の人々の思いを探る。縦軸の歴史と、横軸の探検記をかけ合わせた。
食料を調達するために鳥を撃つのは抵抗はなく、卵を奪ったり魚を釣ったりするのは問題ない。ただ、牛を撃つのは大きな躊躇を感じる。体の大きさ、相手の抵抗が生命の実感を生むのか。銃を使う時点で差はないのかと思っていた。善悪の差ではないのは著者も十分に分かっているが、極限の地でもその感覚が生じるのか。
現代でも、 -
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冒険家、角幡さんの読書記録。冒険しながら読書なんてと思ったが、吹雪や暴風の時はテントに籠るしかないので読書が進むというので納得。本書では、その本の内容や感想よりも、その本を読んだ時の状況やそれによって本人がどう変わったかだったり、作者の気持ちを解説したりしている。例として、「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」について、作者は柔道家であり、木村の大ファン(というか信者)である。木村は当時柔道界最強であるが、プロレスラー力道山に惨敗している。となれば、本当は木村の方が強かったと言いたいはずで、本書では、、、というくだり。こういう読み方もあるんだと感心した。全体的に冒険物、ノンフィクションが多
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探検家の著者にとって最初の本格的な探検であるツアンポー峡谷の探査に関するノンフィクションだが、それだけでなく、ツアンポー峡谷に関する探検や発見の歴史と、著者の少し年長の日本人のカヌーイストがこの激流で遭難した事件が織り交ぜられていて、飽きさせない。そこには、単なる探検家ではなく、新聞記者の経験もあって人に読ませる文章を書くという作家としての力も発揮されている。
著者のツアンポー峡谷の探検は、2002年と2010年の2回にわたっており、2002年は空白の五マイルと呼ばれた地位を探索し、新たな発見を成し遂げている。これに対し、2010年は、空白の五マイルを目指しつつも、この峡谷を取り巻く手つかずの