感情タグBEST3
Posted by ブクログ
身体も心もよわよわでヘタレの私の、中学生の頃の夢は探検家でした。
国語の教科書でスヴェン・ヘディンがロプノール湖の謎を追ったのを読んで、内田善美のマンガ『時への航海誌』を読んで、将来は探検家になりたいと熱く思った女子中学生は、ただの夢見る夢子さんです。
でも、ものすごく憧れました。
それで今も、探検家が読む本に興味津々なんですの。
死と背中合わせの状況で、一体どんな本を読むのか。
この本を読んでわかりました。
死と背中合わせの最中に本は読まないことを。
でも、悪天候などで身動きが取れない時(そしてそれは結構な時間あること)、本を読むのだと。
だってほかにすることないから。
そんな状況で読むからでしょうか。
自分に引き寄せて読む力が、ものすごく強いと思いました。
私などは大した経験をしたことがないので、本を読む時は、過去に読んだ本と、かすかな自分の体験とを思い起こしながら、最大限に想像力を駆使して、本の世界に入っていこうとするのですが、彼は自分に引き寄せて本を読んでいるように思います。
だから、私が読んだことがある本を何冊か紹介されていますが、本に対するアプローチの仕方が全然違うので、もう一度その本を読み返してみたくなるくらい面白かったです。
二階堂奥歯の『八本脚の蝶』を読んだとき、彼女が伊藤計劃の本を読んだらどう思ったのだろうと考えましたが、今回は、角幡唯介が『八本脚の蝶』を読んだらどういう感想を持つのだろうと思いました。
生と死。
誰にも訪れるそれを、常に身近に感じながら生きた(生きる)彼女(彼)の人生。
真逆なようで、きわめて近しく感じられました。
あと、あまり読んではいないけれど大好きなノンフィクション辺境作家・高野秀行を思わせるような部分が感じられたのですが、高野秀行の本を読んで新聞記者を辞めて探検家になったそうです。
直接は被らないけれど大学の探検部の先輩後輩でもあるそうですし、きっと本人が思う以上に共通する部分があるのでしょう。
好きな作家がまた一人増えました。
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冒険家の筆者の読書録。いろんなジャンルの本をめっちゃ読んでるのには脱帽。
「人生をつつがなく平凡に暮らしたいなら本など読まないほうがいい。しかし、本を読んだほうが人生は格段に面白くなる。」の文章にやられた。そして読んでる本が、私の既読本とか読みたい本と被ってるのにやられた。こういう本って、紹介されてる本が自分の心に響くかどうかよくわかんないものが多いんだけど、この本は「うわあ、読みたい…」と純粋に思わせてくれる本で感動した。
筆者の文章力もすごく自分好みで、好きな筆者がまた増えたのも喜びだった。
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Youtubeの日経テレ東大学での対談を見て初めて知った人物。
生と死についての考え方が僕と似ていたことから、この本を読んでみた。
角幡唯介がどのような本を読んで影響を受けてきたかがわかる作品で、僕も紹介された本を読んでみたいと思った。
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角幡さんが読んだ本を通して、角幡さんの頭の中をちょっとだけ覗き見させてもらえるエッセイ集。
カバー裏にもある次の一節が、本読みさんを痺れさせる。
ーー人生をつつがなく平凡に暮らしたいなら本など読まないほうがいい。しかし、本を読んだほうが人生は格段に面白くなる。(p.11)
本当にその通りだ。
中島敦と宮沢賢治、そして杉浦日奈子先生に人生を狂わされた私としては、深く頷くところ。
さて、本書では小説・ノンフィクション併せて16冊を巡る角幡さんのエッセイと、読書日記が展開する。
私の既読本と重なる本で印象的だったのは『ハーモニー』と『告白』。なるほど、そう読むのかと面白かったし、物書きさんならではの受け止め方があるのだなと興味深い。
未読本で面白そうだなと思った本はたくさんあるが、中でも『狼の群れと暮らした男』はぜひ読んでみたいと思った。
普段、どうしても読む本の傾向が偏ってしまって、好き嫌いをなくす、という目標を見失いがちな私には、とても良いブックリストを提供してくれた本だった。本と探検が好きな方にはおすすめ。
ついでに、角幡さんも積読スペースがあって、なかなかの年数を重ねて積読されているらしいのが、私にとっては励みというか慰めというか安心につながった。私だけじゃ無いんだ感って大事だな。
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冒険家、角幡さんの読書記録。冒険しながら読書なんてと思ったが、吹雪や暴風の時はテントに籠るしかないので読書が進むというので納得。本書では、その本の内容や感想よりも、その本を読んだ時の状況やそれによって本人がどう変わったかだったり、作者の気持ちを解説したりしている。例として、「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」について、作者は柔道家であり、木村の大ファン(というか信者)である。木村は当時柔道界最強であるが、プロレスラー力道山に惨敗している。となれば、本当は木村の方が強かったと言いたいはずで、本書では、、、というくだり。こういう読み方もあるんだと感心した。全体的に冒険物、ノンフィクションが多かったが、面白そうな本が多かったので早速注文。
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元新聞記者で探検家である著者の書評集。ファンなので、つい買ってしまった。金原ひとみのマザーズの書評、「自分は生を感じる為に冒険に出掛けるが妻は妊娠しその体内に生を宿したので、女の人はわざわざ遠くへ冒険に行く必要がないのか、なんたることだ」みたいなくだりは笑ってしまった。そういうものなのかもしれないな。
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チベットの奥地、ツアンポー渓谷で死と隣り合わせの遡行を経験した筆者は、自然とは死であると思い至った。
しかし、ある本を読んだことで、母親にとっては子を自らに宿すことは、自然それすなわち生ではないかと思い至る。
男にとっては、自らの命を代償にして自然へと分け入っていかなくては生死を感じることができないという結論を得る。
そして身重の妻に「だから山に行ってきます」と言って妻を置いて山に行くことに顰蹙を買うのだ。
探検家の三大北壁とは就職、結婚、出産である。
その度、真っ当な社会生活を送るか、探検に身を投じるかの選択を迫られる。
結婚もした。子供もでいた。
それでもなお探検をし続ける作者が、読書を通じて思考する。
探検家の視点だと、この本にはこういう読み方もあるのか、と思わせる。
自分の人生を変える本に、筆者は出会った。
俺も人生を変える衝撃を得られる本に出会えるだろうか。