【感想・ネタバレ】探検家の日々本本のレビュー

あらすじ

人生をつつがなく平凡に暮らしたいなら本など読まないほうがいい。しかし、本を読んだほうが人生は格段に面白くなる――。人類未踏の地に分け入り、暗闇の中で氷雪を踏み歩く探検家にしてノンフィクション作家が、古今東西の書物を通して、「なぜ、探検するのか?」を切実に模索する。爆笑にして深遠な読書エッセイ。毎日出版文化賞書評賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

身体も心もよわよわでヘタレの私の、中学生の頃の夢は探検家でした。
国語の教科書でスヴェン・ヘディンがロプノール湖の謎を追ったのを読んで、内田善美のマンガ『時への航海誌』を読んで、将来は探検家になりたいと熱く思った女子中学生は、ただの夢見る夢子さんです。
でも、ものすごく憧れました。

それで今も、探検家が読む本に興味津々なんですの。
死と背中合わせの状況で、一体どんな本を読むのか。

この本を読んでわかりました。
死と背中合わせの最中に本は読まないことを。
でも、悪天候などで身動きが取れない時(そしてそれは結構な時間あること)、本を読むのだと。
だってほかにすることないから。

そんな状況で読むからでしょうか。
自分に引き寄せて読む力が、ものすごく強いと思いました。
私などは大した経験をしたことがないので、本を読む時は、過去に読んだ本と、かすかな自分の体験とを思い起こしながら、最大限に想像力を駆使して、本の世界に入っていこうとするのですが、彼は自分に引き寄せて本を読んでいるように思います。

だから、私が読んだことがある本を何冊か紹介されていますが、本に対するアプローチの仕方が全然違うので、もう一度その本を読み返してみたくなるくらい面白かったです。
二階堂奥歯の『八本脚の蝶』を読んだとき、彼女が伊藤計劃の本を読んだらどう思ったのだろうと考えましたが、今回は、角幡唯介が『八本脚の蝶』を読んだらどういう感想を持つのだろうと思いました。
生と死。
誰にも訪れるそれを、常に身近に感じながら生きた(生きる)彼女(彼)の人生。
真逆なようで、きわめて近しく感じられました。

あと、あまり読んではいないけれど大好きなノンフィクション辺境作家・高野秀行を思わせるような部分が感じられたのですが、高野秀行の本を読んで新聞記者を辞めて探検家になったそうです。
直接は被らないけれど大学の探検部の先輩後輩でもあるそうですし、きっと本人が思う以上に共通する部分があるのでしょう。
好きな作家がまた一人増えました。

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2021年10月12日

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