あらすじ
探検部を卒業し、今を時めく人気ノンフィクション作家となった高野秀行と角幡唯介。未知の世界への憧れを原動力とする点は共通するが、テーマの選び方やアプローチの仕方は大きく異なる。高野は混沌とした人の渦へ頭からダイブし、角幡は人跡未踏の地をストイックに攻める。夢追い人二人の、仕事の流儀!
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【ノンフィクションは事実を積み上げていって真実に近づければいいものだと思うんですけど、小説は事実の積み上げもなくて真実を書かなくちゃいけないというイメージがあるんですよ】(文中より引用)
探検家と作家という二つの顔を持つ高野秀行と角幡唯介による対談録。早稲田大学探検部での活動に加え、ソマリアや北極への渡航、そして自身の経験を書き記すことの意義について語り尽くした一冊です。
思った以上に「書くこと」論やノンフィクション論にページが割かれている印象を受けました。ただそれが、探検というテーマを目的として読み始めた人にも「なるほど」と思わせてくれるほどに興味深い点が嬉しい驚き。結果としては幅広い楽しめる稀有な内容を持つ作品になっていると思います。
これを入り口にお二人の著作に入るのも☆5つ
Posted by ブクログ
早稲田大学探検部OBで作家のお二人による対談集。
高野さんの本は好きで、よく読んでいるので気になって読みました。
探検部時代の話から、作家としての考え方や苦労、そしてお互いの作品について語り合うコーナーなど盛りだくさん。探検部時代の話をOB同士で語り合っているのがとても楽しいです。
途中途中で面白そうな本も多々紹介されて、また読みたくなりました。お二人の本ももっと読み進めたいです。
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高野秀行(1966年~)氏は、東京都生まれ、早大第一文学部卒。大学在学中に『幻の怪獣・ムベンベを追え』(1989年)で作家デビュー。代表作は、『ビルマ・アヘン王国潜入記』(1998年)、『西南シルクロードは密林に消える』(2003年)、『謎の独立国家ソマリランド』(2013年/講談社ノンフィクション賞)。植村直己冒険賞受賞(2024年/探検家・山田高司と共同)。
角幡唯介(1976年~)氏は、北海道生まれ、早大政経学部卒。代表作は、『空白の五マイル』(2010年/開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞)、『アグルーカの行方』(2012年/講談社ノンフィクション賞)、『極夜行』(2018年/本屋大賞ノンフィクション賞、大佛次郎賞)。
本書は、ともに早大探検家出身(10歳差あるので大学時代に一緒に活動はしていない)の高野氏と角幡氏の対談で、2014年に出版、2016年に文庫化されたもの。上記の通り、2013年に講談社ノンフィクション賞を共同で受賞した後のタイミングに当たる。
私はノンフィクション物が好きで、高野氏の『アヘン王国』や『ソマリランド』、角幡氏の『空白の五マイル』や『アグルーカ』も読んでいる。一方で、対談本については、一人の作家の書き下ろしと比べて、焦点がボケたり、当たり障りのない内容となっていることが少なくなく、基本的には好まないのだが、この二人の対談がつまらないはずはないと思い、読んでみた。
目次(対談のテーマ)は、第1章:僕たちが探検家になるまで 第2章:早稲田大学探検部 第3章:作家として生きること 第4章:作品を語る 第5章:探検の現場 第6章:探検ノンフィクションとは何か で、まさに、探検をすることとそれを書くことについて、縦横無尽の議論が為されている。
私は、両氏の作品や、作品のあとがき等で書かれているポリシー的なものも認識しているので(角幡氏についてはエッセイや冒険論も読んだ)、大きな驚きはなかったのだが、同じ探検部出身で、同じ探検家(冒険家)+ノンフィクションライターと呼ばれるにもかかわらず、(誤解を恐れずにシンプルに言うと)感覚派の高野氏・理論派の角幡氏、人が好きな高野氏・自然が好きな角幡氏、動の高野氏・静の角幡氏。。。と、両氏は意外なほど対照的な印象が強く、その点は興味深かった。
また、二人が探検部の先輩後輩であることから、両氏の心理的距離が一般の対談よりも近く(年長の高野氏のさりげない気配りも感じる)、その点も本書を面白くしていると感じた。
両氏の作品を読む人ならもちろん、冒険+ノンフィクション好きなら十分に楽しめる一冊と思う。
(2024年7月了)
Posted by ブクログ
大好きな著者さんどうしの対談なので、ゆっくり味わって読もうと思ったのに、面白いので、ついつい一気読みしてしまった。
クスッと笑えるところあり、名フレーズありで、またまたお二人の著作を読みたくなってしまう。
印象的だったのは、二人の共通点。
後先考えずに行動して、緻密に文章を組み立てるところ。
何をしたかより、どう文章化しているかで勝負したいところ。
既存のジャーナリズムに限界を感じているところ。
自分が読んで感じていたことは、あながち外れてもいないなぁとと思った。
あと、高野さんが子どもの頃に好きだった本が、私の好きだった本と同じで嬉しかった。『ドリトル先生』のシリーズは、冒険・探検好きの入り口として、案外、王道なのかもしれない。
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早稲田大探検部恐るべし。本書を読んでノンフィクション作家や冒険家に憧れるというような事はないが、ある意味の「強い人間」とはこういう事なのではないかと思わされる。2人の著作を中心にノンフィクション作品を通して価値観を揺るがされたいと感じた。
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辺境作家高野さんと、早稲田大学探検部後輩の角幡さんの対談本。彼らの本をぼほすべて読んでいる身としては、過去に読んだ彼らの紀行文をなぞるエピソードがたくさんでできて、読書メモリーが刺激された。
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似てると思われ括られて対談することになったが、アプローチから何から違うので似てないのだけれど、という2人。とはいっても、読み手としてはそれがいいんだけれどね。お互いの特徴とか考え方とかどっちもが面白い。たくさんあるエピソードから取捨選択されパッケージされてると思うといろんな本もう一度読みたくなる。冒険探検にまつわる本も紹介されてて2人が、「これ本当なんですかねー?」とかいってて面白い。2人の本読んでて感じる「どうやってるんやろ」がめいっぱい解説されてて、この対談本を入り口にいろいろ読むのもいいけど、たくさん読んだ上で対談で疑問の答え合わせするほうがオススメかも。
高野さんの文章が軽すぎる?じゃあ角幡さんの読めばいいよ!角幡さんのはかたすぎる?じゃあ高野さんの読めばいいよ!!!両氏の作品は自信をもってオススメいたします!!!
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ノンフィクションを書く二人の作家の対談本。ノンフィクション作家の苦労や「あるある」が語られる。
ノンフィクションとニュース、ジャーナリズムの類似点、相違点が語られるところがとても印象に残った。
どちらも事象を観察して出来るだけありのまま伝えるが、やはりそこにはストーリーや所謂「盛り場」が必要で、嘘にならないように、一方で面白くなるように書くことが求められる。綱渡りのような危うさがある。
ノンフィクションはあることが起きるまでの変化を描くことが出来るが、ニュースは起きないと描けない(まだ起きていないことはニュースとしての価値がない)
物書きのマネタイズについて触れられていたり、色んな悲哀を感じられる本。
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<目次>
第1章 僕たちが探検家になるまで
第2章 早稲田大学探検部
第3章 作家として生きること
第4章 作品を語る
第5章 探検の現場
第6章 探検のフィクションとは何か
<内容>
名前を知っている「探検家」二人の対談集。そのレベルで借りたのだが、意外と奥が深かった。二人とも早稲田大学探検部の出身。そして、このサークルは一癖も二癖もある連中の巣窟。そこの企画書などを書くことで文章力が磨かれるようだ。この本は、探検の話よりもノンフィクションの書き方、題材の選び方、文章の書き方、売り込み方まで書かれた、文筆業(作家を除く)の指南書となっている。「へえ」の連続だった。
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両者の作品が好きなのだが、文体もテーマも大きく異なり、それを本人同士が理解した上で話し合う姿がファンにとってはたまらない。何をしているかではなく、何を書いているかで評価して欲しいという一文に作家としての矜持を垣間見た。
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早稲田大学探検部出身の辺境ライター、高野秀行と角幡唯介の対談集。10歳違いの二人は、それぞれ世界の珍しい場所に旅をしたりそこで暮らしたりして、その体験を書くノンフィクション作家である。角幡唯介氏の著作は読んだことがないが、そういう作家がいることは知っていた。
対談の内容は、探検家になった理由や、探検部での活動、作家としてのキャリア、各作品について、探検の現場や、探検ノンフィクションについてなど。
対談集はあまり好きなジャンルではないが、高野氏の著作を数冊読んでいたので、楽しく読めた。
Posted by ブクログ
高野さんと後輩の角幡さんの対談。初めて角幡さんの名前を知りました。こちらの著作も読んでみようと思います。同じ探検部出身でもアプローチの仕方や文章の雰囲気、構成の考え方は全然違うとのこと。でもいわゆる会社にフツーに就職するのが、負け組、枠からはみ出して自由に行動するのが王道という価値観は一致というのが笑えました。あと東大の探検部が「探検とは何か」というテーマを突き進めて議論するあまり、「今の地球上に探検はない」の結論に至って解散してしまった、という話が面白かったです。
Posted by ブクログ
「探検は土地の物語、冒険は人の物語」
早稲田探検部OBにしてノンフィクション作家の探検家二人の対談集。
この時代に、なぜ探検家を目指したのか、
早稲田大学探検部とは、どういう連中なのか、
その上で作家として生きていくとは、
特に探検部とは、というところが面白かった。
他の大学には負けられない。
そういう空気が、東京バカ大学サイクリング同好会(神楽坂)にもあったことを思い出す。
今時、薪を積んで夜通し走る合宿するのは、都内だと俺たちだけだ。
軟弱者だなぁ。
京大サイクリングの連中は冬しか北海道を走ったことがないらしい。あちぃな!
このルートを行くには、担ぎだな。
重い荷物を積んで走る奴のほうがエラい。
そんなサークルだった。
だけど、俺たちがやっていたことは、拓かれた道の上を走っていた冒険だ。
何かをテーマに道なき道を行く、言葉通りに。そんな探検の分野に足を踏み入れたことはない。
いい大人になって何やってんだ?
俺もそこそこ常識人だから、そういうことを思ってしまう。
しかし、現実に探検家はいる。活動している。
そんな男たちの話は面白い。