角幡唯介のレビュー一覧
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ノンフィクションを書く二人の作家の対談本。ノンフィクション作家の苦労や「あるある」が語られる。
ノンフィクションとニュース、ジャーナリズムの類似点、相違点が語られるところがとても印象に残った。
どちらも事象を観察して出来るだけありのまま伝えるが、やはりそこにはストーリーや所謂「盛り場」が必要で、嘘にならないように、一方で面白くなるように書くことが求められる。綱渡りのような危うさがある。
ノンフィクションはあることが起きるまでの変化を描くことが出来るが、ニュースは起きないと描けない(まだ起きていないことはニュースとしての価値がない)
物書きのマネタイズについて触れられていたり、色んな悲哀を感 -
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ネタバレ帯を見て「極夜行」のスリリングな感じを期待して読んだが、個人的にはそこまでのスリルはなかったように感じる(やってることは十分危険だと思うが)。というよりかは、地図無し登山をすることで、冒険への計画性や未来予測性を排除し、本質的に自然との調和を図り、生を実感する、といういわば「縛りプレー」の試みを6年間にわたって実行した記録。
この試みを始めるに至った経緯には一定共感できるところがあった。例えば飲み屋を探している時、食べログで綿密にリサーチをして評価が定まっている店に予約して入るよりも、ふらっと看板を見て入った方が、あたりであろうとハズレであろうと楽しい体験になる、みたいなこと。スケールは違えど -
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人生とは事態の連続で、過去からのうねりや隆起が現在へと繋がってきているという解釈はなるほどと思った。先のリスクを考えて合理的な選択をすればするほど、ありふれた人生となる。だから、目の前で起きている事態を、自分なりに考えてどのような行動を選択するか判断する。そうすることで、その人の人生の固有度が生まれてくるという点も面白い視点だなと。
あと仕事でも、よく目指すキャリアは?5年後に何をしていたい?と目標を決めてそこから逆算して考えることが多い。でも、本書では、目的地を決めてしまうとそこまでの道のりが単なる過程のものになってしまうと言う。なるほど、人生でも仕事でも先のことばかり考えるのではなく、事態 -
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十人十色の「孤独論」とあるが、実際に20人近くの知識人、著名人による寄稿の寄せ集めなので、ダイジェストとしての読み応えはあるが、全てが皮層的で浅い。なんだか格言や至言を探し出したり、その言葉の周辺を少しだけ肉付けしたような文章。それでも思考のきっかけを得たり、脳内に連鎖して考えさせられるのだから、読書は面白い。複数人分を読んで、余韻で考えるのが、私自身のオリジナルな「孤独論」というわけだ。
人は、社会的分業をしているために完全な自給自足にはなり得ない。また、直接会話をする相手がいなくても、本や看板など、目に入る日本語は、その集団に帰属している証拠。ゆえに言葉が分からぬ海外での孤独感は一層強ま -
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冒険と結婚を並列して語っている。
それは目の前に立ち現れた事態で、事態に対処する成り行きが結婚であっても、極夜の北極圏を冒険することも、事態に対処することについて、どちらも同じなんだと。
最終盤の冒険論は特に印象的で、40代を迎えた冒険家は体力の衰えを感じながらも、うまく次のステージに移行できたように見える。60代を迎えようとする私も次のステージに移行しようとするが、体力や身体の機能的な劣化が想像以上に大きく、戸惑っている。
50代の頃、60代になった時にやりたいと思い浮かべたことに対し不安がよぎる。冒険家の思索を咀嚼し自身の考え方のベースをつくりたい。
冒険家の思索と冒険行を楽 -
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裸の大地 第二部
犬橇事始
著者:角幡唯介
発行:2023年7月10日
集英社
初出:「すばる」2021年9月号~2022年11月号
昨年(2022)に出版された「裸の大地 第一部 狩りと漂泊」で、探検家の角幡唯介がそれまでとは違う漂泊という旅を始めた。目的地や期間を決めず、一定量の食料のみを橇に積み、狩りをしながら食料調達しつつする冒険旅行である。2018年3月にスタート。場所はグリーンランド北極圏。人力橇という、犬を1頭だけ連れ、犬の助けを借りながら自分が橇を引きつついくスタイルだった。その時、次は犬橇にしたいと感じ、第一部にも書いていた。
犬橇とは、橇を犬たちに引かせ、自分も乗って -
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コロナ後の世界というのはわたし自身にとっても明確にいろいろな意味でそれまでと変わりました。
わたし自身は50代半ばですがワクチン接種は拒否しています。
コロナウイルス自体に関しましては、日本人にとってはもともと大騒ぎをするほど大して問題ではなかったのですが、健康な人達までもがコロナワクチン注射を受けてしまうことによって、ワクチン注射を打った人たちの体内で悪いウイルス・菌が増殖をしてしまい、その悪いウイルス・菌を周り・周囲や日本中にばらまいてしまうことになるという説を信じています。
そしてコロナ以前にはわたし自身では、「何とかコツコツと学び続けてさえいけば、生きていく道はあるのではないのかな」 -
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未来予期せずにという漂泊旅の目的は面白い
最後の方、時間感覚が狂っていったのも興味深かった。
極限状態など体験したことがないし、したくもないが、こういうリアルに生と死を感じる体験に誘われてしまう人もいるんだなあと、疑似体験させてくれてありがとうと思う。
文章は全体的には拙速な感じというか
荒々しい感じがした。
そして、なんとなく探検家ってゲームをクリアしていく感覚でやってるのかな?と思った。
でもそれがまた探検家っぽくて
角幡さんの人柄が表れているのだと思い面白く感じた。
以前、星野道夫さんの本を読んだとき
探検家というよりは写真家だからか
土地のこと、動物のことを深く知ろうという意志を感