岡崎琢磨のレビュー一覧
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タレーランシリーズ。
前作までの話をあまり覚えておらず、今回は冒頭でなんとなく今までの状況説明を挟んでくれたものの、オブラートに包んだような感じで、ちっとも思い出せない…。あぁ、二人は付き合うことになったんだっけ。
まぁでも基本は日常の謎なので、だいたいの流れで読めてしまうんだけど。
今回は、悪質レビューについて突き止める二人。その中にもその先にもまた謎があって、美星さんの謎挽きも…今回はなかなかうまくいかないみたい。
そして藻川さんから店を譲られるのか、二人は結婚するのか、という問題もあり、最後は一応の結論が出たみたいだけど、これはまだ続きそう。 -
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今の私の温かみのある心は、あのときの救いから
タレーランシリーズの4作品目、前の作品が初の長編だったのに対し、今作品はどちらかというと番外編。いつものキャラクター以外の者たちが語り手をして、話を進めていく中で、シリーズ作品に必要な深掘りや意味付けがなされていた。
短編のためそこまで凝ったトリックはなく、かつ一つ一つの話が短いため隙間時間や通勤時間とかにも手軽に楽しめるのは良いし、その中で二作品目の作業療法士さんのお話は短いながらもミステリーとしてしっかりと読み手を驚かせるような展開や結末になっておりよかった。
アオヤマさんが美星さんから貰ったダーツの矢の話、喫茶店にいる猫の話、など今までにあった話の少し先の気になるところを描いてくれているところや、その話を通して美星さんに対する思いがどのようなものであるかなどが知れるのはとてもよかった。
作品とは少し関係ないが表紙の絵の美星さんが今までの三作品に比べて可愛さが増している。それはイラストレーターさんの描きぶりなのか、それとも美星さん自身の心境の変化が描写されているのか、定かではないが顔色がとても良くなったよ、可愛い。 -
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前作から3年半経ち、日常の謎の推理小説なので、何があったかほぼ忘れている。其のせいもあるのか購入したことを忘れて2冊目を購入してしまった。
謎は忘れたが、主人公の美星とアオヤマの関係はちょっとだけ縮まったようだ。美星の叔父のオーナーから結婚を条件に喫茶店を譲る話しが出てきた。
今回の謎は喫茶店の悪評が立て続けに書き込まれたことの真相探し。何度も挟み込まれる大女優の死を悼む娘の書いた本。
悪評の真相が美星の謎解きで軽く解決したと思ったところ、二転三転。やはりこちらも分かるような簡単な謎解きは違うようだ。今回も解決はハッピーエンドでは無かった。前作以前も同じような暗い結末だったように思う。この本でも、おまけの付録で多少なりとも暖かい謎解きが付いているので救われる感じだろうか。 -
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2026 04/21
最初はよくあるほのぼの日常系ミステリと思って読んでいたら、途中から剣呑な雰囲気になってびっくりした。しかも内容が邪悪。でもいるよね、ゆがんで解釈する人って。怖いなぁ。無闇矢鱈と人の心に踏み込んではいけない。普通の態度を取っていても、相手が「自分に好意がある」「自分は特別」と思い込むのは防げない。人の心は怖いよ。本当に。
『?』と思っていた違和感が、少しづつ散りばめられた伏線が、最後に回収されるのは気持ち良かった。
シャルルの居場所が出来て本当に良かった。
美星バリスタが入れてくれるコーヒーはそんなに美味しいのかぁ。飲んでみたい。 -
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ネタバレ【収録作品】
はじめに
序章 悪質レビュワーを退治せよ
第一章 カバーはいつかけ替えられたのか?
第二章 シャルルはいかにして脱走したのか?
第三章 生首はどこから現れたのか?
第四章 彼は本当にX氏なのか?
第五章 X氏はなぜタレーランを貶めたのか?
第六章 何が悪質レビュワーを狂わせたのか?
終章 二人の明日と対峙せよ
特典掌編/優しい人
連作風だが、一つの結論に収束する長編。
伝記があるので、読者には犯人も動機もすぐわかる。
珍しく美星の推理が空回りするが、真相に気づけというのは無理だろう。アオヤマ絡みと匂わせるのはさすがに食傷気味だと著者も自覚したらしく、今回は部外者の立ち位置なので、そこの読み心地は悪くない。 -
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心に抱いた「苦さ」を打ち払う、プロである「覚悟」
タレーランシリーズの三作目、今までが短編の連作集であったのに対して今回は一つの事件に向き合う長編。今までがどちらかというとキャラクターの人となりや背景などを深掘りしてきたのに対し、いよいよそのキャラクター達が意思を持って動き始めてきたように感じる。
トリックの面に関しては人間関係や時間軸、状況や損得を考えてみると案外わかりやすいものになっており、意外性というものはあまりない。また動機に関しても過去の出来事で抱いた「苦さ」がジワジワと広がってしまったと思うと狂気と言われつつも納得してしまうところはあった。一人一人の登場人物が抱いた過去の「苦さ」がどのように作用し「悲劇」の引き金を引いてしまったのかを味わってほしい。
物語の伝えたい人の心の「苦さ」とも言える羨望や嫉妬、妬み、蔑み、恨みや怒りといった黒の感情を少しずつ薄めていく、無くしていくために必要なのはプロフェッショナルとしての誇りや研鑽、常に目の前の人に向き合う真剣さや真心といった「熱」を帯びた「愛情」に結びつける構造は素敵だと思った。 -
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ネタバレ自分はエピソードは付け足した方が良いと思った。物語がキレイに見えようが、伊織に対して相貌失認を良いように利用した響が酷すぎるという印象が強く残るからだ。はっきり言って余韻ではなくモヤモヤが残る。ほぼノンフィクションを謳って人物名もそのままにしておきながら「作者が誰か」を誤認させたままにしておくのは頂けない。周辺人物は真相に気付くだろうし、「郷音が作者」という事実だけが漏れ伝わることは絶対に考慮した方が良い。そうなればエピソードなしでは「親友響のイメージを棄損し、物語の中で伊織を略奪した作者」という邪推を招くことに繋がり、作者の本意ではなくなってしまうだろう。大体ノンフィクションなんだから「物語」としての美しさを求めるのは違うのでは、と思う。
自分は幕間で「郷音は存在しない」を聞いて、こちらが作者であることには早い段階で気づいた。論理的思考が苦手と響が溢するのも変だと思っていたし、推理パートで郷音が喋り出したことで確信を得た。ただ郷音については終始好感を抱けずにいたので、編集から「郷音を語り手にするのはちょっと」とメタ的なダメ出しをされているのには苦笑した。かと言って響についても自分は醜いと言いつつ、周囲の男性が自身に好意を寄せている事に期待や確信を持ちながら卑屈さが出て来ないあたりに違和感を覚えてしまい、理解、共感が及ばない人物になってしまったので程度の差かなという気はする。
最近の作品では「SNSって地獄だな」と言う感想に終始することが多く、本作も漏れなかった。もちろん負の側面だけではないのだが、幕間の未来の世界ではそこ辺りの事情がどう変わっているのか気になるところである。 -
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珈琲の中にほんのり見出す「甘さ」
私はコーヒーはブラックでしか飲めない。別に苦いのが好きというわけではなく、ただ幼少期から何故かコーヒーにはブラックという印象があり、砂糖やミルクを入れてしまうとそれは今自分が飲みたいと思ったコーヒーとはまた違うものになっちゃうのではないかな?みたいな思いもありブラック派である。
冒頭から話が大きく逸れたが作者繋がりで有名なタレーランシリーズを読んでみると、こういった作品にありがちな舞台設定、探偵役のバリスタと、ワトソン役の青年、そしてそこに日々の謎解きがといった日常系ミステリの形は確かにあった。
上手だなと思ったのは短編一つ一つに散りばめた伏線を最後に見事に回収することで読者の中にどんでん返しを起こしているところかなと。副題もそう思うと読む前と読む後で受け取り方が変わるのは上手いなと思う。
珈琲は苦いものといった固定観念を、その中にほんのりとした甘みを生み出すのはバリスタと受け取り手の「関係性」や「思いやり」といった、人の気持ちによるもの。
そういえば同じ料理だって作り手との関係性とか作っている過程とか色々な触れ合いの要素で変化するものである。
この作品を通して淹れたてのアツアツではないけれど、自然と会話して触れ合って、そうして口にする人肌のコーヒーはこの作品の二人の心の距離をゆっくりじんわりと縮めて繋げていくものに似てるなと感じた。同時に作品の中で時たま見れる相手へのアツアツな気持ちもまた良きもの。