あらすじ
団地に住む小学生が失踪しては数日で戻ってくる出来事が立て続けに発生している。ついては事件解明に力を借りたい。そんな匿名の情報提供を受けたゴシップ誌『月刊ウラガワ』の新人編集者・猿渡は、フリー記者の佐々木とともに現場となった城野原団地での取材を開始した。状況から家出かいたずらであることは明らかだったが、猿渡らが失踪方法を調査する最中に、別の子供が教師に見張られた授業中の学校から忽然と姿を消してしまう。彼らはどのように失踪しているのか、そしてその目的とは――。子供たちの切実なる闘いを描いた傑作ミステリ。/【目次】プロローグ/第一章 失踪する子供たち/第二章 光の密室/第三章 春は戻らない/第四章 秋分の決戦/第五章 夏を取り戻す/第六章 冬が終わるまで/エピローグ/単行本版あとがき/解説=辻真先
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Posted by ブクログ
全くの予備知識無しに「あ、タレーランの人だ」程度で手に取って。読み始めた最初のうちは、何というか割とスケールの小さい「地味な話」かと思っていたら... 途中から話がどんどんややこしく、きな臭くなってきて(^ ^; 作者は二重三重四重五重に多層的なストーリーを作り上げている(^ ^; 「大きな秘密の暴露」ですら、さらに大きな思惑のための伏線でしかなかった、というゴージャスな罠の張り方(^ ^;
子供たちは、子供だからと言って大人が幻想として描く素直で単純で小ずるくて分かりやすい...というイメージを見事に崩してくれて(^ ^; 大体からして「子供たち」と十把一絡げで捉えること自体が、大きな間違いであって(^ ^;
最後の「ボーナストラック」は、う〜ん...無くても成立する気はしなくもないけど...作者の「サービス精神」の表れなのかな(^ ^; いや感動はするんだけど、読後感が「よくある作品」になってしまうような気もしなくもなく...(^ ^;
Posted by ブクログ
良い意味で裏切られた。小学生の冒険ストーリーのような始まりから二転三転、しかしそれらは全て結びつき、思いもよらない伏線回収。エピローグがまた素晴らしく読後感がとても良い。
Posted by ブクログ
なんとなく題名に引かれ
この本を手に取ったのは夏 真っ盛りの頃でした
その後、あらすじを読んで『あー 子供のはなしかぁ…』『分厚いなぁ…』なんて思いでなかなか読む気になれず
そのまま放置
そろそろ手持ちの本もなくなり あまり気乗りせず読み始めたのですが……
気づいたら夢中になって読んでました 笑
こどもたちが みんな賢くて良い子で愛おしい…
こどもたちのトリックに翻弄される大人たちの話かと思いきや、ちゃんとテーマがあり感動するストーリー。
まさに『小4 夏の大冒険!』でした。
やっと結末がみえたと思ったら メインに隠れていた人物や物語が大きく飛び出してきて
こどもながらに 色んなことと闘いながら 色んな思いを背負いながら生きているんだなぁ…と感心したりせつない気持ちになったり。
最後は気持ちのいい終わり方で「青春だなぁ」としみじみした気持ちになりました。
Posted by ブクログ
「珈琲店タレーランの事件簿」が出版された当時、書店には「喫茶店」や「居酒屋」を舞台にした日常の謎ミステリがたくさん並んでた印象があって、この作者も失礼ながら二匹目のドジョウ狙いかと思い読んでなかったのですが、本作は新しい地平を目指してかなり気合を入れて書かれたものだと感じました。あ、タレーランが手抜きと言ってるわけではないですよ。逆にタレーランも読んでみたくなってます。
Posted by ブクログ
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「おれたちの夏休み、取り戻したくないか」
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同じ団地に住む小学四年生が失踪しては数日で戻ってくる出来事が連続して発生。なぜ失踪を続けるのか。ゴシップ誌の新人編集者とフリー記者が取材していく。
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子どもたちと大人の対決かと思いきや、それだけじゃない深い所に導かれた。行動には必ず理由があって、しっかり謎が解決されていくのがスッキリ。しかし、無事解決したと思いきやそこからの展開がまさかの連続すぎて強調が来る度にやられた!なるほど!凄い!と思った。
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夏を取り戻せたかどうか、最後の一行まで見逃せない。
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Posted by ブクログ
タレーラン以来の岡崎作品で、安定にサクサク読むことができた。
最初こそ単純に子供のイタズラかと思ったら物語が進む内に、彼らの必死な思いがとても健気で読む内に「次はどんなトリックを思いつくのか?」というわくわくで物語を読む手を止められなかった(素直にトリックの質が高い)。
会議の部分で健が休んでいるのになぜか"5人"と表現しているところが「ん?」となったけど、なるほどどう繋がっているか分からないなぁ。
最後は、ほろ苦くも前に進んだ彼らの姿が登場しそしておそらく"彼女"と思われる姿が出てきて和やかな気持ちになりました。
Posted by ブクログ
順序とテンポのバランスが良くて読みやすい。
全ての謎を全て後半までとっておくのではなく、謎が出てきて、1つ解決して、謎が出てきて、解決して、新たな手がかりを見つけて、情報が集まってきて。
物語の核心の探りも入れつつ失踪トリックは一つ一つ解決していく。
謎解きも適度に推理しやすいのでミステリー初心者には打って付けかもしれません。
BGM使用曲:発明家/Official髭男dism
やるしかない/藤田麻衣子
Posted by ブクログ
団地に住む小学生が失踪しては数日で戻ってくる出来事が立て続けに発生している。
その事件解明に動き出すゴシップ誌『月刊ウラガワ』の新人編集者・猿渡とフリー記者の佐々木。
プロローグは、子供たちの会話が全く小学生に思えず、ハズレかなぁと思ったけれど、本編に入ってからはこの城野原団地のある町の雰囲気、空気が段々と感じられて引き込まれた。
子どもたちのいたずらかと思われた事件の裏に隠されたもの、次第に見えてくるもの、苦しさも感じながら物語にどっぷりとつかって楽しめました。
Posted by ブクログ
小学生たちが自分の意思で失踪して数日後戻ってくる。戻ってきた時は身ぎれいで食事もしているようだった。衆人環視の元で失踪する子供たちはどんなトリックを使ったのか。
ミステリー要素と青春要素は相性がいいと思っていますが、これはトリックを考えたのが小学生という設定なのであまり難しい内容だとイマイチですが、言われるとなるほどと感じるトリックが多いので読む事の集中力を削がれる事なく読めます(難しいトリックだと興ざめになるのは私個人の資質ですが)。
時間の流れを感じさせる素敵なエピローグまで楽しめるミステリーです。
Posted by ブクログ
単なる子供のいたずらと思われた連続失踪事件には目的があった。火事を起こしたのは自分達ではないと外部に認めさせること、団地とそれ以外の子供達の隔たりをなくすこと。
最後に成長した七海と慎司が仲良さそうにしているのはできすぎな気もするけど良かったね。
Posted by ブクログ
終わってみれば「ただの子供遊び」ではなく感動小説だった。
序盤から佐々木はもしかして…とか所々想像するに難しくない箇所があったので驚きはなかった。
あと猿渡の独り言?説明口調が多く、読んでいればわかる感情部分も説明されるので長く感じた。
ラストのエピローグはわかってはいるものの感動するまとめ方だった。
Posted by ブクログ
「夏を取り戻す」の「夏」とは……。
子供のころ、夏休みが始まるときは「自由で可能性に満ちて、冒険や新たな体験が待っている」と、わくわくしていた。
秋になったとき味わう「やりきれなかった悔しさ、夏の名残の愛おしさ」は、これから何度も味わう、厳しい現実と挫折の始まり。
でも、また夏は来るという希望があれば、まだ少年時代は残っている。
1996年8月、高度成長期は終焉を迎えバブルが崩壊し始める。
世界を揺るがす大事件(オウム事件)や大災害(阪神淡路震災)が身近で起き、本当に「恐怖の大王」が空からやってくることにおびえた時代。
右肩上がりの象徴である高層アパート群(団地)に入ってくるのは、初期の希望に満ち溢れた若い家族ではなく、仕事も家族も破綻が見え始めた家族。
そして、時代に取り残されたような周辺の住民。
登場する小学四年生の児童たちに違和感を感じるとしたら、どこか大人びた思考と行動。
でも、こういった物語に期待する「子供らしさ」に対する違和感であって、本当の子供たちは世間の「忍び寄る暗い影」を感じ取ってしまう、この物語のように……。
二十年後の今のさまざまな家庭と社会の問題が、すでに垣間見える。
社会が健全であるためには子供が子供であることがいかに大切か、それはすべての大人たちの義務だと思う。
単なる「ジュブナイル」ではなく、そんなことも考えてしまった。