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なぜ、正しい提案ほど決まらないのか
本書で扱うのは、現場で提案活動に関わってきた人が、これまで自然に行ってきたことの中にある価値に気づき、それをどのように「判断を進める価値」として切り出していくのか、というテーマです。 特に、これまでテックセールス、プリセールス、営業、企画、PM、技術支援、DX推進などの立場で提案や検討に関わってきた人にとっては、コンサルティングは少し遠いものに見えるかもしれません。 本書で見ていくのは、特定の職種だけに閉じた提案ノウハウではありません。誰かに何かを提案し、関係者の合意を取り、組織としての判断を前に進める必要がある人に向けた本でもあります。 「情報や資料があるにもかかわらず、なぜ判断が前に進まないのか」「判断材料とは何か」「なぜ価値ある判断材料が、提案の中で正しく扱われにくいのか」、そして「現場を知っている人が、どのようにその価値を出していけるのか」というその構造を整理していきます。 -
AWS DeepRacerで学ぶ 強化学習
DeepRacerはAmazon Web Service(AWS)が提供する強化学習を活用した、完全自律型のレースカーです。 本書は、AIや機械学習に興味はあるものの「何から始めたらよいかわからない」「理論だけでは続かない」と感じている初学者の方々に向けてできる限り専門用語を避け、図や具体例を交えながら、強化学習の基本からDeepRacerのモデルの作成、レースへの参加までを丁寧に解説しています。また、AWSの操作やPythonコードにも触れており、実際に手を動かしながら学ぶ構成になっています。 -
世界が驚く技術革命「フュージョンエネルギー」
フュージョンエネルギーという言葉をご存じでしょうか。フュージョンエネルギーとは、太陽の輝きの源と同じ水素の核融合反応で、太陽エネルギーを地上で実現する技術として、近い将来私たちの生活を支えるカーボンフリーで安全なエネルギー源と考えられています。 本書では、フュージョンエネルギーの開発の歴史や仕組み、国際プロジェクトITER計画の最新状況や日本の技術など革新的な各種プロジェクトを解説します。そのほかにも、月面や南極といった厳しい環境や深宇宙探査機、太陽系外探査などの遠い宇宙でのエネルギー源としての期待されるフュージョンエネルギーの未来のさまざまな用途や魅力を紹介します。 -
Python×Excel逆引きレシピ集
本書ではPythonのOpenPyXLモジュールを利用し、Excelを操作する方法を、逆引き方式でまとめた1冊です。OpenPyXLモジュールの各機能の解説を中心に、実践的なサンプルを数多く掲載しています。本書で掲載しているサンプルは無料でダウンロードできます。 -
U-2秘史
■AREA51(ドリームランド)から生まれた最高機密「U-2プロジェクト」と、冷戦の狂気に翻弄された男たちの物語 AREA51で生み出された「U-2プロジェクト」を追ったノンフィクション。 この非常に特殊な戦略機がどのような背景から開発され、どのような政府やCIAで揉め事を引き起こしながらソ連領空で撃墜されることになったかを、21世紀になって解禁された情報とも照らし合わせながら紹介していく。 U-2という飛行機そのものというより、最高機密であった偵察プロジェクトやそれに関わった人間、アメリカ政府に焦点を当てており、「軍事面から見た1950〜60年代アメリカ史」でもある。 ・なぜ戦争のリスクを犯して、ソ連領空へとU-2を飛ばしたのか? ・なぜロッキードが開発することになったのか? ・「試作機“ダーティ・バード”」「U-2B」の真相とは? ・藤沢飛行場への不時着事件の真相とは? 当時の新聞や専門誌がどう伝えたか、CIAがどのようなディスインフォーメイション(欺瞞情報)を流したか。 ・なぜアメリカはソ連の罠にはまったのか? 【著者略歴】 浜田一穂(はまだ・かずほ) 1950年東京生まれ。中央大学文学部哲学科卒。生来の飛行機好きが嵩じて商売にしてしまった。この歳になって思うのは、結局積み重ねがものを言う。新しい知識を吸収できる柔軟性を失ったらお終い。日々研鑽である。 著書に『未完の計画機』『未完の計画機2』(イカロス出版)など多数。 -
ドラクエに学ぶ チームマネジメント
「ドラクエは、チームマネジメントのヒントの宝箱だ! 」 僕たちが子どものころに熱中したファミコンゲーム、ドラゴンクエスト(通称:ドラクエ)。その世界には、組織をマネジメントするためのヒントが散りばめられています。 チームビルディング・ダイバーシティ・コミュニケーション戦略・部下の育成方法・ストレス対処・業務効率化・会議運営のポイント・ナレッジマネジメントなどなど。 いずれも、チームを率いてビジネスの目標を達成するために欠かせないエッセンスです。 ドラクエが授けてくれた教訓を武器に、最強のチームを作ろう! 本書では、課長代理・並木舞子(産業機械メーカー・情報システム部に勤務)の奮闘ものがたりを通じて、ドラクエが教えてくれたマネジメントを学び、チームマネジメントのレベルアップを図ります。幼かったあのころ、テレビのブラウン管に映し出された世界を思い出しながら、マネジメントの冒険にいざ出発! -
断言 読むべき本・ダメな本 新教養主義書評集成 経済社会編(ele-king books)
宣伝でも素朴な感想文でもない、“読者の役にたつ書評” とはこれだ! 宣伝でも素朴な感想文でもない、本当に “読者の役にたつ書評” とはこれだ! 長年にわたり価値を失わない良書をしっかり紹介し、ベストセラーであろうとダメな本は徹底的に批判する── 辛口書評家が30年ちかくにわたり書き綴った膨大な書評より、経済、ビジネス、経営、政治、歴史、社会などの分野をここに集成! 【目次】 はじめに:書評について 第1章 経済 第2章 ピケティ/格差 第3章 ケインズ 第4章 クルーグマン 第5章 ファイナンス 第6章 経営 第7章 ビジネス 第8章 政治 第9章 歴史 第10章 思想・ノンフィクション おわりに 【著者】 山形浩生 1964年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。 大手シンクタンクに勤務の頃から、幅広い分野で執筆、翻訳を行う。 著書に『新教養主義宣言』『たかがバロウズ本。』ほか。訳書にクルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』、ピケティ『21世紀の資本』、スノーデン『スノーデン 独白:消せない記録』、ディック『ヴァリス』ほか。 -
断言2 あなたを変える本・世界を変える本 新教養主義書評集成 サイエンス・テクノロジー編(ele-king books)
好評の書評集第二弾! 「科学する心」があなたと世界を変えるかもしれない 本当に読者の役に立つ書評——良い本はしっかりと評価し、ダメな本はしっかりと批判する。そんな「まっとうな書評」が高く評価された山形浩生の書評集、第2弾は「サイエンス・テクノロジー」編。 「科学する心」の尊さ、テクノロジーの楽しさと未来に託す夢。そしてデマやあおりに惑わされない冷静な思考を解く、古びることのない、今の時代に必要な本の数々が紹介されています。 【目次】 はじめに 第1章 サイエンス 第2章 科学と歴史 第3章 環境 第4章 震災復興・原発・エネルギー 第5章 建築 第6章 都市計画 第7章 医療・生命 第8章 遺伝・進化 第9章 脳と心 第10章 IT 第11章 ものづくり・Maker・テクノロジー あとがき 【著者】 山形浩生 1964年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。 大手シンクタンクに勤務の頃から、幅広い分野で執筆、翻訳を行う。 著書に『新教養主義宣言』『たかがバロウズ本。』ほか。訳書にクルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』、ピケティ『21世紀の資本』、スノーデン『スノーデン 独白:消せない記録』、ディック『ヴァリス』ほか。 -
カリスマ 完結上中下巻セット【電子版限定】
新堂冬樹が人間の狂気を描く『カリスマ』上中下巻が電子版限定で、合本になって登場! ※本書は、『カリスマ(上)』『カリスマ(中)』『カリスマ(下)』を1冊にまとめた電子書籍限定の合本版です。 ■『カリスマ(上)』 妻の病を治したい、子供を一流中学に入学させたい……。人の弱みにつけこむ勧誘方法で、「神の郷」は設立から十年、二千人の教徒を有する宗教法人に成長した。教祖の神郷宝仙は、金銭欲や性欲などあらゆる欲望の滅失を説く一方、自身は三百五十億の金を教徒から毟り取り、六百人の女性教徒と関係を持つ。金や情欲に溺れる神郷の過去に何があったのか? ■『カリスマ(中)』 六欲滅失を誓うマントラ唱和、過去の罪を詰られる懺悔の行、全裸で赤子や動物になりきる自我滅失の行……。一日二十時間の修行を強いる神の郷の洗脳セミナー。参加者の一人、城山麗子は自殺した神郷の母親に似すぎていた。麗子を自分のものにすべく神郷は、心身困憊、意識が朦朧とする中で帰依心を抱き始めた彼女を出家させるよう幹部教徒に命じた。 ■『カリスマ(下)』 乱れる髪、墨を塗ったような隈、黄色く澱んだ白目。セミナーで変貌した麗子は息子にマントラ唱和を強要し、夫の信康に神の郷への金を無心した。信康は脱会カウンセラーに助けを求めて麗子の洗脳を何とか解くも、二人は神郷に拉致される……。信康はかつての家庭を取り戻せるのか。新興宗教の内幕を凄まじく抉った暗黒エンターテインメント! -
いいトコどり!人物パーツの描き方
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【数量限定!練習用ドリル小冊子付き】SNS総フォロワー250万人!KawaiiSenseiのイラストレシピ 初の書籍化! 【電子版オリジナル特典付き!】大人気イラスト講師「KawaiiSensei」のイラスト技法書 SNSでバズったレシピから、本書描き下ろしのオリジナルレシピまで! イラスト技法の欲しいトコだけたっぷり詰め込みました。 1つのレシピは2~4ページで簡潔に解説しているため、 知りたい項目だけ選んでサクッと学ぶことができます! *KawaiiSensei(カワイイセンセイ)とは* 2021年から活動開始したイラスト系クリエイター集団。 第一線で活躍中のアニメーター、漫画家、デザイナーなどが参加。 TikTokやInstagram、Twiitter、YouTubeなどを中心に活動。TikTokアワード2023にノミネート。 キャッチーでわかりやすいイラストコンテンツを全世界に向けて発信中。 ※この商品は固定レイアウト型の電子書籍です。 ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ※お使いの端末で無料サンプルをお試しいただいた上でのご購入をお願いいたします。 ※本書内容はカラーで制作されているため、カラー表示可能な端末での閲覧を推奨いたします -
超入門 Copilotビジネス活用術
本書は、AI初心者の方から、Copilotをビジネスで使いこなしたい方まで、Copilotを最大限に活用するための入門書です。Copilotの基本から、報告書や企画書などの文書作成を効率化する方法やブレインストーミングでアイデアを生み出す活用法、市場調査や競合分析などの情報収集・データ分析を効率化する方法などの高度な活用法についても解説しています。Microsoft 365アプリとのシームレスな連携によるビジネスに役立つ高度な活用法についても紹介しています! 初心者でもわかりやすいワンポイントやキャラクターからのアドバイスも盛り込んであり、本書を読むことで、Copilotをビジネスの現場で使いこなし、業務効率化や生産性向上を実現するための知識とスキルを身につけることができる1冊です。 -
超入門 Geminiビジネス活用術
本書は、AI初心者の方から、Geminiをビジネスで使いこなしたい方まで、Geminiを最大限に活用するための入門書です。Geminiの基本から、報告書や企画書などの文書作成を効率化する方法やGeminiのブレインストーミング機能を使った斬新なアイデアを生み出す活用法、市場調査や競合分析などの情報収集・データ分析を効率化する方法などの高度な活用法についても解説しています。 初心者でもわかりやすいワンポイントやキャラクターからのアドバイスも盛り込んであり、本書を読むことで、Geminiをビジネスの現場で使いこなし、報告書作成時間を短縮したり、Geminiによる市場分析で、新規顧客獲得率を向上するなど、業務効率化や生産性向上を実現するための知識とスキルを身につけることができる1冊です。 -
図解速習DEEP LEARNING
Colaboratoryで入門から応用までひとっ飛び! 本書は手を動かしながらディープラーニングを学べる1冊です。 最新トレンドとその追い方や、無料クラウドGPUのColaboratoryを活用した実行方法まで丁寧に解説しています。 20以上の事例を手元のPC・スマホで動かすことができます。 -
月刊丸 別冊
ミリタリー誌「丸」の5月別冊は、「世界最強戦艦『大和』」を大特集しました。精密図、カラー彩色写真、青図、解剖図など勇姿を思い起こすことができる資料を満載。大和乗組員・開発者たちが戦後に遺した手記11本も一挙に掲載しました。戦艦「大和」飛行科の稀有で未発表の写真を独占公開。戦後80年の鎮魂のために一冊です。 戦艦「大和」カラー解剖図 戦艦「大和」最終時精密図面 カラー彩色で蘇える戦艦「大和」 艦載水上機カラーイラスト集 遠距離特化戦艦 WOWS大和ガイド 大和ミュージアム仮展示室 リニューアル澎湃館 大和ミュージアムサテライト展示の目玉 実物大模型零式観測機組み立て中也 戦艦「大和」特選グラビア 「大和」青図集 鎮魂80年特別企画 戦艦「大和」飛行科の稀有な写真独占公開 愛知縣護国神社 戦艦大和記念碑 超戦艦建造計画を分析する 「大和」メカニズム完全ガイド 51㎝砲を搭載した「超大和」型大全 1945.4.7「大和」最後の戦い 私は戦艦「大和」をこのように設計した! 「大和」「武蔵」はなぜ生まれたのか 最強の鎧をまとった不沈戦艦誕生す 「大和」の巨大な目?15m測距儀″の秘密 「大和」が初めて全力航走をした時 レーダー戦は決して敗北してなかった! 世界一の戦艦に世界一鋭敏な耳をつける話 私は米戦略爆撃調査団の質問にこう答えた 弾幕射撃に賭けた「大和」砲術長の戦術 副砲長が見た「大和」沈没の瞬間 応急員が語る「大和」甲板下の死闘 こがしゅうとの「大和」搭載「四〇口径八九式十二糎七聯装高角砲A一型」 鉛筆画「天一号2605 -戦艦 大和-」 重装甲戦艦&空母 WOWS版「大和」&「信濃」能力分析 アンケート&プレゼント -
熱狂きのこピープル ~森の精に憑かれたシェフとフリークス~
キノコに人生を捧げた愛しき人々の物語。 東京・恵比寿に「マッシュルーム」という老舗のフレンチレストランがある。 ここは知る人ぞ知るキノコ好きの聖地だ。 オーナーシェフ・山岡昌治が作る絶品のキノコ料理を目当てに、 世界中からキノコ好きが訪れる。 山岡はフランスでの修業時代に様々な美味なる天然キノコと出会い、 すっかりその魅力に取り憑かれてきた。 「マッシュルーム」は決してキノコ料理専門店というわけではないが、 訪れる客たちもまた、キノコに憑かれた者ばかりが訪れる。 キノコ同好者、栽培生産者、菌学者、料理人、キノコ図鑑の写真家、キノコ採り名人。 魚や肉に一切見向きもせず、ひたすらキノコだけをオーダーし続ける強者もいる。 ときには自分で採ったキノコをいきなり送りつけてくる者、 直接持参してくる少し面倒な輩も吸い寄せられたりする。 あらゆるキノコ好きが「マッシュルーム」を目指してやってくるのだ。 人々はなぜ、これほどまでキノコに魅せられるのか。 恵比寿「マッシュルーム」を舞台に、 キノコに人生を捧げた愛しき人々の物語が、今始まる。 ※この作品はカラーが含まれます。 -
墨
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 高齢化や書道人口の減少が指摘される昨今、書道文化はいま、どのような課題に直面し、どのような未来を描くことができるのだろうか。 書道界を牽引してきた日本芸術院会員5氏への特別インタビューをはじめ、公募展事務局の実情、これからの書道界を担う中核世代の思い、長年業界を見つめてきた編集者の視点、ユネスコ無形文化遺産登録運動の現在、さらには書道界の展望まで、多角的に取材した。 それぞれの立場から見えてくる課題と、これからの書道界の可能性とはーー。 本企画が、その未来を考える一助となることを切に願う。 -
売女の人殺し
恐怖と悪夢、その背後にある笑いと底知れぬ悲哀。ボラーニョの分身とされるおなじみ〈B〉やアルトゥーロ・ベラーノらがふたたび登場する13篇。貴重な自伝的エピソードも含む、生前最後の短篇集。 「女ってのは売女の人殺しよ、マックス、立ち枯れた木の上から地平線を見つめている凍えた猿、闇のなかで泣きながら、決して口にすることのできない言葉を求めながらあなたを探しているお姫さまなの。わたしたちは誤解のなかに生き、人生のサイクルをつくり上げているのよ」(「売女の人殺し」より) インドから帰還した同性愛者のカメラマンの秘められた記憶、Bと父がアカプルコで過ごした奇妙な夏休み、元サッカー選手が語る、謎のチームメートとの思い出……恐怖と悪夢、その背後にある笑いと底知れぬ悲哀。ボラーニョの分身とされるおなじみ〈B〉やアルトゥーロ・ベラーノらが再び登場する13篇。貴重な自伝的エピソードも含む、生前最後の短篇集。 [解説]若島正 -
都市三十六景 江戸の残像
歴史が足もとにきちんとあるという感覚 鈴木博之は『東京の地霊』(一九九〇年)で土地に堆積していく諸要素を「ゲニウス・ロキ」(地霊)と呼び、「都市の歴史は土地の歴史である」と看破した。 また、前田愛の『都市空間のなかの文学』(一九八二年)のように、「都市空間の解読から逆照射するという試み」も文学研究にはあった。 土地や空間を支えるものは、人にほかならない。そこに生き、支える人は、これら地霊の渦を作り、かつまたそのイメージに巻き込まれていく。そうした土台の上に、文学テクストや絵画が存在する。 ときには、残り香さえとどめない土地や空間もある。なにしろ、徳川時代が終わって百六十年近く。数々の自然災害、アメリカ軍による爆撃、再開発の数々を閲している。 現代とどこが連続しているのか。断絶しているなら、どこで断絶したのか。徳川時代という前近代を見据え、それらに考えをめぐらせるという作業は、近現代そのものの姿をも立ち現れさせてくれるのではないか。 貴重な図版とともに失われた空間を恢復する試み。 [目次] 前口上 第一章 古層の鳥瞰 一 麻布市兵衛町 二 高輪 三 上野 四 四天王寺 五 湯島 六 木挽町 第二章 水の江戸/東京 七 深川 八 柳橋 九 浅草 十 吉原 十一 江戸城/宮城/皇居 十二 両国・本所 十三 隅田川 第三章 混沌の上方 十四 大川(旧淀川) 十五 北新地 十六 長町裏 十七 ミナミ 十八 山崎 十九 鴨川 二十 三条大橋 第四章 都市の断層 二十一 蒲田・鈴ヶ森 二十二 日本橋 二十三 銀座 二十四 神保町 二十五 番町・九段 二十六 台南 二十七 目黒 二十八 祇園・東山 第五章 我々は何処へ行くのか 二十九 船場 三十 神楽坂 三十一 早稲田 三十二 本郷 三十三 下京 三十四 天満 三十五 青山・外苑前 満目青山は心にあり 参考文献 -
「ふらんす」100年の回想:1925-2025
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 わたしたちは、フランスに何を見てきたのか 当初は『ラ・スムーズ』(種まく女)の誌名で1925年に誕生した『ふらんす』は2025年に創刊100周年を迎えた。本書は、創刊号から近年までの記事を精選し、この雑誌の足跡をたどろうと試みたものである。日本とフランスとの関わりを知るうえで貴重な資料であり、また読み物としての魅力にもあふれている。 創刊号には当時の駐日大使クローデルから、近年ではノーベル賞作家のル・クレジオからメッセージを送られるなど、「フランス語学習とフランス語圏文化に関する日本で唯一の月刊誌」は今もなお、文化交流の場でありつづけている。10年ごとの章立てとし、編著者による詳細な解説を章ごとに付した。 「たゆたえども沈むことのなかった『ふらんす』の航跡を示す本書が、広大なバックナンバーの海へと、またさらに次の100年に向かって出航した本誌へと読者を導くものともなれば幸いである」(編著者まえがき) -
対訳 フランス語で読む「星の王子さま」(音声DL付)
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 Le Petit Princeの名場面を、目と耳で味わう 心に残る名句の宝庫である『星の王子さま』は、子供から大人まで世界中で広く愛されています。20以上の邦訳が存在するほど多様な解釈が可能なこの作品から、特に印象的な53 の名場面を選りすぐりました。編者による丁寧な注、「読解のポイント」、また日本語訳を参考にしながら、原文の一語一語をじっくり味わいましょう。付属の音声は、53の名場面(約62分)に加え、さらに全文読破にチャレンジしたい学習者のために、作品全文(約105分)も収録。8ページのカラー挿絵付。 -
不登校の子どもと親から頼られる先生になる
子どもが不登校になる背景には、成績不振、心身の疲れ、人間関係などのさまざまな理由が隠されている。子どもの抱える悩みに少しでも近づきたい学校の先生は、息つく間もない日々の学校生活のなかで、子どもにかける言葉をすばやく選び出していく必要がある。 この本では、不登校の子どもやその保護者への声かけ、先生同士のコミュニケーションで使えるフレーズを紹介する。家庭訪問、校内面談、別室登校、付き添い登校といった具体的な場面を想定したフレーズをそろえる。 フレーズは、「どんな場面か」「何を伝えたいか」「何を知りたいか」といった目的や用途があらかじめ整理された言葉。相手のことを考えるゆえに最初の言葉に迷う人の負担を軽くし、「まずはこれを伝えてみよう」と一歩踏み出させてくれる。 不登校だけに限らず、子どもの抱える悩みや問題解消の糸口を手繰り寄せるための、日々のコミュニケーションの足場となってくれる一冊。 -
私の女の実
ノーベル文学賞受賞作家が二十代後半に発表した短篇小説集 解説:桜庭一樹 ノーベル文学賞作家ハン・ガンの初期から近年に至るまで、未邦訳の小説を斎藤真理子個人訳で贈る《ハン・ガン コレクション》第1巻。 『菜食主義者』の前身である表題作をはじめ、変化していく社会の中で個人が抱える闇と傷を凝視した、生命力みなぎる初期の短篇8篇。 「私の女の実」:高層マンションの13階に妻と暮らす夫は、妻の体に痣があることに気づく。結婚後4年に及ぶ生活の中で妻が心を削られてきたからなのだが、夫はそのことに気づかず、妻はしだいに言葉を失っていった。ある日、ベランダに出ていた妻の体の一部が植物になっているのを見つけた夫は、大きな植木鉢を買ってきて妻を植えるが… 「日暮れ時に犬たちはどんな気持ちだろう」:貧困と父親の暴力に耐えかねて母親は出て行き、酒飲みの父と暮らすことになった少女テリョン。学校に行くこともできない少女は空腹を抱えつつ、母との思い出を拠り所に、父や周囲のことにじっと目を凝らす。 「赤ちゃん仏」:人気のニュースキャスターで完璧主義者の夫と暮らすイラストレーターの「私」は、普段から化粧もしない地味な女性。だが、自分だけが知る夫の秘密がある。彼の体には子供の頃に負ったやけどの跡が全身にひろがっている… 「ある日彼は」:体一つで上京した彼は、新聞・雑誌社に本を配達する仕事をしている。ソウルの埃と煤煙がひどいため、彼は配達中に何度も顔を洗う。冬のある日、ミンファと出会ったのも顔を洗った直後だった。彼から本を受け取るとき、ミンファは悲鳴をあげた。彼の頬が裂けて血が出ていたのだ。再度配達に行った際、ミンファに「横顔、すてきですね」と言われた彼は彼女をデートに誘う… 【目次】 日本の読者の皆さまへ ハン・ガン 私の女の実 日暮れ時に犬たちはどんな気持ちだろう 赤ちゃん仏 ある日彼は 赤い花の中で 九つの物語 白い花 線路を流れる川 あとがき ハン・ガン 解説 声なき人の代わりに 桜庭一樹 訳者あとがき 斎藤真理子 -
ロングアイランド
『ブルックリン』の続編、終わらない愛の物語 物語のはじまりは1976年のロングアイランド。アイリーシュは夫のトニー、十代の娘、息子とともに新興住宅地で暮らしている。 ある日のこと、見知らぬ男が彼女を訪ねてきて、平穏な日々に激震をもたらす。トニーがその男の妻を妊娠させたので、赤ん坊が生まれたら連れてくるというのだ。「留守なら、玄関先に置いて帰るからそう思え」と。 赤ん坊の姿を絶対に見たくない、と夫に宣言したアイリーシュは、その夏80歳の誕生日を迎える母親に会うために、アイルランドへの帰郷を決める。姉が急逝したあの夏以来、じつに25年ぶりの帰郷である。 舞台はエニスコーシーの町へ移り、アイリーシュは懐かしい顔と再会する。幼なじみのナンシーは夫のジョージに先立たれ、苦労の末に今はフィッシュ・アンド・チップスの店をほぼひとりで切り盛りしている。そして、あの夏アイリーシュと恋に落ちて捨てられたジムは、親からパブを引き継ぎ、いまだに独り身でいる。 心に隙間を抱えた大人の男女3人が四半世紀の時を経て再会し、互いに本音を隠しながら、新たな物語を繰り広げていく……。 -
ラストアイランド 北センチネル島:なぜ外界との接触を拒み続けるのか
「最果ての島」からの問い インド洋東部、インド領アンダマン諸島の孤島・北センチネル島。世田谷区ほどの広さのこの小島に暮らす人びとは長年、外界との接触を拒み続けてきた。しかし2018年、若いアメリカ人宣教師が上陸を試みて島民に殺害される事件が発生。国際的に報道されたことで、現代にも「未知」が存在することに世界は驚愕したのだった。 本書は、事件の20年前に偶然この島の存在を知った著者が、これまで可視化されることのなかった島民の実態に迫ろうと、長期にわたり取材・調査し続けてきた記録である。現地訪問の体験や、限定的とはいえ島民と接触した人類学者の証言、周辺諸島の事例を手がかりに、接近と拒絶の歴史を丹念にたどる。 「つながる」ことが是とされる現代社会において、彼らが「つながらない」ことを今日まで続けられたのはなぜなのか。そして、外部の人間は「文明」の名のもとに彼らをどうとらえてきたのか。北センチネル島とそこに暮らす人びとの姿から浮かび上がるのは、結局のところ、人間とはどのような存在なのかという根源的な問いである。 「最果ての島」から、文明と人間の在り方を見つめ直す傑作ノンフィクション。 [目次] 第I部 祝福されし島々 第II部 一回目の旅 一九九八年 第III部 二回目の旅 一八五七─一九〇〇年 第IV部 三回目の旅 二〇二〇年 情報源と補遺/謝辞/訳者あとがき/写真・図版クレジット -
わたしはこうして執事になった
華麗なる時代の最後の輝きの日々 登場するのは、『日の名残り』の主人公のモデルといわれる「クリヴデンのリー卿」ことアスター子爵家のエドウィン・リーをはじめとする五人。彼らはみな、十九世紀後半~第二次大戦前のイギリスで、地方の労働者階級の家に生まれて十代前半から働きはじめる。執事になってからの、大邸宅の日常や豪華な大イベントを取り仕切る仕事。チャーチル首相や王家の人々との関わり。そして、二十世紀社会の激変に翻弄されながら、華麗な貴族の時代の終わりを目の当たりにする哀しみ……。華やかなまま引退する者もいれば、悲運に見舞われた雇用主一家にあくまで忠義を尽くす者、〝旧時代の雇い主〟の要求と〝新時代の部下〟という現実の板ばさみになって苦しむ者など、その結末はさまざまだ。 五人それぞれが一人称で語る人生の物語は、楽しい読み物であると同時に、二十世紀イギリス史の貴重な記録である。 【目次】 まえがき 1 プロローグ 2 ゴードン・グリメット ランプボーイの話 ゴードンの回想についてひとこと 3 エドウィン・リー ページボーイの話 リー氏の回想についてひとこと 4 チャールズ・ディーン ブーツボーイの話 チャールズの回想についてひとこと 5 ジョージ・ワシントン ホールボーイの話 ジョージの回想についてひとこと 6 ピーター・ホワイトリー 雑用係の話 ピーターの回想についてひとこと 7 エピローグ 解説 訳者あとがき -
美しいをさがす旅にでよう[増補新版]
《ちがい》があるから世界はおもしろい! かつて、エジプトの扇風機の羽は金色が主流だったという。黄金色に輝く羽から送られる風はどんな心地だったのだろうか。慣れない目にはやや刺激的に映るその家電の色合いは現地で長く生活する人にとっては当たりまえで、扇風機の羽はそうじゃなきゃと思われていたのかもしれない。 この本は、こんな世界中の「ちがい」をさがしもとめ、私たちがなじんでいるものとは異なるカタチを楽しむための一冊。人はどんなときに美しいと感じ、なにを美しいと捉えてきたのか。また、時代や地域によってその基準は変わるものなのか。 雄大な大自然の風景は長らく美の対象とはならなかった。工場などの建造物やすでに使われなくなった廃墟は現代ではしばしばその美しさが話題になる。庭園に美を見いだす地域もあれば、死者が旅立つための棺桶に意匠をこらす町もある。 最近では、エジプトでも涼しげな羽の扇風機が増えているそうだ。変化する「美しい」に注目して私たちのまわりを改めて眺めてみると、この世界はいままで以上に彩り豊かになる。自分の境界を飛び越えて、さまざまな「美しい」を味わう旅にでてみませんか。 -
未来学:人類三千年の〈夢〉の歴史
未来論が流行している。背景には、危機と不確実性がある。一九七〇年代に流行した折には、資源危機と南北対立を受けていた。本書は、著者が二十五年にわたって「未来学」で発見した、さまざまな側面に光を当てる。 とりわけ、科学的な予測と根拠のない憶測の間に横たわる、未来をめぐって生じる葛藤に、フランクフルト学派の批判理論の観点から光を当てる。 未来は時間なのか場所なのか、あるいは、時間は円環なのか直線なのか。未来について人々が思考をめぐらせてきた三千年にわたる歴史は近代以降、マルサス的な終末論とテクノオプティミズムの両極端で宙ずりになっている。 こうした未来論の整理は、未来を論じる学問的素地がほとんどない日本ではより重要である。一九七〇年前後、小松左京、梅棹忠夫らが未来学の創設を目指し、機運が高まった時期もあったが、その後日の目を見ず、現在に至っている。 預言者からSFまで、ルネサンス・啓蒙思想からテクノトピアまで、人類が夢見た未来を概観するはじめての入門書。オックスフォード大学出版局の入門シリーズ(VSI)の待望の翻訳。 -
ひまわりと銃弾
戦時下の若者たちが目の当たりにした奇跡。 山本一力氏・河﨑秋子氏推薦! 「彩り豊かな世にかぶさる戦争の黒い色。ひたむきに生きる人々の昭和時代小説だ」 ――山本一力氏 「演劇を愛する彼らが戦争を経ても手放さなかった『希望』に心震える」 ――河﨑秋子氏 関東大震災後の浅草。 太平洋戦争に向かいつつある世情。 それぞれ重い過去を背負って生きている冴子・ハジメ・卓三の三人は細々と演劇で口を糊している。 芸術芸能に対して、警察や軍部による検閲、大衆の冷たい視線がますます厳しくなる中、卓三が兵役に取られた上に、東京大空襲に巻き込まれるふたり。 戦後、奇跡的に生き残ったふたりは、卓三不在のまま、舞台の幕を上げられるのか? そして、GHQの嫌がらせに、どう抗うのか? 感動の戦争小説。 -
ギリシア哲学30講 人類の原初の思索から
【書評掲載情報】 ●2019年2月23日 図書新聞に書評が掲載されました(「ギリシア哲学史の見直しを迫る異端の書」、評者・轟孝夫氏、第3389号) 古代、われわれの祖先はどんなふうに物事を考えたのだろう? 科学文明と現代社会にわずかでも違和感を抱いているすべての人に。 存在と主観性――西洋形而上学、2500年の抗争! ギリシア哲学の権威にしてハイデガー研究の第一人者でもある著者が、存在の故郷を求むべく古代ギリシアの文献を読み解き、その自然哲学を「みずみずしい姿」で蘇らせると同時に、そこで繰り広げられた哲学者たちの抗争の帰結としての現代人の歪んだ思考に高らかに異を唱える。過激にして痛快な現代文明批判の書(上下巻)。 【本書の特徴】 ●ソクラテス・プラトン哲学ではなく、初期ギリシア哲学をギリシア哲学の本体とする、世界でも類を見ない画期的な論述。 ●存在と主観性の対立・葛藤を軸に、その戦いは現代でも続いていて、現代人の思考法にも大きく影響しているとの立場から、著者独自の鋭い文明批評を展開。 ●哲学者の思想を博物館の展示のように「剥製」にして取り上げるのではなく、「生きた哲学・思想」として浮かび上がらせ、詳述。 ●魅力あふれる当時の哲学者の生き方・人物をも詳細に紹介。 ●抗争の歴史に一息いれるコラム、登場する主な哲学者の生没年早見表、当時のギリシアおよび周辺諸国地図、人名索引つき。 上巻で取り上げる主な哲学者 ・タレス「哲学外国起源説」 ・アナクシマンドロス「ト・アペイロンは否定性である」 ・アナクシメネス「存在の境内にとどまった知性の哲学」 ・ピュタゴラス「主観性原理のギリシア世界への侵入」 ・アルキュタス「ギリシアの伝統社会の上に立ったピュタゴラス学徒」 ・ヘラクレイトス「主観性原理との戦い」 ・クセノパネス「故郷喪失の哲学者」 ・パルメニデス「パルメニデスの存在のテーゼは狂気の言か」 ・ゼノン「否定性こそ存在の真理である」 ・メリッソス「存在の哲学の肯定版」 ・エンペドクレス「存在と主観性に引き裂かれた哲学者」 ・アナクサゴラス「存在への追想、ギリシア伝統の自然哲学者」 ・デモクリトス「世界中を歩き廻った哲学者、理念化への方向と深層への方向の間に張られた緊張」 ・ハイデガー「ハイデガーと原初の哲学者たち」 -
アルコールと酔っぱらいの地理学――秩序ある/なき空間を読み解く
《空間》と《場所》に焦点を合わせた 「アルコール・スタディーズ」初の試み―― 飲酒の空間的実践を読み解く理論書としての側面と同時に、 地方都市 (ストーク・オン・トレント) と農村地域 (カンブリア州イーデン) でのインタビュー調査に基づく イギリス地域研究という側面も併せ持つ。 「酒・飲酒・酩酊」に地理学の視点からアプローチした これまでにない、もっとも包括的な研究成果。 いま英語圏の人文地理学界で盛り上がりを見せる「アルコールの地理学」に火をつけた (酒を注いだ)? 記念碑的著作、 Alcohol, Drinking, Drunkenness: (Dis)Orderly Spaces (Ashgate, 2011) の全訳が、満を持して登場。 ☆★☆★☆★☆★☆ 人の飲酒行動に関する ありとあらゆる知見を積み上げた快著。 老いも若きも、男も女も、階級の違いを超えて、そしてあらゆる場所で、 人がそれぞれに酒を楽しんでいることがよくわかる。 地理学は、人間の行動に関することなら 何でも研究できる学問だったのだ。 ――橋本 健二 氏 (社会学者。早稲田大学人間科学学術院教授。著書に『居酒屋の戦後史』、『居酒屋ほろ酔い考現学』など) ☆★☆★☆★☆★☆ -
新・学問のすすめ 研究者失格!:自伝 馬鹿は死んでも直らない
ポスト戦後の精神史 数は減ったとはいえ、学者になりたい人は一定数いるはずだ。本書はそうした人たちに向けて、学者のなり方、職業としての学問を説く試みである。 磯前さんは静岡大学の歴史学科を卒業して、生まれ故郷の茨城で高校教師になったものの、学者になることをあきらめきれず、勉強し直して、東大院の宗教学専攻に入ったという変わり種だ。 高校教師として働きながら(そして、結婚して子どもを抱えながら)の大学院受験は一筋縄ではいかず、語学学習のやり方からはじまり、東大や京大の大学院をさまざま受けた(落ちた)ことまで赤裸々に語られている。 磯前さんの進学先とその時代が、この本を単なるハウツーや体験記を超えたものにする。 磯前さんは東大院で島薗進さんに師事した。このことが人生を大きく変えていく。そして当時、東大宗教学は、スピリチュアルやニューアカに乗じて、スターを輩出しつつあった。 こうしたブームは、オウム真理教事件によって無残に瓦解した。磯前さんは事件以降、宗教学批判を展開し、酒井直樹さんらと意気投合してポストコロニアル研究に向かう。本書はこうした一大転換の貴重な記録にもなっている。 【目次】 はじめに 学者って何者? 第一章 書物が友だちだった――私の生い立ち 少年探偵団と活字の匂い/ドリトル先生物語/キリストの死 古代の息吹 第二章 学問への目覚め――シラケ世代の悩み いつでも音楽があった/放任主義とシラケ世代 マルクス主義歴史学と感情/ロンドンと異星人 第三章 修行時代――自立という課題 高校教師失格/大学院受験/大学院合格/東大助手になる 第四章 大学教員という仕事――意気揚々の時代 オウム真理教事件/資料の公開/国際学会/ロンドンの闇 第五章 国際日本研究――ひとつの回心 ハーバード滞在/国際日本研究文化センター 東日本大震災/ザ・タイガース 終章 世界が自分の家だから あとがき――存在の語りのあわいに -
ヴィクトリア朝:ある時代の虚像と実像
歴史・人間・帝国 政治・経済・社会の制度から、科学・文学・芸術の文化までの遺産が、世界で称賛されつづけているイギリスの一九世紀。だが、このヴィクトリア朝には、つねに神話化されたイメージがつきまとう。 ヴィクトリア朝の人びととは、いったい誰のことを指すのだろうか。この時代を生きた彼ら/彼女らは近代都市社会の多くの課題に初めて直面する一方で、その世界的な行動が帝国という悪しき世界を形づくることにもなった。 それにしても、なぜヴィクトリア朝は、今なお日本を含む諸国の文化で重要な位置を占めつづけているのだろうか。「ヴィクトリアニズム」と呼ばれる特定の世界観/価値観は正当化できるのか。この時代のイギリスの実像はどのようなものだったのか。そして、その文化は世界にいかなる結果をもたらしたのだろうか。 本書は、このような問いをめぐって歴史学者が冷静な視点から論じる、ヴィクトリア朝研究の小さな名著である。今後、イギリスという国の歴史的な内情や、その栄光と秘密を知りたい読者、さらに世界の近代史への理解を深めたい読者にとっての必読書になるだろう。 -
ユニコ 星のきずな
女神のプシケに可愛がられ、幸せに暮らしていた一角獣(=ユニコーン)の男の子ユニコ。ある時、ユニコの持つ不思議な力を脅威に感じた邪悪な女神ヴィーナスは、配下の西風(ゼフィルス)に命令して、プシケのもとから彼を引き離してしまった。女神に逆らえない西風は、ユニコが記憶を失うまであらゆる場所に運んでは置き去りにしていく──そんななか、とある街中で猫のクロエに出会ったユニコは、自身の秘めたパワーを発揮していくが……? 手塚治虫の人気キャラクター「ユニコ」の新たな冒険が幕を開ける! ●収録作品● 『Unico: Awakening (Volume 1)』 ©2025 by Tezuka Productions Co., Ltd., Octas LLC, Samuel Sattin, and Gurihiru ( Chifuyu Sasaki and Naoko Kawano) -
ファシストは未来を支配するためにいかに過去を改竄するのか
五野井郁夫氏推薦! 民主主義を守るための必読書 「歴史の抹消」があなたの教室にも……。優越主義的なナショナリズムの露骨な主張が、歴史教育に取って代わろうとしている。トランプ、プーチン、極右独裁主義が謀る人種・移民・集団殺戮など不都合な歴史の抹消、洗脳と情報操作、学校教育への干渉を、米国の言語哲学者が糾明する。 「歴史の抹消は独裁者を助ける。なぜなら、そうすることで独裁者は歴史を単一の物語、単一の視点として偽れるからだ。だが、いかなる視点も完全に抹消することは不可能だ。独裁者による歴史の抹消は教育を通じて−-−-つまり、特定の物語を学校教育のカリキュラムから追放したり、ひょっとすると、家庭内でもその物語を語ってはならないとしたりすることによって−-−-である」。 全米ベストセラーの前作『ファシズムはどこからやってくるか』で旋風を巻き起こした政治的アクティヴィストによる、警鐘と提言の書。「ファシズムの手口を暴き」、「民主主義を守るために、何を知り、どう抗うべきか」(五野井郁夫)、簡潔かつ読みやすい記述で極右独裁主義の策動を徹底検証。米国で大きな波紋を呼んでいる、「反ファシズム」入門。 【目次】 序文 第1章 独裁政の作り方 第2章 洗脳 第3章 ナショナリストの陰謀 第4章 至上主義からファシズムへ 第5章 反教育 第6章 古典教育 第7章 歴史の再生 エピローグ 謝辞 訳者あとがき 注 -
成熟した発達障害
大人の発達障害をテーマにした本は数多くあるが,「大人になった人を,いつまでも“発達障害”や“発達課題”と呼び続けることは,失礼ではないのか」。大人の発達障害の場合,もはや発達の課題ではなく,人生の課題あるいは自己実現の課題と呼ぶに相応しいものになっている。発達という言葉に伴いがちな「遅れている」というニュアンスではなく,既に特定の「価値観」や「生き方」の課題へと置き換わっていると思った方がよいのではないだろうか。 矯正施設での長年の経験と,多くの当事者や支援者との対話を積み重ねてきた著者が,大人になった発達障害の人々の姿を,「発達像」としてではなく,「性格像」として捉えることにより,「成熟した発達障害」という新たな視点からの支援を提示する。 本書は,支援者(専門家)だけでなく,当事者にとっての協力者(理解者)にも手に取ってもらえるよう,難解な手続きではなくユニバーサルデザインを前提に,対話形式の事例を通して解説する実践的なヒントが詰まった一冊。 -
ナチ時代のドイツ国民も「犠牲者」だったのか:犠牲者の歴史政治学
戦後ドイツの「犠牲者」認識の変遷を追う 日本でも、特攻隊員や被爆者、空襲被害者など、さまざまなカテゴリーの「犠牲者」を通して戦争が記憶されてきたように、戦後の国民意識が形成されてきた。犠牲者言説の変化は戦後ドイツの国民形成と密接な関係にある。 戦後のドイツ人はナチズムの「加害者」としての過去に向き合いながら、戦争の「犠牲者」としての認識も持っていた。特に戦後世代が多数を占めるようになると、この「犠牲者」意識は重要視されるようになった。本書は1980年代以降に「犠牲者」概念が頻繁に用いられるようになった背景を分析し、「犠牲者の歴史政治学」を提唱する。 本書は〈犠牲者・加害者〉という二元論ではなく、〈加害者・能動的犠牲者・受動的犠牲者〉という三分類で過去を理解すべきだとする。「白バラ」やヒトラー暗殺未遂犯、ソ連兵の性暴力被害者、強制追放された者など、多様な犠牲者像の変遷を追う。1980年代以前、暗殺未遂犯は肯定的評価を受けず、性暴力の被害も封印された。一方、ソ連侵攻による追放者は冷戦下で「能動的犠牲者」として語られた。 1980年代以降、ホロコーストが世界史的事件として認識され、「ホロコースト・モデル」が確立すると、受動的犠牲者が歴史の中心となり、性暴力や追放の被害者も語れるようになった。この変化は戦後ドイツの国民形成と密接に関わる。 この問題は日本にも通じる。 日本でも、特攻隊員や被爆者、空襲被害者など、さまざまなカテゴリーの「犠牲者」を通して戦争が記憶され、戦後の国民意識が形成されてきた。本書は、ドイツの「過去の克服」と犠牲者概念の変遷を明らかにする意義深い研究である。 【目次】 序章 1 ナチ時代のドイツ国民=「犠牲者」? 2 犠牲者概念 3 本書の目的 第1章 反ナチ抵抗犠牲者とその戦後 1 ヒトラー暗殺未遂事件の「七月二〇日の男たち」 2 「白バラ」抵抗運動 3 ヒトラー爆殺計画事件の単独犯──G・エルザー 4 反ナチ亡命者 第2章 追放と性暴力 1 終戦期の被追放者 2 非追放者の表象 3 追放の受動的犠牲者から復興の能動的犠牲者へ 4 性暴力犠牲者とその戦後 第3章 反ナチ抵抗犠牲者の記憶 1 「抵抗」範疇の拡大──エーデルヴァイス海賊団とG・エルザー 2 「七月二〇日の男たち」と「白バラ」の記憶の構造転換 3 英雄から救済者へ 第4章 追放の記憶 1 よみがえる記憶とその政治化 2 ポピュラー・カルチャーのなかの被追放者 第5章 性暴力犠牲の語りとトラウマ 1 性暴力犠牲の語り 2 戦争児とトラウマ 終章 1 本書のまとめ 2 〈犠牲者の歴史政治学〉の意味と意義 3 〈犠牲者の歴史政治学〉と「私たち」 あとがき/注 -
ウルトラマン(MARVEL)
ウルトラマン×マーベル! マーベルコミックス編集部が手掛けるウルトラマンのコミックが登場! 初期のウルトラマン・シリーズの物語を解体・再構築し、新たなストーリーを紡ぐ本作は、企画が発表されるや世界的な話題となり、本国での刊行後も特撮ファン、コミックファンの間で大きな話題を呼んだ。 40年以上にわたり地球に出現してきた怪獣を、人知れず闇に葬ってきたUSP(統合科学警備隊)。しかしUSPは強大な力を持つ怪獣達を一体どうやって退けてきたのか。そんな中、長年にわたって怪獣の謎を追ってきたハヤタは、地球に飛来した謎の物体と遭遇する事になる……。 ●収録作品● 『ザ・ライズ・オブ・ウルトラマン』#1-5 ©TSUBURAYA PRODUCTIONS -
Python 実践データ分析 100本ノック 第3版
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 データ分析の現場にあって入門書にない「汚いデータ」(ダーティデータ)に対応する、プロのノウハウを解説します。 -
分離独立と国家創設:係争国家と失敗国家の生態
さまざまな国のかたち グローバル化の進展とともに、人びとは国境を容易に越えられるようになり、「国家の衰退」が一時さかんに論じられた。しかし、国家は国際関係論や国際法の中心的アクターであり続けており、現在でも国際社会から国家として独立の承認を求める領域がある。 どのような要素や条件が国家たらしめるのか? なぜある領域は分離独立後すぐに国際社会から承認を得られるのに、領域によっては長期間にわたって分離独立を追求しても叶わないのか? 中東では長らくパレスチナ問題があり、またトルコ、イラク、イラン、シリアなどにまたがって存在するクルド人たちは国家を持つことを約束されながら裏切られた悲劇の民としてよく論じられる。 あるいは、同じ中東に出現したイスラム国(IS)は、「国」と謳いながらも、現在国際社会に共有されている国家体系とは異なるかたちを実現しようとするなど、分離独立と国家創設にまつわる話題は尽きない。 ソマリランドからイスラム国、はては満洲まで、あるいは未承認国家から事実上の国家、そして係争国家まで、さまざまな〈国のかたち〉を網羅した決定版国家論! 国連加盟国リストつき! [目次] 序章 「すべての国家は平等か?」 第一章 国際政治における国家性と分離独立 国家とは何か? 主権とは何か? 「確定した領域」とは何か? 国家となるには領域に最小限の人口が必要か? 国家性の文脈において「政府」とはどういう意味か? 他の国家と関係を取り結ぶ能力とはどういう意味か? 国家はいくつあるか? 国家と国の違いは何か? 分離とは何か? 国々が分離に反対する傾向があるのはなぜか? 他の国々が分離に反対するのはなぜか? 一方的独立宣言とは何か? 一方的分離行為に対して親国家はどう反応できるか? 世界にはいくつ分離派運動があるのか? 領域や集団が分離を求めるのはなぜか? 国家は分離を抑える目的で軍事力を使えるか? 「救済的分離」とは何か? 領土回復主義とは何か? 独立を失った領域は、独立を再主張する権利を有するか? 分離の当然の権利というものがあるべきか? 分離を認める国はあるのか? 国家は領域を切り離すことができるか? 承認とは何か? 承認はどのくらい重要なのか? 非承認とは何か? 集団的非承認とは何か? 事実上の国家とは何か? 失敗国家とは何か? ミクロ国家とミクロ・ネーションの違いは何か? 第二章 旧ルール——分離独立と国家創設、一七七六─一九四五年 近代的国家が出現したのはいつか? 承認はどのように発展したのか? アメリカ合衆国の独立は国家創設をいかにかたちづくったか? ラテンアメリカはどのように独立を獲得したのか? ラテンアメリカ諸国の独立はなぜそれほど重要だったのか? アメリカの南北内戦は分離独立への態度をどう決定づけたか? 十九世紀後半において国家創設はどう進展したのか? 国家性のためのモンテヴィデオ基準はどう発展したのか? 国家の領土保全の原則はいかに出現したのか? 第三章 現代的ルール——自決と脱植民地化、一九四五─一九九〇年 脱植民地化はどのように始まったのか? 脱植民地化の過程はなぜそれほど重要だったのか? 新たに独立した国家の国境はどのように決められたのか? 自決と領土保全の原則はどのように折り合いがつけられたのか? 一方的分離がこれほど受け入れられなくなったのはいつか? 一九四五年以来、一方的分離の成功事例はあったのか? 一方的な分離行為に対して国連はどう反応したのか? ローデシアの一方的独立宣言はなぜそれほど珍しかったのか? すべての植民地が独立したのか? 第四章 ルール変更?——現代の分離独立、一九九〇年以降 冷戦の終結は分離独立や国家性をどのように変化させたか? ソビエト連邦はどのように解体したのか? なぜいくつかのソビエト領域は独立を獲得しなかったのか? ユーゴスラビアはどのように解体したのか? なぜチェコスロバキアは平和的に分かれたのか? ドイツやイエメンをつくった合併はどのように起こったのか? ソマリランドはなぜ承認されないのか? エリトリアや南スーダンはどのように独立したのか? 一九九〇年以降、軍事力によって抑え込まれた分離運動はあったか? その他のどの分離事例が力で抑え込まれ得るか? 独立はしないが平和裏に解決された分離問題はあるか? モンテネグロは国連に加盟したのにコソボは加盟していないのはなぜか? 国際刑事裁判所はコソボの一方的独立宣言について何といったのか? アブハジアと南オセチアはより広い承認を受けるだろうか? クリミアがロシアに併合される前に独立を宣言したのはなぜか? カナダとイギリスは分離独立の民主的モデルをつくったか? カタルーニャやクルディスタンが独立を勝ち取れなかったのはなぜか? 台湾は分離独立の事例か? パレスチナはなぜ国連加盟国でないのか? イスラム国は純粋な意味で国家だったか? 脱植民地化からさらに多くの国が現れるか? 次に国連加盟国となると思われるのはどの国か? 第五章 独立と国家性たらしめる機構 新しい国家はどうつくられるのか? 分離は解体や脱植民地化とどう異なるのか? 自由連合とは何か? 新しい国家をつくるためには住民投票が実施される必要があるのか? 独立を問う住民投票はどのように準備されるのか? 継続あるいは後続国家とは何か? 新国家の国境はどう画定されるか? 国家の資産や債務はどう分けられるか? 誰が新国家の市民となるのか? 新国家にはどのような機構が必要か? 国家は機構を共有できるのか? 国家には自国の通貨が必要か? 国家には自国の軍隊が必要か? どのような国家の象徴が必要とされるか? 独立するまでにどれくらいの時間がかかるか? 国は独立後に名称を変えられるか? 国家は国歌や国旗を変えられるか? 第六章 国際社会に参加する 承認はどのように起こるのか? 国家は別の国家を承認するよう強制され得るか? 集団的承認とは何か? 承認は諸条件の影響を受けるか? 国家は「脱承認」され得るか? 国々はどのように外交関係を樹立するか? 国は大使館や在外派遣団を有する必要があるか? なぜ国連の一員であることが重要なのか? 国はどのように国連に参加するのか? 国連の一員となることはいつか個別の承認と置き換えられ得るか? 完全な国連加盟の地位に代わる選択肢は何か? 国家はその他にどの国際機構に参加できるか? 国際社会に参加するために他にどのような段階が必要とされるか? 国々は分離した地域が承認されることをどのように防げるか? 「台湾化」とは何か? 国家はお互いに承認しなくてもやり取りできるのか? 第七章 現代的課題と将来的方向性 国家は存在することをやめられるのか? 気候変動は国家消滅をもたらし得るか? ここでわたしたちは国家の二つのタイプ——事実上の国家と「本当の」国家——について 考えられるか? 一方的分離への反対について再考するときが来たか? わたしたちが「国家」のない世界を目の当たりにする未来があるか? 国家性はまだ重要か? 訳者解説 略語一覧/註/付録A:一九四五年以降の国連加盟国数の増加/付録B:国連総会決議第一五一四(XV)号、一九六〇年/お薦め文献 -
ダンシング・ガールズ:マーガレット・アトウッド短編集
『侍女の物語』前夜のアトウッド 世界的作家アトウッドの初期短編集が待望の復刊。キャンパスで繰り広げられる奇妙な追跡劇(「火星から来た男」)、記者が陥る漂流の危機(「旅行記事」)、すれ違いから各々孤独を深める夫婦(「ケツァール」)、適性に悩む医者の卵がある少女に向ける感情(「訓練」)、下宿屋で巻き起こる異文化をめぐる騒ぎ(「ダンシング・ガールズ」)など――アトウッドのぞくぞくするような「巧さ」が詰まった七編を収録。あからさまにではなく、ほんの少しだけ垣間見せるというやり方で、日常に潜む違和や世界の綻びをアトウッドは示してみせる。 「ことに「キッチン・ドア」で描かれる、形のない、だがはっきりと肌で感じる破滅の予兆は、のちの『侍女の物語』や〈マッドアダム〉三部作のディストピア世界の前日譚と見ることもでき、世界のあちこちで不穏な狼煙の上がる二〇二五年に読むと、これを訳した当時よりずっと生々しい実感をともなって迫ってくる。およそ五十年前に書かれたにもかかわらず、これらの物語は少しも古びていない、どころか読むたびに「今」の物語として更新されつづける。そのことに何よりも驚きを感じる」(「復刊によせて」より) -
ポピュラーカルチャーからはじめるフィールドワーク――レポート・論文を書く人のために
マンガやゲーム、アイドル、鉄オタ、お祭りなどのフィールドワークはどうやるの? ――「どうしてそれに注目したのか」「具体的にどうやったのか」「調査で得たデータはどのようにまとめたか」「何を発見したか」などを例示した入門書。 ◎ ふだんからなじみのある対象を研究のテーマにしたいが、どうしたらよいのかわからないという方々に“フィールドワーク”を提案、推奨。 ◎ 著者が自分自身の調査体験に即しながら、フィールドワークの具体的な方法や直面した苦難を赤裸々に告白。 --- 【「序文」より抜粋】 各章の内容は、3つの側面を持つ。 ひとつは、社会調査の方法を具体的な調査のなかで、どのようなタイミングで、どのように使ったかを伝える調査手法の実例紹介の側面である。教育的な側面といってもいいだろう。 2つ目は、各書き手たちがどのように問題を設定し、どのように問題を解いていったかという“体験談”の側面である。各書き手がその時々でどのように感じ、考え、次を展開していったのか。そして、どのような結論にたどり着いたのか。一種の“謎解き”の物語を読むような感じで楽しんでもらえればと思う。これは“読み物”的な側面といっていいだろう。 と同時に、調査すること・社会学的に考えていくこと自体の“楽しさ”“面白さ”も伝わると思う。だから、最後の側面は、“調査の楽しさ”や“社会学的に考えることの面白さ”を伝える側面である。これは、本書を手に取ってくれたみなさんの“背中を押す”という効果を期待してのことである。“動機づけ”の側面といえる。 --- -
非日常のアメリカ文学――ポスト・コロナの地平を探る
20世紀的な「日常」を問い直し、ポスト・コロナの地平を探る、野心的な米文学論! コロナ・ウイルスが引き起こしたパンデミックによって、私たちはいま、従来の20世紀的な日常とはすこし異なる「非日常」の世界を生きている。 本書『非日常のアメリカ文学』は、コロナという人知を超えた災厄と対峙する知恵を、ヘンリー・ソロー、マーク・トウェイン、スコット・F・フィッツジェラルド、カート・ヴォネガットらの作品から、先住民作家ヴェルマ・ウォーリス、カリフォルニアのビッグ・サー文学作家やベイエリア現代詩の詩人、身体の日常/非日常を問うファット・リベレーション作家の諸作品まで、「非日常」という共通項を軸に探る。 本書が提案する「非日常」をアメリカ文学に探る試みは、単なる「アウトサイド」な文学の系譜をたどるばかりか、アウトサイドから日常を見直し、ひいては現代文明を問い直す視座をもたらすことになるだろう。コロナ禍とはつまるところ、これまでの文明社会の見直しが迫られた経験であったとはいえまいか。本書を通して、ポスト・コロナの地平を見通す視座を、十人のアメリカ文学研究者達が探る。 -
共生社会のためのことばの教育――自由・幸福・対話・市民性
2019年4月の入管法改正、同年6月の日本語教育推進法を受け、日本語教育の枠組みはダイナミックに変容しつつある。外国人にどのように日本語を教えるのか、といった「教え方」の問題から、どのような社会を目指して日本語教育を実践するのか、社会構想としての日本語教育の実践と研究が必要とされている。 そもそも人に「ことばを教える」とはどういうことなのか、「ことばの教育は何を目指すか」、つまり「ことばの教育」の実践を通して、私たちはどのような人間の在り方、またどのような社会の在り方を目指しているのか、という根本的な問題について、言語教育、言語政策、人権/共生論、シティズンシップ教育等、それぞれの立場から考察し、「共生社会」実現のための「ことばの教育」の理論的視座を提示する。 -
戦争が巨木を伐った
第二次世界大戦中、軍需造船のために、神社、町並木、私人の屋敷の巨木を供出する「供木運動」が起こった。その知られざる実態とは。 -
大仏ホテルの幽霊
韓国社会の〝恨〟を描くゴシックスリラー 物語の舞台は、1950年代後半、朝鮮戦争の傷跡が生々しく残る、朝鮮初の西洋式「大仏ホテル」。朝鮮半島に外国人が押し寄せた時代に仁川に建てられた実在のホテルである。 アメリカ軍の無差別爆撃で家族を亡くしたチ・ヨンヒョンは仁川の港で泊まり客を大仏ホテルに案内する仕事をしていた。雇い主は同い歳のコ・ヨンジュだ。ヨンジュは苦労して英語を習得し、大仏ホテルの後身である中華楼での通訳を経て、再オープンした大仏ホテルの管理を任される一方で、アメリカ行きを虎視眈々と狙う。中華楼の料理人のルェ・イハンは、韓国人からヘイトの対象とされる華僑の一族のひとり。かつて栄華を誇った大仏ホテルも、今や中華楼三階の客室三室とホールだけの営業となった。悪霊に取り憑かれていると噂される大仏ホテルに、ある日、シャーリイ・ジャクスンがチェックイン。エミリー・ブロンテも姿を現し、運命の歯車が回りだす。 伝播する憎しみ、恨み、運命を変えたい人々、叶えたい想い……。スリリングな展開と繊細な心理描写によって、韓国社会の通奏底音である「恨(ハン)」を描ききり、最後は大きな感動に包まれる、著者の新境地。 -
眠りの航路
父子二代の記憶へ漕ぎ出す 鮮烈な長篇デビュー作 台湾を代表する作家であり、世界的に注目を集める作家・呉明益の長篇デビュー作の待望の邦訳。のちに『自転車泥棒』や『歩道橋の魔術師』にもつながる原初の物語である。 台北で暮らすフリーライターの「ぼく」は、数十年に一度と言われる竹の開花を見るために陽明山に登るが、その日から睡眠のリズムに異常が起きていることに気づく。睡眠の異常に悩む「ぼく」の意識は、やがて太平洋戦争末期に神奈川県の高座海軍工廠に少年工として十三歳で渡り、日本軍の戦闘機製造に従事した父・三郎の人生を追憶していく。戦後の三郎は、海軍工廠で働いた影響から難聴を患いながらも、台北に建設された中華商場で修理工として寡黙に生活を送っていた。中華商場での思い出やそこでの父の姿を振り返りながら「ぼく」は睡眠の異常の原因を探るために日本へ行くことを決意し、沈黙の下に埋もれた三郎の過去を掘り起こしていく。三郎が暮らした海軍工廠の宿舎には、勤労動員された平岡君(三島由紀夫)もいて、三郎たちにギリシア神話や自作の物語を話して聞かせるなど兄のように慕われていたが、やがて彼らは玉音放送を聴くことになるのだった――。 -
WEBQU活用実践事例集
ユーザー続々増加中のWEBQUに初の市販書籍が出ました。手元にあると活用の幅がぐっと広がります WEBQU は,児童生徒の発達段階に応じて,一人ひとりの理解と対応方法,学級集団の状態と今後の学級集団づくりの方針を得ることを目的とした標準化された心理テストです。 教師の観察や面接だけでない,より深く児童生徒の状態を理解し,指導や学級経営の指針に役立てることを可能にするものです。 本書では,学校現場で起こる様々な問題――小学生の「不適応」や「学習支援」,「学級集団づくり」,「教員組織」などに関する具体的な問題に対し,WEBQU をどう活用して対処していくのか,そのプロセスを解説します。 【目次】 はじめに WEBQU が期待される背景 WEBQU の概要 ● WEBQU の目的と特徴· 活用方法 ● WEBQU の定期的更新について ●まなびポケットとの関連 第1 章 生徒指導面の対応 1 不適応の問題 2 不登校の問題 3 いじめの問題 4 学級集団の問題 第2 章 学習指導面の対応 1 学習支援の問題 2 学級集団の状態と授業展開の問題 第3 章 教員組織面への対応 COLUMN 現場での取組み 視点 活用のポイント WEBQU 講師一覧 【著者】 河村茂雄 早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授 博士(心理学) 筑波大学大学院教育研究科カウンセリング専攻修了。公立学校教諭・教育相談員を経験し,岩手大学助教授,都留文科大学大学院教授を経て,現職。日本学級経営心理学会理事長,日本教育カウンセリング学会理事長,日本教育心理学会理事長,日本教育カウンセラー協会岩手県支部長。公認心理師,臨床心理士,学校心理士スーパーバイザー。
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