近藤駿介の作品一覧
「近藤駿介」の「アベノミクスの「不都合な真実」」「1989年12月29日、日経平均3万8915円 元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「近藤駿介」の「アベノミクスの「不都合な真実」」「1989年12月29日、日経平均3万8915円 元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
昨年(令和2年)7月に読み終わった本ですが、令和3年GWの部屋の大掃除の時に埋もれていたのを発掘しました。
この本で特に気になったのは、資産運用の鉄則とまで言われていると私が思っていた「ドルコスト法」にはリスクがあるので、特にお年寄りの場合は注意せよ、というメッセージでした。
私も気持ちだけは若いつもりでやってきましたが気付いてみれば2ヶ月前の誕生日を迎えて、いわゆる昔の定年まで3年を切りました。いつまでもアクティブ運用はできないなと思っていましたが、ドルコスト法も注意すべきとは私にとっては新鮮なアドバイスでした。
以下は気になったポイントです。
・現在黒田日銀が行っている「マネタリーベース=お金の量」を増やすという「異次元の金融緩和」は「非伝統的金融政策」に属する政策となる。これは短期金利がすでに0%で利下げ余地がなく、これに頼るしかなかったから(p29)2001年の量的緩和では純粋に「お金の量」を増やしたのに対して、今回は、日銀が長期国債を買い上げることで、お金の量を増やすと同時に長期金利の低下や、株価上昇、円安を目指したことである(p30)
・銀行が国債売却代金を受け取ってもその資金を貸出に回すのではなく、そのまま日銀内の当座預金に預けることになった。これは2009年の11月から当座預金のうち所用準備額を超える部分に0.1%の利息をつけるようにしたから、これは国債表面利率と同じ、これは国債保有と同じ効果がある(p54)マネタリーベースの増加分382兆円の93%以上は国民に渡ることのない「日銀当座預金』増加によって占められる(p55)企業収益が最高という報道がある中で景気回復の実感できない理由である(p56)
・2014年4月に消費税は5%から8%と引き上げられたが、増収分の8.4兆円のうち、3.2兆円が基礎年金の財源に回されている。国税増税分6.4兆円をベースにすると5割が基礎年金支給の財源に回されたことになる(p77)
・GPIFが世界最大の機関投資家だと豪語したところで、総資産は160兆円に過ぎず、足元の日本の公的年金給付額は年間50兆円強なので、GPIFが保有する資産規模は3年分程度に過ぎない。この先100年間の年金給付に必要な2540兆円から3740兆円の財源の大半は現役世代から徴収する保険料と国庫負担(税金)で賄われ、GPIFの積立金を財源として見込んでいるのは200〜400兆円と全体の10%程度に過ぎない。年金給付の9割を現役世代から徴収する保険料と国庫負担で賄う限り、日本の年金制度は簡単に破綻することはない。しかし年金財政という点では、金融的には破綻している状態にある。これは今までの給付水準を維持できないということ(p124)
・財政検証が示す3つのケースのうち、現実に近いケースでは、2029年度からGPIFの元本取り崩しが始まることを示している。これはそれまでに運用収益を見込んでいる前提である、その運用ができなかった場合には、積立金の元本取り崩しは早まる可能性がある(p136)
・例として65歳になった時に3000万円の金融資産を作ろうとした場合、30歳であれば運用期間が35年あるので積立累計額は1750万円(毎月3万円、ボーナス時7万円)、2.96%ですむが、50歳から開始する場合は、500万円で36%の利回りが必要となる(p193)資産形成を始める年齢=運用期間、目標額、年間の積立額の3つを決めることで、目標達成の「運用利回り」が算出される(p196)
・ドルコスト平均法とは、買付コストを平準化することを目的とした投資手法であり、目標金額を貯めることを目的とした投資手法ではないことを再確認する必要がある(p211)つまり、ゴール(年齢、60歳)が近づけば近づくほど積立資産は価格変動リスクの影響を強く受けるようになる(p212)このリスクがほとんど触れられていないことが、ドルコスト平均法の抱える大きなリスクである(p214)
2021年5月4日作成
Posted by ブクログ
著者が本の形でもっとも書きたかったことは、1989年の日経平均の上昇の原因となった事象で、それは著者が野村総研在籍時に発表した1990年の下落の原因についての論考と対となっている。
ただ、それだけでは一冊の本たり得ないので、著者の自伝的な話やビットコインの暴騰と暴落についての考察などでページを埋めている。
埋めている、というと言葉が悪くなるが、個人的にはこの「自伝」、ファンドマネージャーとして当時感じたことなどの記述が興味深かった。
なお、この本でいうところのバブルとは、あくまでも89年を中心とした日経平均の加速度をつけての急上昇のことであり、その崩壊とは90年に入り打って変わって暴落した様を指している。
このように定義して論を進めている以上、不動産についての話がないとか、その後の失われた数十年についての説明がないとかいった批判は的外れになるし、また読者もそれを期待して読むべきではなかろう。
自伝部分で面白いのは、他業種からの転職組である著者が、ファンドマネジメントの世界に入りながらも一歩引いた目で業界を見ていることだが、証券の営業マンが投信のファンマネを下に見ていたことなど、なかなか今では知ることの出来ない当時の空気感が伺える。
日本でファンドマネージャーという職業がそれなりの地位をしめるまでには、こういった意識が払拭されるそれなりの年月が必要だったのだろう。
払拭というか、そういう意識を持つ営業マンが引退し、生え抜きのファンドマネージャーがファンドを受け持つのが主流になるだけの一世代分の時間ということか。
無論、証券系の運用会社と、他の生保系・銀行系それに独立系の運用会社とでは、事情も異なるだろうとは思う。
ただ、運用会社がそれぞれに親会社を持ち、そこが小会社である運用会社の人事権まで持つ限り、証券系・生保系・銀行系とさほど差はなかっただろうことは想像に難くない。
個人的な話をすれば、自分は運用会社に新卒でプロパーとして入ったほぼ第1世代だ。
運用会社が運用をする人間を育てることを企図して採用を始めた極々初期に就職した口で、周りにも何故採用されたのかよくわからない人間は多々居たし、実際その後の育ち方を見ても当たり外れは大いにあった。
人事の側も試行錯誤で採用していたのだろうことは新入社員の学歴のばらつきを見てもよくわかったが、次第に旧帝・早慶がほとんどになり、またそれに従い面白い人間が採用される率も減っていったように感じる。
採用担当者の間に、学生時代の突飛な経験が生み出す面白い投資アイデア云々に期待するより前に、まずは事務処理能力が大事、というコンセンサスでも出来たものか。
自分が当たりの方だったのかハズレの方だったのかの判断は難しいところだが、現在、資産運用で生計を立てられるようになっている以上、自分にとっては向いていた仕事だったと思うが、さっさとリタイアしてしまったわけで、会社として、また社会としてどうだったかというと正直よくわからない。
ただ、自分としては、ファンドマネージャーとして調査もして運用もしてレポーティングもして営業もして、という完全無欠の仕事ができるのは35歳くらいが限界と考えていたので、心身ともに疲弊した挙げ句に会社に肩を叩かれる、という事態を迎える前に自身で幕を閉じた。
もちろん、日系の会社だったので肩たたきがあっても配置転換がせいぜいだっただろうが、当時社内で接する限りでも、元ファンドマネージャーの営業担当者とかバックオフィスの偉い人とか、うざいだけだったので、自分はそういう「老後」を送りたくなかったというのもある。
こういった事情もあり、どこの会社でも大きな資産を預かって運用を行う人間は10年もあれば結構入れ替わる。
この道何十年の運用担当者、というのはごく一部のスタープレイヤーに限られるし、そうであっても独立系運用会社の代表でもなければ定年を迎える。
その意味で、過去を知る人間はすぐにいなくなるし、その教訓が伝わっていなければバブルは何度でも起こる。
著者にとって89年と90年の日本株の動きは、人々の欲望とは無縁の、制度変更と外部環境がもたらしたもので、それは他のバブルとは違うのだという論点は、一生をかけて後世に伝えたい大切なことなのだが、それさえ現場レベルでは伝承され得ない。
なんとも歯がゆさは残るが、だからこそ学びを怠らない一般投資家が付け入る隙はいくらでもあるということだ。