アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
スーシェ版ポワロを見るために手に取りました。いやはや、本当にクリスティーは容疑者たちのキャラクターを立たせるのが上手いなと。美容室で働くジェーンなどは、今後のサブキャラクターになるかと思うほど詳細に描かれていましたね。
最後の謎解きは「そんなにうまくいくか?」とツッコミたくなりましたが、客室乗務員やメイドなど、この当時の人々が「あえて意識しない」ことを利用した方法だったのだなと。意中の人が席を立った瞬間に手鏡を出すのは、令和の我々もやることですし。
通して、あまり派手な内容とはいえないのですが、そのぶん第一章の鮮烈さは強烈。映画だったら絶対ここでタイトルが出るでしょうね。
いつにも増して、「自分のことを話したい」本能的欲求にアプローチする手法で進む今作。あっという間に読み切ってしまったのは、きっと新訳版の上手さのおかげではないかと思います(旧訳は未読ですが……)。
メイドを引き連れ食事やなんやが出てくる当時の旅客機は想像が難しかったので、ここはしっかり映像で楽しみたいと思います! -
Posted by ブクログ
『鏡は横にひび割れて』を読んだところ、過去作に登場したであろう人やモノがたくさん出てきたので、これは最初から読もうと決意。マープルシリーズとしては4冊目になります。
『火曜クラブ』を読んだ時に、「セント・ミアリ・ミード村、なんて恐ろしい場所……」と震えたのですが、今作でそれがよくわかりました。しかし、田舎の人間にはゴシップしか楽しみがないというのは万国共通なのでしょうか。うちの田舎にそっくりです。これが「人間性の問題」ということか。
妙に愛嬌のあるクレメント牧師の語りに和みもするものの、村の人物が多く、誰がどんな性格で何を目撃していたかを把握するのが難しくて、なかなかページが進みませんでした……。そういった点では、再読の方がもっと楽しめそうですね。
今まさにマープルシリーズを発表順に読んでいる私ですが、これから読み進めるという方には『予告殺人』からオススメしたいところ。あちらに比べると、こちらは展開がややのんびりに感じました。でも、「最初期のマープルさんはこんな感じに見られていたのか〜」といった楽しみ方ができました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ作中で「人間性」の話題がよく出てくるから、登場人物全員を疑いながら読み進めていたけど、誰が犯人か見当もつかなかった。最後の謎解きでは「そこかーーーっ」と悔しい気持ちになった。
これの直前に読んだクリスティーの作品が「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」で、わたしはこっちの冒険とロマンスと謎解きがある方が好みかも…と、思いつつ、狭いコミュニティの中で繰り広げられる謎解きも面白く読めた。
これまで本を読んできて、少し前の時代のイギリスのイメージはぼや〜っとあったけど、今作ではよりくっきりイメージできるようになった気がする。
ミス・マープルをはじめとする牧師さんやグリゼルダなどのキャラクターがチャーミングでよかった。
村で起きた事件が題材だったので、この先のシリーズでミス・マープルはどんなふうに事件に遭遇していくんだろう?というところが単純に気になる。
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ポアロもの。
ハロウィーンのこの時期に読みたいと狙ってチョイスしました。
ハロウィーン・パーティーの最中に、参加していた少女がゲーム用のリンゴを入れていたバケツに首を突っ込んで溺死しているのが発見されます。
死亡した少女・ジョイスは、パーティーの準備の時に「以前に殺人現場を目撃したことがある」と言い張っていました。
件のパーティーに参加していたオリヴァ夫人は、ポアロに真相解明を依頼しますが・・・。
そういえば、先日公開された映画『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』の元ネタがこの作品とのことですが、ベネチアのベの字も出てこなかったのですけど・・(^-^;?
映画は見ていないのですが、一体どのあたりを原作から拾ったのか、却って気になりますね。
閑話休題。
殺されたジョイスの発言を吟味する為、情報を集めたところ、この地域で起こった過去の犯罪や遺産相続をめぐるトラブルが浮かび上がってきます。
そして、ポアロの住民への地道なヒアリングによって複雑な人間模様が炙りだされる中、第二の殺人が起こったり遺言補足書の件で新たな事実が判明したりと、なかなか入り組んでくる展開に。
“一体どう収集つけるのかな・・”と、思っていたのですが、そこは我らが“灰色の脳細胞”・ポアロ。
点と点を見事に結びつけて真相解明していく様は、毎度のことながら感心してしまいますね!
犯人の意外さと、その元凶ともいえる人物の狂気に戦慄です。
そして、“もう一押し”という感じでぶっこんできた、ある少女の出生の件も驚かされましたし、その伏線的な場面を読み返すと本人達に自覚は無いとはいえ、ちょっと鳥肌でした。
因みに、本書の解説でハロウィーンのドンチャン騒ぎは“幸いにもこれだけは日本には定着しなかった”とあるのですが、多分これ約20年程前に書かれていますよね・・。
残念ながら、令和の現在、定着どころか“渋ハロ”みたいに社会問題にもなっておりますよ~・・と、遠い目になった私なのでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレクリスティの長編ミステリー。探偵役は(一応)マープル。
推理小説の探偵物でよくある光景が警察官が無能であり、探偵の足を引っ張る構図だ。探偵を邪険に扱い(場合が場合なので仕方ない部分もあるが)、的外れな推理をしてんで真実に辿り着けない様な人物や事柄を重宝し、しまいには探偵が解き明かした真実を受け入れ犯人を我が物顔で逮捕し、探偵に笑顔を振り撒いて一件落着する。ある種のお約束だ。さて、では、もし探偵がいる中で警察官がとても優秀だったらどうなるのか。答えは「面白味に欠ける」だった。
今作に出てくるオヤジさんこと主任警部のフレッドは優秀であり、完全にマープルが脇役になっている。読者は当然、探偵の活躍を見たい訳で、勿論、今まで上記の様な不平不満を言ってきた訳だがあくまで探偵役、真実を解き明かすのはマープルであり、警察官は彼女の推理に感嘆するというのが大好きだった事に気付いた。今回はバトル警視の様な形が良かったのではと感じてしまう。マープルの存在感が余りにも小さかった。
事件発生までバックボーンにある強盗事件などが取り上げられ、どうやら登場人物達に関係がありそうだという事がわかる。更には昔の様式を現代に受け継いでいるバートラムホテルが舞台となり、マープルは子供の頃訪れたこのホテルを姪からのプレゼントで訪れる事になる。
美しい秩序あるホテルが舞台であり楽しい印象を得る。荘厳ではありながらも何処か現実的ではない何かを感じるホテル。従業員達は一流であり、滞在客は昔の時代からやってきた様な年寄りと外国人達。そこで始まっていく事件。序盤中々何事もおきず、中盤からようやく物語が進行していく。
今作の母娘は印象的で、娘についてはリドルストーリー的な雰囲気で幕を閉じる。後見人など、彼女の幸せん願っている事に間違いはないが、最後は何とも悲劇的な幕切れだった。改めてマープルの関わり方が不明。
作中でマープルがロンドンを満喫している様子は滅多に見られない描写で嬉しく思った。しかし彼女は何処に行っても殺人と巡り遭う運命なのだろう。
余りにも広範囲の事件になる為、やはりノンタイトルで整理されたら一級品だった様に思う。ドンデン返しの犯人は想像を超え、最終章だけならクリスティ作品の上位に挙げても良いくらいだ。 -
Posted by ブクログ
戯曲3編収録。
〇「海浜の午後」
読んでいると少し登場人物がワチャワチャしている感じがするが、おそらく舞台では人物の出入りがはっきりするので、あまり気にならないのだろう。
過保護の青年の恋愛話など全体にユーモラスなものにしようとしているのだろうが、ラストはあまりスッキリしない。
〇「患者」
転落して動くことも口をきくこともできなくなった患者。事故なのか、自らの意思で落ちたのか、それとも犯罪か。警察は医師の協力により、ある実験によってその真相を明らかにしようとする。
〇「ねずみたち」
何者かによりアパートの一室に誘い出された男女。誰が自分たちをここに呼んだのか、またその目的は何か。動機というか目的にはやや強引なところがあるが、追い詰められていくサスペンスが良くできていると思う。上手い役者が演じれば、観ていて面白いのではなかろうか。 -
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メソポタミアの殺人
クリスティの長編。ポアロシリーズ。
外国旅行物、現在のイラクあたりの土地の様であり、考古学の発掘隊が舞台になる。
余り地理感覚はないのだが、何故だかクリスティの外国旅行物はワクワクしてしまう。彼女の描写力は人物像に留まらず風景描写も素晴らしい。また、彼女自身、考古学の様々な工程に知識があり(パートナーが考古学者だったのは有名)作業工程の描写がリアルだ。こういった要素を習得しているミステリ作家は少ないと思うので、彼女の作品の差別化としても重要な要素だ。
ストーリーの大筋は王道のフーダニットであり、また殺害のトリックがかなり個性的(現代では似たようなトリックを使った作品が幾つかある)
であり、実際様々な問題点はあると思うが、当時の発想としてはとても面白いものだと思う。
当然かも知れないが、第二の殺人は毒によるありきたりなものであり、犯人からすれば急遽の殺人の為矛盾は無いのだが、物足りなさを感じてしまう。第一の殺人だけでは解決にもっと時間がかかっただろう。というポアロの見立ては間違いなく、彼が屋上にて今回のトリックの着想を得るのも第二の殺人によってだった。
登場人物が目新しくポアロは旅の途中の行程を変更し、彼等の事件に協力する事になる。語り手も事件に遭遇した看護師が勤めており、普段のシリーズと雰囲気が少し違っている。
真相において、犯人への同情が語られているが全く不思議だ。どう考えても同情の余地は無いと思うのだが。また、十年以上前ではあるが、夫婦になった相手(しかも推理上は彼女は彼を恐れていた)について、全く思い出さないという事があるのかが疑問だ。(頻繁に話題にも上がるし、相手のさが気付かない何気ない癖などもある様に思う)被害者の性格を加味しても中々難しいと思ってしまう。全体的に面白い作品だが、少し捻くれて読んでしまった。 -
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クリスティの短編集。
幻想、怪奇小説が集まった作品。クリスティはミステリ、恋愛のイメージが強かったが、今作では新しいクリスティ像が見られる様な気がする。今作は過去に読んだ事が無く初めて読む事になる。
死の猟犬
表題作。友人の話からイギリスの田舎に住む姉を訪れ、戦争時代に謎の爆発現象にてドイツ兵を吹き飛ばした修道女の行方を聞く。彼女を匿う医者と彼らの元に起きる事件。それぞれに現れる「猟犬」の痕。幻想怪奇にまつわる作品ではあるが、未来予知と死の猟犬については「不思議」と思うしかないのだろう。
赤信号
サスペンスミステリー。短い作品だが出来は良く面白い。テーマは予感、直感。主人公が親友の妻に恋してしまい、叔父から警告され、更には医師である叔父が彼等の家に招待を受けた理由が医師としての考えからで、殺人狂の症状が見える為監禁しなければという提案(この時点では女性の方がと思ったが)に、主人公は反発する。その後、主人公が帰宅すると家から身に覚えのないリボルバーがみつかり、同時に警察もやってきて、叔父が殺害されたと知る。主人公が感じていた危険な予感。結末もしっかりしており面白い。
第四の男
多重人格の女性の話。医者、弁護士、牧師が列車の中、過去にあった多重人格者の研究見解について議論している。その議論の中に多重人格者フェリシーを知る男性が参加し、アネットという女性を含めた彼ら3名の関係を語り出す。最後、少しミステリアスに閉じているのが印象的だ。
ジプシー
ジプシーについてのイメージは難しいが、クリスティ作品ではテーマにされる事も多くイギリスやヨーロッパでの彼らの歴史はとても興味をそそられる。婚約を破棄した友人と謎の女性。助言に従わず手術を受けた友人は死んでしまい、謎の女性も亡くなってしまう。事件の詳細を推察することは可能だが、「不思議」で捉えていた方が面白い作品だ。
ランプ
ホラーの印象が強い作品。中々買い手が見つからない屋敷。幽霊を信じない女。屋敷に住む様になり、旦那やお手伝いさんは子供のすすり泣く様な声を聞く。やがて、息子の具合が酷くなり女にも子供のすすり泣きぐ聞こえる様になり。短く完結。わかりやすいホラー作品だ。
ラジオ
因果応報とはこの事だろう。老婦人は決して真相を知らなかったと思うが、メイドへ渡した金額等実は何かを勘ぐっていた可能性はある。少なからず結末は日本の昔話の様に悪い事をすれば悪い事が起きるという教訓ににている。近く殺人の痕跡も発見される事だろう。
検察側の証人
この作品は戯曲化され、映画化され、ドラマ化されたクリスティの短編の中でも知られている作品。主人公は弁護士であり、絶体絶命な容疑者を救う為奔走するが、彼にとって不利になる様な証言ばかり、合わせて彼と同居している女性から証言を得ようとするが、彼女も彼を落とし入れる様な証言を持ちだし、弁護士を困らせる。そんな中で謎の夫人から手紙が届き、とある証拠を金で譲ると言われ、弁護士は彼女に会う為、彼女の家を訪れる。そして裁判が始まる。
この作品が人気の理由として、後半の裏切りや怒涛の展開があり、更にはドンデン返しで閉めている事だろう。とても衝撃的な作品で、この一作だけでも抜き出す価値がある物語だ。
青い壺の謎
この作品も面白い。ゴルフ中、助けを求める声が聞こえ周りを探すが何もない。同じ時間、同じ場所で助けを聞くが近くの家の美しい女性はそんな声等聞こえないといい、不審な目で主人公を見る。彼は自身がおかしくなったのかと思いながら同じホテルに泊まる精神科医と知り合い、事の解明に乗り出す。その内、例の女性が現れ、謎の夢を見る様になり、精神科医と協力し、彼女の住む家を調べにいく。最後、こんなに親切な詐欺師がいるのかと思わず笑ってしまった。
アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件
怪奇小説。呪いによってと言っていいのだろうか。ミステリーにおいては魔法や呪いの様な類はタブーになる事が多いが(僕自身は言及があれば認めているが)今作はミステリーでは無い為、問題ないだろう。実際、アーサーを救う手立ては奇跡しか無いわけだが、見事に奇跡的な展開を用いて解決に導くのは流石の物語巧者だ。
翼の呼ぶ声
この男は何故この様な結末になってしまったのか。富や金に対する不安や不信は今も昔も変わらないが、この男の人生はなんとも寂しくて切なく感じてしまう。彼は富む事で満足を得ていたが一方で恐怖感や恐ろしさもあった。不思議な笛を吹く足の無い男。彼との出会いが全ての始まりであり、愉悦感と愚鈍な感覚が彼にのしかかる様になり、恐らく彼は壊れていったのだろう。恐怖感の強い作品だ。
最後の降霊会
ホラー作品。子供を亡くした母親の狂気なわけだが、実際に降霊者の体が半分無くなり、降霊した子供を持ち帰ってしまった母親の罪になる訳だが理論的に説明が出来ない現象がおきる。ラウールの立ち位置は不明で本当にシモーヌを愛していた様だが結末は反するものだ。
S•O•S
周り数キロ何もない所に立つ怪しげな家。そこで暮らしている怪しげな家族。何かが起きようとしている雰囲気。外は嵐。偶々自動車の故障により、助けを求め家を訪れた精神科医。急遽宿泊出来ることになり、感謝しながらも怪しげな雰囲気を持つ家族に興味を持ち始めるが、彼の用意された部屋にS•O•Sの文字がかかれている。
結果として殺人未遂の様相だが、最後この様な判断ではまた何かしらの事件が起きそうだと予測してしまった。
幻想怪奇小説は乱歩以来で期間も空いており読み慣れていない為、充分に理解できていないと思う。幾つか素晴らしい短編作品もあり、気分転換になった作品集だ。