アガサ・クリスティーのレビュー一覧

  • ハロウィーン・パーティ〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    映画『名探偵ポワロ:ベネチアの亡霊』の予習として読んだ本作。
    ポワロの物語にしては(と言ってもそんなにたくさん読んでいるわけではないのだが)、連続殺人事件が起こるわけでもなく(と言いながら犠牲者が3人になっているのだが)地味な作品だったように思う。
    丁寧に読み込んでいくと、確かに犯人へと繋がるヒントは散りばめられていたようだが、今一つ腹オチはしない。
    大体、犯行に至る犯人の心情は身勝手なものと相場は決まっているのだが、本作の犯人はまさにその典型と言って良いだろう。
    その矛先が子どもに向けられたところが何とも後味が悪い・・・

    0
    2023年10月09日
  • カリブ海の秘密

    Posted by ブクログ

    この年になってクリスティかと笑われそうだが、旅行中に何か読む本をと思って本棚の中から一冊選んで持っていったところ大層面白かった。本棚にあったので初読ではないはずだが、読んだのは何十年か前で内容は完全に忘れていた。

    ここ最近の複雑なトリックとサスペンスが洗練されたエンターテイメントと比較して、クリスティなんて非現実的なプロットと時代がかった謎解き話かと軽く見ていたが、穂井田直実の解説にある通り、年を取って判る面白さというものは確かにある。ミス・マープルの年齢に近くなって、そろそろ老人の生活を復習しておくにはよい年かもしれない。シリーズをもうちょっと読んでみよう。

    0
    2023年10月09日
  • ハロウィーン・パーティ

    Posted by ブクログ

    推理作家のオリヴァ夫人を迎えたハロウィーン・パーティで、少女が突然、殺人の現場を目撃したことがあると言いだした。パーティの後、その少女はリンゴ食い競争用のバケツに首を突っこんで死んでいるのが発見された!童話的な世界で起こったおぞましい殺人の謎を追い、現実から過去へと遡るポアロの推理とは。

    映画化されるというのでこれは予習せねば!と読みました。新訳版が出ていたのに気づかなかった。小さな子供が犠牲になるのは悲しいんだけど、ある意味自業自得な面もあって余計にぐさっとくる。嘘つきや脅しは良くないですね。犯人は種明かしまで全然分からなかった。読み返すと伏線があってクリスティのすごさに毎回感動する。昔の事件と今の事件がつながるって面白い構造で、最近増えてますけど当時は少なかったんじゃないかな。
    ちなみに映画はあまりに違い過ぎて原作とは完全に別物と思った方がよいです。。。ホラーっぽいし舞台も登場人物も違いました。

    0
    2023年10月09日
  • 白昼の悪魔

    Posted by ブクログ

    ポワロと一緒に人間観察をしていると思っていたら、違う見方をしていたことにハッとさせられる。視点をずらすこと、物語を俯瞰して広い視野で考えることの面白さを改めて感じます。

    唯一困ったのは、訳が古く違和感を感じて、要所要所で興が削がれること。当時の訳程は古くないだろうけど、いつ訳出したのだろう?
    クリスティも新訳が出てくると嬉しいなあと思います。

    0
    2023年10月08日
  • カーテン

    Posted by ブクログ

    エルキュール・ポアロ最後の事件。舞台はポアロ初登場となったスタイルズ荘。ここから伝説が始まり、そして終わる。衝撃的な結末で幕を閉じる。アガサ・クリスティが創造した名探偵ポアロは今までもそしてこれからも人々の記憶に刻み込まれるだろう。

    0
    2023年10月06日
  • メソポタミヤの殺人〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ポワロの解説が核心に迫るまで真相に気がつけなかった…!その場にいるかのようにだんだんと背筋がゾッとしていく感覚になった。古代文明の発掘現場と魅惑の女性の組み合わせだから、全体的にロマンチックな雰囲気だった。

    0
    2023年10月05日
  • 死との約束

    Posted by ブクログ

     登場人物の魅力、キャラクター性は様々な物語になくてはならない要素だ。クリスティは描写力に定評があり、人物描写、風景描写は本当にその人達がその場所で生きている様な、そんなイメージを読者に与える。当然、時代のギャップや違和感は出てしまうが、それはあくまで古典としてのギャップであり、反対にそれらも魅力として捉えると、とてもノスタルジックな世界観の中ミステリーが展開されていき、何か壮大なストーリーを経験している様な、そんな気持ちになる。
     今回、いきなり「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」という二人の人間の会話をポアロが偶然耳にするところから始まる。舞台はエルサレム、そして死海を中心に展開されていき、ポアロの海外旅行物の一つにあたる。イラクやエジプト等、考古学者のパートナーを持つクリスティらしい場所から、今回はイスラエル周辺が舞台となり、砂漠や岩だらけの場所、洞窟等現実離れした設定が魅力的だ。
     物語の中心はサラ・キングという若い女医とボイントン家の人々が担う。家長のボイントン夫人はとても嫌な人であり(クリスティは嫌な年寄りを描かせたら世界一だろう(笑))、ボイントン家の人々は彼女に支配され、洗脳され、外界での生活を遮断されて暮らしている。今回、偶然、家族旅行に来ているが、周りからすれば異常な家族に見られている(全員が夫人の悪意に敵意を持っているが、批難の言葉は辛辣、余りにも酷い表現が昔からクリスティ作品の魅力の一つでもある。)
    舞台はホテルから場所を移し、ヨルダンのペトラに移動するが、そこでボイントン一族を巻き込む殺人事件が発生する。物語は第二部に進み、ポアロのが本格的に参戦し、事件の真実に迫る。
     メロドラマ的な要素と二転三転するストーリー。誰かが誰かの為に真実を偽り嘘をつき、全てを隠そうとしていくが、ポアロは真相を見抜き、心理の中に真実を見つけ、組み合わせていく。全てを正しく配置するポアロの手法が巧みな作品で、僅かの時間で真相に辿り着いてしまう。
     クリスティ作品を読み慣れていた事と、遥か昔に読み終えていた作品の為、何となく犯人を推理できたが、やはり一筋縄ではいかない、意外性のある展開は面白い。また、個人的には「オリエント急行事件」についてポアロが問われ、言及している様子もあり、あの事件の結末とポアロの対応にはとても感動していた為、作中ではどの様に思われていたのかが不思議であった(やはりあの結末を世間が納得していない事は明白な様だが、真実は一族とポアロしか知らない)
     長い間クリスティの作品に浸かり、そもそも僕の読書の土台を形成した作家であり、また改めて作品を手に取るようになると、過去作との関連や言及が以外に散りばめられている事に気づき、面白さのベースが改善されていく。今作は当然、過去作なしでも楽しめるのだが、雰囲気を更に楽しむ為に「ナイルに死す」や「メソポタミアの殺人」「白昼の悪魔」等と関連して読むと旅行気分を味わいながらとても楽しめるだろう。

    0
    2023年10月05日
  • ハロウィーン・パーティ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ミセスオリヴァ
    p64マギンディ夫人
    りんごの水
    ディンドンベル子猫は井戸の中
    ギリシャ
    生け贄
    マクベス夫人とナルキッソス

    0
    2023年10月09日
  • NかMか

    Posted by ブクログ

    みんな大好きトミー&タペンスの第三作
    英国文学史上最強の『おしどり探偵』も46歳、『秘密機関』で運命の再会をした時は「ふたり合わせても45歳になっていなかった」のにね〜

    双子の息子と娘も成人していて、世間も子供たちもふたりを完全に年寄り扱い
    46歳なんてまだまだ現役だろうが!むしろ働き盛りだわ!ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
    って思うのは今の日本だからかな
    第二次大戦真っ只中のイギリスではそうなんかな?
    まぁ太平洋戦争時の日本も戦地に行ったのは若者ばかりだったからね
    当時の日本人男性の平均寿命か23歳9ヶ月というんだからたいへんな時代です
    あ、またしてもめっちゃ横道に逸れてしまった
    横道逸造(誰や!)

    はい、『NかMか』ね
    まぁ簡単に言うとトミー&タペンスがナチのスパイを見つけるために〈無憂荘〉というゲストハウス(日本で言う下宿屋?)に潜入するという冒険小説です

    まぁ、もうあからさまにぜんぜん違う筋追ってるじゃん!とイライラしっぱなしでした
    もうアホか!と
    分かりそうなもんだろ!
    最初からこいつが怪しいだろ!
    しかしこれは私がすごいのではなく、再読なのでなんとなく覚えてただけの可能性大ですw

    そんでなんかあれが実はあれでみたいな、本作の肝の部分の設定って他の小説でも読んだ記憶がある

    しょうがないよ
    斬新な設定思いついた!ってなっても「それもう似たようなことクリスティがやってます」てなるもん
    もう「いえいえオマージュです」って言うしかないよね

    オマージュ海老(ひどい締め)

    0
    2023年09月29日
  • 死との約束

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    殺人が起きるまでの第一部は「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃならないんだよ」という興味を引く一文から始まるわりに大したことも起こらないようにみえて焦らされた
    中東の風景に詳しくないのもあって想像しづらかった
    うってかわって謎解きに入ってからはボイントン家の人々の行動や犯人にかなり意外性があって想像以上におもしろかった
    自分が母親に会ってみたら死んでて、それを家族がやったと全員勘違いしていくところがいい
    犯人を含めて一堂に会した謎解きかと思いきや、犯人には隣の部屋で盗み聞かせておいて…というのが凝ってるなと思った

    0
    2023年09月29日
  • ポアロのクリスマス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    気づきそうなのに気づけなかったまさかの結末…!伏線は沢山あったのに気付けなかったのが悔しい。アガサクリスティーらしさが感じられて好きになった一冊。
    最初は怪しいと思っていた婦人達が皆かなりまともで各々自分なりに夫を支えて、苦労しながら生きてきたんだなと思うと立派だなと感じた。
    最後に家族の中で和解ではないけど、お互いを受け入れ合うシーンがクリスマスらしくて良いなと思った。

    0
    2023年09月27日
  • 満潮に乗って

    Posted by ブクログ

    推理小説においてワクワク出来る舞台装置は色々有るけれど、その一つとして挙げられるのは本作が扱う「大富豪の遺産を巡る殺人」だろうね
    大富豪ゴードン・クロードの後ろ盾を頼りに生活してきた一族が彼の死と戦後の空気に拠って困窮していく様子はどう捉えても殺人事件の土台が整えられているとしか受け止められないもの

    その一方で舞台が整えられ過ぎているとも言えるのが本作の面白いところ
    ゴードン・クロードの遺産を横から掠め取るようにして手にしてしまった哀れなロザリーン。誰も彼もが彼女の死や不義を願うのは理解できる流れとして、その感情を後押しするように様々な噂が錯綜するのだから奇妙な話になってくる

    事件が起きる2年も前にロザリーンの前夫が現れるとポアロの前で予言する少佐、事件直前にもクロード一族の女性が霊のお告げでロザリーンの前夫が死んでいないとポアロに教える
    そして実際にロザリーンの前夫、ロバート・アンダーヘイを思わせる男性が現れるのだから本当に奇妙で面白い

    舞台は非情に整っている。だからこそ、整っていない部分が引っ掛かりとなって事件をより意味不明なものとしていくわけだ


    本作の特徴をもう一つ上げるなら、事件を起こす動機を持つ者が多すぎる点が挙げられるのだろうね
    遺産を巡る心理的動揺がクロード一族やロザリーンの兄、デイヴィッドに巻き起こっているから誰が殺人を犯しても可怪しくないように思える
    実際に私も読んでいる最中は「あの人が犯人だろうか?」と思った数分後には「いや、あっちの人が犯人なのでは…?」と迷ってしまうほど

    誰も彼もが戦後の苦しさから遺産を自分の手元に呼び寄せたいとロザリーンの不幸を願ってしまう。それが誰が犯人になっても可怪しくない空気感を醸成し、ミステリドラマとして読み応えある内容となっていたよ


    どのような事件だろうと、名探偵ポアロが関わるなら犯人は明らかになる。本作も例に漏れず混迷を極めた事件推移だろうと犯人は最終的に明示される
    個人的には「そう来るか!」と様々な意味で思えるラストでしたよ
    最高に面白いというわけではないけど、人間ドラマに絡めたミステリとしてはかなりの一品として仕上がっているね

    0
    2023年09月26日
  • 白昼の悪魔

    Posted by ブクログ

     ポアロシリーズはメロドラマ的なスタートから始まる事が多いが、今作でも元女優の美しい女性とスポーツマンでとても美青年が物語の主軸になる。
     舞台となる美しいリゾートホテルは描写だけでも煌びやかで、お金持ちが宿泊する。評判のホテルだ。ポアロは休暇で訪れていたが、案の定、事件を呼び寄せてしまう(笑)ホテルに宿泊する人達は個性豊かな人達が多く、こんなコミュニケーションが求められるのは嫌だなぁと現代的に感じてしまう。一癖、二癖と持っている登場人物達は、ある意味で冒頭からミスリードを誘う様な描き方もされており、結末で結局は良い人だった、悪い人だったが当然ある訳だが、少々大袈裟だろうと苦笑いしてしまった。
     ポアロと宿泊客達は漠然としているがどこと無くこのホテル内で「悪」の存在を意識しており、おかしな牧師は悪魔について語る様な有様だ。ただし間違い無く異様な空気は漂っており、冒頭、それはあらゆる男性を虜にしてしまう(タコの様だと言われており笑ってしまった。当時の人達の悪口はシリーズ通して辛辣なんだ(笑))元女優に向けられているが、彼女の死をきっかけに本当の「悪」が炙り出される。
     ポアロの彼らしさは普段より少ないかも知れないが、今回の細かい、何気ない事柄が真相に繋がっていく様はまさしく作中で述べられている様にジグソーパズルのピースの様な役割だ。彼の作品は事件が何度も起きる、第二、第三の事件が発生する事もしばしばあるが、今作では様々な部分がまとまっており、とても読みやすい作品だった。
     16歳の少女が登場人物として役割を与えられているが、当時ではこの年齢はまだまだ子供の部分が強いのだと感じた。現在の中学生くらいのイメージが受け入れやすい。感受性豊かな世代であり、事件にも関わるが、最後、一人にしてはいかんだろうと思ってしまった。こういう部分も踏まえて読者を欺こうとするのは良いが、今作はやりすぎている様で、登場人物達とポアロ達がコミュニケーションを取る場合に、全員が何かしらおかしな事をしており(笑)。少し狙いすぎだと思う。
     (今作の空気感には合っている感じだ。)
    まあ、何だかんだ面白い事には変わりない。フーダニットに関しては流石のクリスティだった。

    0
    2023年09月25日
  • 謎のクィン氏

    Posted by ブクログ

    クイン氏登場
    クリスティが生み出した探偵の中でもかなり特異な人物であり、シリーズ化はされていない(短編集のみ)がかなり好きな作品になった。
     自動車事故により年跨ぎの夜にとある屋敷に現れた謎の人物。過去、この家で家主が自殺しており、その真相は未解決ねままであったが、十年の後、過去を振り返ればいらないものが削ぎ落とされ、真実のみが見通せるものだと謎のクイン氏は話し一座と共に過去の事件の記憶に潜っていく。独特な手法により、過去の事件の真相を見事に解き明かす。結末もクリスティ的だ。
    窓ガラスに映る影
    クイン氏の物語はサタースウェイトで始まる。そして一作目に続き、お化け屋敷が話題だ。アンカートン夫妻が暮らすグリーンウェイズ荘。その館の窓には過去に暮らしていた大佐の影に見えるシミが現れて人々を不幸にする。遥か昔から窓ガラスを変えてもそのシミは必ず現れて何かしらの不幸が起きる。今回もガラス窓を取り替えたのにも関わらずシミが現れその後、銃声が聞こえ二人の男女の死体が発見される。また、とある婦人が銃を握っている様から事件は簡単なものと思われたが。そんな中でたまたま主人と約束をしていたクインが姿を現し事件の真実を導き出す。
    〈鈴と道化服〉亭奇聞
     サタースウェイトとクインは運命的に出会う。とある田舎にて車がパンクしてしまい短い時間、宿屋で食事をする事にしたサタースウェイト。そこで偶然クインと再会し、宿屋のある地区で起きた不思議な失踪事件について見解を話す。物事は過去になればなる程余計なものが削ぎ落とされて真実が見えやすくなる。失踪事件の結末についてはクリスティ得意の人物の入れ替わりを駆使したトリック、面白い物語だ。
    空のしるし
     今回はサタースウェイトが冒険を強いられる。とある男が有罪になるが、サタースウェイトは判決に納得出来ない。彼の行きつけのレストランでクインと再開し事件の詳細を告げる。事件後、お手伝いさん一人がカナダに渡っており、サタースウェイトはクインに後押しされて、カナダまで出かける。彼女を見つけ、話を聞き出し、ロンドンへ戻り、クインと再会。サタースウェイトはクインに真実を告げ、クインは彼に助け船をだしながら真実に辿り着く。少しクインと言う人物の印象が変化した作品。
    クルピエの真情
    こういった作品を短編の中に入れてくるのは驚いたが、いいスパイスだ。ロマンス作品も出しているクリスティならではだし、二組のカップルについてとある仕掛けを施すサタースウェイトとクインはとても人間臭い一面があるのだなぁと感心する(クルピエと伯爵夫人について何かした様な描写は無いが、クインがクルピエを連れて来たことが仕掛けの様に感じた)とても平和な作品であり、こういうものだけだと疲れてしまうが短編集の一編で、しかもクインのシリーズの世界観がわかってくるタイミングなのでとてもよかった。
    海から来た男
     余命宣告を受けた男。自身は孤独であり、断崖絶壁を訪れるがサタースウェイトと出会う。サタースウェイトは自身がこの土地に来た事を後悔していた。そんな折り、男性と出会い、会話をしながら彼が自殺を仄めかしている事に気づき諭そうとするが手ごたえはない。男は昨日も別の人物に止められており、二日続けて上手くいかなかった。一方でサタースウェイトはこの地にある屋敷がどうしても気になってしまい、ついつい勝手に家のドアを開けてしまう。そこで女主人に呼び止められ、事情を伝えると、家に招かれ不思議な話を聞かされる。
     自分の人生が将来、とある時点で誰かの人生を変えるかも知れない。神という演出家が出番を最後にしているかも知れないし出番自体がないかも知れない。というのはミステリには珍しく胸に刺さる教訓だ。そして、今作もハッピーエンドで幕を閉じる。終盤にようやくクインも登場するが、サタースウェイトの冒険であるだろう。
     闇の声
     女男爵というのは初めて聞いたが、基本は男性が爵位を継ぐものだが、稀に女性が継承することもあるらしい。何度も結婚し、自由奔放に生きる女性。反対に堅実で真面目な娘。娘が住んでいる屋敷で交霊会が開かれ、過去に船の事故で亡くなった叔母より、何かを返せとお告げがある。サタースウェイトは彼女達を知っており、とあるテストをしてみたが、本人達しか知り得ない事を知ってた。結末はクリスティお決まりパターンだったが、現状に至るまでのプロセスに現実味が無く、リアリティの面では難しい作品だ。犯人の結末も雑に感じてしまった。
     クインはサタースウェイトの事を面倒になったのかなぁ(笑)何か裏がありそうだ。
    ヘレンの顔
    オペラハウスでサタースウェイトとクインは再会する。クインは探偵役というよりは超優秀なワトソンなのかも知れない。余りに美しい女性を見つけて二人が興味を持ち彼女と連れの男性の後を追いかけていく様には笑ってしまうが、それ程の美女だったのだろう。彼女達にもう一人の男性が加わり、サタースウェイトは嗅覚を発動するが、クイン曰く何かがあった場合、それはサタースウェイトの事件だと告げて何処かに消えてしまう。
     女性をめぐり男性同士トラブルがあり、サタースウェイトが彼女の救済にはいる。後々結ばれる側の男性と別れを告げられる側の男性。そして女性に訪れる危機。トリックはある程度有名な知識なのだが、実際ラジオでできるのかは難しいところだ。
    死んだ道化役者
    第一作目のパロディになっており、今度はサタースウェイトが客人達を促し過去の殺人事件の真相を探る。いつの間にかクインも現れており、ワトソン役を演じる。きっかけが面白く、とある画廊で出会った絵画。サタースウェイトが知っている屋敷を舞台にクインそっくりな人が倒れている構図。彼が購入した後にそれを買いたい夫人とモデルの屋敷の夫人も招待し十四年前の事件の謎解きが始まる。解決はその場にいた人達に委ねられ、クインはいつの間にかに消えていなくなっていた。
    翼の折れた鳥
     ロンドンのとある屋敷で交霊会が開かれ、偶々部屋に居合わせたサタースウェイトはクインからのお告げだと言われたものを聞く。その日、サタースウェイトは郊外の屋敷に招待されていたが、寒さ等不快なものを避ける為に断っていたのだが、お告げに因果を感じ招待を受ける事に。
     招待先の屋敷で起こる殺人事件。サタースウェイトは面識のある警察官と話しながら謎を解明していく。ウクレレのトリック描写は丁寧で、分かりやすい。
     ますますクインの正体が謎に満ちてきた。
    世界の果て
     クインのシリーズは不思議な出会いの物語なので、事件の土台がそれに由来していても不思議には思わない(偶然の出会いの筈が、計画的事件等)がギャップは感じてしまう。今回も伯爵夫人、若手の女流画家、舞台女優達がそれぞれ偶然に会合する訳だが、実はそれぞれにとある窃盗事件絡みの接点があり、その真相こそがそれぞれの人生の道筋を照らす。今回もクインは目立たないが、サタースウェイトを導いた。
    道化師の小径
     結末はよくわからなかったが、サタースウェイトとクインの物語はひとまず落ち着く事になる(クインシリーズがもう一編あるのは知っていて、楽しみだ。また、ポアロシリーズにサタースウェイトが登場していた事は完全に忘れていた)
    とあるダンサーの話。人々を魅了する様なダンサーだが一方でバレェを捨てることが苦にならない程の愛情を持って結婚している。とある興行が開かれる予定だったが、ダンサーが事故で怪我をしてしまい、急遽婦人とクインが代役を務める。
     結末はとても寂しいが、悲哀の物語として素晴らしい。

    今作は実はクィンがワトソン役、サタースウェイトが探偵役と捉える方がしっくりとくる。優秀なワトソンが人間観察が得意なサタースウェイトにヒントを出して解決に導く。更に作中通して何か超世界的な雰囲気を纏い、独創的な作品にしている。ある意味でクリスティの他作とも違った世界観をしており、シリーズの長編を読んでみたかった願望がある。ポアロシリーズに続き、クインのシリーズも誰か描いてくれないかなぁ。

    0
    2023年09月20日
  • ハロウィーン・パーティ

    Posted by ブクログ

    ハロウィン・パーティの最中、少女が殺されるところから物語が始まる。その殺人の調査を探偵作家のオリヴァがポアロに依頼する。そしてその村の人々や過去の事件を探って真実を明らかにしていく。読み終わって、なるほのあれが伏線だったのかと楽しめた。

    0
    2023年09月19日
  • ハロウィーン・パーティ〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    映画化ということで読んでみた。
    めちゃイギリスっぽい話だけど、これがどうヴェネツィアの降霊会の話になるのか?楽しみ♪

    最後の手術の相談、というのが結局何だったのかよく分からない。

    0
    2023年09月19日
  • 雲をつかむ死〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    数十年ぶりに手に取った一冊。飛行機の中での殺人事件の謎をポワロが追う。そんな展開だったとはおぼろげに覚えていたものの、結末は忘れていて、そういえば!となった次第。他の有名な作品と比べると地味かもしれないが、その仕掛けはさすがのクリスティです。

    0
    2023年09月17日
  • 満潮に乗って

    Posted by ブクログ

     クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。
     何よりもまず。戦争とは悲劇であり、世界中不幸であり。過去の小説などを読むと恐ろしさや怖さがとても感じられる。今作は戦争が少し落ち着いた時代のイギリスが舞台なわけだが、一体罪とは何なのだろうか、と疑問に思う。当時、今回の様な事が時と場合で許容されるのはナンセンスだと思うし、一方の事件(ネタバレにならない様に注意するが)は現代ではでは当然積みに当たるしまあ、仕方がないには絶対ならないだろう。
     ある意味でポアロはよくこういう事をする訳だが、「オリエント急行」や「ナイルに死す」等は受け入れられるが、今作は違う(笑)。真実を知るのはポアロと事件の真相を打ち明けられた数名のみなので当然、彼らが打ち明けなければおもてに出ることは無いのだが。ポアロ自身、リンに対してはポアロの好きなタイプでは無いと言っており、そういった人物には今まで「ポアロおじさん」は発動しなかったのだが。少し不満の部分だ。
     金持ちが空襲で亡くなり、若い未亡人とその兄が生き残る。金持ちは一族に大きな影響力を持っており、財政的な援助なども踏まえ、彼なしでは破綻してしまう様な一族だ。遺書等もなく、巨額の財産は未亡人が受け継ぎ、一族は困窮してしまう。そんなおり、とある謎の人物が一族の住む村に現れじけんに繋がっていく。
     フーダニットがベースではあるが、そもそも序盤から練り込まれたトリックがあり、最後に衝撃を喰らう。再読だが、初めて読んだ時はインパクトがあり記憶に残っていたが、大人になってから読むと昔ほど印象深い作品ではなかった。
     登場人物達が綿密であり、クロード一族は今後衰退していくだろう。当たり前のものが当たり前ではなくなる、自分が手に入るはずだったものが他人のものになる。そんな時に生まれる人間の嫌な部分が詰まっている作品であり、少しだけセンチメンタルになった気分だ。
     トリックの面白さ、登場人物達の灰汁の強さはシリーズにおいても面白い方で、ポアロのメロドラマ的な部分も充分楽しめた作品だ。最初の数冊には勧めないが幾つか読んでからの方が味が出る作品だ。

    0
    2023年09月16日
  • エッジウェア卿の死

    Posted by ブクログ

    エルキュール•ポアロが自身に対して失敗を認めることは、ポアロシリーズの後半にはよくある事で、「私はなんて間抜けだったんだ!!」と反省しては真実に辿り着く事がある程度お約束の部分ではあるが、今作「エッジウェア卿の死」においては真相究明までに何度も誤った道筋を辿り、ようやく終盤にて真犯人を導き出すという状態である。冒頭、ヘイスティングスにより、ポアロはこの事件への関与を公表したくなかったと述べているが、珍しく名探偵が犯人に丸め込まれる一歩手前まで来ていた様な事件で、今作の犯人の秀逸さがみてとれる。
     舞台女優とそれを取り巻く人達。大女優は夫と離婚したいが認められず、彼女は殺してしまいたいと周囲に吹聴しているが、食事の席でポアロを見つけ、うまいこと夫の考えを翻す協力を依頼する。ポアロ自身エッジウェア卿に興味もあり依頼を受け彼を訪ねるが、エッジウェア卿は既に離婚を認めており、書面を数ヶ月前に送ったという。
     全く予想だにしない結末から、その後、エッジウェア卿が何者かに殺害されたとポアロの元に連絡が入り、捜査がスタートする。
     クリスティ得意のトリック、人の入れ替えや手紙の謎が主な構成になっているが、いずれも趣向を凝らしており、一本調子では無く一つ、二つと撚りが聞いている。そもそもエッジウェア夫人が逮捕され、アリバイがあり容疑者から外れる一連から既に読者は欺かれており、相変わらずクリスティ作品は凄まじいと驚嘆してしまう。被害者については不幸な結果になっているが、真犯人については処刑に至るまでらしさを備えている。最後、犯人からの手紙があった事、自身の能力を過信している事(ここは職業柄、納得のいく部分ではある)等見事に描写している。
     今回、ポアロは中々苦戦を強いられたが、探偵小説では事件か連続しなければ犯人を突き止められないのではと思う事がしばしばある。今作でも容疑者が逮捕されている状態から第三の殺人が起きてしまえば、明らかに犯人は別だという事になってしまい、綻びが出てしまうのだが、その方が作品としては面白いのだろう。いずれにしろ、やはりトリックは秀逸で思いもよらない犯人と結末だった。

    0
    2023年09月13日
  • ハロウィーン・パーティ

    Posted by ブクログ

    今週末、「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」が上映されるそうなので原作を再読。犯人、覚えていなかった。わざわざ買い直したけど翻訳者は同じだったのがちょっと残念。ところどころ口調がポワロらしくなかったので、しっくりこなかった。クリスティ晩年の作品で、理屈っぽい描写が多いのは仕方ないにしても、登場人物すべてを生かしきれなかったような気もする。割と地味な作品なのに、なぜ映画化しようと思ったのか。それもイギリスの片田舎から舞台をベネチアに変えて。楽しみなようでもあり、不安でもあり。

    0
    2023年09月12日