アガサ・クリスティーのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ自宅で新聞を読んでいたマープルは、死亡欄にかつてカリブ海の島でともに事件を解決した「ラフィール」の名を見つける。
そこからマープルは、生前に残されたラフィールの指示に従い行動をしていくが、その目的は不明のまま。指示通りバス旅行に参加し、指示通りその道中にある三姉妹が住む邸宅に滞在することになる。どうやらラフィールの目的が、ラフィールの息子マイクルがかつて犯した殺人事件に関係しているということが分かってくる。
そのような中で、バス旅行の参加者の一人ミス・テンプルが落石事故により死亡する。
マイクルが殺したと思われていた少女を殺したのは誰なのか、ミス・テンプルは本当に事故死なのか。
悪を憎み、自らを「復讐者」と位置付けて詰めに詰めまくるマープルがいつになくアグレッシブでかっこいい。愛とは本当に恐ろしいもの。
登場人物がかなり多いのが難点。
クリスティ作品の中でも珍しい連作なので、『カリブ海の秘密』を先に読むことを推奨。 -
Posted by ブクログ
ネタバレマープルシリーズの中でも間違いなく名前が上がる本作。
「でもマザーグースものか、馴染みないからな〜……」とあまり乗り気ではありませんでしたが、オススメされるのも納得。さすがの面白さでした!
投資信託会社の社長が毒殺され、いつも通り疑いがかかる親族たち。
それにしても、クリスティー作品を読むたびに「いい子だけど闇を抱えた長男、人に好かれる放蕩息子の次男、しっかりものの長女」というきょうだい構成は万国共通なのかなとしみじみ思います。私の兄たちがまさにそうなので……。
閑話休題。
今回はニール警部が捜査の指揮を取るということで、ミス・マープルの登場は中盤近くになってから。セント・メアリ・ミードからは遠く離れたお屋敷が舞台なので、うまく捜査に入れるか不安でしたが、そこはさすがの”おばあちゃん力”ですんなりと溶け込みます。コナン君と同じですね笑
肝心の謎解きの方は相変わらず誰も彼も怪しく見える手法で、犯人にもビックリでしたが、もっと衝撃だったのはラスト一文。
今回は育てたメイドが犠牲に……ということで事件に関わったミス・マープル。ただ、彼女を突き動かすのは正義感だけではないのだとまざまざ思い知らされました。
”何があったのか知りたい”そんな探究心の強さが、彼女をただのおばあちゃんではなく”ミス・マープル”ならしめているのですね。魅力的なのに少し怖い。そんな主人公に我々読者は惹かれてしまうんだろうなぁ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ甥夫婦の厚意で陽光降り注ぐカリブ海のゴールデン・パーム・ホテルに滞在することになったミス・マープル。そこには個性豊かな宿泊客が集まっていた。二組の夫婦、頑固者の大富豪とその世話係、そして退役軍人の老紳士・パルグレイブ少佐。マープルは、話半分にパルグレイブ少佐の長話を聞き流していたが、翌朝冷たくなった少佐が発見される。高齢者が突然死ぬことはよくあることと、事件性も疑われず処理されてしまうが、マープルは少佐が語っていた写真のことが気に掛かっていた。しかしその写真は少佐の持ち物から忽然と消えてしまっていたのである。
少佐の死には何かあると踏んだマープルは、宿泊者たちを相手に捜査を進めていく。
その最中、何かしらの秘密を握っていたと思われる人物が殺害されると、自殺未遂や新たな殺人など事件は連続殺人の様相を呈し始める。
警察が完全に空気の中、マープルはかなり能動的に捜査を進めていく。歯に衣着せぬ物言いの大富豪ラフィールとのタッグがこの作品の見所。年齢は全く違うけれど、ラフィールがジェフリー・ディーヴァー作品のリンカーン・ライムに少し似ていてそこも面白かった。
クリスティ作品は基本的にどの順番で読んでも問題ないが、この『カリブ海の秘密』と『復讐の女神』は明確な繋がりがあるのでこちらを先に読むべき。
「隠し事のある人にとっては、会話はいつだって危険」ポアロも言っていたこの言葉。かなり的を射た考え方だと思う。
-
Posted by ブクログ
ネタバレあらすじ
十数年前、とある夫婦が心中します。
その夫婦の娘が婚約するにあたり、相手の養親が心中事件の詳細を知りたがり、紆余曲折をへてポアロが調査することになります。
感想
十数年前におきた心中事件がテーマで、新しい事件が起こるわけではありません。
また、当時の関係者の話を聞いていく、という地味な展開のため、退屈してしまう読者もいるかもしれません。
私はこの落ちつきが嫌いではありませんが。
事件の真相は、"家族愛"だと思いました。
精神障害と遺伝に強い相関があると思われていた時代。
夫婦は真相を隠すことで、姉を守るだけではなく子供たちも守ったのではないでしょうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読んでいるうちに、「あれ!?ポアロってこんなだっけ!?」ってなるくらい、規模が大きい!展開がはやい!スリリング!な話だった。
解説いわく、クリスティーならではのゆったりとした空気感…というものが他のポアロ作品にはあるらしいけど、この作品はもう次から次へとという感じで、いくつもの短編を手直してて作ったというのも納得がいく…
この作品はトリックを楽しむというよりは、マジックを楽しむ感覚に近いというか、不思議なことが起きて種はこうでした!みたいな流れの繰り返しだった。でもそれがすごく楽しい!!
わたしはポアロというキャラクターが好きなので、彼の頭脳明晰さナルシストさ、友情の厚さ、ユーモアさが今まで読んだ作品よりかなり色濃く出ているように感じで楽しかった。
世界一の巨大犯罪組織VSポアロなんて、そんな、胸が躍らないはずがない…
そしてわたしはポアロに全幅の信頼を寄せているので、ヘイスティングズが危ない目にあったり疑ったりするたびに「はいはい笑」という感じで、それもそれで楽しかった。
解説でこの作品を書いた当時のクリスティーのことを知ると、なぜだか親近感が湧いた。
「アクロイド殺し」を書いて、出版社はどんどん作品を書いて欲しいと言う、自分は本当に小説家としてやっていくのか?、夫には不倫を告白され、ちょっと失踪しちゃったし…この苦悩の仲、ここまでの作品を書き上げたのはすごいなあ… -
Posted by ブクログ
ネタバレある女性を看取ったゴーマン神父が何者かに殺害された。ゴーマン神父の持ち物から見つかったメモには、女性が死の間際に口にしたと思われる複数の人物の名前が羅列されていた。それらの人物は何を意味しているのか。
主人公で学者のマークは、警察医の友人コリガンから事件の概要を聞き、興味を抱く。
全くの偶然から「蒼ざめた馬」の名を耳にしたマークは、霊能力を持つという怪しげな人たちが住まう「蒼ざめた馬」という名の邸宅に赴く。例のリストは、ここの怪しげな住人たちによって殺された人たちなのではないか?そして、何者かが人を殺したい人間をこの「蒼ざめた馬」に導く役割を担っているのではないか?
マークが参加する降霊会以降の不穏な空気が秀逸。そんなことは科学的にあり得ないと言い聞かせても、もしかしたらとじわじわ這い上がってくる恐怖。
オカルトをテーマにしながらも、人々の背景をしっかりと描写しているのがクリスティらしい。ただ、マークがどうしてそこまでハーミアを拒絶するのかは理解しがたかった。
ポアロシリーズ常連のオリヴァ夫人登場作品。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ父親が本好きで、実家の離れは父の書庫になっていた。窓を除く三方の壁に置かれた本棚の、一番入口に近いものは子ども用で、児童書やコミックスを並べていたのだが、その隣は恐らく、子どもにも読めるものが置かれていたのだと思う。上2段は父が集めていた少年・青年漫画のコミックス、3段目以降がハヤカワミステリ。エド・マクベインやアガサ・クリズティを、ここで読みふけったものだ。
恐らく、本書を読んだのは中学生の頃、同じ時期に映像作品も観た。どちらが先だったかは覚えていないが、映像作品の冒頭の、ゴルフ場が崖の上の草っ原だったことに驚いた覚えがある。日曜になるとテレビで流れるゴルフの試合中継では、だだっ広い整地された起伏のあるグラウンド、そこかしこに意図的につくられた林や池、緑の芝生の真ん中に立てられた旗。そんなイメージしか持っていなかったからだ。
テレビでクリスティの映像作品が放映されると、極力視聴する。23年にNHKで放映されたテレビドラマ3回シリーズの再放送を観た。
冒頭のゴルフ場と、エヴァンズに“何を”頼まなかったのかは思い出せたけれど、あとはサッパリ。初見のようにハラハラドキドキしていた。
クリスティの映像作品で楽しいのは、女性のファッションだったりする。それほど服には興味ある訳じゃないけれど、この時代の欧米の服装はカッコよくて好き。現代では誰も被っていないような帽子がまたイイんだよね。事故で転がり込んだ筈なのに、フランキーは着替えを何着持ってってたんだい、というツッコミはともかく、風景とか建物とか衣装とか、文章では表し切れない美しさが表現されていて、だからドラマも好きなんだ。
話の流れも結末も知っちゃったけれど、また読むかな? 何年か経ってディテールをうっすら忘れた頃に、手に取ってみようかな。(2024-03-25NHKにて視聴) -
Posted by ブクログ
もともとの登場人物が多いうえに過去の悲劇的な事件まで出てきて、非常に入り組んだ事件。
しかも、証拠品はほとんどなくヒントとなるのは会話や表情のみということで、何度もページを戻りながら読んだのですが……つまらないなんてことは全くなくお気に入りの一作。合間に体調を崩してしまって2,3日お休みしてしまいましたが、そうでなかったらきっと一気読みだったと思います。
訳の上手さ、なんでしょうかね〜。冒頭から引き締まった空気が漂っていて私好みでした。
被害者を殺しても得なんかなさそうなのに、実は犯人の秘密を知ってしまっていて……というのは、ミス・マープルシリーズにもあった気が。
そして『ハロウィーン・パーティー』ではじめましてだったオリヴァ夫人、今作ではさらに存在感を発揮していてニコニコ。きっとクリスティー自身をモデルにしてますよね……?
どうやら初登場は『ひらいたトランプ』だそうで、これもそのうちチェックせねば。
ちょっともう少し元気な時にしっかり読み通して、今回気付けなかったあれこれを拾っていきたい所存です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一族の汚名を雪いだはいいものの、それによって歯車が大きく狂い、様々な苦悩を生んでしまう。
Ordeal by Innocence というタイトルがそれをよく表している。
レイチェルによって「人為的な方法によってつくられた」一家。レイチェル自身は本当の家族になれると信じて疑わなかったのだろう。でも、最後の各人のその後を見るに、やはりそれはうまくいかなかったということだと思う。
慈善事業と家族の在り方、児童虐待の根深さなど昨今の社会問題に通ずるテーマが盛り込まれている。
「そのくらいにしとかないとクリスティに殺されるよ」と多くの読者が思ったことだろう。正義を貫こうとするキャルガリが報われて何より。