アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレだって彼は殺されたんでしょ?
一瞬で登場人物全員を疑心暗鬼にさせる一言。
葬儀を終えたばかりのアバネシー家当主の死、その裏側にどんな真実があるのか。実際にはごく自然な病死であって他殺の証拠は一切ない。ただ、他殺でないと言い切れる証拠も存在しない。
"誰かに殺された"という(偽の)真実を生み出して、それを"知られたらまずい誰か"を各々に想像させる。そしてこれから自分が行う殺人の罪をその"誰か"に負わせる。
偶然の死と自分の犯行に繋がりがあるように印象付けて殺害動機を隠す。
被害者に最も近い人物でありながら、冒頭の発言が被害者本人のもので -
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面白かった
クリスティこそ人間心理のプロフェッショナルだな、
というのが感想です。
フィクションのはずなのに
登場人物がみな現実に存在する人物のように感じます。
人間は怖い。 -
購入済み
現実にありそう
綿密な計画とか、巧妙なトリックとかではないけれど
ポアロが乗り出さなければ、ばれなかっただろうと思うと
恐ろしいような気がする。
犯人の人物造形や動機も、怖くなるくらい現実的で
現実世界でも、こんな殺人が起きて、ばれていないのかもしれない。
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Posted by ブクログ
映画「ナイル殺人事件」原作。1978年版、2022年版ともに未視聴。中近東が舞台になる長編ミステリー。
本の半分近くまで事件が起こらないが退屈ではなく、旅情豊かに描かれる人間模様が面白くて、ぐいぐいと引っ張られるように読み進めた。分厚いのに読みやすい小説と評されることが多いのはこれのおかげだろう。本筋となる殺人以外にいくつもの事件が絡み合っており、どんでん返しのような衝撃はないものの、人間模様の濃厚さも相まって結末の余韻がいつも以上に味わい深い。というか、基本的にはラブストーリーといっていいんじゃないかと思う。推理部分の緻密さは相変わらずすごいが、本作は多様な愛の形を見られたのが特に印象に残 -
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久しぶりに古典ミステリーが読みたくなり「アガサ・クリスティ」の短篇集『黄色いアイリス』を読みました。
「クリスティ」作品は一昨年前の6月に読んだ『鏡は横にひび割れて』以来なので約1年半振りですね。
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四年前に死んだ妻の追憶のための晩餐会に出席してほしい―
ある富豪から奇妙な依頼を受けた「ポアロ」が赴いた場所では、昔とまったく同じ状況が繰り返され、テーブルには依頼人の義妹の死体が…
表題作を始め、「ポアロ」もの五篇、「パーカー・パイン」もの二篇、「マープル」もの一篇、幻想小説一篇を収録する珠玉の短篇集。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「アガサ・クリスティ」の『エッジウェア卿の死』を読みました。
『親指のうずき』に続き「アガサ・クリスティ」作品です。
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自宅で殺された「エッジウェア卿」の妻は、美貌の舞台女優「ジェーン・ウィルキンスン」だった。
彼女は夫との離婚を望んでおり、事件当夜屋敷で姿を目撃された有力な容疑者だった。
しかし、その時刻に彼女はある晩餐会に出席し、鉄壁のアリバイがあった… 数多の事件の中でももっとも手ごわい敵に立ち向かう名探偵「ポアロ」。
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久しぶりに読む名探偵「ポアロ」モノです。
1933年に発表された作品 -
Posted by ブクログ
ネタバレブリッジのルールを知らなくても面白い。知っていたらもっと面白いかも。
殺人を過去に犯したとされる4人と警視、調査局員、探偵小説家、私立探偵の4人がパーティーに招かれた。ブリッジをしている途中でパーティーの主催が殺された。ダミーの間に誰かが彼を殺した。それは4人の中のいったい誰なのか。得点表からポアロが導き出した真相は?
物的証拠が何もないところから、ポアロが推理を働かせて真相を突き止める。ポイントになるのはブリッジの得点表から見る4人の性格、彼らの過去、注意力、ブリッジのプレイヤーとしての遊び方。殺人は大きな賭けであり、大胆さと注意力を必要とする。
終盤、ポアロはロリマー夫人の告白を受け -
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Posted by ブクログ
ネタバレ南米の富豪ルノーが滞在中のフランスで無惨に刺殺された。事件発生前にルノーからの手紙を受け取っていながら悲劇を防げなかったポアロは、プライドをかけて真相解明に挑む。一方パリ警視庁からは名刑事ジローが乗り込んできた。互いを意識し推理の火花を散らす二人だったが、事態は意外な方向に…
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読み進めるの時間かかったー!ちょっと読みづらかった。場面の変遷が複雑というか、場所を把握するのが難しくて常に混乱気味だったかも。
ルノーの正体、真犯人、どちらもなるほど〜!!て感じだった(語彙力)真犯人の動機はありふれてるけれど、現在でも超現役な動機であって、人間て全然成長してないんだなって思った。
ジロー刑 -
Posted by ブクログ
全体的にはかなり好きな作品ながら、テーマとストーリーの相性が良くないのか惜しい印象が残った。タイトルのTowards zero「ゼロ時間へ」が、一つの事件に集約されていく強烈な流れを感じさせて素晴らしいのに、焦点となる企て自体がアガサお得意の見た目と違う人間関係から導き出される、つまり解決の時まで謎のため、例えばZの悲劇のような冤罪の死刑執行阻止を目指すカウントダウン的な緊迫感など得られようもなく、後付けの肩透かし感が残ったし、二次的な理由から起こってしまった凄惨な事件が悲しい。
犯人造形や、バトル警視、法律家等のサイドストーリーも面白かったし、追い詰められて無実なのに罪を認めてしまうところな -