アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
クリスティーの初ノンフィクション作品。
中東での発掘旅行が描かれていて、クリスティーの魅力が詰まったファンには嬉しい1冊。
この作品を読んで1番驚いたのが、クリスティーが肉体的にも精神的にもめちゃくちゃ強かったこと。
例えば、ネズミがわんさかいる寝室で寝た時のこの1文。
〈鼠どもがこちらの体の上前面を運動場にして、元気に体操したり、野外スポーツに励んだりしているありさまでは、眠るのはほとんど不可能である。〉
(۳˚Д˚)۳ギャーーー!!!!
ネズミが自分の体の上で暴れてる状況を、元気に体操だなんて!!笑
更に、ゴキ、クモ、ノミ、コウモリ、ヘビなど、モゾモゾ這いまわる生物がウジャウジャいるカオスな寝室((°ө°));ムリ
また、暑さと病気の蔓延で、堪え難い頭痛の極致の状態でもこの1文。
〈完全に疲労困憊して、痛みに悩まされつつ眠るというのも、あながち悪いことばかりではない。なによりうれしいのは、翌朝、心も晴れ晴れと、元気いっぱいにめざめたときの驚きと、そのすばらしさだ。
わたしは体じゅうに精気が横溢しているのを感じ、猛烈な空腹感を覚える。〉
いや、もう無敵な強さ。凄まじい回復力。
どんなことでも楽しんでしまう好奇心と強靭なメンタルと体力。
少しお転婆なお嬢様ぐらいに今まで想像してたけど、大間違いだった!
この本に描かれてるクリスティは、クレイジージャーニーに出てきそうな人だった笑
どんな時でもユーモアがあって、人生を思いっきり楽しんでいて、思ってた以上にユニークで魅力的な人だとわかって、ますます人としてのクリスティーが大好きになった。
著名な考古学者である2番目の夫マックス・マローワンは同じくタフな人で、どんな問題が起きても冷静沈着に解决して、人にも動物にもとても優しい人物だった。
イギリスでこの作品は、アガサ・クリスティ・マローワン名義で刊行されているとのこと。 -
Posted by ブクログ
1962年の作品。
ミス・マープルシリーズ長編8作品目。
ミス・マープルの暮らすイギリスの田舎街、セントメアリミードにも近代化の波が押し寄せ、新興住宅地には若い家族連れや夫婦が越してきて住むようになった。マープルの友人のバントリー夫人は、かつて住んでいたゴシントンホールを女優のマリーナ・グレッグに売却した。
マリーナ・グレッグと夫のジェイソン・ラッドは村の人々や映画関係の人々をゲストに呼んで、ゴシントンホールでチャリティーパーティーを開いた。そのパーティーの最中、新興住宅地に住むバドコック夫人が突然倒れ、死亡してしまう。このバドコック夫人には、ミス・マープルが散歩中に倒れたときに大変親切にしてもらったことがあったのだった。
事件の捜査には、主任警部となったクラドック警部があたるが、バドコック夫人の死因が酒に含まれた精神安定剤の過剰接種であること、マリーナと間違えて殺された可能性があることを突き止める。
大好きなクラドック警部が大活躍のお話です。
が、、「書斎の死体」から何十年も経ち、セントメアリミードにも近代化の波が…。1962年という時代背景をよく表していますね。日本では高度成長期。
バントリー夫人が未亡人になっていたり、時の流れを感じセンチメンタルになります…。でもイケメンクラドック警部がまだ独身なことがちょっと嬉しいw
暗い話ではありますが、クラドック警部がおばさん助けてくださいとミス・マープルに甘えまくり(この甘え上手!)マープルとクラドック警部の心温まる関係にほっこりします。
また、犯人と思しき怪しい人物に次々ミスリードされそうになります。
殺された女性は大変親切なのだが、いろんなことに首をつっこみたがり、周りがどう思うか考えもしない女性…アガサクリスティの別の作品で、「春をして君を離れ」という作品の主人公の女性を思い浮かべてしまいました。もしかしたらアガサクリスティが自分のある一面を写した人物像なのかな?想像を膨らませてしまいました。
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Posted by ブクログ
マープルは、13の短篇からなる『火曜クラブ』で安楽椅子探偵として描かれていましたが、本作は長篇での初作品。そのためか図が3頁もあり、セント・メアリ・ミード村の様子がよくわかり、読みやすかったです。
あらすじ:
場所は、閑静なセント・メアリ・ミード村。語り手で聖職者であるクレメント牧師に「誰かがプロザロー大佐を殺してくれたら、社会にあまねく貢献することになるのに」と言わしめるほど、誰からも疎まれていた治安判事が殺されます。殺害現場は、牧師館の書斎。事件当時、クレメント牧師はイタズラ電話の呼び出しで外出して戻ってくるところ、門前で青ざめた画家のローレンスとすれ違う。書斎に入ったクレメント牧師は、撃ち殺されたプロザロー大佐を発見。翌日、ローレンスが自首しますが、やがてプロザロー夫人も事件への関与を自白し、詮索好きな村人たちを巻き込んで混迷を深めて行きます……。
と、牧師が死ねばいいのにと言うくらいなので、殺された人には同情はしませんが、村人たち皆に嫌われている設定なので、誰が容疑者としても考えられる状況は、著者にけむに巻かれているようでした。途中、あーこいつら絶対グルだなと思いながら読み進めつつも、のんびりした展開が進む中、読み進めるほど怪しい人が増えていき、犯人はなかなかシッポを見せない。マープルもほとんど登場せず、語り手のクレメント牧師が興味本意で奔走する様子は、まさか『アクロイド殺し』のようなことはないよねと思ったり。
終わってみれば、マープルの見事な推理やそのとき語られなかった残された謎もスッキリする、読後感の良い話しでした(特にラストの一行がいいですね)。意外だったのが『火曜クラブ』での椅子に座りっぱなしのイメージと異なり、終盤でのアクティブな一面が見られたこと。まだマープルの作品の入口なので、他の作品も楽しみです。
ところで、所々でクリスティーのコミカルなユーモアのセンスに笑えました。例えばP172のクレメント牧師によるスラック警部の印象、P262-263のクレメント牧師が画家のローレンス・レディングに、ニュースに飢えたセント・メアリ・ミード村の住人の特徴を語る場面、P283の牧師の甥デニスによるプロザロー大佐の娘を評する場面でのクレメント牧師が「実に魅力的な癖だな」と言う場面などが面白かったです。
正誤(7刷)
P190の11行目
ローレンス・レディグ
↓
ローレンス・レディング
P253の6行目
どこなく感じが似ている青年
↓
どことなく感じが似ている青年
P349の5行目
母親ははちゃんとした人間です。
↓
母親はちゃんとした人間です。 -
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ネタバレアガサクリスティのマープルもの。殺人がどうやって起こされたか、その理由は何か。一つ目の殺人から起こるその後の展開の意味づけとは何か。被害者となった人は取り違えで殺害された。それを最初に誰が言い、そしてその後の展開にどう影響するか。逆にそれが虚言だとしたらなぜそのような虚言を言う必要があったのか。一つ目の殺人が話の根幹であるが、ただその殺人の犯人は自然と浮かびやすい。だからこそのどうして殺したのかの動機、話の展開の中で散りばめられている人物描写、家族観、愛情、色々なものが結びついて動機が明らかになるとき、犯人には明確な殺意があること、被害者にも殺される要因があることがわかる。
心の歪みに踊らされているのわからなくなる、その人の愛情や思いを辿りながら読み進めるとより感情移入がわかると思う。 -
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1952年の作品。
ポアロシリーズ長編24巻目になります。
マギンティ夫人が死んだ、どんなふうに?
掃除婦として働く老婆、マギンティ夫人が殺された。容疑者はマギンティ夫人が部屋を貸していたジェームス・ベントリーという男で、確かな証拠もあり、裁判で死刑判決が下された。
しかし、この事件の担当刑事でベントリー逮捕にあたったスペンス警視は、ベントリーの無罪を確信しており、旧友のポアロに事件の再捜査を依頼する。
事件を捜査するうち、ポアロは20年ほど昔に起きた別の事件がこの殺人に関わっていることをつきとめる。その四つの事件には全て女性が関わっており、犯人は女性に違いないー。しかし、怪しいと思われた裕福な老婦人、アップワード夫人もまた殺害されてしまう。
ポアロ作品は特に順番に読んでないんですが、冒頭でポアロがもう引退して3度の食事しか楽しみがなく暇をもてあましていること、ヘイスティングスを懐かしく思っているところから、後期の作品なのかな?と。
探偵小説家のオリバー夫人という女傑が出てきますが、これはアガサクリスティの分身かな?自分の小説の主人公が嫌いでしょうがないと言っているところがポアロと重なります笑。
昔の事件がどう関わってくるのか、それを推理するのが面白い!ですが、四つも事件があるので途中から誰がどの事件の話だったんやらこんがらがってきました汗。
スペンス警視がだんだんポアロに苛立って殺意すら覚えるところが大変面白いですね笑。 -
Posted by ブクログ
アガサクリスティのミス・マープルシリーズ。
マープルの友人のバントリー夫人が以前住んでいたゴシントンホールという屋敷にアメリカの大女優、マリーナ・グレッグとその夫が引っ越してくる。そこで盛大なパーティーが開かれるが、招待客の女性が毒入りの飲み物を飲んで死亡するという事件が起きる。
ミスマープルは、周りの人から話を聞いた情報だけで事件を解決してしまう、まさに安楽椅子探偵。普段は穏やかなおばあちゃんなのに、謎を前にしたらワクワクしちゃう好奇心旺盛なところがなんともチャーミングでした。
犯人が誰か、というのもそうですが、この作品の一番の見どころは何といっても殺人の動機。すごく納得のいく理由だと思った。そこからするすると謎が解けていく快感がたまらない、最高のホワイダニット小説でした。
やっぱりアガサクリスティは面白くて読みやすい。
ミスマープル物も色々読みたいな。 -
Posted by ブクログ
1924年の作品。
ポアロが主人公のアガサクリスティーの最初の短編集。
収録されている14編全てがポアロの相棒のヘイスティングス君の語りで描かれている。
いやぁいいですねぇ。ポアロの嫌な奴っぷりがふんだんに出ていて最高。ヘイスティングス君とジャップ警部をさんざんにコケにして喜んでいるところが!
この性格にクセがありまくりなところがミス・マープルとは正反対。クリスティ本人もポアロが大嫌いだったとかいうから、作者にさえ嫌われる主人公!!
でも私は幼き頃に名探偵ポアロのドラマを観て育ったもんだから、ミス・マープルよりポアロ作品の方が好きなんですよね。
窓から観察した人物評をするところはシャーロックホームズとワトソン君の会話にそっくりですね。
まだ若い頃のクリスティが書いた古き良き愛おしい探偵小説です! -
Posted by ブクログ
1964年の作品。
ミス・マープルシリーズ9作目。
ミス・マープルは療養のため、カリブ海の島サントノレに保養に来ていた。
話好きなパルグレイブ少佐は、ミス・マープル相手に妻殺しの殺人犯の話をして、殺人犯の写真をみたいかとミス・マープルに尋ねる。しかし、そこに入ってきた人々の顔を見るやパルグレイブ少佐は顔色を変え、写真をしまい話題を変えてしまう。
その翌日、パルグレイブ少佐は自室で死んでいた。持病の高血圧の薬が原因ではないかと医師は考えていたが、ミス・マープルはパルグレイブ少佐は高血圧ではなく、これは殺人ではないかと疑い始める。ミス・マープルは身体の不自由な大富豪で偏屈物のラフィール氏と協力して、事件を解決に導く。
このラフィール氏という偏屈な老人がとてもいいキャラなんですよね。こういう不自由で大富豪の老人というアイコンはクリスティもお気に入りの題材。
他の作品にもよく出てきます。ラフィール氏との関係は次作の「復讐の女神」に続いて描かれています。
今回は療養地での事件とあって、サーヘンリーやクラドック警部などお馴染みの人物は出てきませんが、ミス・マープルがラフィール氏と協力して2人で事件を解決していくところが見どころ。
写真に写っていた人物は誰なのか?
犯人は男なのか、女なのか?
パルグレイブ少佐は高血圧だったのか?
いろんな伏線が張られていて面白いです。事件に関係しているものも、実は全然無関係なものもあって本当に見事だなぁと。