アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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短編集だけど、そこに「ヘラクレスの難業」というテーマが加わる事でそれぞれ別の事件がひと繋がりであるように感じられるね
また、あくまでも難業であり難事件に限っていない点が面白さを生み出している。だから本来ならポアロが依頼を受けるような案件でなくても難業との関連を見出だせれば受け付けてしまう。それが本作に収録された短編をバラエティ豊かにさせているね
収録されている短編は先述したようにバラエティ豊かなものばかり。だからむしろ真っ当な殺人事件の方が少ないくらい
その意味では事件への対処法すら曖昧な形で始まる『レルネーのヒドラ』は導入も終着も面白いものだったかな
いつまでも止まない噂。その根本に居た -
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Posted by ブクログ
この年になってクリスティかと笑われそうだが、旅行中に何か読む本をと思って本棚の中から一冊選んで持っていったところ大層面白かった。本棚にあったので初読ではないはずだが、読んだのは何十年か前で内容は完全に忘れていた。
ここ最近の複雑なトリックとサスペンスが洗練されたエンターテイメントと比較して、クリスティなんて非現実的なプロットと時代がかった謎解き話かと軽く見ていたが、穂井田直実の解説にある通り、年を取って判る面白さというものは確かにある。ミス・マープルの年齢に近くなって、そろそろ老人の生活を復習しておくにはよい年かもしれない。シリーズをもうちょっと読んでみよう。 -
Posted by ブクログ
推理作家のオリヴァ夫人を迎えたハロウィーン・パーティで、少女が突然、殺人の現場を目撃したことがあると言いだした。パーティの後、その少女はリンゴ食い競争用のバケツに首を突っこんで死んでいるのが発見された!童話的な世界で起こったおぞましい殺人の謎を追い、現実から過去へと遡るポアロの推理とは。
映画化されるというのでこれは予習せねば!と読みました。新訳版が出ていたのに気づかなかった。小さな子供が犠牲になるのは悲しいんだけど、ある意味自業自得な面もあって余計にぐさっとくる。嘘つきや脅しは良くないですね。犯人は種明かしまで全然分からなかった。読み返すと伏線があってクリスティのすごさに毎回感動する。昔の -
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登場人物の魅力、キャラクター性は様々な物語になくてはならない要素だ。クリスティは描写力に定評があり、人物描写、風景描写は本当にその人達がその場所で生きている様な、そんなイメージを読者に与える。当然、時代のギャップや違和感は出てしまうが、それはあくまで古典としてのギャップであり、反対にそれらも魅力として捉えると、とてもノスタルジックな世界観の中ミステリーが展開されていき、何か壮大なストーリーを経験している様な、そんな気持ちになる。
今回、いきなり「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」という二人の人間の会話をポアロが偶然耳にするところから始まる。舞台はエルサレム、そして死海を中心 -
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みんな大好きトミー&タペンスの第三作
英国文学史上最強の『おしどり探偵』も46歳、『秘密機関』で運命の再会をした時は「ふたり合わせても45歳になっていなかった」のにね〜
双子の息子と娘も成人していて、世間も子供たちもふたりを完全に年寄り扱い
46歳なんてまだまだ現役だろうが!むしろ働き盛りだわ!ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
って思うのは今の日本だからかな
第二次大戦真っ只中のイギリスではそうなんかな?
まぁ太平洋戦争時の日本も戦地に行ったのは若者ばかりだったからね
当時の日本人男性の平均寿命か23歳9ヶ月というんだからたいへんな時代です
あ、またしてもめっちゃ横道に逸れてしまった
横道逸造( -
Posted by ブクログ
推理小説においてワクワク出来る舞台装置は色々有るけれど、その一つとして挙げられるのは本作が扱う「大富豪の遺産を巡る殺人」だろうね
大富豪ゴードン・クロードの後ろ盾を頼りに生活してきた一族が彼の死と戦後の空気に拠って困窮していく様子はどう捉えても殺人事件の土台が整えられているとしか受け止められないもの
その一方で舞台が整えられ過ぎているとも言えるのが本作の面白いところ
ゴードン・クロードの遺産を横から掠め取るようにして手にしてしまった哀れなロザリーン。誰も彼もが彼女の死や不義を願うのは理解できる流れとして、その感情を後押しするように様々な噂が錯綜するのだから奇妙な話になってくる
事件が起きる -
Posted by ブクログ
ポアロシリーズはメロドラマ的なスタートから始まる事が多いが、今作でも元女優の美しい女性とスポーツマンでとても美青年が物語の主軸になる。
舞台となる美しいリゾートホテルは描写だけでも煌びやかで、お金持ちが宿泊する。評判のホテルだ。ポアロは休暇で訪れていたが、案の定、事件を呼び寄せてしまう(笑)ホテルに宿泊する人達は個性豊かな人達が多く、こんなコミュニケーションが求められるのは嫌だなぁと現代的に感じてしまう。一癖、二癖と持っている登場人物達は、ある意味で冒頭からミスリードを誘う様な描き方もされており、結末で結局は良い人だった、悪い人だったが当然ある訳だが、少々大袈裟だろうと苦笑いしてしまった。