アガサ・クリスティーのレビュー一覧

  • 謎のクィン氏

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    クイン氏登場
    クリスティが生み出した探偵の中でもかなり特異な人物であり、シリーズ化はされていない(短編集のみ)がかなり好きな作品になった。
     自動車事故により年跨ぎの夜にとある屋敷に現れた謎の人物。過去、この家で家主が自殺しており、その真相は未解決ねままであったが、十年の後、過去を振り返ればいらないものが削ぎ落とされ、真実のみが見通せるものだと謎のクイン氏は話し一座と共に過去の事件の記憶に潜っていく。独特な手法により、過去の事件の真相を見事に解き明かす。結末もクリスティ的だ。
    窓ガラスに映る影
    クイン氏の物語はサタースウェイトで始まる。そして一作目に続き、お化け屋敷が話題だ。アンカートン夫妻が

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    2023年09月20日
  • ハロウィーン・パーティ

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    ハロウィン・パーティの最中、少女が殺されるところから物語が始まる。その殺人の調査を探偵作家のオリヴァがポアロに依頼する。そしてその村の人々や過去の事件を探って真実を明らかにしていく。読み終わって、なるほのあれが伏線だったのかと楽しめた。

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    2023年09月19日
  • ハロウィーン・パーティ〔新訳版〕

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    映画化ということで読んでみた。
    めちゃイギリスっぽい話だけど、これがどうヴェネツィアの降霊会の話になるのか?楽しみ♪

    最後の手術の相談、というのが結局何だったのかよく分からない。

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    2023年09月19日
  • 雲をつかむ死〔新訳版〕

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    数十年ぶりに手に取った一冊。飛行機の中での殺人事件の謎をポワロが追う。そんな展開だったとはおぼろげに覚えていたものの、結末は忘れていて、そういえば!となった次第。他の有名な作品と比べると地味かもしれないが、その仕掛けはさすがのクリスティです。

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    2023年09月17日
  • 満潮に乗って

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     クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。
     何よりもまず。戦争とは悲劇であり、世界中不幸であり。過去の小説などを読むと恐ろしさや怖さがとても感じられる。今作は戦争が少し落ち着いた時代のイギリスが舞台なわけだが、一体罪とは何なのだろうか、と疑問に思う。当時、今回の様な事が時と場合で許容されるのはナンセンスだと思うし、一方の事件(ネタバレにならない様に注意するが)は現代ではでは当然積みに当たるしまあ、仕方がないには絶対ならないだろう。
     ある意味でポアロはよくこういう事をする訳だが、「オリエント急行」や「ナイルに死す」等は受け入れられるが、今作は違う(笑)。真実を知るのはポアロと事件の真相を

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    2023年09月16日
  • エッジウェア卿の死

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    エルキュール•ポアロが自身に対して失敗を認めることは、ポアロシリーズの後半にはよくある事で、「私はなんて間抜けだったんだ!!」と反省しては真実に辿り着く事がある程度お約束の部分ではあるが、今作「エッジウェア卿の死」においては真相究明までに何度も誤った道筋を辿り、ようやく終盤にて真犯人を導き出すという状態である。冒頭、ヘイスティングスにより、ポアロはこの事件への関与を公表したくなかったと述べているが、珍しく名探偵が犯人に丸め込まれる一歩手前まで来ていた様な事件で、今作の犯人の秀逸さがみてとれる。
     舞台女優とそれを取り巻く人達。大女優は夫と離婚したいが認められず、彼女は殺してしまいたいと周囲に吹

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    2023年09月13日
  • ハロウィーン・パーティ

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    今週末、「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」が上映されるそうなので原作を再読。犯人、覚えていなかった。わざわざ買い直したけど翻訳者は同じだったのがちょっと残念。ところどころ口調がポワロらしくなかったので、しっくりこなかった。クリスティ晩年の作品で、理屈っぽい描写が多いのは仕方ないにしても、登場人物すべてを生かしきれなかったような気もする。割と地味な作品なのに、なぜ映画化しようと思ったのか。それもイギリスの片田舎から舞台をベネチアに変えて。楽しみなようでもあり、不安でもあり。

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    2023年09月12日
  • ビッグ4

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     クリスティは推理小説のみではなく、スパイスリラー(ジャンルが正しいかわからないが)も実は魅力的で、とても読み応えのある、スリリングな作品を幾つか生み出している。今作は実は評価は余り高く無い様で、エルキュール•ポアロらしからぬ冒険譚が彼のシリーズとしてマッチしていない為、好まれていないようだ。
     僕も今作は再読になるが、初めて読んだのは大昔で記憶は古く、覚えているのはポアロの不幸についてとアシールという双子の兄がいた事、そして失われた口髭についてだ。当時の自身の評価は覚えていないが、おそらく余り理解していなかったのだろう、他の作品より低く見積もっていた記憶だ。当時は推理小説以外の作風を読み慣れ

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    2023年09月09日
  • 杉の柩

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    これ、ロマンス小説だ。
    ミステリーが物語のスパイスになっており、なかなかドラマティックな仕上がり。
    メアリイの出現により、ロディーとの婚約を解消することになったエリノア。
    しかし、後日彼女の作った料理でメアリイが死んでしまい、エリノアに容疑がかかる。
    依頼を受けたポアロはその疑いを晴らすべく、調査に乗り出した。

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    2023年09月05日
  • クリスマス・プディングの冒険

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     クリスマスプディングの冒険
     クリスティの短編集。冒頭挨拶でクリスティがクリスマスについて述べているが、やはりイギリスのクリスマスは特別な様だ。クリスティがこの作品集を読者へのクリスマスプレゼントとして発表してくれた事に感謝を持ちながらも、8月末という全くの季節外れに目を通している罪悪感を踏まえて(全く風流でないなあ)感想を書く。

    クリスマスプディングの冒険
    表題作。探偵役はポアロ。とある皇太子が若さ故に犯したトラブル。家系に伝わるルビーの盗難事件。持ち出した謎の女。とある一族の屋敷で昔から行われているイギリスの古き良きクリスマスパーティに彼女達も参加すると聴き、乗り気では無いながら渋々了

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    2023年09月02日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    ネタバレ

    クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。
    冒頭、ポアロの一人称から始まり彼の内面的な人物像が珍しく描かれている。もの事が正しく整理整頓されている事を好むポアロであるからこそ全てが散らかった様な環境に投じられる今作はギャップからのユーモアもありとても楽しませてくれた作品だ。
     「マギンティ夫人」というのはイギリスにある遊戯歌のようで、作中でも解説されており、女史得意のマザーグースでは無いが見立て殺人の構成だ。
     ポアロがエスカルゴ料理を堪能し帰宅すると旧友であるスペンス警視が待っており彼が担当したとある事件の相談をもちかけられる。事件は容疑者が捕まり、陪審員による有罪判決も下るがスペンス警視

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    2023年09月09日
  • ゼロ時間へ

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    犯罪が起きた時がスタートではなく、様々な要素が絡まり合って収束する、ゼロ時間こそが全て。
    中学の時に読んで感銘を受けたクリスティ作品。
    改めて読み返したが、やはり素晴らしい!時代を感じさせない!
    惜しむらくは、訳が堅苦しくてややぎこちないところ…。

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    2023年08月26日
  • NかMか

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     クリスティの長編小説。トミータペンスシリーズ。冒険ミステリ。前作長編ではスパイスリラーとされていたが、カテゴライズは曖昧。この辺りは難しいなぁ。(ジャンルが最も大事な訳では無いのだが。)
     前作「秘密機関」においては溢れるばかりの若さそこから来る無鉄砲さや溌剌としたエネルギーがこの作品の魅力だった訳だが、彼女達は中年になっても何も変わっていなかった様で(笑)戦時の世の中という物はどこの国でも一緒なのだろうが、現代では中々想像が難しく、当時の世界を取り巻く恐怖感というものは理解できるよりも遥かに恐ろしい環境なのだろうと思う。
     そんな世界だからこそ、自身のアイデンティティの為に生きるだろうし、

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    2023年08月26日
  • 鳩のなかの猫

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    名門女子校で女性教師が殺害される。いかにもサスペンス、ミステリーに向いた設定。タイトル「鳩のなかの猫」とは言い得て妙。肝心の名探偵ポアロは中盤まで中々出てこないが、終盤の謎解きはあっぱれ。

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    2023年08月25日
  • ゼロ時間へ

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    いつもながら、素晴らしい筆力。
    誰もが怪しく見えるのに、ラストはいつも驚かされる。今回は自分でも推理に挑んでみたけれど、大外れだった。
    クリスティー女史はいつも事件が起こる心理的な要因に着目していて、そこが他のクライムサスペンスとは一線を画しているが、本作にはそのエッセンスが詰め込まれているように感じた。作者ご本人もベストテンに選び、江戸川乱歩はベスト8に挙げたとあとがきで読んだが、それも納得の珠玉のミステリ。シリーズものではないが、バトル警視が出てきたのも嬉しかった。

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    2023年08月24日
  • 象は忘れない

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    ネタバレ

    クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。相棒はオリヴァ夫人。
     冒頭のオリヴァ夫人の葛藤はクリスティのそれを反映したものだろう。スピーチへの嫌悪感や分別の無いファンへの煩わしさというのはとても共感を持てる。売れっ子作家としての人生は本人達でなければ気づく事は出来ないが、様々な苦労があるのだろうと勘繰ってしまった。
     今作は作中でも触れられているが「五匹の子豚」と対をなしているイメージだ。過去に戻りながら事件の真相に辿り着くという一連は、どちらにも共通しているテーマだ。
     今回珍しく幾つかの作品に触れられており、上記作品と「マギンティ夫人は死んだ」、「ハロウィン・パーティ」についても簡単だが

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    2023年08月23日
  • 死者のあやまち

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    読後にそのパターンか!と驚かされた。もちろんそのパターンは他の作品で経験済みとはいえ、最後までわからなかった。緻密な描写に脱帽。

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    2023年08月15日
  • 黄色いアイリス

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    一押しは「仄暗い鏡の中に」。マープルも好き。
    当たり前なのかもしれないけど、ポアロでも「ホームズみたいな」という喩えされるんだね。

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    2023年08月15日
  • カーテン

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    ポアロ最後の作品と言う事でなかなか手が出せなかった。でもクリスティには裏切られた事はない。今作も読み入ってしまった。人の心理や憎悪を巧みに煽った犯罪。ミステリーの標準がクリスティって分かる気がする。

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    2023年08月16日
  • ポアロのクリスマス

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    こういう趣向は結構好き。
    一つか二つの違和なら気づけるけど、まだあるんですか!というくらい『実は…』が多い作品だった。
    ヒントの描写をいくつ見逃したことか。
    でも驚かされるのはやっぱり楽しい。
    “殺人が貧血性的になってきた”という読者の不満を取り入れ、血みどろの死体を登場させたクリスティにはとても好感が持てる。

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    2023年08月14日