アガサ・クリスティーのレビュー一覧

  • 葬儀を終えて

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    ミステリにはパターンだとかテンプレだとかが山のように存在していて「口の軽い人間が不用意な発言をした、又はしそうになって殺される」なんてそれこそ数多のミステリで用いられてきた要素
    本作はその口の軽い人間の死が全てを掻き回していく様が非常に面白く描かれているね

    また、舞台設定の特殊性も言及したくなるかも
    出版されたのは1953年、まだ戦争の残り香がそこかしこに有る頃であり、同時に大英帝国の終焉期。それもあってか登場人物の二極化が見られるね
    発端となったリチャード・アバネシーの大邸宅は時代を間違えたとしか思えない代物。そんな人物が死んで遺産目当ての遺族が睨み合いを始めるなんてやはり時代錯誤
    けれど

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    2023年06月17日
  • 白昼の悪魔

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    一見すると単純な犯行だと思われたが、緻密に張り巡らされた伏線。それを見事に回収するポアロ。クリスティの醍醐味がつまった作品。

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    2023年06月15日
  • 邪悪の家

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    結局今回も最後やられた…!
    証拠となる部分はこじつけを感じるかもしれない。その国の常識や知識があればすんなり納得する部分もあるかもしれない。

    でもなあ…気づけるようなヒントは散りばめられていたから文句言えないんだよなあー


    あと、表紙はこんなイラストver.でない(旧版?写真チックな方が好きなので不服)。
    あと、解説つまらなかったけど元ネタあったら楽しめる系?

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    2023年06月14日
  • もの言えぬ証人

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    やっぱり好きだなあ。
    作品から醸し出されるこの雰囲気が良い。
    既に死亡しているエミリイ・アランドルからの手紙をきっかけに、調査を開始するポアロ。
    直前で書き換えられた遺言状、階段からの墜落事件、エミリイを取り巻く家族関係。
    そこから導き出された真相は興味深く、事件の性質から犯人像を推理していく過程も面白かった。

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    2023年06月14日
  • 葬儀を終えて〔新訳版〕

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    だって彼は殺されたんでしょ?すべてはこの一言から始まった。
    このあらすじを見たら、読まずにはいられないでしょう!!登場人物全員怪しくて、まさかこの人が犯人?それとも次の被害者?とドキドキする描写が多々あった。
    そして私は今回も女性たちそれぞれの生き方に感情移入してしまった。みんな幸せになってほしい。

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    2023年06月11日
  • 杉の柩

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    構図としては『ナイルに死す』を思い起こす要素が幾つも見られる作品
    あちらが恋愛関係のこじれという焦らしが殺人事件という最高潮へと至る物語ならば、こちらは安定していた恋愛関係が別の恋愛感情によって歪さを見せ、殺人事件により更に発展していくという感じかな


    本作の真相を考える上で特徴となる点は被害者であるメアリイ・ジェラードを殺して得をする人間が皆無な点。クリスティー作品の多くにおいて、被害者を殺す事で得をする人物が犯人であった点を考えれば、誰からも恨まれず大金を持ち合わせていたわけでもないメアリイを殺したがる人間なんて居るわけがない
    もし、居るとしたら薔薇の如き美しさを持つ彼女に嫉妬した人間だ

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    2023年06月06日
  • ひらいたトランプ

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    ネタバレ

    ブリッジのルールは何もわからないけど最後まで裏切られて満足した

    特にロマリーが見た犯行シーンが盗癖のあるメレディスが宝石に興味を持っていたのをそう見ただけというのがよかった
    プロファイル物って言ったことを鵜呑みにするしかないんだけど今回は四者四様でかつわかりやすい性格なので個人的に納得感あった

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    2023年06月05日
  • 白昼の悪魔

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    このストーリー、どうやら、NHKで放送されていたドラマを先に観ている。

    島まるごとをリゾートとした舞台での殺人事件。
    登場人物は誰でも疑わしく、また、決定的ではない。
    男性を虜にする美貌の元女優
    虜にされた夫と嫉妬する貞淑な妻
    元女優を妻に持つ実業家とその娘
    他にも何かありそうな宿泊客たちのなかで、休暇で訪れたポアロが事件を解明する。

    洞窟、ヨット、小瓶、テニス、時計、垂直の梯子、タイプライターの音、バスから水を流す音、様々な場面が事件のピースとなり、ポアロなかで、形作られる。

    テレビドラマで観たにもかかわらず、十分楽しめた。

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    2023年05月29日
  • 火曜クラブ

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    短編集で1話1話集中を切らすことなく読めて読みやすかった。
    若干わかりづらい言葉の言い回しもありますが、真相のオチもおもしろくてそれぞれ一気に読めちゃいます。
    マープルさんの真相に辿り着く視点がおもしろい。
    推理力とかではなく、人間観察力と洞察力にとても優れている人なんだなって感じました。

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    2023年05月21日
  • ひらいたトランプ

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    ブリッジのゲーム中に悪名高いシャイタナ氏が殺された。
    疑わしい人物が4人しかいないので、とても整理しやすい。
    だけど結局犯人を当てることはできず、またしても見事に振り回された。
    これで解決か...と思った瞬間から展開が二転三転する。
    物証が無い状態かつ聞き取った情報のみで推理していくその過程がとても面白かった。
    ブリッジのルール等を知っているとより楽しめる内容かもしれない。

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    2023年05月21日
  • ポアロのクリスマス

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    クリスマスにはクリスティーを。張り巡らされた伏線。そして暴かれる意外な人物。まさしくクリスティー黄金時代の一冊。

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    2023年05月13日
  • ひらいたトランプ

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    登場人物が少なくて、序盤から4人のうち誰が犯人かが絞り込まれて、全員があやしいけど、犯人になり得るけど、ならない、といったような二転三転あり、面白かったです!最後無事閉幕〜と思ったら、そこからまたぐいぐい読ませる。

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    2023年05月11日
  • 火曜クラブ

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    素人探偵ミス・マープルの初の短編集。
    人の本質を見抜くその手腕に、田舎の老人だと侮っていた周囲が呆気に取られるのが面白い。
    翻訳なのか時代なのか、その言い回しが難しく、私の読解力不足ですんなりと理解できないのが悔しい。
    また読み直して更に理解を深めたい作品だった。

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    2023年05月08日
  • もの言えぬ証人

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    だいぶ好きな作風でした。故人から届いた依頼から動き始めるポアロの調査。関係者を一人ずつ訪問し調査を進める中で、見えて来る人物像からの推理。ボブの心の声も可愛げがあって、アガサクリスティはこんな事もするんですね〜。
    ヘイスティングズがいるから安心して、一緒になんでなんでと、楽しめました。

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    2023年05月07日
  • 予告殺人

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    イギリスの作家「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇『予告殺人(原題:A Murder is Announced)』を読みました。

    『ひらいたトランプ』、『ナイルに死す』、『白昼の悪魔』、『運命の裏木戸』に続き、「アガサ・クリスティ」作品です。

    -----story-------------
    その朝、新聞の広告欄を目にした町の人々は驚きの声を上げた。
    「殺人お知らせ申しあげます。10月29日金曜日、午後6時30分より……」いたずらかと思われたが、しかし、それは正真正銘の殺人予告だった。
    時計の針が予告時間を指したとき、銃声が! 
    大胆不敵な殺人事件に「ミス・マープル」が挑む。
    (解説 「三橋

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    2023年04月28日
  • ナイルに死す

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    イギリスの作家「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇『ナイルに死す(原題:Death on the Nile)』を読みました。

    『ひらいたトランプ』に続き、「アガサ・クリスティ」作品です。

    -----story-------------
    美貌の資産家「リネット」と若き夫「サイモン」のハネムーンはナイル河をさかのぼる豪華客船の船上で暗転した。
    突然轟く一発の銃声。
    「サイモン」のかつての婚約者が銃を片手に二人をつけまわしていたのだ。
    嫉妬に狂っての凶行か?
    …だが事件は意外な展開を見せる。
    船に乗り合わせた「ポアロ」が暴き出す意外きわまる真相とは。
    (解説 「西上心太」)
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    2023年04月28日
  • ひらいたトランプ

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    イギリスの作家「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇『ひらいたトランプ(原題:Cards on the Table)』を読みました。

    4月からNHK-BSプレミアムで「デビッド・スーシェ」主演による英国ITV(グラナダ)版「名探偵ポワロ」シリーズの再放送が始まったので、久しぶりに「エルキュール・ポアロ」シリーズを読みたくなったんですよね、、、

    「アガサ・クリスティ」作品は『パーカー・パイン登場』以来なので、約3年振りですね。

    -----story-------------
    名探偵「ポアロ」は偶然から、夜ごとゲームに興じ悪い噂の絶えぬ「シャイタナ氏」のパーティによばれた。
    が、「ポアロ」を含

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    2023年04月28日
  • ヒッコリー・ロードの殺人

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    学生寮で頻発する失せ物という重大事と感じるのも難しいトラブル
    一見すると何か法則性が存在するかも想像できない失せ物リスト。それを丁寧に紐解いていく事で見えてくる犯人やそれ以外の者達の思惑
    探偵エルキュール・ポアロが関わった事から事態が意外な展開を見せる流れはアガサ・クリスティーの巧みさを感じるね

    また、本作の特徴を上げるとすれば、事件に関わる者達が殆ど学生という点。それによりクリスティー作品に多い遺産や金品を巡る争いではなく、もっと単純で若々しい若者の感性が前面に出た人間関係が事件を複雑にしているね
    ただ、まあ、事件の要素を紐解いていけば最終的に別の顔を見せるのだけどね
    いや、本当に学生寮の

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    2023年04月27日
  • もの言えぬ証人

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    エルキュール・ポアロシリーズのひとつで、他の作品同様にヘイスティングスとの軽妙なやりとりは全編通じて健在でした。本作品の最大の特徴は初期設定でしょう。裏表紙にも書いてありますのでここでも述べますが、ある老婦人が死亡してから2ヶ月近く経って、ポアロに手紙が届きます。しかもその手紙は自分の身の危険を明確に述べているわけでもなく、状況的には自然死であろうということで、怪しいところがないなかでポアロは捜査を始めます。そして死亡した老婦人の関係者(親戚や使用人)と話を進めるなかでポアロは推理を進めるわけですが、私の個人的な感想としては、他の作品以上に登場人物の心理分析が中心になっていて、なかなかそのあた

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    2023年04月27日
  • 鳩のなかの猫

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    アガサ・クリスティの小説の中でも異質な女学校が舞台となった作品です。さらに謀略のにおいが冒頭からしています。職員も含めて女しかいない学校、しかもそこで次々と起こる殺人事件の背後には、どうやら某中東国の財宝がからんでいるのではないか、ということで、この設定だけで十分読むのにそそられました。本書は登場人物もなかなか個性的でいいです。先生陣、生徒たち、そして母親と基本的に女性しか登場しませんが(ポワロもかなり後半での登場)、それぞれが全然違う個性を持っているので、頭の中で整理しやすかったです。あいかわらず難しい犯人探しやその動機など、アガサ・クリスティの切れ味鋭い筋書き作りは健在です。連続殺人事件が

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    2023年04月24日