アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ネタバレキュートでスリリングな劇をどうぞ。
劇が3作品収められている。どれも小品ではあるが最後まで一気に読ませる。
「海浜の午後」海辺に集まった人々の中に強盗がいる? あっと驚く正体が判明するのが2段階になっているのがひねりどころ。息子を縛り付ける母などクリスティーあるあるキャラクターも見もの。
「患者」植物状態と思いきや、患者は意思を示せる。実験の結果、口封じに現れた犯人は。イニシャルなんかわからないので推理不可能かと思いきや、ちゃんと劇中に名前が出てました。
「ねずみたち」復讐の狂気。はたして警察は2人の弁解をどのように聞いただろう。 -
Posted by ブクログ
若い未亡人と再婚した大富豪のゴードン・クロード。彼は一族の生活を支えており、一族全員が彼の庇護のもとにあった。だが、彼は空襲で死亡し、財産は全て若い未亡人のロザリーンが継ぐことになった。それ以来、一族の生活費の支出は、実質的にロザリーンの兄のデイヴィッドの許可が必要になった。「彼女さえいなければ」戦争が人の心を闇にしていく。ポアロは空襲から避難した場所で居合わせたポーター少佐から、アフリカにいる彼の友人ロバート・アンダーヘイと彼の不幸な結婚についてや、その妻はその後ゴードン・クロードの妻となったが、アンダーヘイがまだ死んでいないかもしれないことを聞く。
狭い村での人間関係の絡まり、戦争という大きな変化により今までの生活が失われたことに対する人々がまだ受け止めきれないところが緻密に書かれていてリアルだなと思う。いつも緊張状態に置かれていたリンが、帰ってきて平和を喜ぶと同時に物足りない気持ちになって結婚を迷う気持ちになる部分はとても共感できた。でも一方で、最後に自分を傷つけようとしたローリーと結婚を決意するというのは腑に落ちなかったなあ。私だったらデイヴィットもローリーも嫌(笑)偽者だったというオチは面白いけど、純粋なトリックを楽しみたい読者としてはちょっと物足りない結末だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルがとても美しい。
原題のEndless Nightを直訳するのではなく
元の、詩“Some are born to sweet delight,Some are born to Endless night.”から取った意味を
尊重して訳されているのが素敵だと思う。
違和感がずっとあって、普通こんなケチがついたら
どんなに気に入ってもその場所に住みたくないだろうに
固執してしまうところまで含めて『呪い』なのかな
と思いながら読んでいたが
怖いのはそこではなかった。
オチが想像できたというレビューも見かけた。
現代でこそ珍しくないカラクリかもしれないが
これを1967年に執筆したというのは凄いのでは。
丘などの場所設定も妖しく美しく破滅的だった。 -
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オリヴァ夫人が船旅で知り合った友人に誘われて参加したハロウィーンパーティで事件が起こる。夫人はポアロに解決を依頼するが……ポアロシリーズ31作目。
ようやくこの季節に読めた!それだけで満足。
後期クリスティー 作品らしい、動きが少なく作中人物たちの年月を感じる。
ただ、翻訳が古い。女性がたくさん出てくるんだけど、だいたいの女性の語尾が「ですわ」でちょっと読むのがしんどい。
毎年この時期には本屋さんで面陳されていることやし新訳版が出たらいいのになぁ、と思ったり。
事件は過去から掘り返すスタイルで、こちらは後期ポアロシリーズだとあるあるなんだけど、少し間延びした感じが否めない。
謎解きはさすがクリスティ。
作中でカボチャモチーフが全く出てこなくて、ひたすらリンゴなのはなんでなのかと調べたら(オリヴァ夫人がリンゴ齧ってたり)カボチャはアメリカ中心のハロウィンで、アイルランドをはじめヨーロッパはではリンゴを使ったゲームなどが主流だとか。
そういえば昔何かで調べたとき、ジャックオーランタンはヨーロッパではカボチャじゃなくてカブだったとかあったような……。
こういう発見があるのは楽しい。季節に絡めた物語を読む楽しみ感ある。
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Posted by ブクログ
ネタバレ一家を財力で支配するサディスティックな未亡人。ボイントン一家の人間が自由を手にするためには、専制君主気取りの女王を死に追いやらなければならない。「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」という一文から始まるのが魅力的。ただ、一家の人間は被害者以外は薄味というか、あまり記憶に残らないキャラクター造形でレノックスとレイモンドがややこしくて何度冒頭を振り返ったか。部外者サラが一家の人間を救い出そうと奮闘するも、君主にすべて気取られて釘を刺される展開は一種のディストピアもののような趣向で面白い。実はこの出来事が事件の謎を解く鍵となっている…
誰からも憎まれる被害者の設定が、登場人物たちの行動・証言をより複雑にして、不可思議な状況が出来上がるという趣向もいい。あのクリスティーの名作の亜種みたいな印象だ。 -
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ネタバレ死にたかった彼女に与えられたのは決死のスパイ任務。
相次ぐ科学者失踪の謎を探るために、白羽の矢が立ったのは飛行機事故で命を落とした女性と同じ赤毛のヒラリー。彼女は失踪した科学者ベタートンの妻になりすまして中東に滞在する。旅の目的地がどこにあるのかわからないまま。
クリスティーあるあるの国際的陰謀に素人が挑む冒険小説ちょっぴりロマンス付き。いきなり素人がスパイ任務は無理だろうと思うけどヒロインに自分を重ねてみれば、これ以上楽しい設定もない。旅の途中で出会うさまざまな人物の裏を考えつつ、ロマンスだと思えば意気投合した若い男性がお相手なのは明白。夫の科学者が犯した殺人までは読めなかった。共産主義やソ連に対する態度がとても時代を感じるが、そこももはや作品のエッセンス。 -
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ネタバレ古代エジプトに愛と平和と美を追求した王がいた。
アクナーテンはそれまでのエジプトの神アメン信仰を廃止して、太陽神アテンを唯一神とする。争いを否定し、美を尊んだ。エジプトは、世界は、愛と平和に満ちるはずだった——。
ちょうど大河ドラマ『べらぼう』を見ているせいか、人は正しく生きたいとは思わないのだと。それまで心を寄せていた様々な神たちを取り上げられることを民衆は喜ばない。力で治めていた場所にいきなり真理を説いても従うわけがない。窮地に援軍を送らずに愛を説く王なんて、軍からしたら見捨てられたと思うだけだ。
毒を用意した人、実際に飲ませた人、決別を伝えた人。アクナーテンの周囲が皆それぞれに複雑な想いを抱えていた。そして殺人は起きる。ミステリというか、エジプト歴史劇。クリスティーは楽しかっただろう。解説がさすがの吉村作治先生。