アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ネタバレ主に三人の人物を中心として物語は進展していく。
①ローラ
両親の愛を一身に受ける兄。その兄が死ぬと、悲しみの中にありながらローラは密かに両親の愛が自分に向くのではと期待する。しかし今度は、生まれたばかりの妹シャーリーが愛を独占することに。ローラはシャーリーの死を願うようになるが、ある時火事からシャーリーを守ったことをきっかけに、ローラはそれまでとは打って変わってシャーリーを心から愛するようになる。それは独占欲とも執着ともとれるものだった。成長したシャーリーと恋仲になったヘンリーのことをよく思わないローラは、二人の結婚に反対する。
②シャーリー
ローラを説得してヘンリーと結婚するものの、定職につかず浮気までするヘンリーとの結婚生活に疲れ果てる。そのような中でたまたま出会った探検家のリチャードに惹かれるも、ヘンリーがポリオにかかり介護が必要になってしまう。病気を機に偏屈になってしまったヘンリーを介護しながら、シャーリーはますます疲弊していく。
③ルウェリン
恋人を捨てて伝道者となり訪れた熱帯の島で、物思いに耽るシャーリーと出会う。シャーリーはヘンリーに先立たれた後リチャードと結婚して島で暮らしていた。その島でシャーリーが不慮の事故で死ぬと、ルウェリンは傷心のリチャードに代わって訃報を姉であるローラに伝えに行く。
愛されることを諦め愛することを選んだローラ。シャーリーを愛するが故にローラが犯した過ち。ルウェリンが告げる残酷な事実を受け止めて、ローラは最後に愛される道を選ぶ。
暗く虚しい人生の中で、偏屈な老人ボールドックが唯一の心の友としてローラを支えている。
クリスティーとは別名義の「愛の小説シリーズ」の一冊だが、ミステリー要素もある(かなり予想はしやすい) -
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【ノンシリーズ】
シングルマザーのアンは人生の全てを注いで一人娘を育てきた。しかしアンの再婚問題を機に母と娘の関係が変わってくる…。
「母親の目線」で読むか、「娘の目線」で読むかによって思う事も変わってくる。
自分も娘がいる母親だし、かつては娘だった時代もあるので、両方の気持ちがよくわかるので面白い。
再婚を決めた男性のことをどう思うか?
娘が好きな男性を親として許せるかどうか?
この2点は読者それぞれの価値観によって違うと思う。
古い友達と長年仕えるメイド、この2人の頼れる老女が精神安定剤みたいで安心する。
クリスティー自身もこの作品と同じように、娘がいて14歳も年下の男性と再婚してるので、ここまで繊細に描けるのではないかと思った。
読後感は『春にして君を離れ』と同じ。
読み終わった後に考えさせられる本が好きなので、こういうのも大好き。
いつものミステリーっぽくない、こういう作品もあるからクリスティーは飽きないんだよなぁ。 -
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【マープル】
マープルの「推理ではありません。事実です」という言葉が、カッコ良くて痺れた。
編み物をしている優しいおばあさんの姿とは全く違う一面が見れた。
今回の事件は私的なことも含まれているから、いつもは穏やかなマープルが静かに怒っている。だからカッコ良い。
ラストがとても良かった。
このラストのおかげでこの作品が心にいつまでも残る。最後の2行もとても印象的だった。
愛読書の『アガサクリスティー完全攻略』著者の霜月さんが、この作品の解説者だった。
数多いクリスティー作品の中から、自分の好きなタイプの作品を選べるのは霜月さんのおかげなので本当に感謝してます。 -
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クリスティの本を、文庫の新刊で読めるというのがいいですね!90年も前に書かれたとは思えない構成の緻密さ。この作品を発表した時の英国の読者たちの 驚く顔が見えるようです。
もちろん今の時代に読むと「ン?」という箇所もありますし、翻訳ものなので、英国の90年前の文化をよく知らない私たちにとっては分かりづらさ もあるのですが、それを差し引いても、このミステリーの二転三転する構成や、終盤にわかる真相は面白いです。予想外の人間が犯人であることも。
ポワロもミス・マープルも出てこないけど、フランキーという伯爵令嬢と、牧師の息子ボビイがバディとなって事件を追っていくスリリング さは見ものです。
ダイイングメッセージであるこのタイトルが、ミステリー好きには実に興味をそそります!
アメリカ版は『ブーメランの手がかり』とつけられ、日本でも『海辺の殺人』『すりかえられた顔』『謎のエヴァンズ殺人事件』など、いくつかのタイトルで訳されているそうですが、本書のタイトルが一番しっくりきますし、ミステリーの扉を開く感じがします。 -
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ネタバレ途中で最初の事件とは関係ない話が展開し、どうなっていくのだろうと思っていたら最後は綺麗に集約されて行ってさすがだなと思った。
途中で少年犯罪について語る一節があり、それが印象に残っている。
"彼女が気にかけている相手か、もしくは、ポアロが思うにこちらの方が可能性大だが、彼女が守ってやりたいと思っている相手、おそらくほんの子供と言って良い年齢の者。ミセスドレイクから見ると、自分がしたことの恐ろしさがよくわかっていないように思われる者。
ポアロは、ミセスドレイクのことを性格はきついが誠実な人物だと思っている。こういうタイプの女性は、結構いる。しばしば治安判事になったり、協議会や慈善団体の運営に関わったり、いわゆる事前活動に関心を寄せたりする女性。情状酌量の大切さをやたらと信じ込み、若い犯罪者をかばおうとする女性。思春期の少年とか、まだ判断力に欠ける少女とか。すでに、えっと……どういうのだった、施設に入ったことがある子とか。
図書室から出てくる姿をミセスドレイクが見たのがそういう子だったなら、彼女の保護本能が働き始めたと考えても良さそうだ。今の時代、子供たちが犯罪に走ることは結構ある。幼い子供たち。7歳や9歳位の子供たち。こういう子供が少年裁判所の法廷にたたされたとき、どう扱えばいいかと関係者は頭を悩ませる。子供のために色々な言い訳が用意される。壊れた家庭、子育てを放棄した独親。しかし、子供達を最も熱心に弁護し、あらゆる言い訳を持ち出そうとするのは、大抵ロイーナドレイクのようなタイプの人間だ。厳しくて口やかましい女だが、こういう時は別人のようになる。ポアロ自身は、そのやり方には同意できない。彼は、常に正義を第一に考える人間だ。知識というものに、行き過ぎた慈悲に疑問を持っている。ベルギーとこの国の両方でかつて学んだことだが、行き過ぎた慈悲はしばしば、さらなる犯罪の元となる。正義を第一に考え、慈悲を第二にしておけば、被害者にならずに済んだはずの人間が、その犯罪のせいで命を落とすことになる。"
これは、アガサクリスティー自身の少年犯罪に対する私見でもあるのかなと思う。慈悲よりも正義。目先の優しさよりも先々のことを考えて厳しくすることが、かえってよりよい結果を招くこともあるというのはその通りだと思う。
こういった少年犯罪を匂わせる文章が多かったので、少年少女が犯人なのかなと思っていたら真相は金と独善的な美学に酔いしれた大人による犯行だったから全く予想できなかった。最後に出てきたマクベス夫人とナルキッソス、そしてイフィゲニアはそれぞれギリシャ神話とシェイクスピアからの引用。アガサクリスティー作品は、たまにこういった古典作品や神話、聖書からの引用がある。引用元の作品を知っておいた方がより深く味わえると思うので、この辺りの知識も身につけたい。 -
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ネタバレこれはこうだ、と思い込んでいる事象をいい意味で裏切ってくれるのがいいなと思う。登場人物は疑いようもなくその人本人だと信じているからこそ、今回も結末は予想外のところから出てきたし、こんな作品を次々編み出していったからこそアガサクリスティーはミステリの女王と呼ばれるのだなと考えた。
それにしても、作中に出てくる料理(スコーンや紅茶、
フォアグラのパテ、トースト、ポートワイン、クレームドカカ、舌平目のクリーム煮、子牛肉のカツレツなどなど)、すごく美味しそう。イギリス料理はあまり美味しくないと巷で言われているけど、このラインナップを見ているとそんなことはなさそうに思える。料理や地名がよく出てくる小説はイメージを掻き立てることでその舞台世界に誘ってくれるから好き。 -
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【マープル】
マープルのイメージをつかむためにPrime Videoでドラマ版を観たら大大大正解だった!
Audibleで自分が想像していたマープル像は完全に間違っていた…
ドラマのマープルは、知的で上品で、優しくて、控えめで品格があって、頼りになるとっても可愛い素敵なおばあさんだった!
Audibleの声のイメージから、私は勝手に生意気で噂好きな少し下品なおばあさんを想像していて、完全に正反対のイメージを持ってしまっていた。
マープルの姿も知らなくて、小説も読んでいないのに、いきなりAudibleで聴いてしまったのがいけなかった…
なぜならAudibleのマープル役は男性がやっているから!!
ナレーターさんはとても上手なんだけど、やっぱり男性に声だけであのドラマのマープルの感じを出すのは無理だ〜。
村の人のイメージも完全に間違っていた。
みんな上品で知的な紳士淑女だった。
この間違った想像こそがマープルを好きになれなかった原因だった。
それからマープルの英語の綺麗さと聴き取りやすさに驚く!!英語に慣れてない私でも知ってる単語は1つずつはっきりと聴き取れる。綺麗な英語にうっとり聴き入ってしまう。
イギリスの綺麗な田園風景、素敵なお家、上質で上品な服装、家具、食器、テーブルコーディネートの美しさ、テーブルマナー、何もかもが釘付けだった。この話は中流階級くらいの話。
この後に『パディントン発4時50分』を少し観たんだけど、お城みたいな上流階級の家で本当にこんな状態だった(♡∀♡)♡♡♡
ドラマ+読書のダブルが最高だけど、1度でも観れば小説でもAudibleでも断然イメージしやすくなる。
ポアロも映像では1度も観たことがないので観てみたい。(ハマりそうでこわい…)
○ここからはAudibleで読書のレビュー。
ドラマは小説どおりに忠実に再現されてるけど、やっぱりクリスティーの心理描写は小説でなければ味わえないと感じた。
有栖川有栖さんの『月光ゲーム』で大学生が遊んでいたマーダーゲームが出てきた。
こんなに昔からある伝統ゲームだったんだ。
予告殺人という今までにない事件の進み方にドキドキする。
中だるみ感はあるけど、ドラマ版を観たおかげで最後まで楽しめた。
マープルの魅力がわかって本当に嬉しい!!
これからはマープル楽しむぞー(*˘︶˘*).。*♡
Audibleにて。
◆あらすじ
地元紙の広告欄に「殺人お知らせ申し上げます…」という文章が掲載された。
好奇心旺盛の村の人々が館に集まる。
予告の時刻になると… -
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ネタバレミス・マープルシリーズ。
しかし今回の主役は、なんと言ってもスーパー家政婦ルーシー・アイルズバロウ。彼女の完璧なまでの仕事っぷりには感心するばかり。頭脳明晰、料理の腕、きめ細やかな洞察力、気の配り方、人当たりの良さ、そしてミス・マープルに引けを取らない好奇心。全てにおいて魅力的で、新たにルーシー・シリーズも創作してほしいと思った。
ロンドン発の列車の窓から偶然目撃した殺人事件。男が女を絞め殺す、まさにその瞬間を目撃した老婆ミセス・マギリカディは慌てて友人ミス・マープルの元に駆け込むことから物語は始まった。
けれど悲しいかなミス・マープルは体調が思わしくなく、スーパー家政婦ルーシーに事件の捜査を委ねる、というもの。けれど現場での捜査は委ねても、ミス・マープルの推理は全く衰えていない。いかに体力が衰えようとも不可解な事件に対する好奇心はなくなりはしないのだ。
「真の淑女たるものは衝撃を受けたり驚いたりしない」母や祖母から叩き込まれた教訓通り、常に冷静で何事にも動じず、必要とあらば平然と嘘もつく。
「老婦人を決してあなどるな。老婦人というのはしばしば、こうだったかもしれないこと、こうだったに違いないこと、それに実際こうだったということまで教えてくれるものだ」
今回も様々な経験から事件の真相を暴いたミス・マープル。今回も真犯人を当てられなかった私はまだまだ経験値が足りないらしい。 -
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【ポアロ】
恋愛ドラマ+ミステリー。
ポアロが出てくるまでミステリーということを忘れていたくらい。
もうポアロ登場しなくても良くない?と思ってしまうほど、恋する女性の痛いくらい切ない心情を巧みに描いている。
クリスティーはやっぱり女性の心理描写が超絶上手い。ロディーのそんなにどこが良いのかわからなかったけど、恋は盲目なのかな…。
法廷から始まり、ポアロの聞き込みを挟んで最後は法廷で終わる、今までにない展開。
人によってその人への見方が全く違う。
誰が本当のことを言ってるのか、読者自身も人を見る目を試されているようで面白かった。
「何でもない嘘を付くのが犯人」とポアロ。
一見なんの意味もないような嘘から犯人を絞っていくのが痛快だった。
最後もミステリーとは思えない温かさを感じた。ポアロはこんな良いこともするのね( ◜‿◝ )♡
『ナイルに死す』と同様に、いつまでも心に残る登場人物だった。
このタイトルはどういう意味なんだろ。
こんなに良い作品なのにあまり有名ではないのは、このよくわからないタイトルのせいだとしたらもったいない。 -
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本作は、ミス・マープル初登場のタイトル作を含む13の短篇集。これらは、1927年から雑誌連載していた6篇に、他の短篇を追加して1932年に発刊されたもの。作品の初出としては、1930年発刊の長篇『牧師館の殺人』より先になります。
そんな事情もあってか、前半6篇より追加された後半は尻上がりに面白くなって行きます。犯人当ても前半の『アスタルテの祠』『金塊事件』『動機対機会』は、犯人を当てることができましたが、後半は惨敗。マープルというキャラを、著者が次第にものにしていってる感じがしました。
最初はただの田舎のおばさんだったミス・マープルが、人生経験から推理して発言し、次第に周りの人達の信頼を得て行く様子がとても良かったです。そんなミス・マープルの象徴的な発言が、6篇目ラストP171にあり、雑誌連載の締めくくりにしようとした感じがして興味深かったです。
なお、タイトルの火曜クラブと言う、各自が語る迷宮入り事件を参加者が推理し合うのは前半6篇まで。7篇目からは、バントリー夫妻の家での晩餐会での謎解きになり、最後の1篇は、議論ではなく現在進行形の推理物です。
特に面白かったものは、『舗道の血痕』『青いゼラニウム』『バンガロー事件』『溺死』。
正誤 十五刷
P104の10行目:
あその舗道の上→あそこの舗道の上
P343の7行目:
こちゃまぜ→ごちゃまぜ