アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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エルキュール•ポアロが自身に対して失敗を認めることは、ポアロシリーズの後半にはよくある事で、「私はなんて間抜けだったんだ!!」と反省しては真実に辿り着く事がある程度お約束の部分ではあるが、今作「エッジウェア卿の死」においては真相究明までに何度も誤った道筋を辿り、ようやく終盤にて真犯人を導き出すという状態である。冒頭、ヘイスティングスにより、ポアロはこの事件への関与を公表したくなかったと述べているが、珍しく名探偵が犯人に丸め込まれる一歩手前まで来ていた様な事件で、今作の犯人の秀逸さがみてとれる。
舞台女優とそれを取り巻く人達。大女優は夫と離婚したいが認められず、彼女は殺してしまいたいと周囲に吹 -
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クリスティは推理小説のみではなく、スパイスリラー(ジャンルが正しいかわからないが)も実は魅力的で、とても読み応えのある、スリリングな作品を幾つか生み出している。今作は実は評価は余り高く無い様で、エルキュール•ポアロらしからぬ冒険譚が彼のシリーズとしてマッチしていない為、好まれていないようだ。
僕も今作は再読になるが、初めて読んだのは大昔で記憶は古く、覚えているのはポアロの不幸についてとアシールという双子の兄がいた事、そして失われた口髭についてだ。当時の自身の評価は覚えていないが、おそらく余り理解していなかったのだろう、他の作品より低く見積もっていた記憶だ。当時は推理小説以外の作風を読み慣れ -
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クリスマスプディングの冒険
クリスティの短編集。冒頭挨拶でクリスティがクリスマスについて述べているが、やはりイギリスのクリスマスは特別な様だ。クリスティがこの作品集を読者へのクリスマスプレゼントとして発表してくれた事に感謝を持ちながらも、8月末という全くの季節外れに目を通している罪悪感を踏まえて(全く風流でないなあ)感想を書く。
クリスマスプディングの冒険
表題作。探偵役はポアロ。とある皇太子が若さ故に犯したトラブル。家系に伝わるルビーの盗難事件。持ち出した謎の女。とある一族の屋敷で昔から行われているイギリスの古き良きクリスマスパーティに彼女達も参加すると聴き、乗り気では無いながら渋々了 -
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ネタバレクリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。
冒頭、ポアロの一人称から始まり彼の内面的な人物像が珍しく描かれている。もの事が正しく整理整頓されている事を好むポアロであるからこそ全てが散らかった様な環境に投じられる今作はギャップからのユーモアもありとても楽しませてくれた作品だ。
「マギンティ夫人」というのはイギリスにある遊戯歌のようで、作中でも解説されており、女史得意のマザーグースでは無いが見立て殺人の構成だ。
ポアロがエスカルゴ料理を堪能し帰宅すると旧友であるスペンス警視が待っており彼が担当したとある事件の相談をもちかけられる。事件は容疑者が捕まり、陪審員による有罪判決も下るがスペンス警視 -
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クリスティの長編小説。トミータペンスシリーズ。冒険ミステリ。前作長編ではスパイスリラーとされていたが、カテゴライズは曖昧。この辺りは難しいなぁ。(ジャンルが最も大事な訳では無いのだが。)
前作「秘密機関」においては溢れるばかりの若さそこから来る無鉄砲さや溌剌としたエネルギーがこの作品の魅力だった訳だが、彼女達は中年になっても何も変わっていなかった様で(笑)戦時の世の中という物はどこの国でも一緒なのだろうが、現代では中々想像が難しく、当時の世界を取り巻く恐怖感というものは理解できるよりも遥かに恐ろしい環境なのだろうと思う。
そんな世界だからこそ、自身のアイデンティティの為に生きるだろうし、 -
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ネタバレクリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。相棒はオリヴァ夫人。
冒頭のオリヴァ夫人の葛藤はクリスティのそれを反映したものだろう。スピーチへの嫌悪感や分別の無いファンへの煩わしさというのはとても共感を持てる。売れっ子作家としての人生は本人達でなければ気づく事は出来ないが、様々な苦労があるのだろうと勘繰ってしまった。
今作は作中でも触れられているが「五匹の子豚」と対をなしているイメージだ。過去に戻りながら事件の真相に辿り着くという一連は、どちらにも共通しているテーマだ。
今回珍しく幾つかの作品に触れられており、上記作品と「マギンティ夫人は死んだ」、「ハロウィン・パーティ」についても簡単だが -
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ポアロもの。
大富豪ゴードン・クロードが死亡し、その莫大な財産は若き未亡人ロザリーンが相続しましたが、実質はロザリーンの“兄”・デイヴィッドのコントロール下にある状況です。
そして、ゴードンに経済的に依存しまくっていたクロード一族の人々は、“後ろ盾”がなくなってしまい、金銭的窮地に立たされてしまいます。
クロード一族と、ロザリーン&デイヴィッド兄妹の間に不穏な空気が流れる中、ある日村にロザリーンの前夫(ゴードンの前の夫)を知るという人物が現れて・・・。
解説にも本作品が「ドラマ重視」と書かれていましたが、確かに“事件”が起こるまでのヒリついた人間模様がしっかり描かれていますね。
そして、一 -
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ネタバレクリスティの長編ミステリー。
マープルシリーズ。古典作品の読みにくさがこれでもかと詰まった作品だ。(笑)
女主人、現在の夫、1番目の夫の継子と実子。そして養子の娘、2番目の夫の子供二人、ここに付き添い人や使用人、医者等中々難しい環境設定のため序盤は苦しんだが、後半迄に何とか整理して読み進める事が出来た。さらに、舞台設定が非行少年たちを集めた少年院であり、すべてが作用しながら非常に面倒臭い、異様な世界観を漂わせている(人間関係の設定の難しさも作風に合わせている様に思っている。)
マープルの旧友であるルースは自身の妹であるキャリイをとても心配しているが原因がわからない。マープルは昔から空気感をよ -
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ネタバレ⚠️2022年放映の映画版についても言及があるため、未視聴の方は軽いネタバレにご注意ください⚠️
今回の教訓:愛は人を変える
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エジプトのエキゾチックな景色の後に後半バタバタと展開していった映画版と違い、小説ではウィンドルシャム卿とリネットの結婚問題にページが割かれていたため、リネットがサイモンを奪うまでの過程が見られ、じわじわと迫り来る嫌な空気を味わうことができました。
ジャクリーンとの友情が壊れるだろうことは予測できたのですが、まさかジョウアナまでリネットを脅かしていたとは……油断ならないリネットの身の上を思うと、せつなくなります。映画を観てからかなり経っているため -
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ネタバレクリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。相棒はオリヴァ夫人。
再読によりクリスティの作品を沢山読み返しているが、久しぶりにオリヴァ夫人の熱量に討たれた。ポアロシリーズは周辺人物も魅力的だが、何故か少し苦笑いしている様に見えるポアロが新鮮であり、彼に対して突進してくる様なオリヴァ夫人のおばちゃん感はとても魅力的で実は好きなコンビだ。クリスティはオリヴァ夫人に自身を投影している様だが、これだけ生き生きとした登場人物は他の作家でも中々思い出せないし、本当に魂がある様に錯覚させられてしまう。
今作では、ポアロにオリヴァ夫人からいきなり電話がかかって来て怒涛の如く捲し立てられ、ミスレモンが呆れる -
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ネタバレ三幕の殺人
クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。再読。
※古い作品の為、重要な要素のネタバレあり。
この作品について、大まかな部分は忘れていたが、改めてクリスティ作品を読んでいるこの機会に必ず手に取ろうと決めていた作品だ。この作品は特殊で、僕自身、過去に評価自体は高くなかったのだが、犯人と動機と「最後の一行」は鮮烈に覚えていた為だ。第一の殺人にて老牧師が殺害されるが、牧師は過去から現在に至るまで誰かに恨まれた事はなく、彼が死んで徳をする人もいない。何か秘密を隠している様な事もない。だからといって全く無差別な殺人では次に同じ方法で殺害された医師との関連が無くなってしまう。クリスティ