アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ネタバレ若妻のグエンダがイギリス南部に買った趣のある家。訪れるのは初めてのはずなのに、なぜか見覚えがある。
ある夜ミス・マープルと彼女の甥夫婦とともに観劇をしていたグエンダは、かつてその家で起きたと思われる殺人のシーンを唐突に思い出し、それと同時に幼少期にやはりこの家に住んでいたということを確信する。分別のあるマープルは、殺人事件の真相を暴くと意気込むグエンダ夫妻を諌めるものの、二人の好奇心を止めることはできない。経験則から知らない方がいいこともあると知っているマープルと、知らずにはおれない若い二人の対比がクリスティらしくて非常に良い。
結局はマープルも夫妻をサポートするため動き出す。グエンダ夫妻とマ -
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ネタバレ依頼を受けて、旧友の妹が住む邸宅に赴いたミス・マープル。その邸には旧友の妹キャリイとその夫だけでなく、キャリイの以前の夫の連れ子や養女の娘など様々な人たちが暮らしていた。それだけでなく、隣接する施設には精神病の子どもたちも暮らしている。
ある夜、妄想に囚われた青年エドガーがキャリイの夫ルイスを撃とうとする事件が起こる。ルイスは無事だったものの、その間に別の殺人が発生。
騒動の裏で起こる本物の殺人、警察が一人一人事情聴取をして動機から犯人を探っていくスタイル、見え隠れする遺産相続問題と命を狙われるキャリイ、散りばめられたヒント、と王道のクリスティ作品。
ミス・マープルの観察眼が遺憾無く発揮される -
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ネタバレ雪の降りしきるスタフォード荘で何気なく行われた降霊会で、麓に住むトリヴェリアン大佐の死が予言される。馬鹿げていると思いながらも親友であるバーナビー少佐が様子を見に行くと、本当に大佐は惨殺されていた。
独身である大佐の遺産は妹と三人の甥・姪が相続するということで、ナラコット警部は彼らの身辺を捜査する。
ノンシリーズなのでお決まりの探偵がいない分、エミリーやエンダビー、ミス・パーシハウスなど抜け目ない登場人物が多い。最初はてっきりバーナビーが主人公かと思いきや、容疑者となったジェイムズのフィアンセであるエミリーと新聞記者の青年エンダビーのコンビが素人探偵として奮闘する。
犯人については予想はしてい -
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ネタバレ自宅で新聞を読んでいたマープルは、死亡欄にかつてカリブ海の島でともに事件を解決した「ラフィール」の名を見つける。
そこからマープルは、生前に残されたラフィールの指示に従い行動をしていくが、その目的は不明のまま。指示通りバス旅行に参加し、指示通りその道中にある三姉妹が住む邸宅に滞在することになる。どうやらラフィールの目的が、ラフィールの息子マイクルがかつて犯した殺人事件に関係しているということが分かってくる。
そのような中で、バス旅行の参加者の一人ミス・テンプルが落石事故により死亡する。
マイクルが殺したと思われていた少女を殺したのは誰なのか、ミス・テンプルは本当に事故死なのか。
悪を憎み、自ら -
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ネタバレマープルシリーズの中でも間違いなく名前が上がる本作。
「でもマザーグースものか、馴染みないからな〜……」とあまり乗り気ではありませんでしたが、オススメされるのも納得。さすがの面白さでした!
投資信託会社の社長が毒殺され、いつも通り疑いがかかる親族たち。
それにしても、クリスティー作品を読むたびに「いい子だけど闇を抱えた長男、人に好かれる放蕩息子の次男、しっかりものの長女」というきょうだい構成は万国共通なのかなとしみじみ思います。私の兄たちがまさにそうなので……。
閑話休題。
今回はニール警部が捜査の指揮を取るということで、ミス・マープルの登場は中盤近くになってから。セント・メアリ・ミードから -
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ネタバレ甥夫婦の厚意で陽光降り注ぐカリブ海のゴールデン・パーム・ホテルに滞在することになったミス・マープル。そこには個性豊かな宿泊客が集まっていた。二組の夫婦、頑固者の大富豪とその世話係、そして退役軍人の老紳士・パルグレイブ少佐。マープルは、話半分にパルグレイブ少佐の長話を聞き流していたが、翌朝冷たくなった少佐が発見される。高齢者が突然死ぬことはよくあることと、事件性も疑われず処理されてしまうが、マープルは少佐が語っていた写真のことが気に掛かっていた。しかしその写真は少佐の持ち物から忽然と消えてしまっていたのである。
少佐の死には何かあると踏んだマープルは、宿泊者たちを相手に捜査を進めていく。
その最 -
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ネタバレあらすじ
十数年前、とある夫婦が心中します。
その夫婦の娘が婚約するにあたり、相手の養親が心中事件の詳細を知りたがり、紆余曲折をへてポアロが調査することになります。
感想
十数年前におきた心中事件がテーマで、新しい事件が起こるわけではありません。
また、当時の関係者の話を聞いていく、という地味な展開のため、退屈してしまう読者もいるかもしれません。
私はこの落ちつきが嫌いではありませんが。
事件の真相は、"家族愛"だと思いました。
精神障害と遺伝に強い相関があると思われていた時代。
夫婦は真相を隠すことで、姉を守るだけではなく子供たちも守ったのではないでしょうか。 -
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ネタバレ退屈を恐れ、仕事を転々としながら風来坊のように生きるマイケル。ある日、田舎町で「ジプシーが丘」なる場所の話を聞く。土地のものたちは「呪われた場所」だと忌み嫌うその場所がマイケルの心を掴んで離さない。いつしかマイケルはその場所に理想の家を建て、理想の人と暮らしたいと思うようになる。そしてそこで、エリーという女性と運命的な出会いをする。
探り合いながら距離を縮めていく二人。二人はついに結婚し、「ジプシーが丘」での暮らしを夢想する。身分違いの二人の恋をよく思わない人々をやり過ごしながら絆を深めていく二人だが、語り手であるマイケルの口ぶりから悲劇的な結末を迎えることが示唆されているので、どことなく物悲 -
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ネタバレ読んでいるうちに、「あれ!?ポアロってこんなだっけ!?」ってなるくらい、規模が大きい!展開がはやい!スリリング!な話だった。
解説いわく、クリスティーならではのゆったりとした空気感…というものが他のポアロ作品にはあるらしいけど、この作品はもう次から次へとという感じで、いくつもの短編を手直してて作ったというのも納得がいく…
この作品はトリックを楽しむというよりは、マジックを楽しむ感覚に近いというか、不思議なことが起きて種はこうでした!みたいな流れの繰り返しだった。でもそれがすごく楽しい!!
わたしはポアロというキャラクターが好きなので、彼の頭脳明晰さナルシストさ、友情の厚さ、ユーモアさが今まで -
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ネタバレある女性を看取ったゴーマン神父が何者かに殺害された。ゴーマン神父の持ち物から見つかったメモには、女性が死の間際に口にしたと思われる複数の人物の名前が羅列されていた。それらの人物は何を意味しているのか。
主人公で学者のマークは、警察医の友人コリガンから事件の概要を聞き、興味を抱く。
全くの偶然から「蒼ざめた馬」の名を耳にしたマークは、霊能力を持つという怪しげな人たちが住まう「蒼ざめた馬」という名の邸宅に赴く。例のリストは、ここの怪しげな住人たちによって殺された人たちなのではないか?そして、何者かが人を殺したい人間をこの「蒼ざめた馬」に導く役割を担っているのではないか?
マークが参加する降霊会以降