アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ひたすら捜査パートが続く中盤は少しダレてきたけど、残り3分の1くらいのところから怒涛の展開でページをめくる手が止まらなくなった。クリスティ作品はこのパターン多い気がする。
犯人はなんとなく怪しく感じていた人物だったけどその真相は全く予想しておらず、断片的に示されていた情報がきれいに繋がる構成は、クリスティ作品毎度のことながら本当に見事。
事件自体の強烈さ、犯人にまつわる真相が解明されるときの爽快さ、その後に残る切なさで言えばミスマープルシリーズで最高傑作とされているのも頷けるが、冗長に感じる部分や無理があるように感じる部分もあり自分の中では最高評価とまではいかないかなあという感じ。 -
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〔クィン氏〕やってきてすぐに去ってゆく髪の黒い男。謎は時間を経てからのほうがより客観的に、歴史として俯瞰できるので解きやすくなっていると言い、他者から話を引き出すことによって真実に至る道へと誘導する。誘導されてる感が強くどこか怪しくもある。いちばんの謎はもちろんクィン氏自身。
〔サタースウェイト氏〕初登場時六十二歳。人生の見物人。他人のドラマに関心が強い野次馬。誰とでも知り合い。大金持ちで食通。多くの美術品に囲まれ妻子はいない。こういう人物は最後に当事者になったりするもんやけど、はたして?
〔感想〕ひとつひとつはとてもあっさりしているがだんだんクィン氏の不可思議さが強く感じられていく。数十年ぶりに読むクリスティでかなりの冊数読んでるんやけどこれは未読やった。ともあれクリスティクオリティ。
〔クィン氏登場〕幽霊の噂があるロイストン荘。十年前自殺した男の真相。ハーリ・クィン《ずつと解けなかったからといって、かならずしも解決できない問題とはかぎりませんよ》p.24
〔窓ガラスに映る影〕窓ガラスに幽霊の顔が映るグリーンウェイズ荘で殺人事件。
〔〈鈴と道化服〉亭奇聞〕大金持ちの若い女性と結婚した男が突然失踪した理由。
〔空のしるし〕富豪の若い妻が殺された。使用人のひとりが神の御手を見た。
〔クルピエの真情〕モンテ・カルロの「伯爵夫人」とアメリカ人の男女。
〔海から来た男〕ある島で、ある男が自殺しようとしており、ある女も自殺しようとしていた。
〔闇の声〕幽霊の声を聞く娘をなんとかしてくれと頼まれたサタースウェイト氏。
〔ヘレンの顔〕すばらしく美しい顔を持つ女と二人の青年。
〔死んだ道化役者〕昔、主人が自殺したチャーンリー荘で道化役者が死んでいるところを描いた絵を欲しがる二人の女。
〔翼の折れた鳥〕降霊術によりクィン氏から呼び出しを受けてレイデル荘に赴いたサタースウェイトは魔を感じさせる女と出会う。
〔世界の果て〕コルシカ島の世界の果てのような場所にある食堂にて。
〔道化師の小径〕個性のない金持ち夫婦の屋敷であるバレエ作品が演じられる。 -
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ミステリーの女王アガサ・クリスティの手にかかればもはや何も起きなくても面白い。
事件が起きる前の前半部分がめちゃくちゃ面白く、個人的には事件が起きたことでそこまでのストーリーが停滞してしまったような気がして、むしろ事件が邪魔にさえ感じた。でもそこはさすがのアガサ・クリスティで、読み進めていくと事件前・事件後で分けることすら無意味で、全てはナイル川のようにひとつの流れであったことが分かる。
悩めるジャクリーンを優しく諭すポアロの言葉のひとつひとつがとても良い。
メインの3人に絡む物語は面白いんだけど、他の容疑者たちがわちゃわちゃやってる中で釈然としない描写もあったため自分の中では満点評価とはしませんでした。あとエジプトが舞台だけどこの土地を物語に活かせてたかと言うとちょっと微妙な気がする。 -
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ネタバレミステリー小説に興味を持ち始めたとき、「アガサ・クリスティは外せない」と友人にすすめられて手に取ったのが『ナイルに死す』でした。
舞台はナイル川を巡る豪華な旅。美しい景色に囲まれながら進んでいくミステリーという設定に惹かれ、読み始めました。
最初は登場人物が多くて少し戸惑いましたが、それぞれの人物が物語に重要な役割を持っていることが少しずつ分かってきて、読み進めるうちにどんどん引き込まれていきました。
物語の中心にいるのは、すべてを持っているように見える女性リネット・リッジウェイ。彼女を取り巻く人間関係の緊張感や嫉妬、憎しみが、まるで静かな水面の下に隠れていた感情が一気に噴き出すように描かれていて、ページをめくる手が止まりませんでした。
殺人事件が起きてからは、一気に空気が変わり、エルキュール・ポアロの冷静で鋭い推理が光ります。ただ真相が明らかになるだけでなく、「人はなぜ人を憎むのか」「愛は時に破壊的になりうるのか」といった深いテーマも感じられて、読み終えたあとも心に余韻が残りました。
最後の真相には驚きと同時に、どこか切なさもあり、ただのミステリーにとどまらない作品だと実感しました。
クリスティ作品の面白さを知るきっかけとなった一冊です。 -
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まず読み始めて思ったのは、
「歯医者で殺人?…古畑任三郎にもそんな回あったよね?」と。大地真央さんが犯人の回(笑)
ていう謎の既視感からのスタート。
古畑の歯医者回はクリスティーのオマージュだったのかもなあなんて思いながら読み進めた。
そしてそして話は思わぬ展開へ…
え!そっち!?たしかにタイトルは「愛国殺人」。
何やらきな臭い匂いがしてきたよ。
どうなっちゃうの?全然先が想像できない!
しかもカーターとレイクスが混ざっちゃって、これはもしやカーターとレイクスは同一人物か?なんて思ってたらあれよあれよとその推理は撃沈し、
犯人はそっちかーい!のオチでした。
毎回毎回ノーマーク過ぎる人が犯人で、毎回毎回本当に楽しめて、毎回毎回「やっぱアガサ最高!」てなるのが幸せ(笑)
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ネタバレアガサ・クリスティの短編集。
夢の家
崖っぷち
クリスマスの冒険
孤独な神さま
マン島の黄金
壁の中
バグダッドの大櫃の謎
光が消えぬかぎり
クィン氏のティー・セット
白木蓮の花
愛犬の死
「夢の家」
ミステリーというよりサスペンス。人が狂っていく様が静かに描写されていて普通に怖い。
「名演技」
過去を知るならず者に脅されると気づいた女優、一世一代の名演技。彼女の代役も死体役とはいえ、なかなかの名優ではなかろうか。
「崖っぷち」
一線を踏み越えたのはまさかのクレアだった…!?ヴィヴィアンだと思ったのに。いや、ヴィヴィアンも楽しげに崖を飛んだ時点で一線を踏み越えてはいるのか。
「クリスマスの冒険」
ポアロシリーズ。
クリスティ作品でたまにある、主人公の機転で犯罪者が新たなる犯罪を諦めて遁走する話、結構好きだったりする。なのでこの話も好みだった。
「孤独な神さま」
これ、今の時代ならいわゆる「なろう系」とも言えそうな気がするが…ハッピーエンドはやはり良いものだ。クリスティは恋愛ものを描いても、彼女のらしい魅力に溢れた作品を作り出す。
「マン島の黄金」
今の日本でも脱出ゲームや謎解きが流行っているが、まさかそのはしりをクリスティがやっていたとは…。正直全く解けなかった。
「壁の中」
ジェイン・ホーアスがまさかの絵画だとは。最初、「いつジェインって人が出てくるのかな」と思いながら読んじまったよ。しかしこの作品はミステリーというか、まぁミステリーサスペンス……なのだが、雰囲気的にはランポーである。エヴァラードは亡くなりイザベルは生き残ったのだと思ったけど、もしかして二人とも死んだのか?
「バグダッドの大櫃の謎」
ポアロシリーズ。そしてヘースティングズ友情出演、ないし語り手。
クリスティらしいトリックの冴えた短編。クリスティの恋愛要素が強い話も好きではあるが、やっぱりミステリーが良いなあ。
「光が消えぬ限り」
いや三角関係。からの悲劇。結構クリスティが好きな愛憎劇ではあると思うが、そして彼女らしい女性贔屓な雰囲気は否定できないが、本作は特に、ティムが気の毒な気がしてならなかった。女の思わせぶりは罪。
「クィン氏のティー・セット」
少しの不思議さとミステリーが融合した作品。クリスティ作品の中では珍しいような気もするが、そして昨今のミステリーではあまり見ない手法のような気もするが、意外と個人的には好きな作品だった。
「白木蓮の花」
普通にリチャードがあかんやヤツ。「光が消えぬ限り」とはまた違う方向から攻めた三角関係。テオは孤独を選んだけど、どこか近い未来でヴィンセントと幸せになって欲しい。
「愛犬の死」
時代を思うと、ジョイスのような未亡人は生きるのに苦労しただろうと思えて仕方ない。愛犬が居たからこそ彼女はこれまで生きて来られたのだが、これから先は愛犬が居ないからこそ生きていけるのだと、ちょっと皮肉にも感じる一方、ようやく過去と別れを告げてジョイス自身の人生を歩み始められるような終わりで、読後感は良かった。 -
Posted by ブクログ
久々にクリスティーに戻って、
やっぱり勝手知ったるホニャララ〜で馴染みました。冒頭、登場人物が順序よく描かれる様は、まるで舞台上の人物に光を当てるように鮮やかで。これから起こる事件を予感してわくわく。
そこまで強烈では無いけれど、魅力的な人物もちょいちょい出てきます。彼らの恋模様をポアロが時に励ますような意味深なアドバイスも楽しい。
いつも犯人を想像しながら読み進めるのだけど、思いもよらない人物が最後名指しされるので、気持ちよく騙される。ヒントは各所に散らばっているけれども、気づけない。
ちょっと残念なのは国際謀略の要素もあって、話を大きくし過ぎているかな〜感があるところ。