アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ネタバレポワロでもミス・マープルでもないクリスティ作品。しかし、ストーリーはまさにクリスティ・ワールドである。
雪に覆われた、自然により作り出された「密室」、そこで行われた降霊術で示唆された殺人。
死体で発見されたシタフォード荘の主トリヴェリアン大佐。
フィアンセが容疑者となり、その無実を晴らすべく、エミリー・トレファシスが新聞記者チャールズ・エンダビーを相棒に事件に挑む!
という物語。
とはいえ、チャールズは最終的にあまり活躍しない賑やかしなのだが。結局はナラコット警部が優秀なのだが。
根っからのクリスティファンなので楽しんだが、ところどころトリックには突っ込みたくなったり、説明されていない謎があったりして、気になる人は気になるかなと思う。降霊術でどうやって大佐の名前出したんだよ、とか。
それらを凌駕してしまった理由の一つは、大佐殺しの動機が序盤から示されていることだろうと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレポアロシリーズ⑮
富と美貌を兼ね備えた女性リネット・リッジウェイと夫のサイモンはエジプトに新婚旅行にきていた。しかし2人は、リネットの友人で、サイモンの元婚約者であるジャクリーン・ド・ベルフォールに旅行の間中つけ回されていた。不穏な空気の中、ナイル川の船上で事件は起きてしまう。
すごく面白かった!
謎が渦巻く船の中を、登場人物一人ひとりが、行動し、さまざまな思いを巡らせる。
そこに無駄がないからこそ、ポアロによって一つ一つの謎が解けていく事で、それぞれの状況や思いに「あぁ〜そういうことか」と納得し、感情移入してしまう。
犯行の手口は素晴らしいものだったけれど、犯行前にあったポアロの優しい説得で、犯人には思いとどまってほしかったなぁ。 -
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密室!
久しぶりだー。
しかもこてこての密室!
にやにやしてしまった。
そこに富豪がいる限り。
そこに不遜な父親がいる限り。
起きちゃいますよね殺人が。
明らかに怪しい態度をとっていた人間がいたのに。
あー、めちゃくちゃ怪しい。絶対この人が犯人じゃん!て思ったのに。
なぜその人の存在を忘れるかな私。
いや。忘れるようにまんまと誘導されてしまったのか。くーーっ!
あとは、なんとなく「ぽくない」感じがあったな。
良いとか悪いとかではなく「アガサクリスティーぽくない」というか。
でも読後感が良い点はいつもと一緒。
読後感やその作品を包む雰囲気は作者の人柄が反映されるっていうしね。だからアガサクリスティーの本を読みたくなるし、惨劇が起きてもどこか楽しいのかも。最高で最強のエンターテイナー。
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バントリー大佐の書斎である朝見つかった見知らぬ金髪の若い女性の死体。夫の潔白を信じる夫人は友人のミス・マープルを伴い、女性がダンサーをしていた高級ホテルに向かい犯人探しに奔走する。
マープルシリーズ第二弾。事件の始まりはセント・メアリ・ミードだったものの、物語は隣州の高級ホテルで展開される。動機らしきものは序盤で判明するのだが、如何せん容疑者にはアリバイあった、というのがこの話の肝。一つの謎が解けるとすべての謎が次々と解明されるといった具合に後半の展開は早い。最序盤にヒントがさりげなく隠されているので、比較的フェアな謎だと思う。ミステリーにありがちなありふれた事件ではあるが、その見せ方を工夫しているので楽しく読み進めることができた。
本筋からは外れるが、階級や出身に対する軽い偏見があえて散在されていて、当時の英国人の考え方(もしかしたら今もかも)が窺い知ることができ面白い。 -
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マープルの長篇2作目(短篇含めて3作目)。推理もさることながら、ミステリなのにユーモラスな箇所が随所に垣間見えて、とても面白く読むことができました。
あらすじ:
ある朝、セント・メアリ・ミード村の外れにあるゴシントン館でのこと。バントリー夫人は、夢うつつの朝のまどろみを破る、メイドの「書斎に死体がある」との一報で目を覚まします。それは、館の主人であるバントリー大佐や使用人たちの誰も知らない、どぎつい化粧をした金髪の若い女性の死体。バントリー夫人は、友人のミス・マープルを呼んで死体を検分。間もなく、デーンマスのマジェスティック・ホテルから、女性ダンサーのルビー・キーンが行方不明になっているとの連絡が入り、発見された死体とホテルの滞在客との意外な関係が明らかになってきます……。
と、短篇集『火曜クラブ』の後半で謎の事件を語り合ったゴシントン館が事件現場。『牧師館の殺人』同様に書斎での死体発見と、その住人以外の被害者という共通項でストーリーに入りやすい工夫に驚きつつ、冒頭のバントリー夫人の夢を使って記憶に新しい牧師夫人(グリゼルダ)の水着姿を登場させる、お茶目なファンサービスがウケるw
また、作家は変人と自虐ネタを織り交ぜたり、ピーター少年のクリスティーのサインを持っている発言などから、おそらく著者自身がノッてる時期に書かれたのだろうと想像されます。
例えば、ユーモアのセンスが節々で冴えているのですが、スラック警部に対する皮肉はもちろん、セント・メアリ・ミード村を「すごい田舎だそうですね」と言わせてみたり、本に登場するロンドン警視庁はたいてい「大バカ者」と揶揄してみたりと、ミステリなのにクスりと笑えるところがあって楽しいです。トドメは、マープルに向かって「黙ってろ、このババア」ですからね。ヤバすぎますw
と、推理と関係ないことを書いてきましたが、推理はお手上げでした。よくこんな事を思いつくなと感心しましたね。ところで、まだマープルは3冊目ですが、女学生にぴしりと言う場面が、終始おっとりしているイメージがあったので意外。クリスティーは、読むたびに発見があって飽きさせないですね。
正誤(11刷)
※間違いと言うか、P119の遺言のくだりが辻褄が合わず、理解できなかったです。原文はどう書かれているか気になるところ。 -
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イギリスの作家アガサ・クリスティの長篇ミステリ作品『復讐の女神(原題:Nemesis)』を読みました。
『さあ、あなたの暮らしぶりを話して クリスティーのオリエント発掘旅行記』、『カリブ海の秘密』に続き、アガサ・クリスティの作品です。
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マープルは、かつてともに事件を解決した富豪の死を知る。
その一週間後、「ある犯罪調査をしてほしい」と富豪が記した手紙が届く。
だが、具体的な犯罪の内容については何も書かれていなかった。
マープルは手紙の指示通り旅に出るが、そこには様々な思惑をもつ人々が待ちかまえていた。
『カリブ海の秘密』の続篇。
(解説 南波雅)
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1971年(昭和46年)に刊行された、ミス・マープルシリーズの長篇11作目となる作品……長篇として出版されたミス・マープルシリーズは次作の『スリーピング・マーダー』が最後ですが、執筆された時期は本作がシリーズ最後となります。
■1. 序曲
■2. 合言葉はネメシス
■3. ミス・マープル活躍を始める
■4. エスター・ウォルターズ
■5. あの世からの指図
■6. 愛
■7. ある招待
■8. 三人姉妹
■9. ポリゴナム・バルドシュアニカム
■10. “なんと、やさしく! なんと、美しく! 過ぎし日よ”
■11. 事故
■12. 協議
■13. 黒と赤のチェック
■14. ブロードリブ氏の疑念
■15. ヴェリティ
■16. 検死審問
■17. ミス・マープルの訪問
■18. ブラバゾン副司教
■19. 別れの言葉を交す
■20. ミス・マープルに考えあり
■21. 大時計三時を打つ
■22. ミス・マープルその次第を語る
■23. 終曲
■解説 合い言葉はネメシス 南波雅
午後になると2つ目の新聞「タイムズ」をひらくのが、セント・メアリ・ミードに住むミス・マープルの習慣だった……ときどき知った名前に出会うことがあるので、死亡欄にはとくにていねいに目を通す、、、
その日もラフィールという名を見つけた……数年前 カリブ海に遊んだマープルが自ら〈復讐の女神〉と名乗って大活躍をしたとき、彼女に援助の手をさしのべてくれたあの大富豪のラフィール氏だった。
ところがそれから一週間ほどたって、故ラフィール氏の奇妙な伝言が弁護士を通じてミス・マープルに伝えられた……遺産の一部を譲りたいが、ついてはマープルを〈復讐の女神〉とみこんであることをやってほしいというが、マープルに何を期待しているのか、何をしてもらいたいのか全く判然としない、、、
カリブ海の事件のことからラフィール氏は何か犯罪を解決してもらいたいのだろうと解釈したマープルは、死者の依頼を引き受けることにした……だが、事件そのものが分らないという雲をつかむような事態の前にさっそく開始した活動も行き詰ってしまった。
そのとき死者から第2の指令がとどいた……身辺に十分気をつけて、英国の古い館と庭園をめぐる観光旅行に参加するようにと、、、
〈復讐の女神〉ミス・マープルのミステリ・ツアー……女史が意欲を燃やすミス・マープル3部作の第2弾!
『カリブ海の秘密』でマープルに出会い、ともに謎解きをした大富豪ジェースン・ラフィールが死去し、彼が遺言にミス・マープルが解決すべき別の謎を残す……という展開で、『カリブ海の秘密』の後日譚的な物語です、、、
死亡したラフィールからの何らかの犯罪を調べてほしいという遺言状が届き、解決に成功すれば2万ポンドをマープルに相続させるというが、何をしらべるかすらわからない状況からのスタート……五里霧中のままラフィールが生前に手配したイギリスの有名な邸宅や庭園を巡るバスツアーに出かけたマープルは遂に悪の匂いを嗅ぎつける という興味深いプロローグが物語に惹き込まれました、、、
バスツアーで、登場人物が一気に増え、それぞれに怪しい部分があるなぁ……と感じていたところ、旅の途中で旧領主邸の怪しげな三姉妹が登場、さらにはツアー客の中のひとりがハイキング中に岩崩れにより重症を負い と中盤からは一気に物語が動きます。
本作も意外な人物が犯人でしたねー 愛が憎しみに変わる恐ろしさを感じる作品でした……それにしても、ツアー客の怪しげな2人組がマープルの危機を救うとは、、、
終盤は予想外の展開が愉しめました……本作品は3部作の第2作となる予定でしたが、アガサ・クリスティの死去により第3作は発表されないままになったようです。
以下、主な登場人物です。
ジェーン・マープル
探偵好きな独身の老婦人
ジェースン・B・ラフィール
マープルの知人。故人
マイクル・ラフィール
ラフィールの息子
エスター・ウォルターズ
未亡人。ラフィールの秘書
アーサー・ジャクスン
ラフィールのマッサージ師
ジェームス・R・ブロードリブ
上位弁護士。ジェースン・ラフィールの遺言執行人
シュスター
弁護士。ブロードリブの共同経営者
クロチルド・ブラッドベリースコット
ジョスリン・セント・メアリの旧領主邸在住
アンシア・ブラッドベリースコット
ブラッドベリースコット家の三女
ラヴィニア・グリン
ブラッドベリースコット家次女。未亡人
ヴェリティ・ハント
殺された娘
ノラ・ブロード
行方不明の娘
ブラバゾン
副司教。フィルミンスター在住
ライズリー(ゼラルディン)・ポーター夫人
観光バスの乗客
ジョアナ・クロフォード
観光バス乗客。ポーター夫人の姪
ウォーカー大佐
観光バス乗客。退役軍人
ウォーカー夫人
観光バスの乗客。メリーピットの知人
ヘンリー・バトラー
観光バスの乗客
メイミー・バトラー
観光バスの乗客。ヘンリーの妻
ミス・エリザベス・マーガレット・テンプル
観光バスの乗客。ファローフィールド校の元校長
ワンステッド教授
観光バス乗客。病理・心理学者
リチャード・ジェームスン
観光バスの乗客。建築家
ミス・ラムリー
観光バスの乗客
ミス・ベンサム
観光バスの乗客
ミス・クック
観光バスの乗客。ミス・バローの連れ
エムリン・プライス
観光バスの乗客
ミス・バロー
観光バスの乗客。ミス・クックの連れ -
Posted by ブクログ
マープルもの9作目。
本書はクリスティー74歳の時の作品だそうですが、さすがの円熟ぶりといいますか、「あっぱれ!」な完成度でございました。祝日に一気読みです〜。
転地療養のため、セント・メアリ・ミードを離れてカリブ海のリゾート地にやってきたマープル。
歳を重ねて頑固になる人は多いですが、甥の親切なおせっかいをありがたく受け入れ、「ほんとうの意味の若さの精神を発揮して、それほどおもしろいものなら自分もなんとかそれを好きになろうと努力しよう」(p31)という姿勢にはとても感心しました。
また、さまざまな人との会話の中で、時にかまをかけたり、ぐっと反論をこらえたり……次々繰り出される会話術にも脱帽。私もこんな聞き上手になりたい。
そして見知ったサー・ヘンリーもクラドック警部もいない中、バディとなるのはたいへんなお金持ちであるラフィール老人。
”死を目前にした剣闘士”同士のやりとりは、退官後戦場に戻ってくる老兵士のようなかっこよさがありました!
後の作品である「復讐の女神」が出てきましたが、これは続編にあたるとか……?うーん楽しみ!
本書のキーワードである”噂話”は、やはり誰しも気になってしまうもの。
旅先という特定の環境で、人々の口の端にのぼる噂話がいかに広まり、どんな人物像を形成していくか……。それをもとに人間を緻密に描いていくクリスティーの腕前は、やはりさすがの一言。
リゾート地には縁がないので、こちらはいつかドラマ版でも観てみたい作品です〜。 -
Posted by ブクログ
こちら、正直あまり期待せず(未読のマープルものだから……)くらいのテンションで読み始めたのですが、クリスティー作品の中で一二を争うくらい好きかもしれません(”面白い作品”でなく”好きな作品”部門で)。なんだかずっとニコニコしながら読んでいました〜(´ω`*)
そもそもあらすじの「ミス・マープルが若い二人の探偵指南役を務める」からしてうーんという感じなのですが、読み終わってみればマープルさんの出番はほぼナシ!なんなら、途中までノンシリーズだと思い込んでいたくらい。
ですので、マープルものだと意気込んで読むとちょっぴり拍子抜けかもしれませんね。ノンシリーズにマープルさんがゲスト出演、くらいな期待値だと嬉しいサプライズという感じです。
なにが良いって、バートンの語りが良い!
「この物語の書き手」の時点で少し警戒してしまったのですが、まったくの杞憂でした。というか、本書に関しては(こうかな?)と予想したことは何一つ当たりませんでしたが(いつものこと)。
妹のジョアナ共々、具体的なバックボーンはよくわかりませんが裕福な暮らしで育ちがよく、田舎の町に越してきても人々を偏見の目で見ることなく、実におおらかに構えているのでこちらまでなんだかゆったりした気持ちに。
特に、「バートン家の者たちは、ここんところ売れ行きが悪いのね!」と慰め合う様なんて、なんて仲がよく、そして二人とも人がいいんだろうと感心してしまいました。
その他の登場人物たちも、たしかにクセはあるけども基本的に善良な人々で、解説にある通り、こんなに好きになっちゃったのに裏切られたらかなしい……とハラハラする始末。よっぽどセント・メアリ・ミード村の方が毒があるような……笑
肝心の謎解きもスッキリ解決して、こーんなに円満に収まるミステリーも珍しいのではないでしょうか?
ミステリーの中では浮いてしまいがちなロマンス要素も今回はとっても好ましく描かれていて、もうなんの不満もありません。
再読の機会があれば、無駄に疑心暗鬼になったりせず、このハッピーな物語を存分に楽しみたいと思います〜。