アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【ノンシリーズ】
1958年クリスティー68歳。
クリスティー自身が選ぶベスト10に入っている。
あらすじ
2年前に母親が殺害され、息子ジャックが逮捕された。そこにジャックが無罪であることを証明できる証人が訪れる。
ジャックが犯人でなければ誰がやったのか…。
この屋敷の中に殺人者がいる。
お互い疑心暗鬼になるけど、それを仕切る探偵はいない。
『そして誰もいなくなった』の家族版のようだけど、この作品はドキドキ感が少ない。
なぜなら一族で話し合い、回想がひたすら続くから。しかも2年前のことを。
なかなか進まない展開に、ポアロがいてくれたらと何度思ったことか…。
でも段々と殺された母親の本当の姿がわかってくると、犯人当てとはまた別の面白さが出てくる。
『春にして君を離れ』(1944年)と同じようなタイプの母親。
『春にして』は実子だけど、この作品は養子でしかも5人もいるので、より複雑化している。
更に『娘は娘』(1952年)の親の再婚の要素まで追加される。
人気作品のお得な盛り合わせのように感じた。クリスティー晩年期だからこそできる技。
自分は盛り合わせよりも、1作品ずつの方が濃厚に楽しめるので好きかな。
クリスティーの選ぶベスト10は、今までほぼ★5か★10だったので、この作品も期待していたら意外と普通だった。
クリスティーはこの作品のどういう点が気に入ってたんだろう?
★3.5 -
Posted by ブクログ
【トミー&タペンス】
クリスティー32歳。
デビュー作の次に書かれた2作目。
トミーとタペンスが生き生きしていて魅力的だけど、やっぱり冒険ものが苦手でミステリーじゃないと途中挫折しそうになる…。
すると面白い出来事が出てきて、クリスティーに「頑張るのよ!」と励まされているかのように、またぐいぐい読める。
世界の命運を握る秘密文書の行方を若者素人探偵が探すという、どうにもあり得ない設定。
それについては、あ〜そうなんだ程度に深く考えない方が良さそうだ。
「一体誰が黒幕なのか?」というミステリーの犯人当てのような楽しみ方がわかると、一気にものすごく面白くなってきた。
2人が若さに溢れていて明るく魅力的。
そして今までのシリーズにはないドキドキ感!
冒険もので初めて最後まで楽しく読むことができた(゚∀゚)
クリスティーの幅広い作品のおかげで、私の狭い偏った好みを徐々に矯正してもらってる感じがする。
思い返せば、あんなにカタカナ名前が苦手だったのにいつの間にか慣れたし、文化は違っても人間の本質は同じなんだと外国の壁も取っ払ってくれた。
クリスティーのおかげで読書の楽しさが大きく広がった。私にとってクリスティーはもはや先生。
自分のクリスティー読書50冊目は、冒険ものに初めて踏み出して楽しめたので、忘れられない1冊になった。
クリスティーの作品は100冊あるので、これでやっと半分まできた。
色々なジャンルがあるので、全然飽きないどころか、読めば読むほど愛が強まってしまうのがクリスティーのすごいところ。
杉江松恋さんの解説がとてもわかりやすくて、自分がどうして『ビッグ4』を途中で挫折してしまったのか理由がわかった。
この解説を読むと、クリスティーのことも作品のこともより深く知ることができて、より作品が面白くなる。こういう解説が大好きだ。
★3.5 -
Posted by ブクログ
【ポアロ】
解説に「この本を手にしている方は、かなりの重症のクリスティー・ファンだろう」と書いてある。解説者もこの本は「四十数冊目くらいのクリスティー本」らしい。
私もこの本でクリスティー48冊目で、ポワロ作品は自分の好きなタイプはほぼ読み終わってしまった。
だから残りのポワロ作品になかなか手が伸びず、かなり久しぶりのポワロ。
ここからのポワロは自分の苦手な作品が続くので、どこまでいけるのか自分に挑戦。
大富豪ゴードンが戦災で亡くなる。
亡くなる直前に若い娘と結婚し、巨額の財産は彼女のもとに行くことに。親族は複雑な思いを抱く…。
いつまで経ってもなかなか事件は起こらない。
登場人物は全員大富豪ゴードンの遺産に寄生していて、優柔不断で煮え切らないグダグダした個性の薄い人ばかりで、誰にも魅力を感じない。
だんだんイライラしてきて他の本も挟みながら、読み終わるまでに3日くらいかかった。
でもラストはさすがクリスティーだった。
伏線もたくさん張ってあったし、遺産に寄生する一族にイライラさせることもクリスティーの計算上だったのかもしれないとも思えてきた。
読み終わってみれば普通にこの作品も面白かった。やっぱりこれだからクリスティーはやめられない。
クリスティー58歳の作品。
★3.5 -
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ネタバレ読むきっかけは、最近読んだミステリの解説の中で、ミステリ作家たちが長編小説の傑作は『象は忘れない』で意見が一致した、という文章を読んだこと。
今まで読んだポアロの中で一番情報を汲み取るのが難しかった!!
十年以上前の事件の真相について、当時関わっていた人たちに話を聞いていくのだけど、話し手は自分がそう思いたいと考えていることを事実として記憶しているので、
出てくる人の話がある事実においてはこうだけど、別の人によるとこうだ…みたいな感じで、事件についての情報がかなりとっ散らかっているように見える。
だけど最後の種明かしの場面では、「象」たちが話したことがシンプルな真相にきれいに収束していって、読み終えた後は感慨深い気持ちになった。
事件の真相を知った上で読み返せば、推理小説としてはもっと楽しそう。
あと最初はすごく読みにくかった…翻訳が古いのかな?と思ったけど、古さよりはミセス・アリアドニをはじめとする登場人物の会話のせいかな思った。
会話って文字に起こしてみるとかなり散らかっているので、こういう読みにくさも意図的なんだろうな…
また、クリスティーの晩年の作品を読んだのも初めてだった。
作中に出てくる年代が1970年代で、「え!最近じゃん!?」と驚いた。
今まで読んでいたクリスティーは戦前のものが多かったので…
作中に出てくる『五匹の子豚』も気になる。近いうちに読もう。
あとシリヤとデズモンドの二人がよかった。
ポアロが、シリヤには「幸福になる素質」「勇敢さ」があると言っていた。
この二つって人生を生き抜く上でとっても大事なことなのでは、と20代中盤を過ごしていて感じてきている。
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【マープル】
クリスティーが37歳の時に執筆して、亡くなった後に公開された作品。
マープルの最終話となっているけど、執筆したのはマープル作品初期の頃なので、こちらから読むことに決めた。
戦争中に執筆しているからなのか、仄暗くて重い雰囲気。怪奇要素も入っていて、今までのマープル作品にはない感じだった。
マープルは無理に話を聞こうとしない。
動揺して怖がっている人には、湯たんぽと濃くて熱くて甘いお茶で精神的に落ち着かせてくれる。
相手が話しやすい雰囲気づくりが上手い。
この作品では、まるで心理カウンセラーのようなマープルが印象に残った。
解説は恩田陸さん。
まさか解説でこんなに心を持っていかれるなんて思わなかった。
私は『ドミノ』しかまだ読んでないので、全然恩田さんのことは知らないのに一気に心を掴まれた。
自分が心の中で思っていて言語化できないクリスティーの好きな部分を全部言ってくれた感じがした。解説のこんなに短い数ページでそれをやってしまうすごい才能。
クリスティーを読み終わったら恩田陸さんの本ももっと読んでみたい。
次は未読最後のマープル作品『復讐の女神』。
ついにマープルが終わってしまう。 -
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登場人物は資産家の未亡人、その甥と姪、未亡人の寵愛を受けている娘、医師と看護婦2人。
甥と姪は将来を約束した仲だが、未亡人の世話をしている娘を見て、甥の気持ちが揺らぐ。
ほどなくして、未亡人が亡くなり、姪が遺産を相続するが、甥との仲は破綻する。そんな中、娘が殺されて、犯人として姪が逮捕される。医師は姪の無実を信じて、名探偵エルキュール・ポアロに調査の救いを求める。遺言を残さず亡くなった未亡人、若いながら遺言を残して殺された娘。姪に不利な状況が積み重なるなか、姪が本当にやったのか、それとも濡れ衣なのか、ポアロの調査が始まる。登場人物とポアロとの会話から、真実が見つけだせるのか、姪は本当に無実なのか。ある出来事がきっかけとなり一気に氷解していく。提供される情報をもとに、丁寧に読み解くことが求められる。 -
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【マープル】
1952年クリスティー62歳で、マープル長編12作品のうち5番目の作品。
マープルの学生時代の友人に「妹の身に良からぬことが起きる予感がする」と頼まれて、マープルは友人の屋敷に赴くと…。
最初の夫とその子ども、2番目の夫とその子ども、3番目の夫、実子と養女とその旦那もいて…もう人間関係が複雑過ぎるよー。
人数が多いのと魅力のある登場人物がいなかったので、誰にも感情移入できずに終わってしまった。
邸宅で非行少年ばかりを集めた少年更正施設をしていたり、妄想癖のある青年も出てくる。
もう色んなことがてんこ盛りなので、面白みが薄くなっている感じがした。
★2.5
マープル長編の未読は残りあと3作品。
執筆した順番で最後の3作品を読まずにとっておいた。
楽しみでもあり、マープルが終わってしまう寂しさもある。大切にゆっくり読もう。 -
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ネタバレクリスティーのシリア発掘調査日記。
クリスティーの再婚した相手が考古学者であり、クリスティーも夫と一緒に発掘調査に同行したことは有名だが、その様子は初めて詳しく知った。オリエントな世界に魅せられていくつかの作品を上梓したクリスティーだが、その作品の下敷きになったであろう中東への眼差しがここに現れている。
ヨーロッパと違う風土、人々。虫や小動物に悩まされたり、勝手が違うルールやマナーに呆れたり、クスリと笑える描写もある。これが当時の典型的な西洋人の中東への見方かと納得することもあり、あまりにナチュラルな上から目線は現代から考えると座りが悪い部分もある。戦時中にまとめたのだから、明らかに過去を振り返って楽しかったと回想する思い出の記ではあるが、クリスティーも異邦人生活の楽しさ(それも配慮してもらえる立場での)を教授していたのだなと。時間も空間も超えてこれを読む自分は、ひとつの旅行記としてというより、クリスティーの情報のひとつとして読んだ。 -
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【ノンシリーズ】
「いっそ死んだのが兄でなくローラだったら…」と両親から思われているローラ。
今度こそ両親の愛情はローラに注がれると思ったら、妹シャーリーが生まれた。すると今度は妹ばかりが愛され…。
『第1章 姉ローラ目線』
読者が姉か兄だと、下の兄弟が生まれた時の姉ローラの気持ちがよくわかると思う。
『第2章 妹シャーリー目線』
私は3番目なので、まさに妹シャーリーと同じ。「うん、わかるわかる。」とシャーリーに共感しながら楽しかった。
と、ここまでは『春にして君を離れ』『娘は娘』と同様に面白かった。
第3章になったら、説明もなく新しい謎の伝道者の話に突然切り替わる。
1.2章との繋がりが全くないので意味がわからず混乱する。ローラとシャーリーの話はどこへ行った?
そして宗教色が急に強くなるので、頭に内容が入ってこない。今まで宗教感をこんなに出したことなかったのに、急にどうしたんだろう。
第4章で第3章との繋がりがわかるけど、最後の終わり方も今までのクリスティーとは違う違和感を感じた。
第2章まではいつも通り面白かったので、第3章から突然の方向転換に驚いた。
解説にその辺りのことが説明されてるかなと思ったら、なぜかクリスティーの容姿について終始書かれていた。
末尾の一文
「だから、本書を手にするときは、くれぐれもクリスティーの中年以後の容姿は思い浮かべないこと。これが肝要である。英国伝統の、やや面長の、しかしすこぶるつきの美人時代のアガサ・クリスティーを、思い浮かべていただきたい。」
クリスティーに失礼過ぎるし、上っ面じゃなくて作品の中身について解説できる人が解説を書いて欲しい。 -
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ネタバレアラビアンナイトな世界でヴィクトリアの大冒険!
失業した日に偶然出会ったエドワードを追ってバグダッドに来たヴィクトリア。どうやらエドワードが働く組織には怪しいところがあるらしいのだが。息をするように自然に嘘をつけるヴィクトリアは、その特技を活かしてスパイ活動に協力するが、危険は彼女にも迫って——。
異国情緒がワクワクをグレードアップさせているスパイ小説。難しく考えずにヴィクトリアの一挙一動にドキドキしていればあっという間に読んでしまう。砂埃や発掘調査などの中東の雰囲気が雑多でエネルギッシュな舞台を盛り上げている。
エドワードが実は黒幕。何も知らずに親切心と正義感で飛び込んできたリチャードがヒーロー。ロマンス要素もしっかりとあって、その周りのオジサンたちもキャラが立っていて、そういう意味でもクリスティーはやっぱりすごい。 -
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【マープル短編】
ポアロの短編より面白かった。
「前置き→事件の話披露→マープルの推理」の展開で13話まである。
推理が好きな人は短くてたくさん推理ができるので楽しめると思う。
短編だとやっぱり人間ドラマが感じられないので、私は楽しむのが難しかった。
中でも『二人の老嬢』が1番面白かった。
Audibleにて。
★2.5
悲しいことに、これでAudibleにあるクリスティー作品は全部聴き終わってしまった…(;O;)
今まではAudibleと紙の本を2冊同時進行で読んでいたので、家でも移動中でもいつでもクリスティー作品を楽しむことができた。
紙の本ではまだまだクリスティーを読むけど、Audibleでは何を読もう…。
クリスティー以外の作品は久しぶりなので楽しめるか心配…。
クリスティーを読む前はカタカナ名前が苦手で海外ミステリーを全く読まなかったけど、クリスティーのおかげで少し慣れたような気がする。
クリスティーと同じイギリス人でクリスティーへのオマージュと紹介されていた『カササギ殺人事件』を読んでみようかな。