アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ネタバレ灰色の脳細胞名探偵ポアロの活躍を書いた一冊
極秘書類を託したいとの依頼を受け、依頼人のもとに向かったポアロを待っていたのは、依頼人サー・エイモリーの変わり果てた姿だった。
犯人探しと共に、行方不明となった極秘書類の在り処も探すこととなったポアロ。
イギリスでありながら、紅茶ではなくブラックコーヒーというあたりで、ある程度あらましが分かりそうですが・・・。
戯曲の小説化ということで、基本的に大きな場面転換はありません。
それ故、他の作品よりも個々の登場人物の動き、それに伴う心理の変化を想像すると、さらにこの作品を楽しめると感じました。
事件発生の様子を思い返しながら、灰色の脳細胞と共にコーヒーの如く漆黒の謎を楽しんでください。 -
Posted by ブクログ
大富豪ゴードン・クロードが戦時中に死亡し、莫大な財産は若き未亡人が相続した。
戦後、後ろ盾としてのゴードンを失った弁護士や医師らクロード家の人々は、まとまった金の必要に迫られ窮地に立たされていた。
“あの未亡人さえいなければ”
一族の思いが憎しみへと変わった時・・・戦争が生んだ心の闇をポアロが暴く。
(当書裏表紙あらすじより)
解説を読んで初めて知ったんですが、クリスティー作品の中後期には本作のようなタイプが幾つかあるんだそうです。
クリスティー作品の超有名作品「ナイルに死す」もそのタイプに入るそうで、そのタイプとは「ドラマ性の高いミステリー」なのだそうです。
曰く、「事件がなかなか起きない」「事件に関わる人々の物語が詳しく書かれている」というものなのだそうです。
実際、本作は冒頭にポアロが少しだけ出てきて以降、半分をクロード家の人々の状況や遺産を相続した兄妹の事をつらつらと描写することに費やしています。
「誰かが殺されてドラマが始まる」にではなく、「様々な問題を抱えた登場人物たちの誰が犠牲になり、そして誰が犯人なのか」という読み方が出来る作風とも言えるそうです。
なるほど、そういう読み方をすると全然違った感じになりそうです。
こういったことを全く知らずに読み始めたので、なかなか事件が起きないなぁ、と感じながら読んでいました。
だから前半は読むスピードが遅かったんですが、事件が起きてからは一気でした(笑)
え、こいつが犠牲者になるのか!
絶対犯人と思ってたけど違うの?
おっと、そうくるのかぁ!!
と、事件の謎解きでは見事にヤラれました(^^ゞ
読み直してみたくなる作品、ということで星4つにしました♪ -
Posted by ブクログ
戯曲「ブラック・コーヒー」と「評決」の2編収録。
「ブラック・コーヒー」
資産家の息子。その嫁。嫁に付き纏う男。詮索好きの叔母。
そして資産家が殺された。絡まる動機と疑心暗鬼。
核爆発の方程式を巡る国際スパイの暗闘。
人物の心理描写をスキャンダラスに描くアガサ十八番の展開。
勧善懲悪、無敵のポワロ。クリスティ初のオリジナル戯曲。
「評決」
自ら傷付いても慈悲の心を優先させる学者。
学者と運命を共にする三人の女性。
慈悲の心は多くの不幸を引き起こすのか。
あなたは自分が信じられることはどんどんやります。
その結果他の人がどうなろうとお構いなしです。
あなたを愛しています。でも愛だけでは充分ではありません。
私は私のようにごく普通の人を見つけます。
私は、愛する者に苦しみをもたらすような男だったのか。
なぜ帰ってきたんだね。
私がおばかさんだからよ。 -
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考古学者と再婚したルイーズの元に、死んだはずの先夫から脅迫状が舞い込みます。
さらにルイーズは寝室で奇怪な人物を目撃したと証言しました。
しかし、それらは不可思議な殺人事件への序曲に過ぎませんでした・・・。
過去から襲い来る悪夢の正体をポワロは暴くことが出来るのか?
中近東を舞台にしたクリスティ作品の最高傑作。―解説:春日 春樹 より
話はひとりの看護婦エイミー・レザランのレポート形式で綴られます。
遺跡発掘現場で働く様々な人間達。
彼らはエリック・ライドナー博士をリーダーに家族のような雰囲気でした。
しかし今年の調査隊には奇妙な緊迫した空気が漂っていました。何故か?
この緊迫した空気は、物語のほぼ前半を支配し読者をも不安な気持ちにさせます。
生意気な小娘、人の心を弄ぶお嬢様育ちの女性、翻弄される男達。
殺人予告の脅迫状、怪しい人影・・・。
ついに殺人事件が起きます。何人もの容疑者は誰もが決定打に欠けます。
謎が煮詰まり、半ばお手上げ状態となった所で、満を持して名探偵ポワロが登場します。
ここから後半は、事件と人間関係の謎が解明されていくストレス解消のスタートです。
なるほど結局そういうことか・・・。気になる人物達も収まる処に収まって、
更にはオリエント急行殺人事件への期待も抱いて気持ちよく本を閉じました。
アガサの生涯の伴侶 考古学者マックス・アローワンとの出会いが生んだ記念の一冊。 -
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アガサ・クリスティーの長編で、登場探偵はマープル。
ある朝、イギリス田舎ののどかな村、チッピング・クレグホーンでは、いつものように地方紙「ギャゼット」が配達されていた。いつものように新聞を読んだ村人は仰天した。広告欄に、殺人の予告が載せられていたのだ。予告通り、6時半に、指定された家に集まる村人たち。誰もが悪ふざけだと考えていたが、事件は本当に起こった。たまたま村に滞在していたミス・マープルが持ち前の好奇心から調査を開始する。
伏線の巧みさと、村ののどかさが印象に残る作品。特にある伏線については、途中で何度も言及されているにもかかわらず完全に読み飛ばしてしまっていた。もっと気をつけて読むべきだった。
クリスティ作品の例に漏れず、登場人物は脇役に至るまで個性的。中でも、被害妄想気味な移民メイドのミッチーがいい味を出している。雇いたくはないけど。 -
Posted by ブクログ
古代エジプトを舞台にした戯曲。
ミステリではなく、有名な王アクナーテンの生涯のポイントを描いたもの。
多神教が信じられていた古代エジプト。
中でもアメン神殿が王をしのぎかねないほどの大きな勢力を持っていた。
アクナーテンの母である王妃ティイは、神官の横暴に不信を抱きつつも権力を守るために神殿と結びつき、息子の純粋さを心配しているところから始まります。
軍人のホルエムヘブは信仰心は薄く現実的でまったく違うタイプだが、まじめさに通じるところがあり、アクナーテンは親友と思うほどになる。
王位についたアクナーテンは、太陽神であるアテンのみを信じる一神教とし、遷都して芸術家を集め、皆が愛し合う平和で美しい都を築こうとする。
外敵に襲われた属国や友邦に援軍を送ることを拒み、大罪人も厳罰を与えずに穏やかに反省させようとするアクナーテン。
エジプトは混乱し、次第に衰退していく。
美しい王妃ネフェルティティは夫を愛し続けるが、夫の宗教観を理解はしきれない。
貴族の少年ツタンカーテン(後のツタンカーメン)はネフェルティティの次女と結婚し、後継者となるのだが。
忠実だったホエルムヘブはついに耐え切れなくなり、王の暗殺を決意。
ネフェルティティの姉妹は野心家でホルエムヘブの妻となることを選び、後に王妃となるのだった‥
ホルエムヘブが軍人から王になったのは史実で、第18王朝の最後の王。
アテン神信仰を異端としてアクナーテンら4代の事績を抹消したため、正確なことがわからないんですね。
そのあたり、空想を膨らます余地もあるという。
アクナーテンは一神教をおこしたことでキリスト教社会では人気があるそう。なるほど。
紀元前1350~1334年頃の在位。
キリストの早すぎた先駆者といったところでしょうか。
(日本人にとっては、多神教を信じる庶民感覚もわかる気がするんだけど)
この時代についてはクリスチャン・ジャックの「光の王妃 アンケセナーメン」が詳しく、面白いですよ。アンケセナーメンは少年王ツタンカーメンの妃になった王女です。
アガサ・クリスティは考古学者マックス・マローワンと1930年に再婚。
この作品は1937年に執筆されていたが未発表で、1973年に刊行された。
気に入っている作品だそう。
個性豊かな歴史上の人物をいきいきと描き出した筆致は乗っていて、気に入っていたのはわかる気がします。