アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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1938年の作品
エルキュール・ポアロシリーズ長編16作目。
あらすじ
エルサレムを訪れたポアロがたまたま耳にしたのは、「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」という男女の囁きだった。
ヨルダンに旅行に来たツアー客の1人である医師のサラ・キングは妙なアメリカ人の家族と居合わせる。その家族は揃いも揃って家長のボイントン夫人の権力の支配下にあり、自由を奪われていた。サラは、息子のレイモンド・ボイントンと友人になり、彼らを救いたいと考えていた。しかし、かつて刑務所の看守だった夫人は、子供たちにサラとの交流を禁止する。腹を立てたサラはボイントン夫人を非難するが、夫人は「私は、行動も名前 -
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終戦の翌年に発表された作品である為か、戦争を経て激変せざるを得ない人間社会とそれによって歪さを醸す人間模様が描かれていたような印象を受ける
それでいて、本作の主題は愛と殺人なのだろうね
筋書きとしては不倫を疑われた男性がホロー荘に滞在しているらしき人間によって射殺されるというものだけど、その射殺されるまでのシーンがしっかりとページ数を掛けて描かれているが為にむしろ殺人はおまけで人間模様こそ本筋だと認識させるような作りとなっているね
そもそも舞台となったホロー荘に関係者が集まるまでの前段で家主の夫人・ルーシーが当初から危惧するように何かが起こりそうな者達が集まっていたと言えるのだから、序盤か -
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1920年の作品。
ポアロ長編シリーズ一作目。
戦争で負傷したヘイスティングスは、旧友ジョンカベンディッシュからスタイルズ荘に招待される。
スタイルズ荘の当主は、ジョンの義理の母であるエミリーイングルソープであり、莫大な財産を持っていた。エミリーは最近20歳以上年下のアルフレッドイングルソープと再婚したばかりであったが、ヘイスティングス滞在中にエミリーが何者かにストリキニーネで毒殺される。
エミリーの夫アルフレッドイングルソープ、エミリーの義理の息子のジョンカベンディッシュ、その妻メアリー、ジョンの弟で医師のローレンスカベンディッシュ、エミリーの友人のハワード夫人、屋敷に住む薬剤師のシンシ -
購入済み
ナニか物足りない
やたらと散りばめられた多数の伏線が
見事に回収されて、すごいなと思う。
ゼロ時間に向かって物語が進んでいくのも斬新だなと思う。
その一方で、後だし感が強いなとも感じた。 -
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ネタバレポワロでもミス・マープルでもないクリスティ作品。しかし、ストーリーはまさにクリスティ・ワールドである。
雪に覆われた、自然により作り出された「密室」、そこで行われた降霊術で示唆された殺人。
死体で発見されたシタフォード荘の主トリヴェリアン大佐。
フィアンセが容疑者となり、その無実を晴らすべく、エミリー・トレファシスが新聞記者チャールズ・エンダビーを相棒に事件に挑む!
という物語。
とはいえ、チャールズは最終的にあまり活躍しない賑やかしなのだが。結局はナラコット警部が優秀なのだが。
根っからのクリスティファンなので楽しんだが、ところどころトリックには突っ込みたくなったり、説明されていない謎があ -
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ネタバレポアロシリーズ⑮
富と美貌を兼ね備えた女性リネット・リッジウェイと夫のサイモンはエジプトに新婚旅行にきていた。しかし2人は、リネットの友人で、サイモンの元婚約者であるジャクリーン・ド・ベルフォールに旅行の間中つけ回されていた。不穏な空気の中、ナイル川の船上で事件は起きてしまう。
すごく面白かった!
謎が渦巻く船の中を、登場人物一人ひとりが、行動し、さまざまな思いを巡らせる。
そこに無駄がないからこそ、ポアロによって一つ一つの謎が解けていく事で、それぞれの状況や思いに「あぁ〜そういうことか」と納得し、感情移入してしまう。
犯行の手口は素晴らしいものだったけれど、犯行前にあったポアロの優しい -
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密室!
久しぶりだー。
しかもこてこての密室!
にやにやしてしまった。
そこに富豪がいる限り。
そこに不遜な父親がいる限り。
起きちゃいますよね殺人が。
明らかに怪しい態度をとっていた人間がいたのに。
あー、めちゃくちゃ怪しい。絶対この人が犯人じゃん!て思ったのに。
なぜその人の存在を忘れるかな私。
いや。忘れるようにまんまと誘導されてしまったのか。くーーっ!
あとは、なんとなく「ぽくない」感じがあったな。
良いとか悪いとかではなく「アガサクリスティーぽくない」というか。
でも読後感が良い点はいつもと一緒。
読後感やその作品を包む雰囲気は作者の人柄が反映されるっていうしね。だからアガサ -
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バントリー大佐の書斎である朝見つかった見知らぬ金髪の若い女性の死体。夫の潔白を信じる夫人は友人のミス・マープルを伴い、女性がダンサーをしていた高級ホテルに向かい犯人探しに奔走する。
マープルシリーズ第二弾。事件の始まりはセント・メアリ・ミードだったものの、物語は隣州の高級ホテルで展開される。動機らしきものは序盤で判明するのだが、如何せん容疑者にはアリバイあった、というのがこの話の肝。一つの謎が解けるとすべての謎が次々と解明されるといった具合に後半の展開は早い。最序盤にヒントがさりげなく隠されているので、比較的フェアな謎だと思う。ミステリーにありがちなありふれた事件ではあるが、その見せ方を工夫