アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
メアリ・ウェストマコット名義のクリスティの作品は、読み返すほどに味が出てきます。読むたびに新たな発見があり、そこから自分の考え方が分かってくるというか。最初に読んだころから随分違う印象を持つようになりました。母と娘、愛しているからこそどんな犠牲も払う。それを決めたのは自分なのに、相手を恨めしく思ってしまう瞬間があるのです。その気持ちが段々胸に溜まっていって、自分でも訳のわからないモヤモヤになって・・・。ミステリの女王は人間観察の女王でもありますね。イーディスやデーム・ローラの台詞を読んでいると、目の前にクリスティがいたら心の奥底まで見抜かれそうな気がしてきます。
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Posted by ブクログ
ネタバレクリスティのマープルシリーズ第五弾。
ある一家の女主人に何か悪いことが起きそうだと、その女主人の姉から様子を見てきてほしいと頼まれたマープル。女主人の一族が勢揃いする中、銃声が響き…
マープルが最初から最後まで、小さいコミュニティの中で起きる事件にガッツリと関わる、これまでになかったケース。そこそこ多い一族から順番に事情を聞いて(というか聞かされて)、いつものとおり、村で起こった出来事と付き合わせて真相に迫る。
真相自体は意外性のあるものではないが、非常に手堅い完成度。だからある意味、地味すぎて埋もれてしまう作品なのかも。登場人物が多く、関係性が非常に複雑なのはマイナスか。
代表作と比べ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ最後の万華鏡の例え、自分のこれからのウィンドウをどう捉えて生きていくか決めるシーン、凄い
頼むから気づいたことに正直になってこれからを生きてほしい…と最後の最後のページまで思わずにはいられなかった。
しかし、ロドリーの最後の「気がつかずにいてほしい」の一言できっとこのまま過ごすんだと確信してしまい…
それだけじゃなく、最後にヒトラーの名前が出ることによりとてつもない戦争がこの先起こること、バーバラの真実の手紙が燃やされてしまったこと…主人公がこの先自分自身と向き合って気づく時間や物や人はもうないんだと暗雲が微かに匂わされていて、終わり方に感心してしまった。良い本でした。
あのとき主人公がき -
Posted by ブクログ
マープルシリーズ長編8冊目。セント・メアリ・ミード村にも色々変化があり、シリーズを順番通りに読んでいるので時の流れを感じた。高齢になったマープルはほとんど家にいて、安楽椅子探偵っぽくなっている。捜査担当のクラドック警部、友人のバントリー夫人、ヘイドック医師とお馴染みのメンバーも登場してくれて嬉しい。あとマープルが若かったらクラドック警部とお似合いだっただろうなあとちょっと思った。
マープルは高齢とはいえ頭の良いしっかりした女性なんだけど、お年寄り扱いされることに複雑な感情を抱いているのは共感した。事件についても、トリック云々より人間心理のほうに重点を置いているのがクリスティらしくて良かった。