アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
個人的にクリスティ作品の魅力といえば、
個性豊かかつ人間味のある登場人物(事件の容疑者)たち、
膨大な情報の中にミスリードと本当のヒントとを潜り込ませる巧みさ、
そしてミスリードの要素すら拾い上げ本筋とは別のストーリーに昇華させる組み立ての巧さ、
あたりが大きいのだが今回は短編集という性質上どうしてもそれらを感じづらかったというのが正直な印象。
短いページ数で語らなければいけないので人物描写にそこまで割けず、ミスリードを入れる隙がないのでヒントが分かりやすく浮き彫りになっており、長編では毎回予想外の真相に驚かされていたのに、今回は途中でなんとなく分かってしまうことが多かった。
というのは各話で語られるミステリーの内容の話で、毎回変わる語り手の性別や性格や職業による語り口の違いの書き分けにはもはや凄みすらある。
そしてそれを逆手にとったような『バンガロー事件』の結末が特に痺れた。
各ミステリーの内容についても、真相が予想できるからといって読み応えがないなどということは全くなく、謎めいたシチュエーションの面白さはさすがといった感じ。
特に『舗道の血痕』の語り手ジョイスが見ていたであろう定点観測のような景色は読みながらまざまざと頭に思い浮かんできて、読み終わった今でも強烈に残っている。
ホームズ作品の短編集も「シチュエーションの面白さ勝負」みたいなところがあるが、あちらがおどろおどろしい見るからに奇妙なシチュエーションが多いのに比べて、クリスティはもっと日常と隣り合わせの、牧歌的な雰囲気の中に潜むちょっとした違和感というような、じわじわと感じる恐怖を得意としているように感じた。 -
Posted by ブクログ
クリスマスが近づいているので、クリスマス関連の小説が読みたくて、久々にアガサ・クリスティーを手にしました。ポアロのクリスマスと迷ったのですが、気分は短編でした。これには、最後、マープルも登場。嬉しいサプライズでした。
クリスマスプディングの冒険、24羽の黒つぐみが特に好きです。どうも、デビット・スーシェのポアロシリーズを見過ぎているせいか、原作よりもドラマの脚本の方が馴染み深くなっています。だけれど、やはり原作の良さもあるなぁと思って楽しく読みました。ドラマのポアロと原作のポアロは似ているけれど、ちょっと違います。原作の方がシニカルなイメージ。それもまた読んでいて楽しい。 -
Posted by ブクログ
ポアロシリーズ。
名探偵の悲しい宿命とばかりに、旅先でも事件に遭遇しちゃうポアロ。エルサレムを訪れたら、そこで殺人事件の捜査依頼を受けることに。
冒頭はなんとも不穏な台詞で幕を開ける。
その台詞は夜のしじまに流れ出て、あたりを漂い、やがて闇の中を死海の方へ消えていった、という表現…なんて痺れる詩的な導入なんだろう。。
母親がサディスティックで家族を支配的に束縛しているボイントン家の関係性と、この家族と複雑に絡み合う外部の人たちとの利害関係が面白い。その後に発生する殺人事件が単調にならず、それを鮮やかに紐解く様子がとっても痛快だった。
同じ中東の旅情モノ『ナイルに死す』と雰囲気が似ていてなかなか事件が起きないが、本作は序盤でポアロがほとんど登場しないし、家族それぞれの背景がしんどくて前半は読むのがつらかった。中盤で事件が起きたあとは、ようやくポアロが活躍してくれるのでグイグイ読めた。いやぁ、やっぱ凄いな。鋭い分析力がハンパない。
それにしても解決編では、緊張感高まる推理の連続と予想外の展開でホント驚いた!
えっ?えっ、そこ?まじかー!?って一人で盛り上がってたww
エピローグのシーンが、晴れやかな気持ちにさせてくれる満足な作品でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレをせずにこの作品を語るのは難しい…
いや、ミステリーってそんなものかもしれないけれど。いや〜、伏線が細かくてほんの些細なことも最後にはそういうことだったのか!となるので。
この作品の前に読んだ「もの言えぬ証人」でも感じた事だけど、殺人事件が起きながらもまったりのどかさすら感じる展開ではある。ややもすると「静かな殺人」と評したくなってくるのだが(次々殺人が起きて人が死にすぎる系ミステリーに慣れすぎちゃったのかもと焦る…笑)でも、そこはクリスティー、一見のどかな雰囲気と思わせつつ小島のリゾートホテルを舞台に人間模様は波乱の種やら周りの好奇の視線で複雑に渦巻いている。
そこにポアロの「日の下のいたるところに悪事ありです。白昼にも悪魔はいるのです」
ばばーん、お題発表!かっこいい(^^)
被害者の本質を見極めることこそが事件の本質を知ることと語るポアロさんに習って、犯人を当てようと頑張るのだが、まんまと騙される。
それがまた楽しいのだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレクリスティのミス・マープルシリーズ4作目。
ある朝、新聞広告に殺害予告が掲載される。誰もがゲームだと思い、予告れた日、予告された場所へと向かう。そして予告された時間、男が現れて…
過去の3作と比べると微妙。提示される謎の割には冗長で、中弛みも激しい。ここまで長くなくてもよかったのになぁと。
過去作の「牧師館の殺人」や「書斎の死体」ほどにはミステリ的に強くなく、「動く指」ほどにはユーモラスでもない。じゃあ何が良かったかと言うと、マープルが早めに動き始めるところ。なんと、意外にちょこまかと動く笑(前作が出番少なめだっただけの気もしている)。