アガサ・クリスティーのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
再読。
ポアロ作品を時には発表順から、また時には借りられた順から手当たり次第に読んだりで追っている最中で、今回は振りかえりとして久々に「オリエント急行の殺人」です。
私は中学生の頃に朝の読書時間なるものがありまして(今でもあるのかな?)、そこで「そして誰もいなくなった」を勧められてミステリーを読むようになったのですが…
多作なクリスティーの魅力的な作品の一つとして「オリエント急行」はめっちゃネタバレされちゃってたんですねぇ…_(:3 」∠)_
でも、読み返すたびに味わい深い作品だな〜と感じます。
でもでも、やっぱり知らずにこの作品に出会えたのならどんなふうに感じられただろう…と思ってしまうので、未読かつ興味のある方はくるっと回れ右して、前知識無しに読みにいって下さいませ。現場からは以上です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ幻想小説と言いつつクリスティらしくミステリー混じりの作品もありつつ、という感じ。少し不気味な物語も多い。降霊術は、クリスティのミステリーでも度々出てるのでお馴染みって感じかな。
理解し難い内容の作品もあったが、全体的にはなかなか楽しめた。
個人的に好きだったのは「赤信号」、「ラジオ」、アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件」だった。
「赤信号」はちゃんと最後に真犯人が確定して良かった。しかしまさか自Sするとは思わなかったかな。
「第四の男」は男が主役かと思いきや、孤児院で互いに奇妙な関係を持った(恨みと嫉妬と従順?)女の子二人の話。普通に多重人格ぽさがある。
「ラジオ」は結局、余計なことをしたから財産を失った男の話だったね。策を弄さなければ、数年後に莫大た遺産を手に入れられただろうに。
「検察側の証人」は、頭を使った夫を愛する妻の話だった。でもこの弁護士、騙されやすすぎでは? 結局犯人はこいつだったじゃないか! って感じ。
「青い壺の謎」は「上手くやった盗人」だった。正直、最後にしてやられたって思ったのはこれが1番だったかもしれない。
「アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件」は最後ちゃんとあるべきところに戻って良かった。最初から「猫になってるな」感はあったけど、この書籍通して必ずしも幸せになるとは限らない話もあったから。
その点、「最後の降霊会」は救われなかった。金儲けに目が眩んだ夫のせいだと思うんだよね、これ。やるべきではないところに手を出して、もう戻れなくなったっていう話。
【収録作品】
死の猟犬
赤信号
第四の男
ジプシー
ランプ
ラジオ
検察側の証人
青い壺の謎
アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件
翼の呼ぶ声
最後の降霊会
S・O・S -
Posted by ブクログ
ネタバレ【再読】
ある日ポアロのもとに不審な手紙が届く。それはABCを名乗る人物が、日付を指定してアンドーヴァーの地で何かが起こることを示唆したものだった。そして予告どおり、アンドーヴァーでアリス・アッシャーという名の高齢女性が殺害された。さらに遺体のそばにはABCと呼ばれる鉄道案内が置かれていた。ポアロたちは身内らから話を聞くも、疑わしい者は見つからなかった。
そうしているうちに今度はベクスヒルでエリザベス・バーナードが、チャーストンでカーマイケル・クラーク卿が犠牲になる。一向に容疑者の目星がつけられないでいると、三人目の犠牲者クラーク卿の弟フランクリン・クラークが、犠牲者の身内からなる「特別部隊」を結成することを提案する。
そして四人目の被害者が出たところで、ついに犯人アレグザンダー・ボナパート・カストが逮捕された。しかしカストと面会したポアロは、彼は犯人ではないことを確信する。
真犯人は三番目の被害者クラーク卿の弟フランクリンだったのだ。彼は遺産目当てで兄を殺害し、それをカムフラージュするために何の罪もないほかの三人を殺した。そして、精神的に不安定なカストを唆して自分の犯行であると思い込ませたのだった。
クリスティー作品には珍しい、警察を手玉にとり世間を騒がせる劇場型犯罪。ポアロも翻弄され、終始ピリピリとした空気が漂っている。また、犯人視点のパートがあるのも特徴。犯人はなぜこのような連続殺人を実行したのかという点がテーマのホワイダニット作品。本命の殺人を無差別殺人の中に隠してしまうという恐るべき殺人者。
狂気の人間はその行動において正気の人間と同じように論理的であり、筋が通っている。
●見どころ
・黒染めするポアロ
・薄毛を気にするヘイスティングズ
・おぞましい裏声で歌うポアロ
●名言
「隠しごとのある人間にとって会話ほど危険なものはないんです!」 -
Posted by ブクログ
美味しそうなタイトルに惹かれて。
元々、クリスマス・プディングは見た目も好きだし、憧れる……。ドライフルーツがぎゅっと詰まった茶色いドーム型に真っ白のアイシングがとろりとかかって……。とはいえ、日本じゃなかなかお目にかかれない。
そんなクリスマスのご馳走と伝統、そして雪の中での事件。景色や時間の流れが見えるような文章とともに、髭の小男、ポアロが他人のお家のクリスマスにお邪魔します。
6作の短編のうち、5作がポアロ、1作がミス・マープル。ミス・マープルも素敵なんだけど、個人的には最後までポアロが読みたかったかも。
それにしても、それぞれの季節をいつでも好きな時に感じることが出来るのは、本の良いところだなあ……。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【再読】
雪で立ち往生したオリエント急行で、アメリカ人の乗客ラチェットが殺された。そこに乗り合わせたのは様々な国籍・身分の乗客と、名探偵エルキュール・ポアロ。
現地警察が介入できないため、ポアロが捜査に乗り出すことに。被害者の男は全身を10ヶ所以上刺されており、現場周辺にはハンカチやパイプクリーナー、ボタンなど無数の証拠が残されていた。さらに、男の本名はカセッティで、アメリカで起きた誘拐殺人事件の犯人と目されていた男だった。このことから、ポアロはその復讐によりラチェットは殺されたのだと睨む。
ポアロが乗客一人一人から聴取を行った結果、事件の時間周辺で赤いガウンを着た女と、車掌に扮装した人物が目撃されていた。
犯人の目星をつけられない中、アメリカ人女性ハバード夫人の持ち物から凶器と思われるナイフが見つかる。さらに車掌の制服はドイツ人のメイド、さらに赤いガウンはなんとポアロの手荷物から発見される。
そして調べを進めていくうち、乗客の誰もが誘拐事件の被害者であるアームストロング家とかかわりがあることがわかった。
ポアロは全員を集め、推理を披露する。全ての人間が事件にかかわり、お互いのアリバイをカバーし合ってラチェットを殺害したのだと。車掌も含めた12人はラチェットを有罪にできなかった陪審員になり代わり、正義の鉄槌をくだしたのだった。
あまりにも濃密な一日を描いた作品。まさかそんなことはあるまいという先入観を打ち砕く意味では、『アクロイド殺し』や『ABC殺人事件』に匹敵する衝撃作。
出発前の胸の高鳴り、雪で立ち往生した列車の静けさ、そんな中で起こる凄惨な殺人と一人一人を呼んで聴取する王道スタイル、背後にある痛ましい事件、これ見よがしな無数の証拠、そして衝撃の結末。何度読んでも面白くて新鮮な発見があるまさに名作。
特にアメリカという国のお国柄までもがヒントになっていること、なぜこの時期に客室が満室なのかという疑問が最初に提示されている点なども秀逸。
●見どころ
・顔が気に入らないという理由でラチェットの依頼を断るポアロ
・ブサイクの描写に容赦のないクリスティー女史
●名言
「こんなことを申しあげるのもなんですが——あなたの顔が気に入らないのです、ムッシュー・ラチェット」 -
Posted by ブクログ
名探偵ポワロが飛行機内での殺人事件に挑むミステリー。現代で実際に発生したら容疑者の数がかなり多くなりそうだが席数が限られているので、少ない方だろう。登場人物が多いというよりも、キャラ的に不要っぽい人(考古学者のオヤジとか)もいる。それでも読んでいると、そんな風に思わないのは作者の力量だろう。解説で真犯人の心情描写の巧みさに触れられているが頷ける。個人的にはポワロが関係者の嘘を見破って真相に近づく捜査パートが面白かった。犯人の意外性はさすがクリスティだがトリックが大胆というか、真理の盲点というか…ちと無理がある気もするが面白い事には違いなかろう。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ【再読】
晩餐の席でポアロとヘイスティングズが居合わせたのは、人気女優ジェーン・ウィルキンスンだった。彼女はポアロに、夫であるエッジウェア卿と離婚するために力を貸してほしいと頼み込む。依頼を受けて会見したエッジウェア卿はあっさりと離婚を承諾したためこれにて一件落着と思いきや、エッジウェア卿が何者かに殺害される。彼の秘書や執事は、その晩卿のもとを訪れたのは間違いなく妻のジェーンだったと証言したが、彼女はその時間パーティに出席しており、鉄壁のアリバイがあった。そこでポアロは、秘書たちが目撃したジェーンはモノマネが得意なカーロッタであると推理した。
急ぎ彼女のもとへと向かった二人だったが、そこでカーロッタが睡眠薬の過剰摂取で死亡したことを告げられた。
ポアロはエッジウェア卿の甥ロナルドと、卿の娘ジェラルディンが共犯で、尚且つカーロッタを唆してジェーンの変装をさせ彼女に罪を着せようとしたと推理するも、どうもしっくりこない。そのような中、ジェーンとともにパーティに出席していたロナルド・ロスが何かを思い出し、それをポアロに伝えようとするが、犯人によって口を封じられてしまう。
ますます混乱するポアロだったが、死ぬ前のカーロッタが妹に宛てた手紙から真相を見抜く。
まず、エッジウェア卿がジェーンに対して離婚を認めると送った手紙を握りつぶしたのはジェーンの友人であるブライアンだった。かつて二人は恋人だったが、ブライアンはジェーンに振られていた。そしてジェーンがエッジウェア卿と離婚すれば、ジェーンは新たな恋人と結婚してしまうと思ったのだ。だがそれでも、犯人はブライアンではなかった。
ポアロは、真犯人はジェーンだと告げる。
ジェーンにはパーティに参加していたというアリバイがあったが、そのジェーンこそが彼女に扮装したカーロッタだったのだ。そしてカーロッタが化けていたと思われていたジェーンは本人で、彼女がエッジウェア卿を殺したのだった。カーロッタが妹に送ろうとしていた手紙をたまたま見つけ、うまく細工すればエッジウェア卿の甥ロナルドに罪を着せられることに気づいたのだ。
ジェーンは、エッジウェア卿は離婚に応じたものの、マートン公爵とは宗教的な理由から前夫が生きている限り結婚できないと考えたため彼を殺したのだった。
訳も手伝って、やや硬派な印象。
変装が得意なカーロッタをジェーンに扮装させ、エッジウェア卿を殺害した黒幕は誰なのか。これが最大の謎になる。このことは、「犯人はジェーンに罪を着せようとした」ということを意味するが、その時点でポアロも読者も犯人にしてやられてしまっている。その点がお見事というほかない。そのことへの疑問となるのがパーティに参加しているジェーンにかかってきた電話ということになるが、そこがわからなければ視点を変える発想にはなかなか辿りつかない。
小さな謎がふんだんに散りばめられており読み応えがある一作。「なぜ気づかなかったのだろう」とはこのような作品のためにある言葉。
最後の犯人による手記も恐ろしい。
●見どころ
・ヘイスティングズを犬扱いするジャップ警部
・ポアロをゴキブリと表現するヘイスティングズ
・鼻眼鏡、イニシャルの入った小箱、「パリ」が意味するもの、一部が欠けた手紙などたくさんの謎
●名言
「わが友よ。わたしはあなたの想像以上に、あなたを頼りにしているのですよ」
「わたしはあなたが第二の、もしくは二流のポアロたることを望みません。あなたが最良のヘイスティングズたることをこそ望みます」