アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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アガサ・クリスティが初めて書いたミステリー。ポアロが登場する作品はいくつか読んでいるが、初登場のポアロはなんだか愛嬌がある感じがする。
今回起こる事件は密室状態の中で、即効性がある毒で死亡する事件。亡くなる前に誰かと揉めていたことや、遺言書を書き換えていたこと、飲み物をほかの人が部屋に運んでいたこと、などいろいろな事情から殺人事件とみて捜査されていく。
証拠になりそうなものも出てくるが、誰かが罪をなすりつけるために用意したものにも見えて、決定打とはいかない。
ヘイスティングスはポアロの言う事の真意をはかることができず、違う方向に推理してしまうのに、時々ポアロにひらめきを与えるヒントになることを言うのが面白い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ冒頭、ポアロが浜辺で日光浴する人達について『死体が並んでるみたい』の発言、後になってこれが効いてくるとは驚きました。
被害者のアリーナは、「ナイルに死す」のリネットを彷彿とさせるような、あまり好かれる性格ではない美女でした。ただリネットと違って、狙った男性の視線を自分に向けるのが上手いタイプかと思いきや、実は男性に上手いこと騙されてしまう側の女性であることが最後の最後で分かって、かなり意外でした。アリーナはなんだか少し可哀想な女性だったのかも、と切なくなりました。そういえば、リネットは賢く慎重な女性でしたが、本当の意味での自分の理解者がいるのかと苦悩していたのを思い出しました。ステレオタイプの嫌な女という記号的な描写でなく、それぞれに違う一面をキャラクターに持たせるのは、流石アガサクリスティだなと感じました。
それにしてもレッドファン夫妻の犯行、手慣れすぎて少しリスキーすぎる気がしました。
浮気、不倫された側の女性のことを可哀想だと思って、犯人から除外して考えていましたが、ナイルに死すのジャクリーンといい、今作のクリスチンといい、強かな女達だな…。クリスティ作品のサレ女達は信用ならない…。
リンダ生きてて良かった!お父さんと、ロザモンドと穏やかに暮らせそうで良かった! -
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アガサクリスティーの作品は昔からちょこちょこ読んでいたが、ポアロをシリーズ物として1から読んだことがないと思い、ポアロ初登場である今作を読んだ。
ポアロが少様子のおかしい一線を退いたおじいさんのように描かれていて、私が覚えているポアロ像と少し異なっていた(偏屈で頑固なところは変わらないが)。
内容はミステリーとしてしっかり読み応えがあり、犯人を推理しながら面白く読むことができた。
アガサ作品を読むたびに思うが、時代や国が違うので設定に戸惑うことが多く、また翻訳なので理解に時間がかかってしまう。
ポアロ作品を読み終えたときに、少しは理解度が上がっていたら嬉しい。 -
購入済み
なるほど
叙述トリック作品のオススメでたびたび見かけて気になり、このたび読了。
犯人は知らずに読みましたが、わりと序盤から違和感があって怪しいな?と思っていた人が犯人でした。でもこれ、叙述トリックが浸透していない時代に読んでたらかなりの衝撃だったでしょうね。
作中でやけに女性心理に明るいなと感じていたら、そうでした作者はクリスティ女史。
今も昔も、日本でもイギリスでも女性の思うところは共通してるんだなぁと感心しました。(なんの感想?) -
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ポアロシリーズ18作め。1940年の作品。
ちなみに『そして誰もいなくなった』は前年1939年の作品。
原題は『Sad Cypress』。直訳すると「悲しいイトスギ」。
杉も柩も出てこなかったよな?と思いましたが、冒頭に掲げられているシェークスピアの『十二夜』からの引用だそうです。
私はクリスティー作品によく出てくる男女の三角関係が大好物なんですが、ここでは何角関係? エリノアをめぐる男性2人、ロディーをめぐる女性2人、メアリイをめぐる男性2人と三角関係が交差していて、さらにウエルマン夫人の過去のロマンスなんかもあったり。
もちろん、三角関係にハーレクイン的なロマンチックなものを期待しているわけではなく、人間模様の中で描かれる心の機微だとか、醜さ、美しさ、悲しみだったりに惹かれるわけです。
その点で『杉の柩』は、ミステリーというより、エリノアの悲しい恋を描いた恋愛小説のようで、私としては殺人事件など起こらず、このままこの複雑な三角関係を見ていたいと思えるおもしろさでした。
エリノアが好きになるロディーがまたなんか憎めない男なんですよね。軽薄そうではあるけれど、エリノアからお金を受け取らない高潔さもある。ロディーが「騎士の精神を持っている」という証明に「出身校はどこですか」「イートンです」という尋問があるのが笑えます。イートン卒業生は紳士であるべきなんですね。
エリノアは無罪か有罪かというのがストーリーの骨格で、ミステリーとしては大雑把で謎解きもやや強引。そのせいなのか、クリスティー作品の中ではあまり名前を聞かないのですが、クリスティーファンの間では人気も高いようです。
(34ページ)
「ね、ローラ叔母さま、本当のことを仰言って。恋って、いったい幸福なものでしょうか?」
「エリノア、そうではない、多分、そうではないよ。ほかの人間を、激しく恋い慕うってことは、常に喜びよりも悲しみを意味するんだから。でも、それはともかく、そういう経験なしでは、人間、一人前じゃあない。本当に人を恋したことのない人間は、本当に人生を生きたとは言えないからね」
以下、引用。
14下
恋愛とは、歓びの感情ではなかったのだろうか──こんな押しひしぐような苦痛である筈がない。
29上
「一番いいことをするつもりはあっても、さて、何が一番いいかってことは、これでなかなか判らないからね──何が一番正当なことかってことは。」
33上
「愛しすぎるってことは、賢いことではないからね。」
34下
「ね、ローラ叔母さま、本当のことを仰言って。恋って、いったい幸福なものでしょうか?」
「エリノア、そうではない、多分、そうではないよ。ほかの人間を、激しく恋い慕うってことは、常に喜びよりも悲しみを意味するんだから。でも、それはともかく、そういう経験なしでは、人間、一人前じゃあない。本当に人を恋したことのない人間は、本当に人生を生きたとは言えないからね」
36下
「人間は、生きるという本能を持っているっていうことですよ。人は、理性が、生きろと命ずるから生きるのではないんです。よく『死んだ方がましだ』って言われてる連中は死にたがらず、あきらかに生きなければならない人達が、唯、闘い抜く気力がないために、好んでこの世から消えて行ってしまうんです」
「たとえ、どう仰言ろうと、あなたは、本当は生きて行くことを望んでいる人の一人ですよ。そして、あなたの体が生きたがっているのに、あなたの頭がほかの部分を放り出そうとするのは良くありませんな」
40上
メアリイは美しい走りかたをする。優雅な動きをみせて。
「アタランタみたいだ(ギリシャ神話の快足の美女)!」ロディーの声は甘くやさしい。
42上
「ね、先週、オールドアで、面白い映画を見たぜ。クラーク・ゲーブルのだ。百万長者の男が、細君をちっともかまってやらないっていう話でね。ところが、その細君が、不義をしでかしたようなふりをしてみせるんだ。そこにもう一人……」
61上
オブライエンのアイルランド人特有の作り話をする想像力がはたらき始めた。
64下
彼はモーニング・ルーム(朝の居間)にいた。
74上
マーナ・ロイの、新しい映画ごらんになった?
76下
先週、「大地」(パール・バックの作品の映画化されたもの)をみました。とても面白かったですわ。シナの女って、何もかも辛抱しなけりゃならないらしいようですよ。
96下
「ムッシュー・ポアロ、あなただけが頼みの綱です。スティリングフリートからあなたのことをうかがってました。ベネディクト・ファーレイ事件の件を。誰もかれもが自殺でかたづけていたのを、あなたが他殺だと証明したという話ですが」
120下
たちまち彼女とポアロ氏は、まことに面白い問題──ほかならぬ、エリザベス姫の未来の良人選びを話題に、たのしく話をつづけた。
134上
「きみ、いま、墓所(おくつき)にねむる、わがここは永久にかき暮れ、日の色もむなし」
「ワーズワースです(一七七〇─一八五〇、英ロマン復興期の詩人。「ルーシィ」より)。よく読みますんでね。」
191上
「あなたはアイルランド人でしたね?」
「さようです」
「アイルランド人というのは、なかなか想像力がたくましいということになっているようですが」
201下
「あなたは騎士(ナイト)の精神をお持ちのようですな、ウエルマンさん」
「どういうことですか、それは」
「もし、レディがあなたに熱烈なる恋情を抱いており、あなたは愛情を感じないという場合、あなたはその事実を隠さないではおられないとい気持ちになられるのですか?」
「そんなことはありません」
「学校はどちらで、ウエルマンさん?」
「イートンです」
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アガサ、ポアロ、7作目。福島正実訳
物語の最序盤、アメリカの女優カーロッタ・アダムズの《人物模写》、モノマネのシーンから始まって、さすがにここにトリックの匂いがプンプンしてはいましたが、でも途中犯人候補が増えていき、絞れぬまま、そう来たかーと結局最後にやっぱり唸るハメになりました。
離婚を望んでいる女優ジェーン・ウィルキンスンの夫エッジウェア卿が自宅で殺された。妻ジェーンは事件当夜、屋敷での目撃証言があるのだが、一方でその時刻に鉄壁のアリバイがあった。。
真相に迫る中、ポアロが自分を騙そうとした俳優ブライアン・マーティンに罪の報いを与えたシーンはすごい人間臭いなぁと意外や意外でした。完璧人間ではなかった感じがして、そんなポアロも結構私は好きです。
最後の「手記」で読後感スッキリでしたが、でも、、女の本音はコワイなぁ。恐ろしい。
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よかったです!
舞台を観るのも好きなので、戯曲も好き。
舞台装置の指示もうれしい。
2つともストーリーにさほどパンチはないですが、それぞれ楽しめました。
ブラックコーヒーはポアロさんが出てるので、TVシリーズを思い浮かべながら楽しみました。
こちらは犯人はともかく、誰もが怪しいという話の展開が良かったです。
評決は、とても良いエンディングでした。
だって、現実なら、ライザは死刑ですよ…個人的にラブ絡みのサスペンスは好きなので、推理不要の展開はコロンボシリーズ的でよかった。
ヘレンは、絵に描いたわかりやすい今も昔も変わらず存在する、金持ちで自信家の若い女性。実際にそういうヒトたちは、そういう短絡的な行動をして、金で解決してた(る?)のかな…事故に遭うというのは、作者の親切心またはモラルによるもので、こちらも現実なら、そのまま次のターゲットに向かうのでしょう。
そういう意味では、本人の意識はともかく、理想主義なカールが一番関わるとマズいタイプ…静かに共に底なし沼…でも、こういう人がいないと、権力に平伏す人ばかりになってしまうわけで…フィクションの人なのに、考え込んじゃいました(笑)そういう意味でも、好きな作品。どこかで上演してほしいな。
ま、ライザの評決とあのエンディングでは、世間のみなさまの心は揺さぶられないですよね。大甘ですもんね…でも、そういう作品を求めているワタクシ…
満点はないですが、個人的に4.5!迷わず星4つです。
昔読んだことあるかも…でも、おもしろかったです。