暗い抱擁

暗い抱擁

小説・文芸
1,012円 (税込)

5pt

気高い美女イザベラには婚約者がいた。が、冷酷ともいえる野心家ゲイブリエルに荒々しく抱擁されて彼女は悟った。この心の歪んだ男を救わなくては。彼女は婚約者を捨て、ゲイブリエルとの駆け落ちを決心する……新たな道へと歩む女の姿をキリスト教的博愛をテーマに描く、至上の愛の小説。

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暗い抱擁 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    いやー、すごい。今更だがすごい。さすがクリスティー、さすが女王、と言うしかない。

    まず人物の造型がもう。。。テレサ、カッコいい。287ページからのレディー・セント・ルー、カッコいい。ヒューっと口笛を吹きたくなる。

    深みある警句の数々、過不足なく拾いあげられた人生の断片から立ちのぼってくる”愛とは何か”。
    これ読んじゃうと、昨今のミステリが子どもっぽく思えてしまう。
    いやー、女王、まいりました。

    0
    2017年03月17日

    Posted by ブクログ

    アガサ・クリスティの一連のミステリーとは赴きを異にしているが
    鋭い人間観察に基づく記述はとても読み応えがあり、結末の展開はさすがアガサ・クリスティ!!

    0
    2009年11月04日

    Posted by ブクログ

    凄まじいある愛の形。
    鉄管工の父を持つ保守党候補者ゲイブリエル、由緒ある貴族の末裔のイザベル。男と女、どこでどう惹かれるのか。肉体、精神、顔、声、それらが相まって関係は始まる。クリスティがここまで凄い恋愛観を持っていたとは。

    時は第二次世界大戦、ドイツが降伏した後、日本が降伏するまでの間に始まった。一組の愛の物語の背景に、戦争、貴族社会の変容、イギリス社会の階級意識、政治へのひとつの考え、などを配する。親父が鉄管工だという労働者階級出身だが保守党候補者ゲイブリエル。政治家になるのは金のためと割り切っておりしょせん政治はそれだけのもの、庶民に小さな希望を持たせればいいと言う。が、金で貴族の称号を買ったとしても、それは貴族に生まれたのと同じではない、と言う。クリスティは中産階級側だと思っていたが、案外醒めた社会観が窺える。


    1947発表
    2004.6.15発行 217.5.25第2刷 

    0
    2020年02月06日

    Posted by ブクログ

    貴族は生まれながらにして貴族。
    どんなに成り上がっても、
    このコンプレックスはは消えなかったのだろうなあと。

    殺人ではなく選挙だが、
    小さな世間の書きかたは相変わらず面白い。

    0
    2015年10月13日

    A

    購入済み

    フィクションのはずなのに
    まるで実在の人物の話のように思えるくらい
    人物描写が圧巻で、恐ろしいような気がします。

    0
    2026年04月16日

    Posted by ブクログ

    アガサ・クリスティのミステリを読み尽くした人ほど読んで欲しい一冊。クリスティらしさもありつつ、新たな愛の物語を体験することができるだろう。

    0
    2024年09月16日

    Posted by ブクログ

     読者の引き込み方がクリスティーらしいなぁ。小説の最後に、「それは結末じゃない、始まりだ」と言ったのは、私はポジディブな意味にとらえたけど、真意はどうなんだろう。

     イザベラみたいに今だけを考えて、自分の輝きをずっと持っていられる人って特別だな。ゲイブリル、クセ強いなぁ。テレサは何事にも理解がある人って感じで描かれているけど、そんな人、本当にいるんだろうか。

     幸せになることだけが人生の意義ではない、っていうのには共感する。世間的にみた不幸が、ある人にとっては一種の幸せでありうる。幸福が人生の意義であるとは限らないし。
     不幸に生きながらえる人っているよなぁ。悪いわけではないし、無理に変える必要もないって思ってたけど、滑稽だし誰かを辟易させる。

     誰のことも見ているつもりでも、ちゃんとその人のことは見えていない。自分の偏見から自由にはなれない、公平になんて見ることはできない。自分に対してですら、公正な目で見ることはできないんだから。 

    0
    2020年11月11日

    Posted by ブクログ

    気高い美女イザベラには婚約者がいた。が、冷酷ともいえる野心家ゲイブリエルに荒々しく抱擁されて彼女は悟った。この歪んだ男を救わねばならないと。やがて彼女は婚約者を捨て、ゲイブリエルとの駆け落ちを決心する……

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    探偵ものでないので、なぜだろうと思いながら読み終わって、
    解説を読んでわかりました。「アガサクリスティ」の作品でないことを。

    「メアリ・ウェストマコット」の第4作とのこと。
    The Rose and the yaw tree.
    というのが原作名とのこと。
    内容からすると、こちらの方がピンと来ます。

    作り、心理描写は、アガサクリスティものだという理解で読んでいて、違和感はありませんでした。

    死に対する態度、人間に対する態度など、アガサクリスティの本質的なところがより強調されているような気もしました。

    0
    2011年08月14日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    その人生を幸福と呼ぶか。

    ヒュー・ノリーズの元にゲイブリエルが死にそうだと報せが来る。ノリーズはゲイブリエルを憎んでいた。イザベラを死なせたゲイブリエルを。ノリーズの語るゲイブリエルの物語。

    一気に読ませる。メアリ・ウェストマコット名義の作品なのでいわゆるミステリではない。しかし最後に明かされる真相に向かって進み、最後の打撃に痺れるという点では実によくできたミステリ的。

    軽薄で自己宣伝的な醜男ゲイブリエル。彼の根底に流れる高貴なものへの歪んだ感情。生まれながらに貴族というのが日本には(一応)ないので、ここら辺の大英帝国的な価値観を完璧に理解はできないけど、なんとなく感覚的にはわかる。自分がつまらない、みっともないものだと思わされてしまう存在がそこにいて、それを愛してしまう苦しみ。ゲイブリエルの吐露には活字なのに巻き込まれそうな勢いがある。

    まっすぐなイザベラ。彼女は自分で決めたことしかしない。そんな彼女の前でゲイブリエルが襲われた。銃弾に貫かれたのはイザベラだった。それが意味するところとは。背表紙のあらすじを読むと(本当にこのあらすじが9割)キリスト教的博愛とは『塩狩峠』みたいなもので、この話はイザベラがゲイブリエルを愛していたという解釈ではないのかと思ったが。

    ダメ男に次々と引っかかる感傷的な女性とか、大袈裟におせっかいを焼く高齢女性とか、悪人ではなく平凡なまとめ役とか、ズレていると思いきや放った不思議な一言が真実を指している芸術家とか、相変わらず登場人物の描き方が秀逸。カッコいいと思ったのは、大英帝国の大奥様を象徴するレディー・セント・ルーと、クールに周囲の観察をして如才なく立ち回る義姉テレサ。語り手のヒューには病んでいるように見えて、その根は健康な精神を持っていると感じた。

    第二次世界大戦末期における大時代なイギリスの終焉が感じられるのも面白い。この先に『日の名残り』があるのだと感じる。

    0
    2025年12月23日

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