アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
もの言えぬ証人の中で今さらっとデビュー作の犯人ネタばらししたな?となって読み返し。人によってはあんなところで『アクロイド殺し』の犯人をネタバレされるの非道である。ポアロ1作目なので読み返す回数も多く、結構しっかり話の筋は覚えている。牧師館の殺人や書斎の死体同様、単独では不可能な殺人がカップルの共犯によって可能になるパターン。ポアロは1作目からわりとおじいちゃん扱いなんだなあ。シリーズの最後の方の作品全部は読んでいないので、ここからどう年を重ねさせるのかちょっと楽しみだったりする。『鏡は横にひび割れて』のミス・マープルも、ちょっと寂しいけれどよかったので。
ワトソンに比べるとたまにちょっと鬱陶しく感じることもある、相棒のヘイスティングス大尉が語り手。たいそう美人に弱いしうぬぼれ気味でもある。この人が強く主張することはだいたい間違っているが、何の気なしに言ったことはポアロのヒントになったりする、と思って読んでいる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前回読んだ「書斎の死体」がイマイチだったのであまり期待していなかったが、
期待値が低かった分、意外と楽しめた。
全部で8篇が収められている短編集で、
ミス・マープルだけでなくポアロ(文章で読むのは初めて)も登場するし、
解説を私が好きな西澤保彦が書いているという、
個人的に豪華な並びだったのも嬉しかった。
先日Eテレの「偉人の年収」みたいな番組でクリスティーを取り上げていて、
クリスティーの原稿料の高さにビビりました。
イギリス出身ということしか知らず、
子どもがいて主婦業のかたわら執筆をしていたというのも知らなかった。
何となく、1930~70年代くらいに活躍した人かと思っていたけど、
生まれたのが1890年ということは、もう少し前の年代なのかな。
ここのところよく読んでいるので、
クリスティー自身の生き方にも興味が湧いてきました。
というのもクリスティーの作品の良さというのは、
「ミステリの女王が書いたミステリの古典」的な側面ももちろんあると思いますが、
それとともに、
古き良き(?)時代のイギリスの文化、その時代の雰囲気がそのままそこに残っている、
という点にもあるのだと思います。
もちろん多くの登場人物は白人。
富裕層と貧困層が明確に分かれ、
富裕層のお館にはメイドや執事がいるのが当たり前。
小さな村ではチャラい若者は悪目立ちして、老人に悪口を言われる。村では娯楽が少ないから、村に若い花嫁が嫁いでくると、みんなで見に行って話のタネにする(これは現代日本でも同じかな)。
「オールドミス」がいる。「裁縫師」がいる。アパートに「石炭用リフト」がある。
そんな時代を想像してみるだけで、日本人にあるあるのヨーロッパへの憧れが刺激され、うっとりとしてしまいます。
-------------------ここからネタバレ------------------
●三匹の盲目のねずみ
この作品だけで、本の半分近くを占めています。長い。
登場人物が多くて、各人の動きを理解するのが大変。
で、警察だと名乗った奴が真犯人だったパターン。
びっくりしたのでミステリの仕掛けとしては成功だと思うのですが、
納得いかない気がしてしまうのは、
見破るための伏線がなかったからかもしれない。
あと、動機がちょっと難しかった。
●奇妙な冗談
ミス・マープルが登場する物語は、
日常生活の中で起こる事件が描かれるので、
本筋とはそれほど関係ない細かい生活の描写も多くて、その点も楽しめます。
マープルのお喋りが冗長なのがちょっとイラっとしますが、そういうキャラだから仕方ない。
●昔ながらの殺人事件
これもミス・マープル。
お決まりの容疑者としてしばしば「女にモテるイケメンの若造」が出てくるのが笑える。様式美。
村の郵便局に停まるバスは一日何本あったんだろうか。
スペンロー夫人が着ていた「キモノ」とは何のことなんだろうか。肌着ということだろうが、この時代の肌着とはどんなものなんだろうか。なんで「キモノ」と訳したんだろうか。
良心の呵責があると宗教にすがるというのは、古今東西変わらないんだな。
非常に女性らしい事件で、シンプルで読みやすいです。
●申し分のないメイド
突っ込みどころ満載の姉妹に仕える申し分のないメイドが実は泥棒だった、というところまででも実に痛快です。
ミス・エミリーの「心気症でわがままで扱いがめんどくさい女」の描写が素晴らしい。
そして最後の、メイドと妹が実は同一人物だった、という仕掛けはすごい。
ほっそりした人とぽっちゃりした人が同一人物だったという設定は少し無理があるけど、発想に完敗。
●管理人事件
「殿方は常に同じタイプを好む傾向がある」ね…
ミス・マープルの、犯人の動機の推理は、かなり主観というか偏見が入っていますね。
でも、ミス・マープルのシリーズは、
こういう世俗的なところがいいんだろうなぁきっと。
難しいこと言わない、論理的に考えなくてもいい、
日常生活に起きている些細な問題や人間関係の中に、
殺人事件の解決の糸口がある。
つまり、誰でもミス・マープルになれるということです。
●四階のフラット
ポアロはミス・マープルとは違って、
論理的に考えるタイプの探偵なんだな。
ミス・マープルの村の事件を読むのも楽しいけど、
探偵としては、私はポアロの方が好き。
昔は電化製品が少ないから、
電気付けないと部屋の中が本当に真っ暗なんでしょうな。
しかしフラットにまでメイド部屋?があるとは。
●ジョニー・ウェイバリーの冒険
誘拐されそうな息子から目を離すとはこれいかに、と思ったら自作自演か。
ポアロが情けをかけてあげるのがちょっと不思議なんだけど、
まだ実害が出てないからってことなのかな。 -
Posted by ブクログ
火曜クラブで好きだったバントリー夫妻の館で起こる事件の話。しばらく読んでから、『鏡は横にひび割れて』のドリーイコールバントリーさんなのだと気がつく。火曜クラブの時点で気が付かないあたり、だいぶ適当に読んでるんだなあ。この3作品全部ゴシントン館が舞台になってる話だ。
じゃあ旦那さんこの後奥さん残して死んじゃったんだなー館も手放すのかーと思いながら読んでいると、事件をきゃっきゃと楽しんでいるように見えた夫人の愛になんだかしんみりする。
ミス・マープルはいつも通りで、女学生たちの聞き取りに立ち会う辺りの鋭さがよかった。こういう教師、いるよね。その辺りからなんとなく真相も見えてきた気がする。
特に二つ目の殺人は(少女の被害者というのがクリスティー作品に珍しいのもあって)嫌悪感しか沸かないものなんだけど、同種の殺人を純愛っぽく仕立てた東野圭吾の某ミステリはすごいな、という気持ちになった。 -
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ポアロシリーズ。
約半年ぶりのアガサ・クリスティーだったけど、この雰囲気…やっぱいいなぁ、としみじみ感じ入る。
本作もクリスティー作品ではお馴染みの、裕福な美女を巡るロマンスが事件の軸となる。
もう殆どエリノアが詰んでいて、もうこれ、どう見てもアカンくない??って感じなのに、その後の展開ったら!!やばっ!おもしろすぎ!
今回もさすがのポアロさん。
些細な疑問点から事件の真相に迫る。
お見事でした。
っていうか、三角関係を呈していたあの男がなんだかんだ言ってダメなんだと思う。
この辺の恋愛感情のもつれ具合なんかも、著者が仕掛けたトリックの一つなのかな。 -
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ネタバレ【再読】
旧友に招かれスタイルズ荘に滞在することになったヘイスティングズ。だがそこの女主人エミリー・イングルソープが何者かに毒殺される。彼女は近頃新たな夫を迎えており、義理の息子のジョンをはじめとする家族たちは、その新たな夫をどうせ財産目当てで近付いたのだろうとよく思っていなかった。そんな折での事件だったため、当然疑惑は夫であるアルフレッドに向くことに。
ヘイスティングズは、たまたま再会した元ベルギー警察のエルキュール・ポアロに応援を要請する。ポアロは遺言の存在やどのようにして犯人が毒を手に入れたかなどという点から推理を進めていくものの、一番怪しいと思っていたアルフレッドにはアリバイがあることがわかった。
そうしている間に、ヘイスティングズの友人であり被害者の義理の息子であるジョンが逮捕される。ジョンは事件の日、被害者と口論をしておりさらに付け髭でアルフレッドに変装して毒薬を購入していたというのだ。しかしポアロは、別の真相を指摘する。
犯人は被害者の旧くからの友人ハワードと、被害者の夫アルフレッドだった。ハワードは被害者が日頃から処方されていた強壮剤を撹拌しないように注意して毒物を沈殿させ、最後の一服で死に至るように周到な準備を重ねていた。遺言を燃やしたのは被害者本人で、夫とハワードが命を狙っていることを知ったためだった。またジョンの妻メアリはメアリで、夫の不貞の証拠を掴むため被害者の部屋に侵入するなど、結果的に捜査を撹乱させてしまっていたのだった。
記念すべきシリーズ第1作にして、解説でも述べられているようにその後のミステリの歴史をつくった記念碑的作品。ヘイスティングズとポアロの出会い(再会)は意外にもさほどドラマチックではなく、道端でばったり会って「あれ? ヘイスティングズやん」といった感じなのがジワジワくる。
クリスティー作品の特徴は人間の内面を深く描いているところで、だからこそそれぞれの思いが交錯して複雑な物語を形成している。それがポアロによって解きほぐされていく様が気持ちいい。
●見どころ
・久しぶりということもありポアロを見くびるヘイスティングズ
・女性が絡むと暴走するヘイスティングズ
・自分のことを如才ないと自負するヘイスティングズ
・ポアロにおだてられるとたちまち機嫌を直すヘイスティングズ
・一事不再理を巧妙に利用しようとする犯人
●名言
「どうだっていいことなど、なにひとつないんです」 -
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ネタバレポアロは女優のジェーンから、夫に離婚の承諾をさせてほしいと依頼を受ける。
夫であるエッジウェア卿を訪ねると、離婚は承諾していると言う。
その後、エッジウェア卿は何者かに殺害されてしまう。
殺害現場で目撃されたジェーンは、その時間パーティ会場にいた。
そして次の殺人がおこる。
エッジウェア卿を殺す動機がある登場人物達が出てきては、もしかして犯人なのか!? と疑ってしまう。
ラストにポアロの謎解きを聞いて、あまりにも狡猾な手口で驚いたのですが、作中で犯人に抱いていたイメージと何となくそぐわない気がしたんです。
しかし、最後の手記で犯行と犯人がしっかりかみ合ったと思いました。
手記を読んだ後は事件がグッと鮮明になった気がしました。
手記に書かれた「私は世間から記憶されていたいのです」の言葉が実は物語のはじめには否定されているようで、グッとくるわ〜。 -
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ジョーン・ヒクソン版のドラマを観ていたので犯人は知っていたが、マープルが登場してから一気に面白くなった。
やっぱりミス・マープルが大好き
映像では伝わりにくい人物の内面や細かな描写が補完され、それぞれの登場人物の個性がより鮮明に感じられた。
犯人の焦りも小説の方がさりげなく描かれていて、フーダニットとしての面白さが際立っている。
登場人物たちの嘘や秘密が少しずつ明らかになり、そのたびに見えていた景色が変わっていく展開が見事。
真相に近づいていると思わせながら読者の予想を巧みに外してくる構成に唸らされた。
ホワイダニットもよく練られていて、クリスティ作品の中で特に高い人気にも納得。
ドラマにはなかったエピローグまで含めて楽しめた。
改めて、クリスティは色褪せないと思わせてくれる一作だった。