アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
旅に出ることで、人は普段とは異なる考えを抱くようになり、普段では到達し得ない真実や決意に辿り着くことができる。
そして、旅先でどれだけ素晴らしい決意を得たとしても、日常に戻れば日常という環境に規定された思考方法に戻り、素晴らしかったはずの決意や真実はまるで夢だったかのように色褪せてしまう。
異国の地に置き去りにされたジョーンは、持て余す時間の中で自己に向き合い真実を悟る。しかし、家に帰り着いた瞬間にその全てが幻のように消え去ってしまう。この心変わりは、経験的に本当に共感できると思った。
旅は僕らを非日常、異なる環境に連れ出してくれるものであり、その効果は掛け値なしに素晴らしい。だが日常に戻 -
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Posted by ブクログ
自分では気づいていなかった、知ろうともしなかった真相にたどり着いてしまうというのは考えてみると恐ろしい。できることならば、周りにとって自分がどういう存在なのか、知ることなく生きていきたいいうのもそんなにおかしなことではないだろう。でも、この小説の主人公、ジョーンは気づいてしまう(最後その扉を開けるか閉めるかという葛藤はあるが)。異国の砂漠の宿に取り残されて、気を紛らわすこともなく数日間を過ごすというシチュエーションもそれに寄与したのだろう、と思うが、それゆえに何か悪い夢でも見たような気持になってしまうというのもむべなるかなというところだと思う。後から考えるとそういうシチュエーションの描き方もう
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Posted by ブクログ
ネタバレページのほとんどは所々不穏な雰囲気が漂う身分違いのラブストーリーで、終盤でミステリーに変わり、真相が明かされると「うわーそういうことかーよく出来たミステリーだなあ」となるんだけど、さらに結末まで読むと、これはラブストーリーとかミステリーとかのジャンルに収まる作品じゃなく人間誰しも少なからず持つであろうひとつの感情を深いところまで突き詰めた作品なのだと感じた。
事件の起こらない前半部分は、展開自体がモテない男の都合良すぎる妄想を覗き込んでいるようなこっ恥ずかしさがあり、正直「なんでこれ読んでるんだっけ?」と我に帰る瞬間もあったが、語り口の上手さで退屈はせずスラスラ読めた。
事件が起きてからは文 -
Posted by ブクログ
アガサ・クリスティー仲間(と私が勝手に思っている)の同僚が、私が勧めた『春にして君を離れ』を読んでくれたので、彼女おすすめのこちらを読んでみました。
アガサ・クリスティーのノンシリーズもの。
原題は『CROOKED HOUSE』。
1949年の作品。
一族の当主が殺され、それまでなんとか均衡を保っていた家族が綻びだすというクリスティーお得意の展開。
主人公チャールズはポアロでもマープルでもなく、ヒロインと結婚したいだけの外交官なので、殺人事件は一向に解決せず、物語の大半はこの「ねじれた家」の「ねじれた家族」の話が続きます。
しかしながら、それがおもしろいんだな。
さすがのクリスティーとい