アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1938年の作品
エルキュール・ポアロシリーズ長編16作目。
あらすじ
エルサレムを訪れたポアロがたまたま耳にしたのは、「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」という男女の囁きだった。
ヨルダンに旅行に来たツアー客の1人である医師のサラ・キングは妙なアメリカ人の家族と居合わせる。その家族は揃いも揃って家長のボイントン夫人の権力の支配下にあり、自由を奪われていた。サラは、息子のレイモンド・ボイントンと友人になり、彼らを救いたいと考えていた。しかし、かつて刑務所の看守だった夫人は、子供たちにサラとの交流を禁止する。腹を立てたサラはボイントン夫人を非難するが、夫人は「私は、行動も名前も顔も、何も忘れたことはない。」と謎の言葉を残した後、ペトラ旅行で何者かに殺害された。
家族全員が容疑者の中、エルキュール・ポアロは犯人探しを開始する。
中近東シリーズのうちの一つですが、異国情緒や旅の雰囲気が感じられるのは「ナイルに死す」や「メソポタミアの殺人」の方かな?
殺された人物が、死んだ方が皆のためになるどうしようもない悪い奴、というところからして、「オリエント急行の殺人」と同じような展開か?と思わせらます。作品内でも、オリエント急行のときのように見逃してくれ、というようなセリフが出てきます。が、さすがクリスティー。オリエント急行とは全然違う展開になっていきます。
1938年という時代を生きた、さまざまなタイプの女性について想いを馳せることができる深みのある作品。
医師として自立している強い女性、サラ・キング。
元看守として家族の中で権力を誇示するボイントン夫人。女ながらに政治家として活躍しているウエストホルム卿夫人。ウエストホルム卿夫人のような活動的な女性に憧れながらも、自分では何もできないアマベル・ピアス。母親のせいで家族以外とつながりを持ったことがなく、外に出るのを恐れているキャロライン・ボイントン。精神的に不安定で、思い込みの激しいジネブラ・ボイントン。
それに比べてこの作品に出てくる男性たちはなんとも弱々しく自分の意志がない(毒親のせい?)
女性ながらに小説家として女性がまだまだ生きづらい時代に生きた、アガサクリスティならではの視点を感じます。
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購入済み
ナニか物足りない
やたらと散りばめられた多数の伏線が
見事に回収されて、すごいなと思う。
ゼロ時間に向かって物語が進んでいくのも斬新だなと思う。
その一方で、後だし感が強いなとも感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレポワロでもミス・マープルでもないクリスティ作品。しかし、ストーリーはまさにクリスティ・ワールドである。
雪に覆われた、自然により作り出された「密室」、そこで行われた降霊術で示唆された殺人。
死体で発見されたシタフォード荘の主トリヴェリアン大佐。
フィアンセが容疑者となり、その無実を晴らすべく、エミリー・トレファシスが新聞記者チャールズ・エンダビーを相棒に事件に挑む!
という物語。
とはいえ、チャールズは最終的にあまり活躍しない賑やかしなのだが。結局はナラコット警部が優秀なのだが。
根っからのクリスティファンなので楽しんだが、ところどころトリックには突っ込みたくなったり、説明されていない謎があったりして、気になる人は気になるかなと思う。降霊術でどうやって大佐の名前出したんだよ、とか。
それらを凌駕してしまった理由の一つは、大佐殺しの動機が序盤から示されていることだろうと思う。 -
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密室!
久しぶりだー。
しかもこてこての密室!
にやにやしてしまった。
そこに富豪がいる限り。
そこに不遜な父親がいる限り。
起きちゃいますよね殺人が。
明らかに怪しい態度をとっていた人間がいたのに。
あー、めちゃくちゃ怪しい。絶対この人が犯人じゃん!て思ったのに。
なぜその人の存在を忘れるかな私。
いや。忘れるようにまんまと誘導されてしまったのか。くーーっ!
あとは、なんとなく「ぽくない」感じがあったな。
良いとか悪いとかではなく「アガサクリスティーぽくない」というか。
でも読後感が良い点はいつもと一緒。
読後感やその作品を包む雰囲気は作者の人柄が反映されるっていうしね。だからアガサクリスティーの本を読みたくなるし、惨劇が起きてもどこか楽しいのかも。最高で最強のエンターテイナー。
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Posted by ブクログ
バントリー大佐の書斎である朝見つかった見知らぬ金髪の若い女性の死体。夫の潔白を信じる夫人は友人のミス・マープルを伴い、女性がダンサーをしていた高級ホテルに向かい犯人探しに奔走する。
マープルシリーズ第二弾。事件の始まりはセント・メアリ・ミードだったものの、物語は隣州の高級ホテルで展開される。動機らしきものは序盤で判明するのだが、如何せん容疑者にはアリバイあった、というのがこの話の肝。一つの謎が解けるとすべての謎が次々と解明されるといった具合に後半の展開は早い。最序盤にヒントがさりげなく隠されているので、比較的フェアな謎だと思う。ミステリーにありがちなありふれた事件ではあるが、その見せ方を工夫しているので楽しく読み進めることができた。
本筋からは外れるが、階級や出身に対する軽い偏見があえて散在されていて、当時の英国人の考え方(もしかしたら今もかも)が窺い知ることができ面白い。 -
Posted by ブクログ
マープルの長篇2作目(短篇含めて3作目)。推理もさることながら、ミステリなのにユーモラスな箇所が随所に垣間見えて、とても面白く読むことができました。
あらすじ:
ある朝、セント・メアリ・ミード村の外れにあるゴシントン館でのこと。バントリー夫人は、夢うつつの朝のまどろみを破る、メイドの「書斎に死体がある」との一報で目を覚まします。それは、館の主人であるバントリー大佐や使用人たちの誰も知らない、どぎつい化粧をした金髪の若い女性の死体。バントリー夫人は、友人のミス・マープルを呼んで死体を検分。間もなく、デーンマスのマジェスティック・ホテルから、女性ダンサーのルビー・キーンが行方不明になっているとの連絡が入り、発見された死体とホテルの滞在客との意外な関係が明らかになってきます……。
と、短篇集『火曜クラブ』の後半で謎の事件を語り合ったゴシントン館が事件現場。『牧師館の殺人』同様に書斎での死体発見と、その住人以外の被害者という共通項でストーリーに入りやすい工夫に驚きつつ、冒頭のバントリー夫人の夢を使って記憶に新しい牧師夫人(グリゼルダ)の水着姿を登場させる、お茶目なファンサービスがウケるw
また、作家は変人と自虐ネタを織り交ぜたり、ピーター少年のクリスティーのサインを持っている発言などから、おそらく著者自身がノッてる時期に書かれたのだろうと想像されます。
例えば、ユーモアのセンスが節々で冴えているのですが、スラック警部に対する皮肉はもちろん、セント・メアリ・ミード村を「すごい田舎だそうですね」と言わせてみたり、本に登場するロンドン警視庁はたいてい「大バカ者」と揶揄してみたりと、ミステリなのにクスりと笑えるところがあって楽しいです。トドメは、マープルに向かって「黙ってろ、このババア」ですからね。ヤバすぎますw
と、推理と関係ないことを書いてきましたが、推理はお手上げでした。よくこんな事を思いつくなと感心しましたね。ところで、まだマープルは3冊目ですが、女学生にぴしりと言う場面が、終始おっとりしているイメージがあったので意外。クリスティーは、読むたびに発見があって飽きさせないですね。
正誤(11刷)
※間違いと言うか、P119の遺言のくだりが辻褄が合わず、理解できなかったです。原文はどう書かれているか気になるところ。 -
Posted by ブクログ
こちら、正直あまり期待せず(未読のマープルものだから……)くらいのテンションで読み始めたのですが、クリスティー作品の中で一二を争うくらい好きかもしれません(”面白い作品”でなく”好きな作品”部門で)。なんだかずっとニコニコしながら読んでいました〜(´ω`*)
そもそもあらすじの「ミス・マープルが若い二人の探偵指南役を務める」からしてうーんという感じなのですが、読み終わってみればマープルさんの出番はほぼナシ!なんなら、途中までノンシリーズだと思い込んでいたくらい。
ですので、マープルものだと意気込んで読むとちょっぴり拍子抜けかもしれませんね。ノンシリーズにマープルさんがゲスト出演、くらいな期待値だと嬉しいサプライズという感じです。
なにが良いって、バートンの語りが良い!
「この物語の書き手」の時点で少し警戒してしまったのですが、まったくの杞憂でした。というか、本書に関しては(こうかな?)と予想したことは何一つ当たりませんでしたが(いつものこと)。
妹のジョアナ共々、具体的なバックボーンはよくわかりませんが裕福な暮らしで育ちがよく、田舎の町に越してきても人々を偏見の目で見ることなく、実におおらかに構えているのでこちらまでなんだかゆったりした気持ちに。
特に、「バートン家の者たちは、ここんところ売れ行きが悪いのね!」と慰め合う様なんて、なんて仲がよく、そして二人とも人がいいんだろうと感心してしまいました。
その他の登場人物たちも、たしかにクセはあるけども基本的に善良な人々で、解説にある通り、こんなに好きになっちゃったのに裏切られたらかなしい……とハラハラする始末。よっぽどセント・メアリ・ミード村の方が毒があるような……笑
肝心の謎解きもスッキリ解決して、こーんなに円満に収まるミステリーも珍しいのではないでしょうか?
ミステリーの中では浮いてしまいがちなロマンス要素も今回はとっても好ましく描かれていて、もうなんの不満もありません。
再読の機会があれば、無駄に疑心暗鬼になったりせず、このハッピーな物語を存分に楽しみたいと思います〜。 -
Posted by ブクログ
クリスティーの初ノンフィクション作品。
中東での発掘旅行が描かれていて、クリスティーの魅力が詰まったファンには嬉しい1冊。
この作品を読んで1番驚いたのが、クリスティーが肉体的にも精神的にもめちゃくちゃ強かったこと。
例えば、ネズミがわんさかいる寝室で寝た時のこの1文。
〈鼠どもがこちらの体の上前面を運動場にして、元気に体操したり、野外スポーツに励んだりしているありさまでは、眠るのはほとんど不可能である。〉
(۳˚Д˚)۳ギャーーー!!!!
ネズミが自分の体の上で暴れてる状況を、元気に体操だなんて!!笑
更に、ゴキ、クモ、ノミ、コウモリ、ヘビなど、モゾモゾ這いまわる生物がウジャウジャいるカオスな寝室((°ө°));ムリ
また、暑さと病気の蔓延で、堪え難い頭痛の極致の状態でもこの1文。
〈完全に疲労困憊して、痛みに悩まされつつ眠るというのも、あながち悪いことばかりではない。なによりうれしいのは、翌朝、心も晴れ晴れと、元気いっぱいにめざめたときの驚きと、そのすばらしさだ。
わたしは体じゅうに精気が横溢しているのを感じ、猛烈な空腹感を覚える。〉
いや、もう無敵な強さ。凄まじい回復力。
どんなことでも楽しんでしまう好奇心と強靭なメンタルと体力。
少しお転婆なお嬢様ぐらいに今まで想像してたけど、大間違いだった!
この本に描かれてるクリスティは、クレイジージャーニーに出てきそうな人だった笑
どんな時でもユーモアがあって、人生を思いっきり楽しんでいて、思ってた以上にユニークで魅力的な人だとわかって、ますます人としてのクリスティーが大好きになった。
著名な考古学者である2番目の夫マックス・マローワンは同じくタフな人で、どんな問題が起きても冷静沈着に解决して、人にも動物にもとても優しい人物だった。
イギリスでこの作品は、アガサ・クリスティ・マローワン名義で刊行されているとのこと。 -
Posted by ブクログ
マープルは、13の短篇からなる『火曜クラブ』で安楽椅子探偵として描かれていましたが、本作は長篇での初作品。そのためか図が3頁もあり、セント・メアリ・ミード村の様子がよくわかり、読みやすかったです。
あらすじ:
場所は、閑静なセント・メアリ・ミード村。語り手で聖職者であるクレメント牧師に「誰かがプロザロー大佐を殺してくれたら、社会にあまねく貢献することになるのに」と言わしめるほど、誰からも疎まれていた治安判事が殺されます。殺害現場は、牧師館の書斎。事件当時、クレメント牧師はイタズラ電話の呼び出しで外出して戻ってくるところ、門前で青ざめた画家のローレンスとすれ違う。書斎に入ったクレメント牧師は、撃ち殺されたプロザロー大佐を発見。翌日、ローレンスが自首しますが、やがてプロザロー夫人も事件への関与を自白し、詮索好きな村人たちを巻き込んで混迷を深めて行きます……。
と、牧師が死ねばいいのにと言うくらいなので、殺された人には同情はしませんが、村人たち皆に嫌われている設定なので、誰が容疑者としても考えられる状況は、著者にけむに巻かれているようでした。途中、あーこいつら絶対グルだなと思いながら読み進めつつも、のんびりした展開が進む中、読み進めるほど怪しい人が増えていき、犯人はなかなかシッポを見せない。マープルもほとんど登場せず、語り手のクレメント牧師が興味本意で奔走する様子は、まさか『アクロイド殺し』のようなことはないよねと思ったり。
終わってみれば、マープルの見事な推理やそのとき語られなかった残された謎もスッキリする、読後感の良い話しでした(特にラストの一行がいいですね)。意外だったのが『火曜クラブ』での椅子に座りっぱなしのイメージと異なり、終盤でのアクティブな一面が見られたこと。まだマープルの作品の入口なので、他の作品も楽しみです。
ところで、所々でクリスティーのコミカルなユーモアのセンスに笑えました。例えばP172のクレメント牧師によるスラック警部の印象、P262-263のクレメント牧師が画家のローレンス・レディングに、ニュースに飢えたセント・メアリ・ミード村の住人の特徴を語る場面、P283の牧師の甥デニスによるプロザロー大佐の娘を評する場面でのクレメント牧師が「実に魅力的な癖だな」と言う場面などが面白かったです。
正誤(7刷)
P190の11行目
ローレンス・レディグ
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ローレンス・レディング
P253の6行目
どこなく感じが似ている青年
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どことなく感じが似ている青年
P349の5行目
母親ははちゃんとした人間です。
↓
母親はちゃんとした人間です。