アガサ・クリスティーのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ひたすら捜査パートが続く中盤は少しダレてきたけど、残り3分の1くらいのところから怒涛の展開でページをめくる手が止まらなくなった。クリスティ作品はこのパターン多い気がする。
犯人はなんとなく怪しく感じていた人物だったけどその真相は全く予想しておらず、断片的に示されていた情報がきれいに繋がる構成は、クリスティ作品毎度のことながら本当に見事。
事件自体の強烈さ、犯人にまつわる真相が解明されるときの爽快さ、その後に残る切なさで言えばミスマープルシリーズで最高傑作とされているのも頷けるが、冗長に感じる部分や無理があるように感じる部分もあり自分の中では最高評価とまではいかないかなあという感じ。 -
-
Posted by ブクログ
〔クィン氏〕やってきてすぐに去ってゆく髪の黒い男。謎は時間を経てからのほうがより客観的に、歴史として俯瞰できるので解きやすくなっていると言い、他者から話を引き出すことによって真実に至る道へと誘導する。誘導されてる感が強くどこか怪しくもある。いちばんの謎はもちろんクィン氏自身。
〔サタースウェイト氏〕初登場時六十二歳。人生の見物人。他人のドラマに関心が強い野次馬。誰とでも知り合い。大金持ちで食通。多くの美術品に囲まれ妻子はいない。こういう人物は最後に当事者になったりするもんやけど、はたして?
〔感想〕ひとつひとつはとてもあっさりしているがだんだんクィン氏の不可思議さが強く感じられていく。数十 -
Posted by ブクログ
ミステリーの女王アガサ・クリスティの手にかかればもはや何も起きなくても面白い。
事件が起きる前の前半部分がめちゃくちゃ面白く、個人的には事件が起きたことでそこまでのストーリーが停滞してしまったような気がして、むしろ事件が邪魔にさえ感じた。でもそこはさすがのアガサ・クリスティで、読み進めていくと事件前・事件後で分けることすら無意味で、全てはナイル川のようにひとつの流れであったことが分かる。
悩めるジャクリーンを優しく諭すポアロの言葉のひとつひとつがとても良い。
メインの3人に絡む物語は面白いんだけど、他の容疑者たちがわちゃわちゃやってる中で釈然としない描写もあったため自分の中では満点評価とはしま -
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレミステリー小説に興味を持ち始めたとき、「アガサ・クリスティは外せない」と友人にすすめられて手に取ったのが『ナイルに死す』でした。
舞台はナイル川を巡る豪華な旅。美しい景色に囲まれながら進んでいくミステリーという設定に惹かれ、読み始めました。
最初は登場人物が多くて少し戸惑いましたが、それぞれの人物が物語に重要な役割を持っていることが少しずつ分かってきて、読み進めるうちにどんどん引き込まれていきました。
物語の中心にいるのは、すべてを持っているように見える女性リネット・リッジウェイ。彼女を取り巻く人間関係の緊張感や嫉妬、憎しみが、まるで静かな水面の下に隠れていた感情が一気に噴き出すように描か -
-
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ言わずと知れた古典ミステリの傑作の1つ。100年近くも前の作品なので、さすがに時代設定や犯人の動機などに現代の感覚と乖離したところはあるものの、 犯人を早くに提示して動機を探る ”Why Done It?” 系の作品だと思わせて終盤ひっくり返すあたり、色褪せない技巧を感じる。
米澤先生の古典部シリーズの『クドリャフカの順番』がこの作品をオマージュしていて、原典がずっと気になっていたのでついに読めてよかった。今の倫理観で言うと「目的のためにこの犯人は殺し過ぎる」と思うし、主人公のポアロ含め殺人の扱いが軽いようにも思うが、古典って大抵そうかもしれない。 -
-
Posted by ブクログ
まず読み始めて思ったのは、
「歯医者で殺人?…古畑任三郎にもそんな回あったよね?」と。大地真央さんが犯人の回(笑)
ていう謎の既視感からのスタート。
古畑の歯医者回はクリスティーのオマージュだったのかもなあなんて思いながら読み進めた。
そしてそして話は思わぬ展開へ…
え!そっち!?たしかにタイトルは「愛国殺人」。
何やらきな臭い匂いがしてきたよ。
どうなっちゃうの?全然先が想像できない!
しかもカーターとレイクスが混ざっちゃって、これはもしやカーターとレイクスは同一人物か?なんて思ってたらあれよあれよとその推理は撃沈し、
犯人はそっちかーい!のオチでした。
毎回毎回ノーマーク過ぎる -
Posted by ブクログ
ネタバレ昔NHKで見たクリスティーのアニメ作品の記憶を消せたらなぁ…とつくづく思った今作。
未読だったので読んでみたけれど、内容を知らなかったらクリスティーの鮮やかな騙しの手口にこれでもかと唸らされていたことだろう。
途中ポアロがヘイスティングズに対して「シャーロック・ホームズ風の推理を聞きたがっている!」とからかう場面があるのだけれど、ポアロもといクリスティーの良さは人の心理、人格を照らし合わせて、思い描く犯人像と矛盾しないかを物語の鍵としている点だと思う。
ネタバレ回避が難しいので説明が雑になってしまうけど、もし未読の方は是非に。
ただ、登場人物が多くて人名やら土地名でちょっと混乱しやすい点では -
-