アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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なるほど
2020年の今読んでみても、色褪せていないですね。
この本は、奇抜なトリックがなくても
面白いミステリーが成立することを証明しています。
それとも私が単純なのかな。
ともかく楽しかったです。 -
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ネタバレミス・マープルもの。
冒頭で、チッピング・クレグホーン村の人々のもとに、新聞が配達されるシーンから物語が始まります。
各々読んでいる新聞が異なる中で、地元紙だけは全員読むという事を踏まえたような、“殺人予告”が地元紙の広告欄に掲載されるという、なかなかのシチュエーションです。
とにかく登場人物が多く、しかもそれぞれの状況や会話が逐一書いてあるので、どうしても話が長くなり、つい読む側も流し読みっぽくなってしまいそうになるのですが、ちょっと待った!その会話の中に伏線ありますから!というところがクリスティー。
後で語られる真相部分で、何度ページを後戻りしたことか・・。
で、今回のトラップはドラ・バンナーがブラックロックさんを呼ぶときの呼び名なのですが、私は誤植又は誤訳(すみません)又は、ネイティブ特有の呼び方だと思い込んでいました(私だけ?)。
そして、キャラクターで強烈だったのは中欧からの難民でメイドのミッチー。クセが強すぎて面倒くさい娘!でも笑えます。 -
購入済み
「検察側の証人」と同じ話
表題作「情婦」は、映画の邦題に合わせたもの。他社の版では「検察側の証人」という題になっていることが多い。この版は翻訳に少し癖がある。とくにポワロやヘイスティングズの台詞の言葉遣いが丁寧すぎて、他の訳者の訳で読み慣れている人は少し戸惑うかも。
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凄まじいある愛の形。
鉄管工の父を持つ保守党候補者ゲイブリエル、由緒ある貴族の末裔のイザベル。男と女、どこでどう惹かれるのか。肉体、精神、顔、声、それらが相まって関係は始まる。クリスティがここまで凄い恋愛観を持っていたとは。
時は第二次世界大戦、ドイツが降伏した後、日本が降伏するまでの間に始まった。一組の愛の物語の背景に、戦争、貴族社会の変容、イギリス社会の階級意識、政治へのひとつの考え、などを配する。親父が鉄管工だという労働者階級出身だが保守党候補者ゲイブリエル。政治家になるのは金のためと割り切っておりしょせん政治はそれだけのもの、庶民に小さな希望を持たせればいいと言う。が、金で貴族の称号を買ったとしても、それは貴族に生まれたのと同じではない、と言う。クリスティは中産階級側だと思っていたが、案外醒めた社会観が窺える。
1947発表
2004.6.15発行 217.5.25第2刷 -
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主人公シーリアの幼い時から結婚、離婚に至る経緯が書いてある。シーリアが自殺しそうな所に遭遇した若い肖像画家メアリーがその時シーリアから聞いたシーリアの話を活字にまとめた、という体裁をとっている。おだやかな性格の婚約者を振り、積極的で現実的なダーモットと結婚。夢見がちなシーリアと現実的なダーモット、読み終わるとそのずれが痛々しくこちらの心に沈着する。
離婚に至る夫婦とそうでない夫婦、どこでどう作用するのか、ひとつのケースを見せつけられる。前作「愛の旋律」の5人にもそれぞれクリスティの片鱗を見出したが、あちらは男女の大きなうねりが大河の流れのようにフィクションとして迫ってくる。が、こちらはクリスティの伝えられる事跡と同じなので、一人の女の心の無残な軌跡が露わになる。
この本で見る限り、ダーモットは自分本位な感じだが、その夫の性格を受け継いだ娘ともなかなか相容れない描写も見逃せない。クリスティの娘もそうだったのか。
シーリアの老母は最後まで父に愛された、とシーリアは思っていたが、若くして死んだ父も母に万全では無かった時期がある、と晩年の母に匂わせた描写がある
1934発表
2004.1.15発表 -
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おもしろい。一気に読んでしまった。ミステリーではないが、5人の若い男女の織りなす愛の物語と、作曲に憑かれた男の創造意欲、そして第一次世界大戦をはさむ非常時に翻弄される運命が二転三転する様はまるでミステリーのようだ。
イギリスの何代も続くお屋敷に生まれたヴァーノン・ディア、従妹のジョー、隣に越してきたユダヤ人少年セバスチャン、そしてヴァーノンの幼友達ネル、オペラ歌手ジェーン。ヴァーノンとセバスチャンはケンブリッジ卒業後すぐに第一次世界大戦に召集なので、おそらくクリスティと同年代の設定。主人公ヴァーノンの音楽への創造意欲、友人セバスチャンの商売、奔放な愛に生きるジョー、男の経済力に頼るネル、声楽でも己の愛にも強い主張のある女性ジェーン、この5人すべてがクリスティの分身なのではないかと感じる。
冒頭の現代音楽とおぼしき音楽界の様子、「我々は戦争によって実に多くのものを失ったね」
一転、ヴァーノンが1歳の頃からのお屋敷での使用人との日々、折り合わぬ父と母、ひとり空想で遊ぶ日々が綴られる。けっこう長いのだが、これが主人公ヴァーノンという人物を理解する基礎となる。
長じてボーア戦争で戦死した父を残し実家近くに引っ越す母。息子が母を疎う気持がリアル。そして父のお屋敷の直系として屋敷を愛する気持ち。姻族とは所詮義理の関係なのだ、結局、人生の終盤には出自の血族に意識は戻るのか、といったあたり、還暦過ぎて読むとなかなかリアルだ。だがクリスティはこれを40歳の時に書いてるんだなあ。
1930発表
2004.2.15発行 2019.6.15第2刷 -
Posted by ブクログ
結論だけ書くと「やっぱりクリスティーは巧かった」これに尽きると思います。
解説によるとクリスティー晩年の作品ということで、確かに派手なトリックや展開もなく、ポアロがひたすらに関係者の証言を集めていく、という地味な展開が続きます。
ただ地味な証言集めが続く一方で、幻想的というか、ポアロが美しい庭園に足を踏み入れる場面があり、そこがなかなか面白かった。その庭で出会う女の子は、キャラが濃くてこの作品でしか見られないのが、もったいないくらいです。
さて、なぜ自分がこの作品で巧さを感じたかというと、遺言状をめぐる展開もそうなのですが、犯人の動機の描き方が、なによりも巧い!
動機としてはかなり特殊なのですが、しっかりと小説の筋を追いかけていると、その動機もなぜか納得出来るというか、そういう風に話を展開させていたんだ、と後になって気づかされるのです。
クリスティーの有名どころは結構読んできたつもりなのですが、まだまだ伏兵というか、
有名どころに埋もれている他の作品たちの可能性を、感じさせてくれた一冊でした。 -
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初ポアロ
ミステリーの女王"アガサ・クリスティーのデビュー作であり名探偵ポアロの初登場作でもある本作。僕にとっての初読クリスティーでもある。
クリスティー作品を読むことにずっと憧れはあったのだが、何十年も前に海外作家の書いた小説を ―1920年代から1960年代にイギリス人作家の作品を― 僕が楽しく読めるのだろうかとずっと躊躇していたのだが、思いきって読んでみたらそれは全くの杞憂だった。とても楽しい読書だった。
作品の書かれた時代も作中の時代背景も2018年現在から見れば遠い過去、つまり昔なのだが作品そのものは決して古臭くはなく、古き良き時代のイギリスを舞台にした面白い小説として読める。もちろんそれはクリスティーの書いたオリジナルのクオリティの高さだけではなく ―それが最重要なのは言うまでもないが― 訳者の現代的感性に基づいた素晴らしい翻訳のおかげであろう。
さて、次に読むクリスティーはどれにしようか? ポアロばかりを読み進めるのもなんだかつまらないしな。ミス・マープルを読んでみようかな。先ずは 『火曜クラブ』か?