アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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戯曲「ブラック・コーヒー」と「評決」の2編収録。
「ブラック・コーヒー」
資産家の息子。その嫁。嫁に付き纏う男。詮索好きの叔母。
そして資産家が殺された。絡まる動機と疑心暗鬼。
核爆発の方程式を巡る国際スパイの暗闘。
人物の心理描写をスキャンダラスに描くアガサ十八番の展開。
勧善懲悪、無敵のポワロ。クリスティ初のオリジナル戯曲。
「評決」
自ら傷付いても慈悲の心を優先させる学者。
学者と運命を共にする三人の女性。
慈悲の心は多くの不幸を引き起こすのか。
あなたは自分が信じられることはどんどんやります。
その結果他の人がどうなろうとお構いなしです。
あなたを愛しています。でも愛だけでは充分 -
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考古学者と再婚したルイーズの元に、死んだはずの先夫から脅迫状が舞い込みます。
さらにルイーズは寝室で奇怪な人物を目撃したと証言しました。
しかし、それらは不可思議な殺人事件への序曲に過ぎませんでした・・・。
過去から襲い来る悪夢の正体をポワロは暴くことが出来るのか?
中近東を舞台にしたクリスティ作品の最高傑作。―解説:春日 春樹 より
話はひとりの看護婦エイミー・レザランのレポート形式で綴られます。
遺跡発掘現場で働く様々な人間達。
彼らはエリック・ライドナー博士をリーダーに家族のような雰囲気でした。
しかし今年の調査隊には奇妙な緊迫した空気が漂っていました。何故か?
この緊迫した空気は、 -
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ポアロの友人で推理小説家・オリヴァが企画した、とある田舎屋敷で催された犯人探しゲーム。
その中で被害者役の少女が本当に殺されてしまう。さらにその屋敷主の夫人が行方不明になってしまう。
オリヴァからイヤな予感がするから未然に防いでほしいと依頼され、滞在していたポアロだったが、悲劇を止めることは叶わなかった。
失意の中、ポアロは地道な捜査を開始する・・・。
珍しく犯行を未然に防ごうとするところから始まる本作。
しかし犯行は起こってしまい、そこから犯人を探し求める話が進んでいきます。
前半から中盤にかけては少々ダレたところもありましたが、終盤に犯人が特定されてからの展開は流石クリスティーと唸って -
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アガサ・クリスティーの長編で、登場探偵はマープル。
ある朝、イギリス田舎ののどかな村、チッピング・クレグホーンでは、いつものように地方紙「ギャゼット」が配達されていた。いつものように新聞を読んだ村人は仰天した。広告欄に、殺人の予告が載せられていたのだ。予告通り、6時半に、指定された家に集まる村人たち。誰もが悪ふざけだと考えていたが、事件は本当に起こった。たまたま村に滞在していたミス・マープルが持ち前の好奇心から調査を開始する。
伏線の巧みさと、村ののどかさが印象に残る作品。特にある伏線については、途中で何度も言及されているにもかかわらず完全に読み飛ばしてしまっていた。もっと気をつけて読むべ -
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ポアロシリーズ6作目。
ここまできたら、クリスティーの思考回路が分かってきそうなものだけど、
やっぱり最後のどんでん返しで気持ち良く騙されてしまう(笑)
「邪悪な家」というタイトルに相応しく、
悪意、嫉妬…ドロドロとした感情が渦巻いている作品でしたね。
表向きは優雅だけど、その仮面の下は、、、
岬の先に建つエンド・ハウスの、若く美しい女主人ニック。
彼女は3度も命を狙われるが、運良く命拾いをする。
ポアロに助力を仰いだニックは、ポアロの目の前で狙撃され…
むぅ、これまた予想外の犯人でした!
確かに犯人に行きつくための要素は完全に提示されるのですが、
巧みに意識を逸らされてしまうのが、さ -
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古代エジプトを舞台にした戯曲。
ミステリではなく、有名な王アクナーテンの生涯のポイントを描いたもの。
多神教が信じられていた古代エジプト。
中でもアメン神殿が王をしのぎかねないほどの大きな勢力を持っていた。
アクナーテンの母である王妃ティイは、神官の横暴に不信を抱きつつも権力を守るために神殿と結びつき、息子の純粋さを心配しているところから始まります。
軍人のホルエムヘブは信仰心は薄く現実的でまったく違うタイプだが、まじめさに通じるところがあり、アクナーテンは親友と思うほどになる。
王位についたアクナーテンは、太陽神であるアテンのみを信じる一神教とし、遷都して芸術家を集め、皆が愛し合う平和で -
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ポワロ作品
【ストーリー】
女流作家からの電話により、祭りの余興で推理ゲームが開かれることになった地方に赴いたポワロ。そこで、被害者役の少女がゲームの筋書き通りに殺され、祭りの主催者の夫人が失踪する。
【感想】
架空の事件が現実に起こってしまった、という一見ありがちな展開で始まる。しかし、いくつか謎が提示されるものの、事件の全体像はつかめず、読む方にとしてはモヤモヤさせられる。終盤になって、ポワロの推理力が発揮されるのだが、犯人は想定外の人物だった。読み直しても、犯人の手がかりは少ないので、会話の行間を読まないとわからないと思いました。 -
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ネタバレ『海浜の午後』
海辺のビーチチェアに寝そべる人々。夫アーサーをほったらかして友人のボブと砂の城を創り遊ぶノーリーン。ジョージとクラム夫人の会話。息子を支配するガナー夫人。盗まれた首飾りの話。彼らの周囲を歩き回る謎の美女。首飾り盗難事件を捜査するフォーリー警部。
『患者』
何者かに突き落とされたウィンクフィールド夫人。精神的なショックから会話をすることができなくなった夫人。犯人を突き止めるための実験。瞬きによる会話。夫であるブライアンの浮気相手の正体。
『ねずみとり』
マイケル・トランスに誘われ彼の家にやってきたサンドラ。マイケルは旅行中で留守。家にいたジェニファー。誘い出されたことに気がつ -
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人が才能を持って生まれるのか、才能が人を選ぶのか。偉大な音楽の才能を持って生まれた主人公の青年が、たったひとつの道のためにほかの全てを失うまでの物語。あるいは人のエゴと自己愛、欺瞞、その醜さについての物語。
ずいぶんと救いようのない話だった。つまらなかったというのではない。読み始めれば劇的な展開もないうちから引き込まれ、分厚い本にも関わらず短期間で読み終えてしまった。面白く、人間の業が描かれていて、そして意地の悪い話だった。見たくないものをつきつけられるようなところがある。悲劇なのだが、悲劇に浸って気持ちよく涙を流せるというようなカタルシスではない、皮肉な話だった。
クリスティは「春にし