アガサ・クリスティーのレビュー一覧

  • ハロウィーン・パーティ

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    ミステリーというとトリックや犯人探しのための本と思いがちだが、これは文学だったのだとわからせてくれる本。

    冒頭の、ハロウィンパーティーの準備中の良くも悪くもぼんやりとした、穏やかではあるがつまらなくもある時間をそのまま描いている描写はアガサクリスティーの文才が如実に現れていた。
    また、ポアロの友人である探偵小説家のオリヴァのキャラクターが愉快なのはもちろん、オリヴァの友人の娘であるミランダが非常に愛らしく、それだけに終盤の展開には焦燥感があって充実していた。

    文学であり、小説であって、トリックや犯人にも気を配られた素敵なミステリー小説だ。 

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    2020年11月08日
  • カーテン

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    ポアロ最後の事件である。書名が謎ときには有効ではない不思議。病気のために体の自由を失ったポアロ。友人・ヘイスティングズをスタイルズ荘へ呼び寄せ、凶悪な殺人鬼を追い詰め、捕まえようとするが、安楽椅子探偵とは少し趣向が違う面白さがある。ポアロの死後、ヘイスティングズに残した手記が、なんと生き生き(?)していたことか。……しかし、なぜ友人は名探偵ポアロシリーズのなかで『ナイルに死す』と本書を貸してくれたのか? それが最大の謎だ(笑)

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    2020年11月04日
  • 三幕の殺人

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    名前の通り三幕(三章)でそれぞれ殺人が起こるわけだけども、なんともその動機が驚く。
    特に最初の殺人について動機もトリックも謎が多いと読み進めていたところ、最後に明かされた理由を見てえっ?!と思った。

    ポアロの名前は最初から登場したけど、この物語を進めていくのは元俳優を中心とした三人。
    人物紹介とは別に、はじめのページに劇の出演者紹介のように<演出>や<演出助手>にキャラクター名が載っていて、<照明>にポアロの名前が挙がっているのがまた面白く感じた。
    うまいこと表しているなぁ。

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    2020年10月25日
  • 火曜クラブ

    購入済み

    火曜クラブ

    ミステリーの短編集でとても読みやすく、すっかりミスマープルの虜になりました。これを読んでから長編にチャレンジすることをお勧めします。

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    2020年10月15日
  • スリーピング・マーダー

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    なにを置いても、冒頭部分で若い妻グエンダが初めて来るはずの新居について詳しすぎることに気づき始め、回想の殺人を思い出すまでの描写が圧巻。テンポよく、必要な情報を含みながら、予感が確信に変わるスリルが味わえた。

    若い夫婦を心配して色々と手を回すミスマープルの優しさが読んでいて嬉しかった。

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    2020年10月08日
  • ポアロのクリスマス

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    ポアロシリーズ17作目。タイトルにクリスマスが入っているので、箸休め的な軽い話かな〜と読み始めて……


    めちゃくちゃ血みどろやった(笑)


    かなり最後まで犯人が分からず一気読み。てか犯人が予想からかけ離れていてびっくり。
    まさかねー。そうくるかー。
    でも、追加の二人は冒頭から読み直したらめちゃくちゃそうやーん!ってなるぐらいきっちり描かれてたわ。さすがクリスティ。
    血みどろの死体にも意味があるとかもう……やられた(笑)

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    2020年10月02日
  • 招かれざる客

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    名探偵コナンに登場する阿笠博士、その名の由来であるアガサ・クリスティー。
    名前だけは馴染みがあったので、ミステリはほとんど読んだ経験はなかったもののワクワクしながら本を開いた。

    戯曲であることも、それが何かも知らぬまま読み始め、第二幕あたりでやっと演劇がベースなのだと気付いた。無知な上に勘が悪い。

    最初こそ形式に戸惑ったものの、すぐにその世界にどっぷりと浸かってしまった。推理などする余裕もなく、筆者の思うままに振り回されてあっという間に衝撃の最後を迎えた。

    結末を知ってからもう一度読み返すと、心情などは一切書かれていないので「この人は一体どんな気持ちでこんなことを…」とまた違う謎が深まっ

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    2020年09月19日
  • 検察側の証人

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    ネタバレ

    クリスティーの小説はとても読みやすい。そしてその読みやすい話のさりげないところに伏線や手掛かりを隠し、読者を煙に巻いてくるのにクリスティーらしさがある。その手法は小説だけでなく戯曲であるこの作品でも遺憾なく発揮されている。

    小説ではセリフだけでなく地の文の中に重要な情報を隠すことができるが、演劇として上演されることが前提である戯曲では地の文には小説ほどには頼ることができない。使えるのはセリフやト書きとして登場人物の行動の中に忍ばせる方法だ。他にも舞台装置になにかを仕込むという手も考えられるが、あくまでプロットと登場人物で勝負して、高いレベルで読者をだますことのできる仕上がりになっているところ

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    2020年09月17日
  • カーテン

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    ネタバレ

    読み終わった後の何とも言えなさ
    切ないというか悲しいというか胸にぽっかり穴があいたような喪失感がしばらく続いた
    気軽には読み返せない、ポアロに一言声をかけたくなるような作品
    これを読んだ後には他のポアロシリーズを読んで心を満たしたくなる
    しかしそれでもポアロが好きだなぁと感じた作品

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    2022年05月15日
  • 三幕の殺人

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    友人の薦めで、「謎のクイン氏」を読んだので、スピンオフである、「愛の探偵たち」と、この三幕の殺人を読んだ。昔、読んだかもしれないけど、もちろん全部忘れているので楽しかった。

    タイトルどおり、舞台のように演出されていて心憎い。
    冒頭の主演、チャールズ
    演出、サタースウェイト、
    とならび、照明 ポワロ、と並ぶ。
    照明かあー、巧いなあと唸る。
    脚本のミスウィルズの名前がないのは何故だろう。

    この本にはクイン氏こそ出ないけれど、サタースウェイトは一文目から登場し、ずっと主役を張っていた。
    ポワロものではあるけど、サタースウェイトが描写する人物評がポワロのヒントになるのも、クイン氏のシリーズと同じ。

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    2020年09月13日
  • バートラム・ホテルにて

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    再読。
    ミスマープルもの。
    バートラムホテルの古き良き時代のロンドンのホテルの雰囲気がとても良く描かれていて、クリスティーの作品の中でもお気に入りの一冊。
    バートラムホテルはその雰囲気とは正反対の裏の顔を持ったホテル。ホテルの登場人物もそれぞれ裏の顔を持つ。そこが面白いところ。
    事件自体は派手なものではないが、味のある作品。

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    2020年09月09日
  • ホロー荘の殺人

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    アガクリのポアロシリーズ
    犯人が気になって気になって、予測しながら読むのが楽しい
    恋沙汰も含まれた内容だった
    犯人は意外といえば意外、当然といえば当然だった

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    2020年09月01日
  • ポケットにライ麦を

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    最近読んだ本の感想を書き忘れている…。2週間前とかだと思うのだけど、それだけで思い出すのに力がいる。
    アガサクリスティはミスマープルよりポアロの方が好きかも。見立て殺人もの。サクサク進んだ感がある。あっさりとしている。まったく自分のせいだと思うのだけど、推理と論理の記憶がいまいちすんなりつながらない。。ただその分か最後の一文は印象的。自分は映像的な認知が弱いのだけど、それでも浮かぶワンシーン。

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    2020年08月26日
  • ハロウィーン・パーティ

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    ハロウィンパーティdw殺された少女
    殺人を見たことある と言ったのがきっかけで殺されてしまう

    数年前の資料をも辿った結果、犯人が明らかになる
    犯人誰!?と思いながら読み進めていくのが楽しかった
    死人は若い女の子と男の子の2人

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    2020年08月10日
  • 葬儀を終えて

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    誰もが怪しいエピソードを展開し、ポアロが観察と会話で犯人をあぶり出す。定番の展開ではあるが、「それか〜」という伏線にはまったく気づかず、結末がいつも楽しみなのです。

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    2020年07月22日
  • ゴルフ場殺人事件

    A

    購入済み

    わかりそうでわからない

    ヒントは最初から全部示されていたはずなのに
    最後までわかりませんでした。
    もう少し真剣に読まないとダメかな。

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    2020年06月17日
  • スタイルズ荘の怪事件

    A

    購入済み

    なるほど

    2020年の今読んでみても、色褪せていないですね。
    この本は、奇抜なトリックがなくても
    面白いミステリーが成立することを証明しています。
    それとも私が単純なのかな。
    ともかく楽しかったです。

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    2020年06月17日
  • ハロウィーン・パーティ

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    先に『像は忘れない』を読んでしまっていたのは後悔。めっちゃネタバレしてた。
    庭園の情景を描いたシーンはなかなか良くて、クリスティが庭園に興味を持っていたことを解説で知り納得。

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    2020年06月02日
  • 予告殺人

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    ネタバレ

    ミス・マープルもの。

    冒頭で、チッピング・クレグホーン村の人々のもとに、新聞が配達されるシーンから物語が始まります。
    各々読んでいる新聞が異なる中で、地元紙だけは全員読むという事を踏まえたような、“殺人予告”が地元紙の広告欄に掲載されるという、なかなかのシチュエーションです。
    とにかく登場人物が多く、しかもそれぞれの状況や会話が逐一書いてあるので、どうしても話が長くなり、つい読む側も流し読みっぽくなってしまいそうになるのですが、ちょっと待った!その会話の中に伏線ありますから!というところがクリスティー。
    後で語られる真相部分で、何度ページを後戻りしたことか・・。
    で、今回のトラップはドラ・バ

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    2020年05月28日
  • 死との約束

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    ネタバレ

     そうくるかぁー。入れ替わり立ち代わり雑談を交えながら関係者に尋問して真相を暴いていくタイプで、一行が家族って設定だったから、オリエント急行を連想してしまった。けど今回は真逆で、家族は誰も犯人じゃないのかぁ、と。いや確かにプロットはすごいけど、ちょっと最後無理矢理過ぎない?と真っ先に思ったが、犯人のチョイスやエピローグを見て、ミステリーのプロット以外にもクリスティーなりのテーマが今回もあるんだなと思い、好きな作品の一つになった。
     持って生まれた欲求や性質があるなら、それを持て余して堕落するのではなく、良い方向に昇華させることもできるはず。ボイントン夫人の卑しい人生と、事件後のジネウラの幸せと

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    2020年05月02日