アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレアガサ・クリスティーがすごいのは、読者の犯人探しの視点を完璧に捉えていることだと思う。
この事件の中心は複雑な家族関係を抱えた豪邸水松荘。けれど冒頭は被害者の職場にあるタイピング室から始まる。結論から言うとタイピング室は事件に無関係で、冒頭以降の物語はすべて水松荘で展開される。
だけど、だからこそ、ミステリ好きの読者はその導入部分が気になってしまうのでは。タイピング室の人間関係や描写が軽快でわかりやすいのもそれを助長する。あのタイピング室は一体? 美人秘書のミス・グローブナーは事件後なぜ辞めたのか? もしや犯人はタイピング室に… と考えてしまう。
ミステリのトリック・種明かし自体はちょっと弱い。でも解答への道のりはちゃんと小説内に書かれているし、結局はそれ以外に答えはない。それでも読者をさりげなく惑わせるのは、アガサ・クリスティーの一筋縄ではいかないミスリードの手腕。さすがはミステリの女王! -
Posted by ブクログ
ネタバレ発掘調査の宿泊施設で起こる殺人事件。
「悲劇的な魔力」を持つ被害者、被害者に嫉妬する女性関係者、被害者の魔力にひかれる男性関係者。ポアロが関係者全員に被害者の人となりを聴き取り調査し、被害者の人物像を浮き彫りにしていく過程は面白いし、脅迫状の差出人、窓から覗いていた人物の正体、音が届く範囲の違いの謎など、様々な謎が盛り込まれている点も高く評価ができる。
人物の造形、謎の盛り込み方、探偵の調査内容など、本格ミステリーとしての作り込みに関しては、ハイレベルな作品であると感じた。真相はかなりの無理筋だが、それでも楽しめる作品であった。
(ネタバレ)
①チェスタトンが考えそうなトリックだが、被害者が窓から首を出す保証がなく、確実性に欠ける。
②犯行の様子を南側の建物にいた人物に目撃される危険性がある。
③犯人は、列車事故で顔が損傷した考古学者に成りすましているが、職場で考古学者の顔は知られているはずであり、成すますことには無理がある。
④年月が経っているとはいえ、元夫を別人と見間違えて再婚するという設定には無理がある。 -
Posted by ブクログ
多少こじつけとも感じられるが、ヘラクレスの12の難行になぞらえた12の事件。
ポアロの頭脳的策略や、ポアロのヒューマニズムを感じさせる心にくい解決手法が味わえる作品集。
人生相談や身の上相談、教訓話といった、ポアロよりもパーカー・パインが登場した方がふさわしいと感じる話が多いが、楽しめた。
特に、予想外の真相に驚かされる「ステュムパロスの鳥」と「クレタ島の雄牛」、ポアロがトリックを仕掛ける「アウゲイアス王の大牛舎」が面白い。
「ネメアの谷のライオン」
人間の認知機能の限界をうまく扱っている。
「レルネーのヒドラ」
事件関係者の聴き取り調査でポアロは違和感を感じ、犯人に気付く。
「アルカディアの鹿」
愛する人を探してほしいという、雲をつかむような青年の依頼をかなえるために奮闘するポアロ。愛する人は意外なところに。
「エルマントスのイノシシ 」
凶悪な殺人犯と一緒に雪の山頂ホテルに閉じ込められたポアロ。
誰がその凶悪犯か?
「アウゲイアス王の大牛舎」
ポアロの策略が鮮やかに決まり、政界のスキャンダルを見事解決。
「ステュムパロスの鳥」
ステュムパロスの鳥とは誰のことか?
予想外の真相に驚いた。
「クレタ島の雄牛」
狂人の血統とは、そのことだったのか。
「ディオメーデスの馬」
麻薬を扱っている影の人物とは?
「ヒッポリュトスの帯」
名画盗難事件と女学生の失踪事件とのつながりの謎。
絵がどのように処理されたのか、良くわからなかった。
「ゲリュオンの牛たち」
ミス・カーナビが再び登場し、新興宗教の教祖を相手に活躍。
「ヘスペリスたちのリンゴ」
酒盃を取り戻したポアロが、依頼者に要求したこととは?
「ケルベロスの捕獲」
麻薬の意外な隠し場所。