アガサ・クリスティーのレビュー一覧

  • アクナーテン

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    ネタバレ

    古代エジプトに愛と平和と美を追求した王がいた。

    アクナーテンはそれまでのエジプトの神アメン信仰を廃止して、太陽神アテンを唯一神とする。争いを否定し、美を尊んだ。エジプトは、世界は、愛と平和に満ちるはずだった——。

    ちょうど大河ドラマ『べらぼう』を見ているせいか、人は正しく生きたいとは思わないのだと。それまで心を寄せていた様々な神たちを取り上げられることを民衆は喜ばない。力で治めていた場所にいきなり真理を説いても従うわけがない。窮地に援軍を送らずに愛を説く王なんて、軍からしたら見捨てられたと思うだけだ。

    毒を用意した人、実際に飲ませた人、決別を伝えた人。アクナーテンの周囲が皆それぞれに複雑

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    2025年10月13日
  • ABC殺人事件

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    アガサ・クリスティの作品は『アクロイド』と『そして誰も〜』だけは既読。普段ほぼ読まない海外ミステリーだが、さすがに古典の名作はいろいろ押さえておくべきかと思い立ち、手に取った。
    今読むとオーソドックスな内容なのだが、先駆けとなったことに大きな価値があるのだろう。
    しかし、今も販売されている書籍なのであれば、翻訳を現代調に刷新してもよいのではないかと感じた。権利の関係?なんでポアロと助手はお互い敬語なのだろうか…

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    2025年10月11日
  • アクロイド殺し

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    題名は知っていたけど内容を全く知らなかったので、ハヤカワフェアついでに読んでみました。

    登場人物はそれぞれキャラクターに個性があるので覚えやすかったけど、和訳にすると不自然な点も多く、読みながら脳内変換をして読むのに少し疲れました。

    トリックは現在では使えないものや、時代の違いを感じる点も多々あったけれど、小説と思っていたものが犯人の手記だったというのが当時は斬新だったのかな?

    探偵の相棒が犯人パターンは、現在だとよくある話だとは思う。

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    2025年10月11日
  • アクロイド殺し

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    古さを感じさせない斬新な仕掛けがなかなか面白い。 正直序盤で勘づいてしまったものの、事件の整理の仕方や会話劇は楽しくてスラスラ読める。

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    2025年10月09日
  • 五匹の子豚

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    構成も内容もミステリファンをそそるたまらない作品。五匹、五人、五つの手記、五つの解決。よし、手記を読んでポアロと同じように、考察してみようと思ったけど、かなわなかった。ミスリードにやはりやられてしまった。
    手記から読み取れる、裏の想いが明かされていくのは面白かった!

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    2025年10月09日
  • 白昼の悪魔

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    ネタバレ

    物語の最初からポアロが出ている嬉しさとワクワク感!
    如何にも怪しい人物を犯人だと思い、終盤にその裏付け証拠も出てきた時は「これで終わるのかな?」と少し残念(勝手に)だったけれど最後に全部ひっくり返されてとても気持ちよかった!
    クリスティーの小説でこの「やられた〜」感覚をまだまだ味わいたい。
    登場人物の関係性も分かりやすく、物語の舞台も相まってサクサクと読めた。

    ただ後書き解説の温度が合わない。モヤモヤして本を閉じてしまったことが残念。

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    2025年10月07日
  • ゴルフ場殺人事件

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    読んだ本 ゴルフ場殺人事件 アガサ・クリスティ 20251005

     ポアロシリーズが長編で34冊。時間をかけて読んでみようと思ってます。
     アガサ・クリスティの小説は、いろんなミステリー作家がいても未だに超える人はいないって思わせるほど、よくできたお話ばかりで、「ABC殺人事件」なんてプロファイリング小説の元祖みたいなもんで、読み返してみても、うーんって唸らせてしまう。どこかにヒントが隠れてて、それを見過ごしてラストまでいってしまうとホントに悔しくなってしまう。
    「ゴルフ場殺人事件」は、まだ初期の作品のせいか、正直まだ成熟してないような気がしますが、それでも色んな気になる手掛かりが、残りのペ

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    2025年10月05日
  • 復讐の女神

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    以前カリブ海の旅行先で知り合った大富豪からの依頼で、イギリスの邸宅や庭園を巡るバス旅行に参加することになったマープルさん。
    謎めいた依頼で、主人公も読者も五里霧中の中、旅行が進んでいきます。
    なんせ登場人物が多いし、少し記述に冗長な箇所が多いかなあという気もしましたが、最後まで犯人もわからなかったし、ミステリーとして楽しめました。

    ビクトリア朝のお作法では~、とか出てくるのに、実は70年代学生運動サイケデリックの時代の話でイギリスの文化的、歴史的な変遷なども背景に感じられたのも面白かったです。

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    2025年10月02日
  • パディントン発4時50分

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    クリスティの本はこれで2冊目です。ポアロ以外に名探偵マープルという方もいるんですね。お上品なおばあ様が繰り広げる推理が心地よかったです。マープルシリーズも色々と読みたくなりました。クリスティの本は色んなところに伏線があり、登場人物のキャラクターも様々なので、また読み直しても面白いと思いました。

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    2025年10月02日
  • エッジウェア卿の死

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    ネタバレ

    ポアロシリーズやはり面白くて一気読み。
    登場人物もそれなりに多いし犯人はこの人か?いやこの人か?とわくわくしながら読みすすめてたら、まさかの最初の容疑者のジェーンがほんまに犯人やったんかーい!ってある意味びっくりした。こういうパターンもあるんだ。ジェーンの自己肯定感というかゴーイングマイウェイなところはかっこいいしちょっと見習いたい。
    ポアロがヘイスティングスに「わたしは本当にあなたが好きですよ」っていうシーンにやにやしちゃった。ふたりの関係良すぎる〜。

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    2025年10月01日
  • 火曜クラブ

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    ドラマ「ミス・マープル」(ジョーン・ヒクソン版)に今さらハマり、マープル初登場の短編集を読むことに。

    初読から1年半後に再読。どの話もきれいに忘れていた!
    「舗道の血痕」「二人の老嬢」「クリスマスの悲劇」あたりが良かったかな。
    「バンガロー事件」は、頭からっぽキャラのミス・ヘリアの意外な一面が明らかになって面白かった。
    (2025.9.21)

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    2025年10月01日
  • パディントン発4時50分

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    ネタバレ

    ミセス・マギリカディは列車の中から、並んで走る別の列車の中で起こっている殺人事件を目撃するが、鉄道当局も警察も本気にしてくれず、列車内でも線路のまわりでも遺体が発見されない。マギリカディをよく知るミス・マープルだけが話を信じ、遺体があるかもしれない場所を推測し、土地の所有者のところへ優秀なフリーランスの家政婦ルーシー・アイルズバロウを送りこむ。

    このルーシーが頭もきれて手際が良く、料理も上手で、どこの家でもずっといてほしいと思われるような人物。そして家に溶け込み、その家に住む人や家族のことなどをよく観察する。

    列車のシーンは最初の目撃の場面だけで、ほぼルーシーの働くクラッケンソープ家での話

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    2025年10月01日
  • 復讐の女神

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    あなたにお勧め、次の本にどうぞと薦められた一冊なんだけれども、けれども……続編やないかーいっっ
    この話は『カリブ海の秘密』の続編で、この話でミス・マープルが出会った人物が亡くなったことから始まる。お話の時々にその前作に登場していた人物の人となりやらなんやらが出てくるので、『うっわーっ読みにくい』という気持ちになってしまった。とはいえ話の進行の妨げになるようなものではない。そのあたりはきちっとフォローされていて、その人となりがちゃんと描写されているので、前作が未読だったからといってなんの障碍もない。充分に面白い。
    トリック的なものはすごくシンプルで、そこまで複雑ではない。途中から、なんとなく読め

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    2025年09月30日
  • アクロイド殺し

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    そし誰、オリエント急行とならんで名前をよく聞くのに、オチを知らないため読んでみた。
    他の後続ミステリを読んでしまっているため、驚きは少なかったが、ミステリ的教養として読んでよかったと思う。
    あと、どうしても和訳&登場人物の名前がカタカナなので、頭に入りづらかった

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    2025年09月30日
  • 邪悪の家

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    ネタバレ

    すごくシンプルに読めば、真相が浮かび上がってくるという構成が面白い。いや普通に疑ってたんですよ中盤くらいまではね。でもそこから色々あって頭からポッカリ抜け落ちていたというか、勝手にその可能性を消していたというか…まあ素直な読者なんです。まあポアロもずっと見抜けなかったんで(笑) ミスリード・ミスディレクション(違いや如何に?)の巧みなクリスティーと相性良いのかもね。

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    2025年09月27日
  • 雲をつかむ死

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    ネタバレ

    1935年のポアロ中期作。『ABC殺人事件』の前なのか。日本では『ドグラ・マグラ』が発表された年だと思うと、意外と我が国のミステリーも先進性があるというか本国イギリスに健闘しているな。

    【ネタバレのようなものあり】

    列車内では飽き足らなくなったのか、遂には天空で殺人事件が起こる。メイントリックはその綱渡り的な面も含めて実にホンカクミがあって好感が持てた。吹き矢とハチのアイデアはミスリードとして十分に機能している。
    ただ人物関係でよくやるアレは流石に食傷ぎみだ。いくら当時の戸籍制度・身分制度・捜査手法が杜撰でも、流石にこれを見逃すことはないだろうと思う。『オリエント急行』と同じように、捜査編

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    2025年09月27日
  • 三幕の殺人

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    ネタバレ

    ポアロが登場するまで約200ページ。日常でも何かしらの役を演じてしまう自己愛の強い俳優と人間観察が趣味の好事家による素人探偵コンビが活躍して新鮮。

    【ネタバレあり】


    ポアロを悩ませるのが聖人の権化のような牧師が殺された動機。これは良心が痛む凄まじい一撃だ。しかし、それよりどちらかというと2つの殺人の会食に居合わせた者を疑わせるというミスディレクションのためだったという動機の方が良かったのではないか?

    よくもまあこんな良作をポンポンかけるなあ
    いや今作に関しては「犯人はエッグでチャールズを自分の元に呼び戻すためだ」という確信があった。怪しいモノローグや独り言もあったし。だがクリスティーは

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    2025年09月27日
  • 無実はさいなむ

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    ネタバレ

    まだほとんど読めていない戦後のクリスティー作品の1つ。
    舞台は『ねじれた家』で形式は『そして誰もいなくなった』みたいな感じだった。最近は初期のポアロシリーズを読んでいたので、ガラッと雰囲気が変わって面食らった。資産家夫婦の5人の養子の人間模様が複数視点で丁寧に描かれ、まるで自分ごとのように読ませてしまう力がある。日本の新本格作家(好きですよ)に足りないのはこういうところなのだろう。
    親の愛情は子にとっての束縛となる。血の繋がっていない親ならなおさら倒錯した感情を抱いてしまうのだろう。犯罪をゲームのように楽しむフィリップだけがこの重さにそぐわずかなり浮いている(てかちょっとサイコっぽいw)。得意

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    2025年09月27日
  • メソポタミヤの殺人

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    ネタバレ

    元夫が姿を変えて容疑者の中に紛れ込んでいるかもしれない!て展開は最近読んだカーの『夜歩く』みたいで興奮した。食傷気味の入れ替わりもこうやってあらかじめ提示されていれば許せる。
    ポアロシリーズにしては珍しく半密室で不可能犯罪が取り入れられている。執筆当時ですらそこまで斬新でもなさそうだが、これがあるだけで嬉しい。被害者の人となりや背景を探ることで浮かび上がる真相とポアロの推理というよりプロファイリングが面白い。それまで和気藹々としていたのに被害者が輪に入るだけで調査団員同志がギスギスする…これは現代でいわば"サークルクラッシャー"てやつだな。にしても作者は恋愛沙汰好きすぎるね

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    2025年09月27日
  • ひらいたトランプ

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    ネタバレ

    全く知らなかったがオールスター編だったのか。普通に容疑者4人以外のレイス大佐とか疑ってたぞこっちは。初耳のブリッジはクリスティーオリジナルゲームかと思ってた。面白そうなのになんで日本で浸透してないんだろう。2vs2のゲームで1人休憩てよくわからんな。
    他の方もおっしゃっているように、ゲームから容疑者の心理や性格を分析するスタイルは『カナリヤ殺人事件』や『心理試験』を想起させるが、それ一辺倒にはならず、容疑者4人の過去の犯罪にも焦点を当てている分、説得力があると思う。後ろめたい過去のある4人の容疑者をポアロが聴取で追い詰めていく展開も高度な騙し合いとなっている。フェミニストの推理作家はやや浮いた

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    2025年09月27日