アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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アガサ・クリスティーの長編で、登場探偵はマープル。
ある朝、イギリス田舎ののどかな村、チッピング・クレグホーンでは、いつものように地方紙「ギャゼット」が配達されていた。いつものように新聞を読んだ村人は仰天した。広告欄に、殺人の予告が載せられていたのだ。予告通り、6時半に、指定された家に集まる村人たち。誰もが悪ふざけだと考えていたが、事件は本当に起こった。たまたま村に滞在していたミス・マープルが持ち前の好奇心から調査を開始する。
伏線の巧みさと、村ののどかさが印象に残る作品。特にある伏線については、途中で何度も言及されているにもかかわらず完全に読み飛ばしてしまっていた。もっと気をつけて読むべきだった。
クリスティ作品の例に漏れず、登場人物は脇役に至るまで個性的。中でも、被害妄想気味な移民メイドのミッチーがいい味を出している。雇いたくはないけど。 -
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古代エジプトを舞台にした戯曲。
ミステリではなく、有名な王アクナーテンの生涯のポイントを描いたもの。
多神教が信じられていた古代エジプト。
中でもアメン神殿が王をしのぎかねないほどの大きな勢力を持っていた。
アクナーテンの母である王妃ティイは、神官の横暴に不信を抱きつつも権力を守るために神殿と結びつき、息子の純粋さを心配しているところから始まります。
軍人のホルエムヘブは信仰心は薄く現実的でまったく違うタイプだが、まじめさに通じるところがあり、アクナーテンは親友と思うほどになる。
王位についたアクナーテンは、太陽神であるアテンのみを信じる一神教とし、遷都して芸術家を集め、皆が愛し合う平和で美しい都を築こうとする。
外敵に襲われた属国や友邦に援軍を送ることを拒み、大罪人も厳罰を与えずに穏やかに反省させようとするアクナーテン。
エジプトは混乱し、次第に衰退していく。
美しい王妃ネフェルティティは夫を愛し続けるが、夫の宗教観を理解はしきれない。
貴族の少年ツタンカーテン(後のツタンカーメン)はネフェルティティの次女と結婚し、後継者となるのだが。
忠実だったホエルムヘブはついに耐え切れなくなり、王の暗殺を決意。
ネフェルティティの姉妹は野心家でホルエムヘブの妻となることを選び、後に王妃となるのだった‥
ホルエムヘブが軍人から王になったのは史実で、第18王朝の最後の王。
アテン神信仰を異端としてアクナーテンら4代の事績を抹消したため、正確なことがわからないんですね。
そのあたり、空想を膨らます余地もあるという。
アクナーテンは一神教をおこしたことでキリスト教社会では人気があるそう。なるほど。
紀元前1350~1334年頃の在位。
キリストの早すぎた先駆者といったところでしょうか。
(日本人にとっては、多神教を信じる庶民感覚もわかる気がするんだけど)
この時代についてはクリスチャン・ジャックの「光の王妃 アンケセナーメン」が詳しく、面白いですよ。アンケセナーメンは少年王ツタンカーメンの妃になった王女です。
アガサ・クリスティは考古学者マックス・マローワンと1930年に再婚。
この作品は1937年に執筆されていたが未発表で、1973年に刊行された。
気に入っている作品だそう。
個性豊かな歴史上の人物をいきいきと描き出した筆致は乗っていて、気に入っていたのはわかる気がします。 -
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ポワロ作品
【ストーリー】
女流作家からの電話により、祭りの余興で推理ゲームが開かれることになった地方に赴いたポワロ。そこで、被害者役の少女がゲームの筋書き通りに殺され、祭りの主催者の夫人が失踪する。
【感想】
架空の事件が現実に起こってしまった、という一見ありがちな展開で始まる。しかし、いくつか謎が提示されるものの、事件の全体像はつかめず、読む方にとしてはモヤモヤさせられる。終盤になって、ポワロの推理力が発揮されるのだが、犯人は想定外の人物だった。読み直しても、犯人の手がかりは少ないので、会話の行間を読まないとわからないと思いました。 -
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ネタバレ『海浜の午後』
海辺のビーチチェアに寝そべる人々。夫アーサーをほったらかして友人のボブと砂の城を創り遊ぶノーリーン。ジョージとクラム夫人の会話。息子を支配するガナー夫人。盗まれた首飾りの話。彼らの周囲を歩き回る謎の美女。首飾り盗難事件を捜査するフォーリー警部。
『患者』
何者かに突き落とされたウィンクフィールド夫人。精神的なショックから会話をすることができなくなった夫人。犯人を突き止めるための実験。瞬きによる会話。夫であるブライアンの浮気相手の正体。
『ねずみとり』
マイケル・トランスに誘われ彼の家にやってきたサンドラ。マイケルは旅行中で留守。家にいたジェニファー。誘い出されたことに気がつくサンドラ。同じく誘い出されたデイビッド。サンドラの元夫の死に不審を持つアレック。部屋から発見されたマイケルの遺体。仕掛けられた罠。 -
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人が才能を持って生まれるのか、才能が人を選ぶのか。偉大な音楽の才能を持って生まれた主人公の青年が、たったひとつの道のためにほかの全てを失うまでの物語。あるいは人のエゴと自己愛、欺瞞、その醜さについての物語。
ずいぶんと救いようのない話だった。つまらなかったというのではない。読み始めれば劇的な展開もないうちから引き込まれ、分厚い本にも関わらず短期間で読み終えてしまった。面白く、人間の業が描かれていて、そして意地の悪い話だった。見たくないものをつきつけられるようなところがある。悲劇なのだが、悲劇に浸って気持ちよく涙を流せるというようなカタルシスではない、皮肉な話だった。
クリスティは「春にして君を離れ」に続いてまだ二冊目なのだけれど、「春にして~」と共通するテーマが根底にあるような気がした。人がいかにして自分を誤魔化し、正当化し、己の正義を信じるために多くのことに目をつぶるかということ。愛と名付けられたものの欺瞞。 -
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ハラハラドキドキの展開が面白かった。
ラスボスというか黒幕においては、
『あの人だな…』
『えーっ!?そっち!?』
『って、やっぱそっちかーっ!』
ってな感じで翻弄されてしまった。
トミーとタペンスにおいては、トミーが意味もなく(あるんだろうけど)カーッとなるところ、
非常に人間味に溢れていて微笑ましい(感想そこかー)。
二人とも好奇心旺盛で行動的で魅力的。
本作品では二人の展開が途中で別々になってしまったけど、
もっとずっと一緒にいて活躍しても良かったかな。
あまり前知識が無いうえにクリスティー作品も二作目だから、
勝手にわかった風に評することはできないけれど…
アガサ・クリスティと言えばミステリー。
ミステリーと言えば密室…じゃないや、推理物。
なんてイメージが強いこともあって、
こういった話も書くんだと、ちょっと意外だった。
ポアロシリーズ、トミーとタペンスシリーズ含め、
他の作品も非常に興味深く、いつか読んでみたい。
どうでいいけど、個人的に“トミー”と言えば『噂の刑事トミーとマツ』を思い出す。
本当にどうでもいいね(笑)。 -
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第7回福岡翻訳ミステリー読書会の課題本(課題作は、表題の短編のみ)。
読書会が終わってから、詳しい感想を書く予定。
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読書会終了! いやはや、今回もツッコミどころ満載で(笑)とても楽しい読書会でした。
クリスティーということで、代表作はほとんど読んでる~という人からこれが初めて、という人まで、読者層は割りとまちまち。
私もクリスティを読むのはこれが4冊目だったので、先輩方のお話をふむふむと参考にさせてもらうなど。。
さて、そんな楽しい会話の中で出たのは、以下のようなこと。
・クリスマス・プティングってそもそもどんなお菓子?
・クリスティはこの短編では、あまりミステリーを書く気がないみたい? イギリスのクリスマスを書きたかっただけ?
・この話はあまりポアロっぽくない。ミス・マープルでもよかったのでは?
・話を読んでいる途中、○○が怪しい、と思ってたのに、全然関係なかった(笑)。
・第一章と第二章の隔絶間が甚だしい。話についていけなくなりそうだった。
・クリスティはやはり、おばさんの視点を書くと冴える!
・最後(第六章)の意味深な表現は何? ポアロ何したのと思ったよ(笑)!
……と、私の覚えている限りこのようなところでした。他にも途切れることなく会話が続き、とても面白かった。
私の感想も大体似たような感じで、クリスティはこのお話を自分のために楽しんで書いたのではないかなぁ、と。あまりミステリーとしてこだわらず、割とおおらかな気持ちで、筆の赴くままに書いたのでは。
これまでに読んだクリスティ作品を振り返ってみても、クリスティの魅力はパズル的なミステリーにあるのではなく、人間観察にあるのではないかと思う。
なので、私個人としては、課題作になった「クリスマス~」よりも、「負け犬」では人物描写の点で、「二十四羽の黒つぐみ」や「夢」では発想と視点の点で、それぞれ優れていて面白いと感じた。 -
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アガサ・クリスティの初期作品を読み直してます。
トミー&タペンスもの。
デビュー作につぐ2作目とは気づきませんでした。
読んだのはだいぶ後だったと思います。
デビュー作で有名になったためか、このほうが明るくて広範囲の読者を獲得出来たのか、売り上げは倍増だったとか。
戦争が終わって平和になり、活気づくロンドン。
この戦争というのが第一次世界大戦。
1922年の発行ですからね~。
幼なじみのトミーとタペンスが、ばったり再会し、仕事がない二人で会社を始めようと「ヤング・アドベンチャラーズ」を名乗ります。
トミーこと、トーマス・ベレズフォード。
見た目は平凡だが感じが良く、冒険心はあるが真面目でしっかりした青年。
タペンス(2ペンスという意味)はあだ名で、本名はプルーデンス・カウリー。
大きな灰色の目で、勘が良く、いたずら小僧のような雰囲気があるキュートな娘。
新聞広告をタイムズ紙に載せた所、反応があり、事件に巻き込まれていきます。
とっさに名乗ったジェーン・フィンという名が波紋を起こすのです。
1915年に、汽船ルシタニア号がドイツの攻撃を受けて沈没。
そのときに、機密書類を受け取ったのがジェーン・フィンでした。
行方の知らないジェーンを捜すいとこジュリアスも登場。
これは写真でしか知らないジェーンに恋しているアメリカ人で、富豪なのです。
情報局員のカーターと情報を交換しつつ、トミーは怪しい男を尾行して邸に入り込み、秘密の会合を目撃。
国際的な陰謀が行われている様子。
タペンスは怪しいと睨んだ夫人の元へ、メイドとして潜入。
教会大執事の娘であるタペンスは、女中に家事を仕込む立場だったので、お手のものでした。
その建物のエレベーター・ボーイともすぐ仲良くなったり。
ユーモラスな書き方で、スリルもほどほどに。
携帯どころか、まだ電話もすべての家にあるわけではない時代。
用事の連絡は電報!という。
レトロなテンポで~素人探偵が活躍。
ポワロもののような綿密さはありませんが、コメディ映画を見るような気分で、楽しく読めます。
そういえば、ドラマもテレビで見たかも…
タペンスはフランセスカ・アニスだったそうで~原作に美人ではないと書いてある割には大美人だけど、チャーミングにいきいきと演じていました。
この版は、2003年の新訳によるもので、一番新しい装丁。