アガサ・クリスティーのレビュー一覧

  • 予告殺人

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    アガサ・クリスティーの長編で、登場探偵はマープル。

    ある朝、イギリス田舎ののどかな村、チッピング・クレグホーンでは、いつものように地方紙「ギャゼット」が配達されていた。いつものように新聞を読んだ村人は仰天した。広告欄に、殺人の予告が載せられていたのだ。予告通り、6時半に、指定された家に集まる村人たち。誰もが悪ふざけだと考えていたが、事件は本当に起こった。たまたま村に滞在していたミス・マープルが持ち前の好奇心から調査を開始する。

    伏線の巧みさと、村ののどかさが印象に残る作品。特にある伏線については、途中で何度も言及されているにもかかわらず完全に読み飛ばしてしまっていた。もっと気をつけて読むべきだった。

    クリスティ作品の例に漏れず、登場人物は脇役に至るまで個性的。中でも、被害妄想気味な移民メイドのミッチーがいい味を出している。雇いたくはないけど。

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    2013年09月09日
  • メソポタミヤの殺人

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    遺跡チームの宿舎で起きる殺人事件。途中からぐんぐん面白くなった。犯人かなと思った人も殺され予想もつかない真犯人だった。そして誰もいなくなった ABC殺人事件ほどではないが読ませる力はさすがクリスティと思う
    。

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    2013年08月21日
  • 鳩のなかの猫

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    ポワロ作品

    【ストーリー】
    あるアラブ国家でクーデターが発生した。その事態を予期していた若き領主は、代々受け継がれた宝石を友人に託し、やがて秘密の手段で国外へと持ち出される。
    それから6週間後。上流階級の子女を多く集め、領主の友人の妹も通う女学院で、新任の体育教師が射殺体で発見される。

    【解説】
    国家の動乱と女学院での殺人。犯人像や動機は序盤から暗示され、該当者も徐々に絞られてくるが、終盤意外な流れになり、飽きさせない展開だった。

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    2013年08月12日
  • 運命の裏木戸

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    トミーとタペンスはいくつになってもトミーとタペンス。
    変わらない二人の会話がとても素敵ですごく好き。

    ストーリーは…なんだかいつの間にか終わったって感じ。途中の伏線(だったのかな)も
    回収されてないような。クリスティ婆ちゃん、途中で飽きちゃったのかな(笑)?

    でも解説にあるように、齢八十を越えてこれだけ楽しい二人を描けることは、
    やっぱりすごいことだなーと思う。
    トミーとタペンスも、その年齢を感じさせない若々しさだし。

    こんな風に歳をとりたいものだ。

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    2013年07月25日
  • アクナーテン

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    古代エジプトを舞台にした戯曲。
    ミステリではなく、有名な王アクナーテンの生涯のポイントを描いたもの。

    多神教が信じられていた古代エジプト。
    中でもアメン神殿が王をしのぎかねないほどの大きな勢力を持っていた。
    アクナーテンの母である王妃ティイは、神官の横暴に不信を抱きつつも権力を守るために神殿と結びつき、息子の純粋さを心配しているところから始まります。
    軍人のホルエムヘブは信仰心は薄く現実的でまったく違うタイプだが、まじめさに通じるところがあり、アクナーテンは親友と思うほどになる。

    王位についたアクナーテンは、太陽神であるアテンのみを信じる一神教とし、遷都して芸術家を集め、皆が愛し合う平和で美しい都を築こうとする。
    外敵に襲われた属国や友邦に援軍を送ることを拒み、大罪人も厳罰を与えずに穏やかに反省させようとするアクナーテン。
    エジプトは混乱し、次第に衰退していく。
    美しい王妃ネフェルティティは夫を愛し続けるが、夫の宗教観を理解はしきれない。
    貴族の少年ツタンカーテン(後のツタンカーメン)はネフェルティティの次女と結婚し、後継者となるのだが。
    忠実だったホエルムヘブはついに耐え切れなくなり、王の暗殺を決意。
    ネフェルティティの姉妹は野心家でホルエムヘブの妻となることを選び、後に王妃となるのだった‥

    ホルエムヘブが軍人から王になったのは史実で、第18王朝の最後の王。
    アテン神信仰を異端としてアクナーテンら4代の事績を抹消したため、正確なことがわからないんですね。
    そのあたり、空想を膨らます余地もあるという。

    アクナーテンは一神教をおこしたことでキリスト教社会では人気があるそう。なるほど。
    紀元前1350~1334年頃の在位。
    キリストの早すぎた先駆者といったところでしょうか。
    (日本人にとっては、多神教を信じる庶民感覚もわかる気がするんだけど)
    この時代についてはクリスチャン・ジャックの「光の王妃 アンケセナーメン」が詳しく、面白いですよ。アンケセナーメンは少年王ツタンカーメンの妃になった王女です。

    アガサ・クリスティは考古学者マックス・マローワンと1930年に再婚。
    この作品は1937年に執筆されていたが未発表で、1973年に刊行された。
    気に入っている作品だそう。
    個性豊かな歴史上の人物をいきいきと描き出した筆致は乗っていて、気に入っていたのはわかる気がします。

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    2013年07月03日
  • 親指のうずき

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    英国文化にも大分慣れてきたな(笑)。


    さて、真相が判明してからキーワードの行を読むと、
    確かに…確かにそういうニュアンスだとわかる。
    でも最初に読んだ時にはタペンスと一緒に勘違いした。
    …勘違いっていうか、成り行きで流れちゃった(笑)。

    でも、たとえ最初から考えながら読んでいたとしても、
    多分うまくミスリードされたに違いない。自信あり!

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    2013年05月17日
  • 死者のあやまち

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    ポワロ作品

    【ストーリー】
    女流作家からの電話により、祭りの余興で推理ゲームが開かれることになった地方に赴いたポワロ。そこで、被害者役の少女がゲームの筋書き通りに殺され、祭りの主催者の夫人が失踪する。

    【感想】
    架空の事件が現実に起こってしまった、という一見ありがちな展開で始まる。しかし、いくつか謎が提示されるものの、事件の全体像はつかめず、読む方にとしてはモヤモヤさせられる。終盤になって、ポワロの推理力が発揮されるのだが、犯人は想定外の人物だった。読み直しても、犯人の手がかりは少ないので、会話の行間を読まないとわからないと思いました。

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    2013年05月05日
  • 海浜の午後

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    ネタバレ

    『海浜の午後』
    海辺のビーチチェアに寝そべる人々。夫アーサーをほったらかして友人のボブと砂の城を創り遊ぶノーリーン。ジョージとクラム夫人の会話。息子を支配するガナー夫人。盗まれた首飾りの話。彼らの周囲を歩き回る謎の美女。首飾り盗難事件を捜査するフォーリー警部。

    『患者』
    何者かに突き落とされたウィンクフィールド夫人。精神的なショックから会話をすることができなくなった夫人。犯人を突き止めるための実験。瞬きによる会話。夫であるブライアンの浮気相手の正体。

    『ねずみとり』
    マイケル・トランスに誘われ彼の家にやってきたサンドラ。マイケルは旅行中で留守。家にいたジェニファー。誘い出されたことに気がつくサンドラ。同じく誘い出されたデイビッド。サンドラの元夫の死に不審を持つアレック。部屋から発見されたマイケルの遺体。仕掛けられた罠。

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    2013年05月05日
  • 愛の旋律

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     人が才能を持って生まれるのか、才能が人を選ぶのか。偉大な音楽の才能を持って生まれた主人公の青年が、たったひとつの道のためにほかの全てを失うまでの物語。あるいは人のエゴと自己愛、欺瞞、その醜さについての物語。
     ずいぶんと救いようのない話だった。つまらなかったというのではない。読み始めれば劇的な展開もないうちから引き込まれ、分厚い本にも関わらず短期間で読み終えてしまった。面白く、人間の業が描かれていて、そして意地の悪い話だった。見たくないものをつきつけられるようなところがある。悲劇なのだが、悲劇に浸って気持ちよく涙を流せるというようなカタルシスではない、皮肉な話だった。
     クリスティは「春にして君を離れ」に続いてまだ二冊目なのだけれど、「春にして~」と共通するテーマが根底にあるような気がした。人がいかにして自分を誤魔化し、正当化し、己の正義を信じるために多くのことに目をつぶるかということ。愛と名付けられたものの欺瞞。

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    2013年04月21日
  • 予告殺人

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    甘美なる死と共に、様々な人間模様も味わえる濃厚な一冊でした。
    犯人は何となく分かったものの、ある伏線の意味に気づけなくて悔しい!ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、これから読む方はある人の発言に注意して読み進めて下さい。

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    2013年04月20日
  • 愛の探偵たち

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    「ねずみとり」原作と、マープル、ポアロ、ハーリ・クィンの短編。

    舞台「マウストラップ」を観た後に読んだ。舞台では表情から読み取るしかない心情の部分が、地の文で説明されるのでわかりやすいし、戯曲版では主要人物が増えているので、違いを比べて楽しめた。

    その他は、どれも記憶にある短編。

    舞台を見た時に何故かすぐ犯人がわかったのだが、多分この本は読んだことがあったんだな…。

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    2013年03月27日
  • ねずみとり

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    本国では60年のロングランだというこの舞台。2013年3月、六本木にて上演された日本人キャストの「マウストラップ」を見ました。
    セリフはほぼ文庫の戯曲のまま忠実でした。
    犯人を知らずに舞台を見たら、面白いだろうなあ…

    カーテンコールでキャストが「結末は誰にも言わないでください」と言うのもやってました。

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    2013年03月17日
  • ヘラクレスの冒険

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    ヘラクレスの10個の難業(実際は12個)に準えた事件をポアロが選んで解いていく短編集。
    短編だがどんでん返し(単に鈍いだけかもしれないけど)があったりして、長編にはない面白さがあったと思う。

    ギリシャ神話を昔少し読んでいたため、クリスティがユーモアを織り混ぜたのでろう部分に、気付けたときちょっと嬉しい(笑)
    ギリシャ神話を調べながら読むと『この難業がクリスティにかかるとどうなるの?』みたいな見方ができて、また面白いかも。

    それにしても、ポアロさんは負けず嫌いなおじ様ですね(笑)まぁ、それも魅力ですが…

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    2013年03月06日
  • 秘密機関

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    ハラハラドキドキの展開が面白かった。
    ラスボスというか黒幕においては、
    『あの人だな…』
    『えーっ!?そっち!?』
    『って、やっぱそっちかーっ!』
    ってな感じで翻弄されてしまった。


    トミーとタペンスにおいては、トミーが意味もなく(あるんだろうけど)カーッとなるところ、
    非常に人間味に溢れていて微笑ましい(感想そこかー)。
    二人とも好奇心旺盛で行動的で魅力的。
    本作品では二人の展開が途中で別々になってしまったけど、
    もっとずっと一緒にいて活躍しても良かったかな。

    あまり前知識が無いうえにクリスティー作品も二作目だから、
    勝手にわかった風に評することはできないけれど…
    アガサ・クリスティと言えばミステリー。
    ミステリーと言えば密室…じゃないや、推理物。
    なんてイメージが強いこともあって、
    こういった話も書くんだと、ちょっと意外だった。

    ポアロシリーズ、トミーとタペンスシリーズ含め、
    他の作品も非常に興味深く、いつか読んでみたい。

    どうでいいけど、個人的に“トミー”と言えば『噂の刑事トミーとマツ』を思い出す。

    本当にどうでもいいね(笑)。

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    2013年02月28日
  • メソポタミヤの殺人

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     再読。
     出来栄えは上々。キラリと光る名作。
     トリックは知ってしまえば「なあんだ」で終わってしまうかもしれない。西暦2000年をとうに過ぎた今、余りにも使い古された感のあるトリックでもある。しかし、有名なトリックというのは、思いもよらぬ「意外性」を持つから「再利用」が図られるのであり、既知だとして軽んじられるものではない。
     ストーリーも身があり、人物の思惑が交錯する様を描写する力量は、流石クリスティ。

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    2014年03月17日
  • アクナーテン

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    ネタバレ

    アメン神を中心とした多神教の古代エジプトを、アテンを唯一神とする一神教世界に変えようとしたアクナーテン。
    彼の思想はあまりに先進的過ぎ誰にも理解されない。
    誰にも理解されない理想を追い進む姿と、一国の王としての理想の姿とは一致しない。
    お互いを強く思いながらも、現実を祖国を憂うホムエルヘブと、理想を全世界を憂うアクナーテン二人の道は交わることはない。
    アクナーテンの悲劇のもとは最後の石工のセリフに凝縮されていると思う。

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    2013年01月22日
  • ポケットにライ麦を

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    クリスティの真骨頂ですね。
    彼女の犯人の動機はお金か愛情のため、の大体二択なんですが(まぁ一番多い動機だとは思いますが)犯人を判らせずにあっと驚かせる。
    被害者がとてもかわいそうですが、犯罪の餌食になってしまった人は残らず可哀そうですね。

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    2012年12月28日
  • 黄色いアイリス

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    ネタバレ

    ポアロにミス・マープルにパーカー・パイン・・・
    クリスティオールスターズ(?)の活躍を描いた短編がいくつか入っていて手軽に読めちゃいます。
    ロマンチックな話が多くメロドラマみたいな雰囲気もあり。短いながらもクリスティならではの鋭い人間描写が冴えているので、やっぱり読み応えがある。
    「あなたの庭はどんな庭?」なんて、ちょっと味付けしてフランスで映画化してくれたら面白そう。(最近クリスティ作品、何故か仏での映像化が主?なので)
    というわけで、基本的には長編派なのだけどたまには短編も楽しいなと思いました。

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    2012年12月21日
  • クリスマス・プディングの冒険

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    第7回福岡翻訳ミステリー読書会の課題本(課題作は、表題の短編のみ)。

    読書会が終わってから、詳しい感想を書く予定。

    ***

    読書会終了! いやはや、今回もツッコミどころ満載で(笑)とても楽しい読書会でした。

    クリスティーということで、代表作はほとんど読んでる~という人からこれが初めて、という人まで、読者層は割りとまちまち。
    私もクリスティを読むのはこれが4冊目だったので、先輩方のお話をふむふむと参考にさせてもらうなど。。

    さて、そんな楽しい会話の中で出たのは、以下のようなこと。
    ・クリスマス・プティングってそもそもどんなお菓子?
    ・クリスティはこの短編では、あまりミステリーを書く気がないみたい? イギリスのクリスマスを書きたかっただけ?
    ・この話はあまりポアロっぽくない。ミス・マープルでもよかったのでは?
    ・話を読んでいる途中、○○が怪しい、と思ってたのに、全然関係なかった(笑)。
    ・第一章と第二章の隔絶間が甚だしい。話についていけなくなりそうだった。
    ・クリスティはやはり、おばさんの視点を書くと冴える!
    ・最後(第六章)の意味深な表現は何? ポアロ何したのと思ったよ(笑)!

    ……と、私の覚えている限りこのようなところでした。他にも途切れることなく会話が続き、とても面白かった。

    私の感想も大体似たような感じで、クリスティはこのお話を自分のために楽しんで書いたのではないかなぁ、と。あまりミステリーとしてこだわらず、割とおおらかな気持ちで、筆の赴くままに書いたのでは。

    これまでに読んだクリスティ作品を振り返ってみても、クリスティの魅力はパズル的なミステリーにあるのではなく、人間観察にあるのではないかと思う。
    なので、私個人としては、課題作になった「クリスマス~」よりも、「負け犬」では人物描写の点で、「二十四羽の黒つぐみ」や「夢」では発想と視点の点で、それぞれ優れていて面白いと感じた。

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    2012年11月20日
  • 秘密機関

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    アガサ・クリスティの初期作品を読み直してます。
    トミー&タペンスもの。

    デビュー作につぐ2作目とは気づきませんでした。
    読んだのはだいぶ後だったと思います。
    デビュー作で有名になったためか、このほうが明るくて広範囲の読者を獲得出来たのか、売り上げは倍増だったとか。

    戦争が終わって平和になり、活気づくロンドン。
    この戦争というのが第一次世界大戦。
    1922年の発行ですからね~。
    幼なじみのトミーとタペンスが、ばったり再会し、仕事がない二人で会社を始めようと「ヤング・アドベンチャラーズ」を名乗ります。

    トミーこと、トーマス・ベレズフォード。
    見た目は平凡だが感じが良く、冒険心はあるが真面目でしっかりした青年。
    タペンス(2ペンスという意味)はあだ名で、本名はプルーデンス・カウリー。
    大きな灰色の目で、勘が良く、いたずら小僧のような雰囲気があるキュートな娘。

    新聞広告をタイムズ紙に載せた所、反応があり、事件に巻き込まれていきます。
    とっさに名乗ったジェーン・フィンという名が波紋を起こすのです。
    1915年に、汽船ルシタニア号がドイツの攻撃を受けて沈没。
    そのときに、機密書類を受け取ったのがジェーン・フィンでした。
    行方の知らないジェーンを捜すいとこジュリアスも登場。
    これは写真でしか知らないジェーンに恋しているアメリカ人で、富豪なのです。

    情報局員のカーターと情報を交換しつつ、トミーは怪しい男を尾行して邸に入り込み、秘密の会合を目撃。
    国際的な陰謀が行われている様子。
    タペンスは怪しいと睨んだ夫人の元へ、メイドとして潜入。
    教会大執事の娘であるタペンスは、女中に家事を仕込む立場だったので、お手のものでした。
    その建物のエレベーター・ボーイともすぐ仲良くなったり。

    ユーモラスな書き方で、スリルもほどほどに。
    携帯どころか、まだ電話もすべての家にあるわけではない時代。
    用事の連絡は電報!という。
    レトロなテンポで~素人探偵が活躍。
    ポワロもののような綿密さはありませんが、コメディ映画を見るような気分で、楽しく読めます。

    そういえば、ドラマもテレビで見たかも…
    タペンスはフランセスカ・アニスだったそうで~原作に美人ではないと書いてある割には大美人だけど、チャーミングにいきいきと演じていました。

    この版は、2003年の新訳によるもので、一番新しい装丁。

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    2012年11月14日