アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレちょい役が黒幕(この悲劇は誰の責任かと言うとこの黒幕の母親=愚鈍なのに割とちゃっかりしていて息子を甘やかし放題で極悪人にした被害者の伯母に負う所大だと思う)で、従犯者の叙述はアクロイド殺しと違ってアンフェアでは…また如才なく世の中をよく知っている女性が、いくら魅力を感じたにしても初めて会った悪人の話にころっと乗るのは現実味がない気がする。
ただし一人ひとりの登場人物の書き込みが丁寧にされていて読み応えがあり面白かった。ファラデー夫妻の顛末は結局筋と関係なかったけれど結構感動した。でも途中でアレクサンドラが「あの時それを知っていれば、今はもう手遅れ」と言っていたのは、小説の半ばごろでいきなり犯行の告白のようにも取れるけれどそれにしては露骨すぎるし何なのか頭をひねった。結局何のことだったのか回収がなかった。彼女の印象についてケンプ警部が昔のキリスト教の聖者についての独白が斬新でアガサって意外とこういう人だったんだと思った。女優にキャンセルを伝えたのも結局ルースだったのか、どういう目的があったのかよくわからない。アンソニーの設定はひねりすぎ、レイス大佐は映画「ナイル殺人事件」の軽妙洒脱な陽性キャラクターがちらついてちょっと違和感。
夫を除くほとんどの語り手からディスられていたようなローズマリー(キャラクターとしては白昼の悪魔の被害者に近い)だったが、落ちたバッグ の偶然は、万霊節の夜に彼女の意思が働いたような、人生これからの妹を守り、代わりに自分を愛してくれた夫を呼び寄せたとも取れ、残された妹が姉の想いに応える結びがほんのりじんとくる。
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購入済み
面白かった
怖いねぇ、マープルさん。
何もかも見透かされてるような気分になる。
なにしろ証拠もなにも関係ないんだから。
それでいて、確かにそうだよねと思わずにいられない。 -
購入済み
面白かった
ミステリーではないです。
クリスティの別名義の作品です。
みんな幸福をつかむチャンスはあったはずなのにね。
でもそうはしなかった。
望んで不幸になっているようにも見えるし。
まあ幸せなんて本人の思い込みなわけで
他人がとやかく言うものではないけれど。
ほんとうの幸いってあるのかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレクリスティ作品の登場人物で格別に印象深いラフィール氏、死後もなお大勢の人を振り回すのが彼らしく、懐かしくさえ感じる。前作の颯爽とした別れの挨拶の場面で既に計画が浮かんでいたのかな。終盤の守護天使は痛快だったが、ミス・テンプルも守ってあげて欲しかった…
何が謎なのか探ることから始まる冒頭から、庭園ツアー参加者のアイデンティティ偽装も昔の作品よりひねりがあって面白い(怪しく見えて実は皆味方)。
ただ核心となる事件が不自然で残念。自分勝手な偏執を愛と言ってしまう少女漫画的混同はいただけないし、女性犯人の動機として無理がある(女性ならライバルを襲っても当人に危害を加える事は無いのでは)。「書斎の死体」、火曜クラブの「舗道の血痕」「毒草」のモチーフが再登場で、その点毒草の犯人は自然。ポリゴナムの描写とノラの失踪で何が起きたかはピンときた。
Nemesis は、かなわない、手強い人=ミス・マープルであって彼女の正義の嗅覚が主題だけどタイトルには「復讐の女神」が劇的で収まりが良いかな。
冤罪が晴れる話についてはアガサは感慨薄めにするのが好きみたい?2万ポンドを当座口座に入れてパッと使うと言う思い切りよさがまさにミス・マープル。このさっぱりしたラストがシリーズの幕引きにふさわしい。その意味でも、アガサ・クリスティ解説本の巻末で、三部作説は海外文献に見当たらず、3冊目のタイトルとされているWoman’s Realmが、本作が掲載された雑誌名と一致しているらしい(どこかで混乱が生じた?)という話がミステリ的。 -
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これは私の人生。
母の死と夫の裏切りに心を閉ざすシーリアは、失踪事件を起こした著者の姿だと言われる。穏やかな婚約者を捨てて選んだダーモット。すれ違うシーリアとダーモット、産まれた娘はダーモットの性質を引き継いだ。孤独なシーリアが語る腕のない男の意味とは。
ぎくりとする場面も多く、読むのしんどいこともあった。内気、自意識、夢想、色々なところに自分と重なるところを見つけた。シーリアの不安を我が事のように感じた。
痛快な祖母グラニー。よき理解者の母ミリアム。自分ではなくダーモットの性質を受け継いだからこそ助けになる娘ジュディー。四世代に渡る女性の生き方を描いた作品とも読める。
シーリアが指摘された小説家としての視点は、クリスティーも同じことを言われたのだろうか。これがまったくのノンフィクションでない以上、どれだけこの作品に真実の姿を探しても、クリスティーの肖像はまだわからないままだ。 -
Posted by ブクログ
殺人事件は、基本的にコメディ。
クラリサは、死体を見つけた。どうやら夫の前妻の子が手を下した可能性がある。もう少しで夫が外交上の要人を連れてくる。隠すしかない! 叔父や友人に協力を頼んで死体を隠したものの、謎の人物の通報により警察がやってくる。死体を隠した扉を開けられてもう終わりかと思ったら、そこに死体がなかった。さあ、クラリサはうまく警察をごまかせるのか?
人が1人死んでいるドタバタ劇。出てくるキャラクターのクセが強いのはクリスティーのお約束。手がかりはちゃんとセリフやト書きの中にあり、犯人がわかってから読み返すとなるほどと思う。どこかで上演してくれないかな。 -
Posted by ブクログ
クリスマスに慈悲を。
クリスマスに親類一同が集まった家で、老いた当主が血だらけになって発見された。手を下したのは家族なのか。ポアロはこの血みどろの事件をどう読むのか。
解説にもあるが、クリスマスを思わせるアイテムをちりばめた話である。密室に誰かが外からやってくるというのはサンタクロースだし、真っ赤といえばサンタクロースの服である——赤い服を着たサンタクロースはアメリカの産物だけど。クリスマスに家族が集合すれば、善意よりも苦痛や憎しみの爆発が起こるだろうとポアロは語る。そうなればクリスマスは殺人事件にもってこいの季節だ。
いかにも殺人トリックな作品なので、読み終わったときの満足感は十分。指し示された犯人もなるほどと思う。アリバイトリックはそこまでする必要があったのかなと思うが、まあ、もっと血を! という声に応えて書いた作品だと最初にあるので、そのしばりがあったからだと思えば。より洗練された作品を書いてきたクリスティーがあえてこういういかにもな殺人事件を書いたと楽しめる。血に飢えた方はぜひどうぞ。