アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ネタバレポアロ、縦横無尽の活躍。
「死人の鏡」「謎の盗難事件」「厩舎街の殺人」の中編が3つ、4つめの「砂にかかれた三角形」はやや短い。
「死人の鏡」依頼人から呼び出されて屋敷に向かったポアロ。時間に厳しい依頼人が夕食に姿を見せない。依頼人は部屋で死んでいた。夫人、養女、甥、弁護士や自伝の手伝いをしていた秘書的存在など、様々な登場人物の話を聞きながら、ポアロが暴いた真相。そんなにうまくいくのかな、と思いつつ、密室よりも重要な真実は隠された人間関係。
「砂にかかれた三角形」リゾート地でポアロが出会った人々。夫婦、有名な美女とその新しい夫、若い女性。トリックはあっさりしていて、それだけか、とも思う。しかし、ポアロの警告の真の意味など、すっきりまとまって面白い作品。 -
Posted by ブクログ
★★★2019年1月レビュー★★★
『ブラックコーヒー』というタイトルに惹かれて読んでみた。ポワロシリーズのミステリー。1934年の英国が舞台。新たな兵器の化学式を発明した科学者サー・クロード・エイモリー。彼の開発した化学式を巡って起こる殺人事件を名探偵ポワロが解き明かしていく。
ロンドン郊外のエイモリー家の屋敷。被疑者は彼の家族と、訪問中のイタリア人医師。
「ああ犯人はあの人ね」
というオチ。展開のテンポはよく、すらすら読めた。
エルキュール・ポワロの人物が分かる紹介を少しだけ。
*ポワロは几帳面で、何事も整理整頓されていないと気が済まない。「左右対称、均整調和こそ、すべてなんですがねえ・・・・灰色の脳細胞はきちんと整理されていなくては」
*また、ポワロは自信満々。
「しかも、マダム。このエルキュール・ポワロは超一流の猟犬です」
「私ほどの推理力に恵まれていない人間にははっきりしないことが、このエルキュール・ポワロの知力にとっては、まったく明らかだからですよ」
しかしながら、見た目はぱっとしない。
卵形の頭をした小男。 -
Posted by ブクログ
古代エジプトの墓所守の家族内で起こる連続殺人事件。ポアロやマープルといったシリーズ探偵が登場しない歴史ミステリーで、作者としては異色の作品。
家長である父親、その子供の長男夫婦、次男夫婦、三男、夫を亡くして出戻りの長女、家長の年老いた母、雇われの管理人の男、古参の召使の女が主な登場人物。登場人物それぞれが個性的で、性格の違いによる書き分けが巧い。特に、家長の母親エサの慧眼ぶりと召使のへネットの嫌味な性格が印象的。
家業の墓所守や農地経営等で一族の生計を立ててきたが、父親が出張先から妾を連れて戻ってきたことで、微妙なバランスを保っていた家族内の関係に波乱が生じ、連続殺人へとつながっていく。
お互いの微妙な心理関係を織り込みながら進行していくストーリーは、なかなか読ませる。ヒロイン役の長女レニセンブがホリとカメニのどちらを選ぶのかというラブロマンスとしての興味もある。
犯人は1つだけトリックを使っているが、たいしたものではないし、読者が推理する要素はほとんどないので、ミステリーとしては平凡。 -
Posted by ブクログ
ネタバレやや長めの短編3作と短めの短編1作から成る短編集。
「死人の鏡」が、物語としては一番よくできていると思うが、真相に疑問箇所がある。個人的に一番面白いと感じたのは、最も短いが、見事なミスディレクションの「砂にかかれた三角形」。
「厩舎街の殺人」
プレンダーリース嬢が田舎から戻ってくると、同居人のアレン夫人が死んでおり、当初は自殺と思われたが、他殺を裏付けるような事実が次々と見つかる事件。ポアロが現場を見て気づいたことが真相に活かされている点は見事で、動機にも捻りがあり、アタッシュケースの謎も面白いが、真相はイマイチ切れ味に欠ける。
「謎の盗難事件」
機密事項である爆撃機設計図が盗まれ、ポアロが調査を依頼される話。ポアロは、犯行可能性と必然性から、犯人を推理する。女中の悲鳴、メイフィールド卿の目撃証言など、色々と話を膨らませているが、やや肩透かし気味の真相。
「砂にかかれた三角形」
周囲の男性を虜にする魔性の女を巡る三角関係。それが原因と見られる毒殺事件。そう思って読んでいると、最後に見事にうっちゃられる。
最後まで読むと、「手遅れにならないうちに島を離れろ」というゴールド夫人へのアドバイスや、「犯罪者には、自惚れという共通の悪い癖がある」というポアロの言葉には、深い意味が隠されていることがわかる。
「死人の鏡」
ゴア夫妻のエキセントリックな性格設定をはじめとする絶妙な人間関係の構築や、関係者の聞き込み調査を通じて次々と意外な事実が明らかになっていく過程、最後に明らかとなる意外な犯行動機など、クリスティーらしい技巧を感じさせる作品ではある。しかし、真相を複雑にしすぎたために、ややわかりにくく、また、犯人が仕掛けたトリックが手が込み過ぎていて、そんなにうまくいくのかなと逆に思ってしまった。
(ネタバレ)
銃声の偽装の方を多くの人間が聴いているのに、実際の銃声を誰も聴いていないというのは、不自然ではないだろうか。