石田衣良のレビュー一覧
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『スローグッドバイ』『1ポンドの悲しみ』(ともに集英社文庫)につづく、著者の短編集です。今回は「リベルテ・メゾン神楽坂」という高層マンションを舞台にした、10編のショート・ストーリーにまとめられています。
表題作の「愛がいない部屋」は、夫のDVに苦しむ女性が、小学生の娘と同じマンションに住む老婦人によって心を癒される話。すこし盛りすぎの感じもありますが、締めくくりの文章の技巧で、なんとかうまくまとめあげているという印象を受けました。
「空を分ける」は、一人の男性とルーム・シェアをすることになった女性の心をえがきます。「魔法の寝室」は、夫との生活に不満はないもののどこか味気なさを感じていた妻 -
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『スローグッドバイ』(集英社文庫)につづく、恋愛短編集第ニ弾。前作は20代の男女の淡い愛のかたちがえがかれていましたが、今回は30代前半の男女の恋がテーマになっています。前作のような甘くてさっと溶けてしまう綿菓子のようなストーリーだけでなく、クセ球もまじえているように感じます。
表題作の「1ポンドの悲しみ」は、遠距離恋愛で1か月ぶりにホテルで一夜を過ごす男女の物語。けっこうエロい描写があります。
「ふたりの名前」は、合理主義的な同棲生活を始めた男女が、飼い猫の病気がきっかけでお互いの気持ちを一つにすることの大切さに気づく話。「誰かのウエディング」は、同僚の結婚式に出席した男が、ウェディング -
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淡彩画のような短編恋愛小説10編を収録しています。
別れることになったフミヒロとワカコの「さよならデート」をえがいた表題作「スローグッドバイ」が、やはり一番印象にのこっています。これはどうしても著者の実体験なのではないかと憶測してしまいます。
「泣かない」は、恋人にフラれて涙を閉じ込めてしまった女の子の心を、ゆっくり溶かそうとする青年が主人公のストーリー。「十五分」は、大学のゼミで一緒だった女の子とのひと夏の想い出を綴っています。「You look good to me」は、インターネットのチャット上で「自分は醜い」といいつのる女の子と出会う話。「フリフリ」は、たがいに知人のカップルに紹介 -
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45歳の奥山雅人は、ネット広告をあつかう「デジタルマウンテン」という会社の経営者であり、友人たち四人と共同出資してダイニング・バー「EAT A PEACH」を立ちあげます。12年連れ添った妻の比沙子への愛情も擦り切れることなく、夫婦仲は比較的うまくいっています。また、彼には藤森麻衣佳という34歳の愛人がおり、彼女も雅人との現在の関係に満足しています。
社会的にも成功をおさめ、妻と愛人との関係にも不満のない日々を送る雅人でしたが、ウェブ・デザインの仕事を手がける、早水千映という25歳の契約社員が彼の会社にやってきたところから、雅人の人生の歯車が狂いはじめます。千映は雅人にとって、いわゆる「肌が -
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ネタバレ池袋のトラブルシューター、マコトの活躍を描くこのシリーズも14作目。
持ち込まれたトラブルを、培ってきた人脈を駆使して鮮やかに解決します。時には“痛み分け”になるような時もありますが、世の中、白黒はっきりしていることの方が少ないので、その方が現実的に思えます。
今回も、ネット上で盛り上がっているデスゲームの管理人を追う『七つの試練』、億ションの最上階に響く謎の音の正体を突きとめる『幽霊ペントハウス』、首を絞めるという変態プレイを好む客に困っている出会いカフェからの依頼を受けた『鏡のむこうのストラングラー』等、Gボーイズのキング、タカシの手を借りながら解決していきます。
一番印象に残ったの -
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読者が選ぶ、上位作品の抜粋だそうで。
なるほど、こうやって読むと初期のマコトは若いなぁ。お金を受け取ってるのが結構驚きだったり。少年計数機の、数の覚え方は覚えてましたがどういう理由で誘拐されたとかは忘れてたので色々新しい発見が。子供がベランダから落ちた話もラストのオチはこうだったのか~とかすっかり忘れてました。
IWGPはそういえばこんな事件あったなぁという社会の問題点を拾ってくれるので、ある意味昔の歌舞伎スタイルとも似ているかな、なんて思いました。
個人的に強く印象に残っているエピソードは、マコトがプールに置き去りにする話と、マコト母と地元民のデモの話かな。そういえば男になったイケメン君は