石田衣良のレビュー一覧
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45歳の奥山雅人は、ネット広告をあつかう「デジタルマウンテン」という会社の経営者であり、友人たち四人と共同出資してダイニング・バー「EAT A PEACH」を立ちあげます。12年連れ添った妻の比沙子への愛情も擦り切れることなく、夫婦仲は比較的うまくいっています。また、彼には藤森麻衣佳という34歳の愛人がおり、彼女も雅人との現在の関係に満足しています。
社会的にも成功をおさめ、妻と愛人との関係にも不満のない日々を送る雅人でしたが、ウェブ・デザインの仕事を手がける、早水千映という25歳の契約社員が彼の会社にやってきたところから、雅人の人生の歯車が狂いはじめます。千映は雅人にとって、いわゆる「肌が合う」女性でした。彼女とのセックスに溺れていく雅人のもとに、千映の父親の孝太郎が現われて金をせびり出し、やがて雅人は妻を失い、愛人をうしなうことなります。
「肌が合う」女性との出会いによって中年の男の運命に大きな変化が訪れるというテーマは、渡辺淳一の『失楽園』と変わるところがありません。おそらく、著者の小説のなかでは出来が良くないほうに分類される気がします。ただ、どこまでも「性愛」を描くことに終始している渡辺の本にくらべると、中年になっても男の「どうしようもなさ」は変わらない、という伏流らしきものが描かれているぶん、本書のほうが優れているように思います。ラスト・シーンで、一人になってしまった雅人が、たまたま出会った少し蓮っ葉な若い女性を誘うくだりには、「ホント、コイツはいい年してしようがないな」と笑い出したくなるような、カラッとした雰囲気があって、個人的にはけっして嫌いではありませんが、ここは評価が分かれるところでもあるでしょう。 -
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ネタバレ池袋のトラブルシューター、マコトの活躍を描くこのシリーズも14作目。
持ち込まれたトラブルを、培ってきた人脈を駆使して鮮やかに解決します。時には“痛み分け”になるような時もありますが、世の中、白黒はっきりしていることの方が少ないので、その方が現実的に思えます。
今回も、ネット上で盛り上がっているデスゲームの管理人を追う『七つの試練』、億ションの最上階に響く謎の音の正体を突きとめる『幽霊ペントハウス』、首を絞めるという変態プレイを好む客に困っている出会いカフェからの依頼を受けた『鏡のむこうのストラングラー』等、Gボーイズのキング、タカシの手を借りながら解決していきます。
一番印象に残ったのは、タカシの親友で、俳優の鳴海一輝がスキャンダルに巻き込まれた話『泥だらけの星』です。
遊びの写真を撮られたことで困った立場になった一輝をどうやって救うのか、どうやったらダメージが少なくすむのかマコトも悩みます。
結局、無傷での解決は難しく、一輝はCMを失います。
でも、俳優さえ続けられればいいという一輝、落ちても這い上がる強さを持っています。
その姿に元気をもらえました。 -
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読者が選ぶ、上位作品の抜粋だそうで。
なるほど、こうやって読むと初期のマコトは若いなぁ。お金を受け取ってるのが結構驚きだったり。少年計数機の、数の覚え方は覚えてましたがどういう理由で誘拐されたとかは忘れてたので色々新しい発見が。子供がベランダから落ちた話もラストのオチはこうだったのか~とかすっかり忘れてました。
IWGPはそういえばこんな事件あったなぁという社会の問題点を拾ってくれるので、ある意味昔の歌舞伎スタイルとも似ているかな、なんて思いました。
個人的に強く印象に残っているエピソードは、マコトがプールに置き去りにする話と、マコト母と地元民のデモの話かな。そういえば男になったイケメン君はもう出てこないのかなぁ?
いずれにせよ、まだまだ末永く続けて頂きたいシリーズです。 -
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ネタバレ「泥だらけの星」
近頃は定期的と言っていいほどある、スターの未成年スキャンダル。
未成年だってわかってて、結果スキャンダルっていうならまだしも、未成年側が嘘ついてても罪に問われるのは成年スター側っていう構図に、ずっと違和感があったけど、これでひとつ納得した。
嘘をつかせるひとがいるわけだ、そしてそいつが得するわけだ。
今のご時世、テレビで公開処刑されるのはスターだけだとしても、未成年側もネットで社会的攻撃を受ける。それもわからないほど未熟なんだから、成年側がしっかりしろってことかと思ってた。
そのパターンもあるとは思う。
でもこの話のように、どちらともを嵌めて、私欲を満たすやつがいるんだ。
そんなやつにマコト達の助けで仕返しする話。
彼彼女が一番大事にしたいものを、身を削って取り戻す話。
登り詰めたスターが、下流でやり続けるのは心が強くないと無理。これも響いた。
「七つの試練」のゲームメーカーは、この強さがなかったのかな。
今巻はやたらと結婚を意識させられてたマコト。
結婚して子供とかできて、守らなきゃいけない弱みを抱えたなかでも、トラブルシューティングするマコトももうそろそろなのかな。
わたしもいい歳になったから、そういう奮闘も見たいぞ!共感して勇気づけられたいぞ!