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Posted by ブクログ
一気に引き込まれて読破。
Podcastでも折に触れて話されていた東京大空襲の物語。
空襲について、戦争を知らない世代である僕達は、どこか遠い昔のことのように、他人事のように思ってしまっている。
空から爆弾を落とすという視覚的な情報ではなく、空襲によって奪われていく一人ひとりの命。
死というものを生々しく身近に感じさせられた。
この生々しさは、どこから来るのかということは、あとがきを読んで納得。
このような人々の悲惨な死に様を知らなければ、戦争を知らない世代の僕らはまた同じことを繰り返してしまう。
そのことに気付き背筋が凍った。
70年前という遠くない日本で起きた出来事を覚えていたいと心から思った。
Posted by ブクログ
小学生の時、「戦争の話を取材する」という宿題があった。
都営住宅に住んでいた私は、母と相談して「13階の高橋さんのおじさん」にお話を伺うことにした。
高橋さんは、少年時代に第二次世界大戦を経験。
航空機に追いかけられて、すぐそばに爆弾を落とされ、九死に一生を得た体験を語って下さった。
この小説を読んで、高橋さんのことを思い出した。
戦争が、ただの歴史でなく、人と人が殺し合う最高にむごいことであることを実感したのだ。
時は、1945年3月。
物語の舞台は、東京の本所区(現在の墨田区)。
主人公のタケシは14歳。
アメリカ人の父、日本人の母のもとに生まれた。
9歳の時にシアトルから東京本所に母と引っ越してきた。
父の国と母の国が戦争をしている。
「鬼畜米英の子」「スパイ」などと酷い言葉を浴びせられながらも、中学生の青春の日々は続く。
そのささやかな日常を、戦争が全て奪っていく。
1945年3月10日未明。
東京大空襲。
タケシの住む地域では半分の方がなくなり、9割の家屋が焼き尽くされた。
父の国の飛行機から焼夷弾が落とされ、町中が火の海に包まれる。
目の前で人が死んでいく。たった数時間のうちに何度も何度もだ。
これが戦争だ。
著者は、文化の力で絶対悪の戦争に切り込んでいく。
「池袋ウエストゲートパーク」にも必ず登場するクラシックの名曲を、戦時下のタケシの部屋に登場させる。
戦争に立ち向かう文化の力。
暴力に対する対話の力。
戦争は美談なんかではない。
青年の未来を奪い、子供の希望を打ち砕き、母に涙を流させる。
語り継いでいかなければならないものがある。
戦争ほど残酷なものはない。
戦争ほど悲惨なものはない。
タケシ、ミヤ、テツ、登美子。
1945年の4TEEN。
石田文学の金字塔がまた一つ。
#石田衣良
#不死鳥少年
#池袋ウエストゲートパーク
#4TEEN
#NetGalleyJP
Posted by ブクログ
夏だし、前から気になっていたから良い機会だと思い手をつけた。石田衣良さんと東京大空襲というテーマが結びつかなくて、ドキドキしながら読み進めた。そして絶対忘れられない読書体験となった。もう一度読み返す元気はまだない。主人公・タケシと級友たちの暮らしが、戦争の中でも中学生らしくまぶしく輝いていた三月九日までを思い返すと、なんともやるせない気持ちになる。このテーマで日系人の少年が登場する物語を読むのは初めてだったのでかなり衝撃を受けた。銃後の戦争、みんなが生きていくのに必死だったのだと改めて気付かされた。この読書体験を通して、戦争と空襲の残酷さと平和の尊さをまた学ぶことができた。もし、主人公と同じ十四歳のときに読んでいたらと考えたがそれは無理な話なので、これからを生きる十四歳の子どもたちに広く読まれますようにと祈った。
Posted by ブクログ
石田衣良氏が語る東京大空襲。
1945年3月の東京。主人公のタケシは日本人の母とアメリカ人の父をもつハーフの少年(中学生)。アメリカでの日本人排斥の動きを避けて、父と別れ、母と二人日本に戻り、帝都東京の下町の親戚の家に厄介になっている。タケシは子どもの頃、遊んでいて溺れたものの、タケシだけが助かったので アンダイング・タケシ → アンディ・タケシと呼ばれた強運の持ち主だ。
東京大空襲は3月9日の夜から10日未明にかけて、アメリカが行った無差別爆撃。東京が一晩で一面の焼け野原となった。この作品は3月7日の朝から始めて、タケシを中心として当時の東京下町の暮らし様子、少年たちの日常生活として、極限に近い食糧難、学校での授業はなく、軍需工場での勤労奉仕、徹底した灯火管制、乏しくなった娯楽、愛国精神の同調圧力に押されて行動が歪み始めている大人たち、敵国の男性を父に持つということによるいわれ無き差別、といった物を丁寧に描いている。
全編のうちの3分の2がそういう空襲前夜の東京を描く一方で、最後の3分の1は東京大空襲の一夜に費やされている。
タケシは母と世話になっている親戚家族の命を守るために避難の先頭に立って行動する。その逃げるタケシ達が目撃するものは、爆撃によって町に何が起きたのか、B29の落とした焼夷弾が、家屋を焼く炎が、業火によっておきた炎の嵐が、逃げる人々にどのように襲いかかり、いかに命を奪っていったのかというものだ。
石田氏があとがきに書いているように「空襲で人々がどんな死を迎えたのか、百科事典的に網羅する」べく描き切っている。
避難の目的地とした錦糸公園まどあと少しというところでタケシが感じたことが象徴的だ。
"戦争は兵隊と東京都民の区別などしなかった。戦争は相手の一番大切なもの、一番柔らかいところ、壊して欲しくないものを徹底的に傷つけあうことだった。際限なく燃えあがり、自分の力に酔いしれる憎悪の炎そのものが戦争なのだ。"
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