あらすじ
人生にも恋愛にも退屈していた二十歳の夏、「娼夫」の道に足を踏み入れたリョウ。所属するボーイズクラブのオーナー・御堂静香が摘発され、クラブは解散したが、1年後、リョウは仲間と共に再開する。ほどなく静香も出所するが、彼女はエイズを発症していた。永遠の別れを前に、愛する人に自分は何ができるのか? 性と生の輝きを切なく清澄にうたいあげる、至高の恋愛小説。傑作長編『娼年』続編。
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Posted by ブクログ
クライマックス
静香さんとリョウの最後のセックス
泣いた。頭がグラグラした。
生きることと死ぬこと
何が普通
罪と許し
母と子、男と女
歳をとること
こんなふうに描けるなんて、、、
前作を超えてとても良かった
Posted by ブクログ
娼年は主に主人公の内面の変化の話でしたが、逝年では主人公の周囲の人たちにも焦点が当てられていました。
娼婦に関する話だけではなく「ジェンダー」「償い」「死」にも触れていて娼年以上に考えさせられる話でした。
娼年を読んだ時も思いましたが、石田衣良さんが書く女性の表現と官能的な表現は丁寧で素敵で、石田さんは想像で書いているんじゃなくて、実際に全て体験したことなのではないかなと思うくらいです。
Posted by ブクログ
性の多様性、欲望に内包された人間の深みなど、前作を踏襲する内容であるが、それに加え「死」をテーマに構えた作品となっている。
病と向き合い続ける静香さんやリョウの死生観は、かなり刺さるものがあった!
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久しぶりにこんなに美しい文章と小説に出会った。
さすが石田衣良さん。映画「娼年」では感じられない、言葉の美しさを感じたので、『娼年』も読んでみたい。
p.27 下側は、鋭い快感で、上側は安心するようなくつろぎ。
p.34 それは世界中で起きていることだった。ボクたちは自分たちと異質なものを攻撃し排除する。永遠に続く、命がけの間違い探しだ。
p.40 手放しの褒めようだった。東は女性を褒めるときは、言葉を節約しない。
p.52 夜はすべての人を包み込む。人の強さと弱さ、病気や傷痕、ねじれた、欲望に叶えられなかった夢。心の影を全て包み込んで、朝の光が世界を借金するまで自由な夢を見せてくれるのだ。
p.103 誰かが書いた愛の定義を思い出した。相手の幸福が自分にとって不可欠な状態を愛と言う。
p.115 あゆみは、女の乳房が嫌で、胸をカッターで切ろうとしたことがあった。声が女の子のようになるのが嫌で、塩素系の洗浄剤でうがいをして、喉を焼こうとしたこともあった。華奢な指に馴染めなくて、コンクリートの柱をずっと拳で殴っていたこともあった。
p.126 退屈を探せば、退屈を、驚異を探せば、驚異を見つける。世界はあまりに豊かな書物なので、必ず望むページに行き当たることになる。それがどれほど正しい指摘だったか、娼夫の仕事を通して、僕は思い知ることになった。この世界にも女性たちにも無限の豊かさがある。だが、冷えた欲望の持ち主には、扉を消して開かれる事は無い。それは大海の上で漂流死するのと同じである。膨大な水に囲まれたまま、渇き死んでいくのだ。僕にとって、欲望の無限の変化を探るのは、そのまま世界の成り立ちの姿をリスペクトすることだった。
p.149 ここにも人間の不思議があった。肉体は心をのせる器に過ぎない。心の方が体より先にあるのだ。
p.152 普通に生きているだけでも、人生はかなりの重さだった。その上、さらに障害を抱えて歩いていく。しかも障害が次の障害を呼ぶこともある。僕は目の前の妖精のような少年を見直していた。
p.189 あなたが今悲しいのなら、その悲しみを私に感じさせて。2人で分け合って、その色をもっと深いものにする。私は私の体を通して、リョウくんの悲しみを感じたい。
p.216 ずっと忘れていた。生きているって、自分の体を通して誰かを感じて、何かを分け合うってことだったんだね。
p.226 僕たちは傷つき、渇き、シワを増やし、肉を食べません、歳を重ねていく。肉体の魅力と生き生きとした心の弾みを失っているのは、ほんのわずかな知恵と金銭だけであるように見える。だが、それでも日々何かを失いながら生きている女性の体は、これほど素晴らしかった。
p.229 大人になると言うのは、「輪郭を淡くしていくこと」かと私は思った。若い頃は、好き嫌いをはっきりさせて、何にでも白黒をつけ、「選び取る」ことで、自分のアイデンティティーを形成していく面がある。しかし歳をとるというのは、いや、正確に言えば、よりよく歳をとるというのは、いろいろなものの境や自分の輪郭さえ薄れさせ、淡くうっすらと空にに漂うことなのかもしれない。
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読んだのは単行本ハードカバーなので装丁が違う。何かの蛇腹…のようでよく分からないけど、ハードカバー版の方が私の好み。
クラブの再開、アユムの登場と家族とのエピソード、御堂静香の死。
主人公が女性の心をゆっくりほぐして開いていく様は前作よりスキルアップしている。スキルとは言っても身につける技術ではなく本人の才能の開花かもしれない。
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石田衣良の「娼年」シリーズは、とにかく買いづらい本。
だが、素晴らしい比喩表現とリアルな感情が渦巻く本である。
それは、1作目でも言った。
2作目でも、普通とは何かを考えさせられた。
今作では、GIDでFTMのアユムが登場する。まさに、今 社会の課題として取り上げられていることだ。性には様々な種類があることは理解していても、ここで更に多くのことを知ることができた。
そして、永遠の別れについても考えさせられた。
「人は死なない。ただ消え去るだけだ。」
この言葉に、多くの感情が込められているように感じた。死を乗り越えて、それでも人は生き続ける。肉体がなくなっても魂はここにあるんだと、リョウに言われた気がした。
Posted by ブクログ
娼年を読んだ時、とにかく衝撃を受けて、自分自身の考え方、価値観がとても変わったのを今でも覚えています。1作目ほどの驚きはないけど、やっぱり石田衣良さんの書く文章がとても好き。
どんな年齢の女性も美しいと思わせてくれる。歳を重ねた女性の表現がいい。1作目よりもよりクラブのメンバーにフォーカスされていてそこもまた良かった。
Posted by ブクログ
すごく良かった。
ラスト泣きました。
私の年齢が、作品にぴったり当てはまっていたからかもしれない。
シリーズ物の作品というのは、映画でも小説でも、1番目は続編の「前提」であり、続編にはそれを上回るテーマが入り込んでくる。
なので、シリーズは続編から益々面白くなってきますよね。
冒頭は、前作のようにクラブを再建し、お客様を取って若いスタッフで運営して行く、少し「IWGP」を思い出すような軽いスタートだったのだけれども、スカウトした相手がGDI(ジェンダー・アイデンティティ・ディスオーダー)性同一性障害で、FTM(フィーメイル・トゥ・メィル)心が男性なのに、肉体が女性である状態の人であり、彼が娼夫という仕事をするという事と、親との和解、性転換、彼女との結婚など、重めの問題が扱われています。
さらに増して、元オーナー御堂静香のエイズ発症という、この世界にはついて回る病気の問題。
そして、最も身近でいて、捉える人によって違う響きをもたらす「死」に対する問題です。
御堂静香の友人、ヨーコの言葉に共感しました。
「苦しみも欲望も、簡単に乗り越えられたりはできないものよ。悟ったりなんて、誰もしないの。みんなが傷つきながら、今を生きている。こたえはどこにもなくて、ただそうやって今日を見送るだけ。それが人間にできることなの」
そして、御堂静香の再期のセックス後の言葉、
「生きているって、自分の身体をとおして誰かを感じて、なにかを分けあうってことだったんだね」と。
「生きてる」って、生きてていいって思える事のひとつの心の代弁をされました。
全ての男性に読んでもらいたい
歳を重ねていく女性を美しいと感じる大学生の主人公の考え方を見ていると、今を生きる男性に足りないものを感じました。
皺やたるみが増える女性に罵声を浴びせる男性がたくさんいるこの世界に、この本の主人公のように純粋に人を愛し理解できる男性がたくさんいれば、世の中はもっと幸せになるのだろうなと思いました。
心に響く素敵な作品でした。
Posted by ブクログ
『call boy』シリーズ第2弾❗️性同一性障害やHIV感染等の重いテーマを絡めながら、最愛の人との別れを描いた恋愛小説。
個人的には、『娼年』よりも心に響く、優しくも哀しい作品でした❗️特に最後のセックスシーンは心に残ります。
『人は死なない。ただ消え去るだけだ』という台詞がとても印象的でした❗️その後のリョウの生き様を描いた、『爽年』もいつかチャレンジしたいと思います。
Posted by ブクログ
【2025年132冊目】
摘発された男娼クラブをもう一度復活させる――リョウはクラブのオーナーとして、売れっ子のアズマ、元オーナーの静香の娘である咲良と共に男娼クラブを再スタートさせる。問題は男娼のスカウトだったが、徐々に軌道に乗り始め、ついには元オーナーの静香も刑務所から戻ってくることに。だが、静香とは別れが近づいていて――「娼年」続編。
まさかの続編を見つけてしまったので速攻で手に取りました。「これは創作、これは創作」と言い聞かせながら読みましたが、やっぱりsexを題材にした話って面白いんですよね。めちゃくちゃ人の感情が乗ってくる、しかも男娼クラブがテーマなので、未知過ぎる世界で、これぞ小説!って感じです。
いやどんな価値観やねんみたいな風に思うこともしばしばなのですが、「この世界では普通の価値観や倫理観をあてはめないで欲しい」という主人公から別のキャラクターへの言葉もあったりして、しっかり釘を刺されたり。
石田衣良さん、表現が豊かというか、人間の感情をよく描かれてますね。そんなに分厚くもないので「娼年」を読んだ方はお手にとってみると良いと思います。
Posted by ブクログ
何年か前に娼年を読んで以来。オーナーの御堂静香がHIVに感染し、タイムリミットが迫る中、リョウとアズマとアユムが戦力となり、クラブパッションは元通りに営業できるようになった。リョウは複数の女性と身体を重ね、女性の老いや、欲望と向き合う。どの女性も自分全てを受け入れてくれる存在が欲しいのだと気付かされる。アユムがいたら私も好きになってしまうのだろうな。FTMや同性愛が描かれていて、新しい娼夫の仕事もできるようになった。静香さんとの最初で最後のセックスは美しくも儚く散っていった。リョウの女性の見方や、年齢を重ねることが怖くなくなるような優しい文章が好き。
Posted by ブクログ
娼年を読んだのがかなり前だったため、御堂静香のキャラクターや、してきたことをかなり忘れてしまっていたところが後悔される。。
今回から登場したアユムが印象的だった。
個性派集団で、娼夫という仕事によりさまざまな欲望を見てきたリョウたちだからこそ、彼を簡単に受け入れることができたと思う。
★印象に残ったフレーズ
・ぼくたちは自分たちと異質な者を攻撃し排除する。永遠に続く、命がけの間違い探しだ。
・現代は富だけでなく、欲望でさえ強烈な格差をまぬがれないのだ。
Posted by ブクログ
人間が年齢を重ねていく様子が綺麗に描かれている。
重たいテーマが多く、考えさせられる。
自分の見ている世界が限られた世界であることをまずは知り、歩み寄ろうとしないと何も見つからない。
自分が生きている中で探し求めていることすら認識できないのかもしれないな、と。
Posted by ブクログ
コールボーイ2作目。
新しいクラブの発足とオーナーの他界。
この仕事の深さ、意味合い、生きることをの意義を肌のふれあいの中から感じる作品。素晴らしい。
Posted by ブクログ
解説にあったが、石田衣良は女性の加齢を豊かに捉える数少ない日本の傑作の一つ。
「よりよく年をとるというのは、色々なものの境や自分の輪郭さえ薄れさせ、淡くうっすらと空に漂うことなのかもしれない。」
性描写はかなり過激だけど、それ以上に人と人とのつながりや生と死、欲望について真摯に向き合う登場人物たちによって、意外とすっと受け入れられる。
Posted by ブクログ
「娼年」の続編。
御堂静香が警察に捕まり、刑務所で過ごしている中で、主人公・リョウは、クラブの再興のために動き出す。クラブはだんだんと客がつくようになり、以前の常連も戻ってきつつあった。
そんな中、御堂静香の出所が決定する。リョウたちは歓喜したが、現実はそれほど良い状況ではなかった。御堂静香はHIVを発症していたのである。御堂静香が戻ってきてクラブは順調であったが、御堂静香の体調は日々悪化していく。余命、数ヶ月。
リョウは最期に、「御堂静香とセックスがしたい」というかねてからの願いを叶えるべく、御堂静香の娘・咲良に協力を求める。そして、御堂静香も同じ気持ちであることを知り、セックスができることになる。
リョウと御堂静香は、セックスを通してお互いのことを深く理解し、いままでにない幸福や寂しさを感じることができた。
そして、少しの時が過ぎ、御堂静香は息を引き取る。クラブのメンバーは、いつまでも御堂静香をオーナーとして存在させ続けることにし、御堂静香とともにクラブを続けていく。
恋愛やセックスについて、非常に考えさせられる小説である。セックスをすることで得られるものは快感だけではない。それを通して相互理解を深めたり、そのときの感情を共有したりする。とても深いと思った。
Posted by ブクログ
「娼年」の続編である。
前回から1年経ち、新たに仕事を再開させたリョウたちが不慣れながらも成長させていく今作。
解説にもあったが石田衣良は女性の加齢を成熟として描くことができる数少ない作家だなと感じた。
性と生が一つのテーマである今作は人の性と生のどちらも深く考えさせられた作品であったと感じた。
Posted by ブクログ
久々に本読んだら楽しくてイッキ読みしてしまった、また少しずつ読書したいな〜〜
見方によったら全然官能小説なんだけど、清い
GIDとか個人的に興味があることも取り上げられててなるほどて思いながら読んだ
Posted by ブクログ
娼夫なんて、と思ってたけど、リョウのような人がいたら救われる人がたくさんいるような気がする。
私はかなり好きな作品。
続編が出ていたことを知らなかったのが悔やまれる。
Posted by ブクログ
これぞ究極の愛…かな?
リョウの友人、メグミによってクラブ・パッションは摘発されオーナーの御堂静香は拘留される。
御堂静香の娘、咲良とリョウとアズマの3人でクラブ・パッションを再開させ追加でホストを1名、それとクラブ・パッションを追い込んだ原因のメグミが加わりだんだんと軌道に乗せていく。
やがて御堂静香は出所するがエイズを発症し余命幾許の状態に、最後の最後にリョウと御堂静香は結ばれる。
エイズを発症している相手とのセックス
かなり危険な行為だけどそれを超越した2人の愛がこの本のメインの話になります。
たしか続編があったように思うので読んでみよう。
Posted by ブクログ
人の欲望の形には、たくさんのバリエーションがあって、欲望は死ぬまで消えることがない。
このシリーズでは、セックスという欲望に焦点が当たっているので、仕方のないことなのかもしれないけれども、結局のところ、リョウのセックスはいつも近親相姦だった。
御堂静香への想いは、母を求める気持ちと同じもので、突然の別れを余儀なくされた母の代わりに、死を目前にした御堂静香とセックスをして、繋ぎとめようとするかのようだ。
でも、愛の表現方法は、セックスだけではない。
エイズを発症した状態で、危険を冒してまでセックスをしなければいけなかったのか、私には分からない。
ただ、人はやったことよりもやらなかったことを後悔するものだから、合意の上でそういう結論に達したのなら、それも一つの答えなのだろう。
近親相姦的関係を、聖母子像になぞらえて美しく描くことはやりすぎだと思うけれども。
Posted by ブクログ
娼年の続編。
相変わらず性の描写に美しさを感じるような文章は作者の美学か。
少し物語のペースが速くてもう少しじっくり展開しても良かったかとも思う。
最後のリョウと静香の交わりは感染の危険があるとはいえ、生々し過ぎて少し心にグッとくるものが無かった。
大人の恋愛を描かしたらこの人の右に出るものはいないのではないか。
それ程変なエロさが無く描写が美しい。
Posted by ブクログ
『娼年』の続編。
インモラルな中に生命の輝きや優しさがあり、乾いていて静かな文体なのに、肌の質感の表現などはしっとりと濡れたような雰囲気で、艶っぽくも清廉な独特の余韻が残ります。
いつも穏やかでフラットなリョウの感情の動きや、大人の女性の表現がとても美しいです。
Posted by ブクログ
娼年のような、さまざまな女性とのセックスの話は少なかったけど、性のことを考え、素直に見つめる主人公を始め登場人物のアズマ、アユム、メグミなどに心をうたれる。
静香さんとの最期は、厳かでエロくて濃密で愛があって、切ない。
エイズの症状進行ってほんとにそんな感じなのか、現実味がないのと、著者が、女性のエクスタシーというものを幻想があるような気がするのが、ちょっと気になる。
Posted by ブクログ
『娼年』の続編となるシリーズもの。
なるほどこういう商売もいろいろとそれなりに大変なんだなぁということを感じる。まあ、当たり前といえば当たり前だけれど。
働くって、(それがどんな分野であれ)しんどくないものなんてないよね。
逝年
娼年を本ではなく、映像で見ました。
逝年、爽年があると知りこちらで購入。
凄く世界観が素敵で一気読みしてしまいました。
自分が思っている性より、もっともっと深いものを知れた気がします。
続きも読みたいのでまた購入します
Posted by ブクログ
再読本。
娼年の続編。
最愛の人との死別、性同一性障害とテーマは重たい。
主人公リョウの視点を通じて、視る世界は何が普通なのか、自分の概念を覆される。
決して表には出られない仕事だけど、飾らずに人と接し、ありのままでいられる彼らが羨ましい。
印象的だった言葉
①大好きなことに集中する。そういう時間をどれだけたくさんつくれるか。それが、人生の満足度を計る鍵。
②人は死なない。ただ消え去るだけ。
Posted by ブクログ
「娼年」を再読してこちらの本を続けて読む。
前回の最後にクラブが解散。
これからの見通しもつかず、リョウはこれからどのように生きていくのか。
前作で十分成長を遂げてしまったリョウ。
今作では歳に似合わぬ責任を負わされることになる。
クラブの再開、新人の発掘、そして自分自身の商品価値の引き上げ。
何もかもが愛する人のためならば、ぐずぐずいってはいられない。
トランスジェンダーのアユムの登場はあるものの、前作ほどのインパクトはなく、前作を一貫して貫く優しさのようなものも薄まってしまっている感じ。それはおそらくメグミのせいだと思う。
赦すというのが許される場合とそうでないと時があるのかな。
赦されてはいけない場合もあると思う。
赦した瞬間から苦しみを負ってしまう。
リョウも静香も。きっと。
人生最期のセックスのシーンはあまりに、なんといったらいいんだろう。むごたらしい。いくら美しく描こうとしてもどうしても無理を感じる。秘めたる部分が全て晒されるというのは気持ちのいいものではない。いくらクラブだからといって。
いつか「爽年」を読む時に読み返すことになると思うけれど、そのときはまた違ったように感じるんだろうか。